トリッパー列伝   作:ADONIS+

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暁美ほむら(魔法少女まどか☆マギカ)

 俺は伊藤匠吾(いとう しょうご)、漫画やアニメなどが大好きなオタクの社会人である(一応20台だよ)。それは二次元に俺の嫁を持つほどのレベルで、俺の嫁はほむほむだ。そんな俺は気が付けば見覚えのない部屋にいた。

 

「知らない部屋だ」

 と、見知らぬ病室の天井を見て呟いた俺はまさにオタクの鏡だろう。

 

 しかし、問題は場所だけではない。俺の姿は見る影もなく変わっているのだ。三つ編みにされた長い髪、全体的に華奢で柔らな体。そして止めが素晴らしいほどに整った美貌。結論を言えば俺は女の子になっちゃいました。

 

 そして、今の俺にはもう一つの記憶がある。それによると俺は暁美ほむらになったらしい。この名前ですぐに気が付いた。そう、この体は俺の嫁のほむほむだ。

 

「なんじゃ、こりゃーー!」

 

 太陽にほえろみたいに叫んだ俺は悪くない。騒いだせいで看護婦さんに怒られたけどそれは余談だよ。

 

 

 

「さて、どうしたものか」

 

 幸運な事に暁美ほむらの記憶は検索して確認できた。だから生活では困らないだろう。どうもこの暁美ほむらは原作の幾度となくループしたほむららしい。ループの記憶も確認できているからな。

 

 状況から察するに原作でワルプルギスの夜に敗北してしまい、自分が繰り返すことでまどかの因果が増えることを知りつつも時間遡行を強行したらしい。この辺りは原作とは違うようだな。

 

 その先の記憶がない事からほむらが並行世界のほむらに宿ると同時に私の魂がほむらに憑依してしまったのだろう。これはほむらのソウルジェムが私の手の中にあることもその推論を補強していた。

 

 ちなみに今の私は理想の美少女である暁美ほむらになっている。そんな状態で一人称を俺というわけにはいかないから私に変更した。ほむほむが俺なんて言葉を使うのは認められませんよ(笑)。私はこだわりのあるオタクなんです!

 

 しかし、これからどうするか。原作のほむらのように、まどかを助ける為にワルプルギスの夜に戦いを挑むというのはちょっと勘弁してほしい。

 

 ほむらは他の魔法少女と協力して何とかワルプルギスの夜を倒そうとしていたが、正直言ってあいつはそこいらの魔法少女が束になっても勝てそうにない。

 

 そうなると、ワルプルギスの夜は避けて安全策を取るべきだろう。それに私は別にまどかを助けなければならない理由はないから、無理をしてまで彼女を助ける必要はないのだ。

 

 私はそう考えて様子見をすることにした。

 

 

 

 こうして病院を退院した私は三つ編みの眼鏡っ子として中学校に転校してきた。正直言うとオタクだったとはいえ大卒の私が今更中学生をやるのは抵抗があったが、この状況では受け入れるしかなかった。

 

 幸いな事に、私の知識とほむらがループによって手に入れた記憶があることから学校の授業は問題なくできた。

 

 しかし、難点だったのが体育だ。準備運動で貧血になるという貧弱ぶりは正直困った。心臓が悪いから運動できない理由としては問題ないだろう。

 

 そんな風に学校にも慣れて下校して家に帰る途中の私はある人物とあった。その人物はFateのセイバーそのものだった。顔だけでなく服装も凛がセイバーに与えていた私服だったから間違いない。

 

「せ、セイバー!」

 

 私は驚きのあまり思わず声を出してしまった。

 

「ふふっ、やっぱりわかるんだ。この姿は有名だから分かり易くていいよね」

 と、セイバー(?)が笑う。

 

「私はアルトリア。君と同じトリッパーだよ」

「トリッパー?」

 

 聞きなれない言葉に思わず聞き返してしまった。

 

「そうだね。君は転生したのかい? それともその体に憑依してしまったのかい?」

「!?」

 

 彼女は私の事を知っているのか!

