「それで、帝国軍の反応はどうですか」
「ああ、悪くないよ。彼等も丁度いい戦いを求めていたようだ」
私の質問にトレーズが問題ないと返答した。
「やはり、そうですか」
エリザベートは、監察軍を通して、兵士の訓練の一環として帝国軍にロマリアと戦ってはどうかと提案していた。その反応は想像よりも良い物だった。
ブリタニア帝国は、手頃な敵を求めている。それも、こちらが被害を受けずに一方的に勝利できる相手を。
そもそも軍隊というのは、暴力組織であり、端的に言えば必要なときに人を殺す組織だ。つまり殺せと命じれば、効率よく殺していかないといけないし、そういうふうに訓練するものだ。
しかし、訓練と実戦は違う。実戦を知らない軍隊など今一信用に欠けるから、ブリタニアはいざというときに帝国軍がちゃんと使えるのかと不安に思うのだ。だから兵に殺人を慣れさせる必要があった。
ましてや今回のハルケギニアの軍隊はハッキリいって弱い。魔法という要素を除けば中世レベルな装備しかもたず、ブリタニアならまともな被害を受けずに勝てるはずだ。
そういうワケで、損得は抜きにしても強い軍を維持するために、彼等が必要経費を使ってでも応じてくれると考えていた。
唯一の問題が大義名分だ。異世界に進出できるブリタニア帝国といえど、そこで戦闘行為を行えば侵略だと非難される可能性がある。
しかし、そこは現地世界の国家(ガリア王国)の正式の要請を受けて、無償の軍事支援を行うという形式を整えているので、歴史的な大義名分がある。
「それで戦闘には系統魔法を無効化するマジック・キャンセラーを使うのですか?」
「ああ、その予定だ」
監察軍では新しい魔法形態を発見したら、それの無効化技術を研究する。それは、いざというときに対応できるようにする為だが、その魔法を使う者達からすれば迷惑極まりない事でしょうね。何しろ自分たちが修得した魔法を無効化する技術が確立するわけですから。
ゼロの使い魔に対応した魔法無効化技術にしても、四系統全てスクウェアのエリザベートと虚無のジョセフが協力しているので、四系統魔法はおろか虚無の魔法まで無効化してしまう装置が実用化していた。
ちなみに魔法使いのブリタニア貴族はそれには無反応だ。というのも『魔法少女リリカルなのは』の魔法は、監察軍創設以前には既に魔法無効化技術が確立してしまっていて今更な事だったからだ。
要はとっくの昔に手遅れなので、今更不満を言っても仕方ないと誰もが思っているのだ。勿論、自分たちの魔法の価値を低価させている無効化技術を疎ましく思う貴族は多い。
「ちなみに投入されるのは、第四揚陸艦隊だよ」
揚陸艦隊というのは強襲揚陸艦とその護衛艦で構成させた独立艦隊の一つだ。
帝国軍に存在する十八個もの正規艦隊はブリタニアを含めた様々な下位世界の宇宙空間で艦隊決戦を行うことに特化しているが、この艦隊は有人惑星に降下して制圧する任務に特化している。
いうまでもないが戦争というのは艦隊決戦だけではない。
反乱の鎮圧や敵国の制圧など占領には歩兵がいる。戦車、自走砲、装甲車などなど、いろいろな装備と共に歩兵がいるのだ。だからそうした行動に長けた部隊が必要になった。
「となると有人戦力が主流になるか。でもぶっちゃけると、わざわざ人間同士でぶつかり合わなくても、N2爆弾(新世紀エヴァンゲリオン)でも転送すれば、ボタン一つで敵を殲滅できるけどね」
そう、やろうと思えばボタン一つでケリがつくのだ。しかし、エリザベートの言葉にトレーズが悲しそうな顔をする。
「エリザベート、それでは戦いから人間性が失われてしまう」
「でも戦いは効率だよ」
「……」
エリザベートはトレーズの戦いにおける人間性を重視するその姿勢は理解できなかった。政治的な理由や、百歩譲って宗教的な理由で戦いが制限させるのは分かるが、人間性などという曖昧なもので戦い方を決める意味などあるのか?
