神聖ブリタニア帝国。その国はシャルル皇帝の元で他国を征服して、世界の3分の1を支配するに至った超大国である。そのとどまるところを知らぬ勢いにその他の国々は脅威を抱きブリタニアに対抗しようとしていたが、そんなブリタニアを揺るがす大事件が発生する。シャルル皇帝と皇位継承権を持つ皇族全員が死亡したのである。
死因はいずれも心臓発作で、これがシャルル皇帝だけなら彼の年齢もあって多くのものは不審に思わないだろう。だが、100人近くいた皇位継承権を持つ皇族が一斉に心臓発作で死亡したとなると、怪死としか言いようがない。暗殺にしてもあまりの人間離れした所業から一部では呪いなどのオカルトすらもささやかれていた。
とはいえ、当事者たるブリタニアの重臣や貴族たちは死因や真相究明ばかりしていられない。専制君主制国家にとって玉座に誰もいないという状況は極めてまずい。特にブリタニアのような超大国であれば尚更である。そんな彼らにとって第三皇女リリーシャ・ヴィ・ブリタニアの帰還は朗報以外の何物でもなかった。多くの貴族たちは諸手を挙げてリリーシャを支持した。
通常ならいくら皇位継承権を有する皇女とはいえ出奔して八年間も行方不明になっていたリリーシャの立場はかなり弱いが、リリーシャ以外に皇族がいないという状況がそれをくつがえした。ブリタニアでは皇族でないものが皇帝になることはできない。これは神聖ブリタニア帝国の基盤であり、それを変えることは国を根本的に変えることを意味している。
いくら、帝国貴族といっても所詮は帝国があって初めて貴族制が維持できるのだ。皇帝や皇族があってこその貴族であるため、彼らは嫌でも最後の皇族となったリリーシャを皇帝として支持しないといけないのだ。そうしなければ自分たち貴族が存在できなくなるからだ。
かくして、リリーシャ・ヴィ・ブリタニアは神聖ブリタニア帝国第99代皇帝に即位するのであった。
通常であれば皇位継承が穏便に済むものではなく血を血で洗う凄惨な政争になるものであるが、リリーシャ以外に皇族がいないという状況であるため、例えリリーシャに反発する貴族がいても掲げる神輿がいないのではどうしようもない。また、下手にリリーシャを排除してしまったらブリタニアがひいては自分たち貴族もおしまいであるため、逆に貴族たちはリリーシャを支えていったためにブリタニアは安定していくのであった。
リリーシャが監察軍に身を寄せてから八年の月日が流れて原作開始直前の時期になった。この八年で真っ先にやった事は戦闘用の生体強化を受けた事だ。元々、母マリアンヌの指導を受けて剣術や体術などを学び鍛えていたリリーシャであるが、これによって著しく強化されることになった。
更に16歳になるとゴッド・ブレスを打ち込んで不老長寿になったので、老化を防げるうえに回復能力も桁違いに上がっていた。また、監察軍では総司令官トレーズの部下として官僚向けの仕事をして政治などを学んだり、トリッパー仲間たちと剣の鍛錬をしたりと充実した日々をすごした。
そんなリリーシャであるが、現在原作の舞台となっているエリア11にあるトウキョウ租界の街中を歩きながら情報を集めていた。いま世界中である大ニュースがにぎわっている。それはシャルル皇帝とブリタニア皇族全員(リリーシャを除く)が一斉に死亡したことだ。言うまでもないが、それはリリーシャの仕業であった(爆)。
といっても、やったことといえば監察軍から借りたデスノートにシャルル皇帝と皇位継承者たちの名前を記載しただけです。普通なら100人近くいる皇族(シャルル皇帝の皇妃を除く)を一々殺すぐらいならブリタニアを滅ぼしたほうが手っ取り早いですが、この方法なら簡単にけりがつきます。
原作のルルーシュはブリタニアをぶっ潰すといって盛大に反逆した挙句、ギアスを使いまくって皇帝になりましたが、わざわざそんなことをやらなくてもデスノートを使えば最小の犠牲で終わりにできる。
こうして、ブリタニア皇族はリリーシャ以外いなくなった。ブリタニアでの第三皇女リリーシャ・ヴィ・ブリタニアの扱いは行方不明となっており、皇位継承権自体は未だに剥奪されていなかった(ルルーシュとナナリーはデータ上では皇籍剥奪の上で死亡扱い)。
リリーシャよりも皇位継承権が低かった傍系の皇族に関しては始末するかどうか少し考えたが、いくら継承権が低くても皇族として活動していた彼らの地盤は侮りがたい。仮に彼らを放置して無理やり皇帝になっても後々不安定要因になることは目に見えていたので、この機会にまとめて始末したのだ。
「ジェレミア、久しいな」
「はい、ご無事でなりよりです。リリーシャ殿下」
リリーシャはジェレミア・ゴットバルトと接触していた。原作開始前のジェレミアは軍内部に大きな勢力を誇る純血派のトップであり、当然ながらオレンジ事件はまだ発生していないためにまさに絶頂期といえる。リリーシャの計画には取り込んでおくべき人材だ。
リリーシャは元々、このコードギアス世界の介入、より正確にいうなら折角皇族になったのだから皇帝になってこの神聖ブリタニア帝国を思うが儘に動かしたいと思っていた。その障害となりうる存在はすでに排除されているため、今なら容易に皇帝になれる。
「私以外の皇族が死亡したというのは確かか?」
