トリッパー列伝   作:ADONIS+

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シルバレル(ランス4.1 -お薬工場を救え!-)

 下位世界。上位世界の創作物が具現化されたそれらの世界には美男美女が多い。一方、上位世界ならば美男美女(整形は除く)はそうはいない。

 

 これらは世界観の補正があると言える。つまり誰もブスやブ男を創作物のキャラクターにしたがる物ではない。そもそも魅力的なキャラクターが物語の人気に大きく影響を与える以上、それらの作品が具現化した下位世界はそうした傾向になるのは必然と言える。

 

 それはアダルトゲームにおいても例外ではない。攻略キャラは魅力的な美少女キャラクターが複数登場するのが当たり前であるし、攻略キャラでなくても女性キャラともなれば容姿は並以上になる事が多い。

 

 しかし、アダルトゲームの女性キャラでありながらとてつもないブスとして登場する者もまれにいて、間違ってもそんなキャラになりたいなど誰も思わないだろう。

 

「……その筈だったんですがね」

 

 彼女は憂鬱な気分だった。彼女は上位世界から下位世界にトリップしてしまったトリッパーの一人。それもある日いきなり別人の体に憑依していたという憑依型のトリッパーだ。

 

 彼女に問題があったのは憑依先がシルバレル(ランス4.1 -お薬工場を救え!-)で、伝説のブスと呼ばれるに相応しいだけの顔である事だ。

 

 正直言ってもう少し配慮して欲しいと彼女が愚痴るのも無理はない。なにも絶世の美女にしろとはいいませんが、ここまで酷いのは困ります。

 

 ランス世界ではこの容姿の悪さから本当に難儀しました。学生生活はろくなものではありませんでしたし、その後の社会人生活も悲惨です。

 

 誰だって見ていて気分が悪くなるようなブスを雇いたいと思う人間はいません。つまり、就職活動で全敗しましたよ。原作で、ハピネス製薬に就職できたのは奇跡としかいいようがないですね。

 

 なら、「じゃあそのハピネス製薬に就職すればいいじゃない」と思うかもしれませんが、ちゃんとやりましたよ。でも落ちたんですよ。不採用です。「なんでだ~」と喚いてしまったのは今となっては良い思い出ですよ。という訳でニート生活になってしまい、生活苦に陥ってしまう訳です。

 

 こういった場合、普通の女性ならば体を売るという選択もあるかもしれませんが、シルバレルにはそれはありえないでしょう。こんな女なんか逆に金を貰っても抱こうとする男はいないです。当然それで生活など出来るわけがなく、それは試して見るまでもない分かりきった事です。

 

 そんな私は監察軍と呼ばれる存在と接触しました。その際、接触した自分と同じトリッパーが美女だったので、思いっきり妬んだのは秘密です。

 

 原作の通りならば、このままだとシルバレルはランスクエストでバランスブレイカーとして封印されてしまいます。流石にそれは困るので、しょうがないのでこの世界を離れて監察軍と合流することにした。

 

 よく「イケメンは得をする」といわれるように、容姿がいいというのはそれだけでも相手の印象が違うというのは常識であるが、シルバレルなんかになってしまったばかりにこれがおもいっきりマイナスに働いた。

 

 実は監察軍では銀髪オットアイのイケメンとか中二病を患った痛い人がそれなりにいたが、総じて容姿がいい男が多かったし、女性トリッパーも美少女や美女ばかり、監察軍で働くアンドロイドも美女美少女で構成されているという徹底振りだった。

 

 つまり、みんな美男美女または美少女ばかりで、そんな中でシルバレルは悪い意味で目立ち何かと面倒だった。伝説のブスの名は伊達ではない事を嫌になるほど味合わされてしまった。

 

 同じトリッパーからでさえ「見るに耐えないから仮面を付けた方がいい」とまで言われる始末。面食いなシドゥリなどシルバレルを露骨に毛嫌いしていた。このあまりの不興ぶりに、シルバレルはしぶしぶ仮面を付けて生活するようになった。

 

 こうして”伝説のブス”から”怪しい女性”にチェンジしたシルバレルであったが、今度はあまりの怪しさから他の者と度々トラブルになり、その度に事情を説明して仮面を外して顔を見せると、そのあまりのブスさ加減に相手から「仮面をつけたままでかわまない」と言われるようになった。何かいろいろとやさぐれそうです。

 

「これでは本当に生活に支障がでますね。いっその事無人島にでも住み着こうかしら?」

 

 というか、いっその事死んでしまおうかと思ってしまうほどです。

 

 そもそも私達トリッパーは死んでも本来の世界の輪廻転生の循環に戻るだけですから、現世が気に入らなきゃ今の人生をリセットしても特に問題はないですし。でも意味もなく死ぬのもよくないか。

 

 他のトリッパーたちのように延命処置をするつもりはないが、自殺するつもりもありません。自然に生きて自然に死ねばいいだろう。まあ延命なんてリア充なトリッパーだけで十分です。

 

 それにしても死神には腹が立ちます。他の者は美男美女ばかりなのになんで私だけこうなんですか!

 

 そりゃナメック星人みたいにあからさまな宇宙人になったトリッパーもいますけどね。私のような酷いブスは他にいませんよ。

 

 本当に世の中は不公平です。




解説

■シルバレル
 ランスシリーズでも最強のブスに憑依してしまったトリッパー。なまじ周囲との落差が激しいので困っている。憑依者なので特典はないし、シルバレル自身もこれといった能力はないので、ハッキリ言ってトリッパーの中では無能である。特徴と言えば突き抜けたブスさ加減だけで、そんな物はデメリットにしかならないという悲惨な状態。正直な話、某サトラレみたく無人島にでも暮らしたほうがいいキャラで、ご愁傷様というしかないだろう。
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