エリザベートは『新機動戦記ガンダムW』の世界で戦いの効率を重視してMD(モビルドール)を主力として活用したロームフェラ財団と同じ様な考えだった。
ちなみにブリタニア帝国の正規艦隊艦艇の9割が無人艦で、機動兵器である可変戦闘機の半数が無人機だった。
ここで全てを無人戦力にしないのかというと、無人機の自律行動に不安があることと、『マクロスF』でバジュラがECM攻撃をしたように何らかの方法で無人戦力を潰される危険性を考慮してのことだった。
要は想定外のことにも備えたがゆえの事で、それがなければロームフェラ財団や木星連合(機動戦艦ナデシコ)の様に無人戦力で全て賄っていただろう。
トレーズは、そんなブリタニア帝国の方針にもいささか思うところはあるようだ。
「いずれにしても、盛大なお祭りですね。帝国軍の方も張り切っておられるでしょうから」
エリザベートのその言葉通り戦争という名の祭りが始まる。
ロマリアside
始祖の教えに背いたガリアに天誅を下す。これが大義だった。それにこの戦いは功を立てる機会だ。と立身出背を目指している者は多かった。
こうして連合軍20万でガリアを潰すという計画であったが、いきなり砲撃が降ってきた。
それは、155㎜レールガンを搭載した自走砲と、120㎜レールガンを搭載した戦車からなる砲撃だったが、これで地上の部隊が大混乱となった。
そこに凄まじいスピードで見たこともない巨大な鉄の鳥(可変戦闘機)が襲いかかった。それは驚くべきことに人型のゴーレムに変形することができ、竜騎士を打ち落としていく。
竜騎士はそれの桁違いの速さにまったく付いていけず、あっという間に全滅した。
飛行船には別の鉄の鳥(汎用攻撃機)が放った丸太の様な物(ミサイル)で、大爆発を起こしてしまい、あっという間に全滅した。
まるで戦いになっていない。これでは一方的な虐殺ではないか! 周りは砲撃で酷い有様だった。
「ぎゃあああ!!」
砲撃で手足を失った者たちが絶叫している。それは戦場の至る所にあった。
そこに5メイルほどの鉄のゴーレムの様な物が突撃してきた。それを敵だと判断した男は反射的に魔法で攻撃しようとしたが、何故か魔法が発動しなかった。
それはその男だけではなく、周りの者も魔法が使えないと狼狽えている。これは、どういうことだ?
しかし、男には狼狽える時間はなかった。何故なら目の前のゴーレムが拡散輻射波動を打ち込んで、それで周囲の者達ごと消し飛んだからだ。
エリザベートside
盛大な血祭り。それはロマリアの聖戦発動から始まった。
ガリア王国は、原作を参考にできるだけ有利になるようにしていた。レコンキスタ運動を起こして、アルビオンとトリステインの弱体化を図り、アルビオンを制圧する。しかる後に、エルフと講和を行い、意図的にロマリアを挑発したのだ。
これに対して、ロマリアは風石の問題もあり、聖戦を発動したのだ(ロマリアはガリアが風石の問題を解決したことを知りません)。
冷戦状態のガリアに侵攻して行こうとするロマリアとトリステイン。それに第四揚陸艦隊に所属するブリタニア軍10万が襲いかかった。
マジック・キャンセラー(ゼロの使い魔ver)の影響で、まったく魔法を使えないロマリアとトリステインは一方的に蹂躙された。
①自走砲と戦車で砲撃(共にレールガンなので凄まじい攻撃力)。
②攻撃機で船を始末する。
③可変戦闘機で竜騎士を始末して制空権を確保する。
④止めに機動兵器(ナイトメアフレーム)を突撃させる。
ちなみにマジック・キャンセラーで魔法が使えなくなった彼等に駄目押しとばかりに襲いかかったのは、帝国軍のナイトメアフレーム(以後NMF)だった。このNMFは【コードギアス 反逆のルルーシュ』に登場する機動兵器で、4m~5mほどの小型有人兵器だ。
通常の可変戦闘機は、強力であるが大きすぎて都市部の治安維持や地上戦では使いづらいが、NMFなら小型でありながらも十分な力があるので、惑星上で活動する部隊では重宝されていた。
「やっぱり勝負にならないわね」
エリザベートは、帝国軍の訓練の一環として虐殺されているロマリアとトリステイン連合軍を冷めた目で眺めた。
その後、トリステインとロマリアはガリアの猛攻であっさりと占領され、六千年を超える歴史を終えることになるのであった。
解説
■エリザベート
二つ名は、至高のエリザベート。身長162㎝、体重48㎏、スリーサイズ85/57/84(16歳の時に外見年齢が固定して、それ以来変化なし)。青い瞳に青い髪を腰の辺りまで伸ばした美少女。外見イメージは、『LUNAR2 エターナルブルー』のルーシア。前世は負け組な女性だったので、今回は勝ち組となるべく地位と資産のあるガリア王家に転生している。死神によって不老長寿の体になっている。
後書き
ブリタニアといえばコードギアスシリーズ。というワケで、今回は名前繋がりでナイトメアフレームを少しだけ出してみました。トリステインとロマリアのバカ共は、この度ブリタニア軍の訓練の尊い犠牲となりました(笑)。