デスノートを使って父親と異母兄弟姉妹たちを抹殺したのはリリーシャであるため、真相を知るものからすれば何を白々しいと思うだろうが、そのことを知るものは監察軍のトリッパーだけであるため、ジェレミアは知るよしもなかった。
「はい、間違いありません。本国では大混乱になっております」
「そうか。では、私が表に出るしかありませんね」
正確にはそうなるように仕向けたのだけど。
「おお、では即位されるのですね」
「ええ。ジェレミア、八年前にアリエス離宮で交わした約束は覚えているかしら?」
「勿論です。リリーシャ殿下、忘れようはずもありません。私はこの時を待っておりました」
「では、ジェレミア・ゴットバルト、この私リリーシャ・ヴィ・ブリタニアの騎士になりなさい」
「Yes,your highness(イエス・ユア・ハイネス)」
ジェレミアは感極まったように喜びながら了承した。ここにリリーシャ皇帝のナイト・オブ・ワンが決まった。
「神聖ブリタニア帝国第三皇女リリーシャ・ヴィ・ブリタニア様、御入来!」
その日、ペンドラゴン皇宮で行われたテレビ中継はブリタニアのみならず各国に人間の注目を浴びた。例の怪死事件によって神聖ブリタニア帝国はもう終わりだという予想を裏切り、行方不明となっていた第三皇女が帰還したというのだ。純ブリタニア人はその情報に安堵したが、EUや中華連邦などのブリタニアに敵対していた国々やブリタニアに占領さえて迫害されているナンバーズたちはこれに大いに落胆した。
しかし、新帝即位という事態でブリタニアがどう変わるのかということも注目を集めていた。それだけにここで意思表示するのは大いに意味がある。
扉が開かれてリリーシャが入場してきた。今のリリーシャの服装は髪の色に合わせた黒を主体としたドレスに身を包んでおり、リリーシャは黒のドレスを愛用した為に、後に黒の女帝と呼ばれることになるのであった。
「ブリタニアの臣民たちよ。私は神聖ブリタニア帝国第三皇女リリーシャ・ヴィ・ブリタニアです。もっとも故マリアンヌ皇妃の娘と名乗ったほうがわかりやすいでしょう」
リリーシャは幼少のころに出奔したため表舞台には全く露出しておらず、帝国宰相だったシュナイゼルやブリタニアの魔女と称されるほどに活躍していたコーネリアのような有名な皇族ではなかった。むしろ一般には全く知られていない無名の皇族だから、第三皇女という肩書よりもマリアンヌの娘と名乗った方がわかりやすいのだ。
「先の怪死事件によりブリタニアの未来に不安を抱いた臣民も多かったでしょうが、ブリタニアには未だこの私が健在であり、何ら不安に思うことはありません。なぜなら、ただいまをもってこの私が神聖ブリタニア帝国第99代皇帝となるからです」
どさくさまぎれに皇帝即位を宣言するが反論する者はいない。というか反論しようがないのだから当然である。
「私の統治は基本的には先帝の方針を継承するものとする」
この宣言に他国の人間やナンバーズたちが失望する。もしかしたら新帝がエリア解放もしくは差別の緩和をやってくれるかもしれないと思っていたが、それはないことはこの宣言で明らかになった。
そう、リリーシャはルルーシュのようにエリア解放などやるつもりはない。というかエリア解放したからといってどうなるというのだ。ブリタニアの経済はエリアを搾取することで成り立っている。いきなりエリア解放をしてしまえばブリタニアの経済が大打撃を受けるのは間違いないだろう。
おまけにエリア解放したからといって元ナンバーズたちと仲良くやっていけるとかいえば不可能としか言いようがない。ブリタニアはあまりにも恨みを買いすぎている。彼らの恨みと被害者意識は相当根深い筈だ。
これでは元エリアが独立しても反ブリタニア国家となるだけでブリタニアの利益にならないばかりが不利益にしかならない。それは日本に恨みを持って反日国家になった前世の韓国や中国を見れば一目瞭然だった。
それならば、下手な綺麗事など言わずに開き直って徹底的にやってしまうべきなのだ。つまり各エリアを完全にブリタニア化することだ。全てのエリアを安定させて、そしてゆくゆくは世界征服してしまえばいい。そう人類を統べる唯一の統一国家となればいいのだ。
解説
■生体強化
天地無用の世界から回収したナノマシンによる人体強化処置。免疫機能などが強化されるが、戦闘用の場合は膂力、反射神経、耐久力など戦闘に関係する分野で著しく強化される。
■ゴッド・ブレス
『BLACK CAT』の世界で猛威を振るった不死のナノマシン(といっても不完全な不死身である)。監察軍では手軽に不老長寿になれることからこれを投与するトリッパーが多い。
■トレーズ
『トリッパー列伝 トレーズ・クシュリナーダ』で登場する転生型トリッパー。転生型トリッパーであるが能力自体は大したことない。とはいえ、そのカリスマは相当なものであり、監察軍総司令官としてアクの強い監察軍本部のトリッパーたちを上手くまとめ上げている。
■デスノート
『DEATH NOTE』の世界で監察軍が入手したアイテム。名前を書いた人間を死なせることができる死神のノート。危険なので本部で厳重に保管されているが、トリッパーであれば監視などの条件付きであるが、一時的に借りて使用することが可能である。
あとがき
デスノートがあればこんなこともできるかなと妄想したためやってみたけど、デスノートはやはりかなりのチートですね。こういう使い方をすれば国を掌握することもできますから(笑)。