 

「ああ、そんなに警戒しなくてもいいわ。私は貴女の同類だし仲間ですから」

「詳しい話を聞きたいのですが、よろしいでしょうか?」

「勿論だとも」

 

 

 

「成程、トリッパー支援組織三千世界監察軍ですか」

 

 アルトリアから話を聞いた私は正直驚いた。私のように創作物の世界に紛れ込んでしまった人間は様々な世界に沢山いて彼らが協力して相互支援をしているのだ。

 

「そういう事だよ。君も来てみるかい? トリッパーなら大歓迎さ」

「そうですね。組織に参加するかしないかはともかく、確認しておきたい事がありますから」

 と、私は手の中にあるソウルジェムを見ながら言った。

 

 今の暁美ほむらは魔法少女なのかそれともただの人間なのか、そしてこのソウルジェムの状態など知りたいことはいくらでもある。だから彼らに確かめてもらった方がいいだろう。

 

 

 

 こうして私はアルトリアに連れられて監察軍本部に案内されたが、途中に見たスペースコロニー群はまさに圧巻ですね。

 

 そこで暁美ほむらのソウルジェムや私自身も様々な調査を受けて、総司令官のシリウスさんと話をすることになった。

 

「あの世界の魔法少女に憑依したか、なるほどこれは初めての事例だな」

「ええ、ですから今の私の状態がよくわからないわけで困っています」

 

 シリウスさんは私と同じで憑依型のトリッパーです。だから転生特典などはありませんが、元からチートな方ですからとても優秀な方です。

 

「そうか。結論から言うと今の君は魔法少女ではなく人間だ。間違いなく君の魂はその体に宿っている。しかし、一方で憑依先の暁美ほむら本人の魂はそのソウルジェムに宿っている」

 

 話によると、通常トリッパーが憑依すると憑依先の人物の魂はトリッパーの魂に追い出されて、そのままあの世行きになるそうです。

 

 つまり、憑依先の魂とトリッパーの魂が共存するなどはありえないが、魔法少女の場合は例外らしいです。

 

 まどか☆マギカの魔法少女はキュゥべえが魔法少女になる女の子の魂を肉体から取り出してソウルジェムという宝石に加工して誕生している。

 

 そして魔法少女はそのソウルジェムが本体となり、魂の抜けた抜け殻である肉体を遠隔操作している状態なので、その抜け殻にトリッパーの魂が憑依してもソウルジェムには影響はでないようです。

 

 最も肉体に直接魂が宿ってしまった為に、肉体の遠隔操作ができなくなっているようですね。

 

「ついでにソウルジェムの浄化もしておいたよ」

 

 シリウスの言葉にソウルジェムを見ると、確かに濁りが取れて綺麗な宝石になっている。グリーフシードはないはずなのにソウルジェムの浄化ができるのですか?と疑問に思う。

 

「ああ、それぐらいはできるさ。ぶっちゃけると神聖樹フラグーン(スレイヤーズ)に絶望を吸わせただけだよ」

「フラグーンですか」

 

 たしかフラグーンは瘴気、つまり生きとし生きる者の負の感情を吸収して成長する木で、そのフラグーンならばソウルジェムの絶望を吸収するのは容易いだろう。

 

 わざわざ危険を冒してまでグリーフシードを手に入れなくても、ソウルジェムの浄化ができるとなると便利だね。危ない橋は渡らないに越したことはないのだから。

 

 そう考えて私は元の世界に戻ったからも魔女狩りはせずに、普通の女子中学生として生活していた。

 

 そうこうしている内にワルプルギスの夜が現れる日が来たので、私は見滝原(みたきはら)を離れて避難していた。

 

 こうしてワルプルギスの夜をやり過ごそうとしてそれに成功したと思ったが、私はいきなり魔法少女の姿になって盾の砂時計が勝手に起動してしまった。

 

「何これ!」

 

 この想定外な事に私は慌てるが、止めることはできなかった。そして、気が付けば私はまた病室にいた。

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