エリア11。原作の舞台となったこの地はブラックリベリオンが発生していないにも関わらず矯正エリアに格下げられていた。これはリリーシャが原作知識から、エリア11の平定には原作の行政特区日本のような中途半端な飴を与えるよりも徹底的に鞭を与える方が良いと判断したからだ。ブリタニアにおいては皇帝のこの決定に異を唱える者などいないし、このエリア11は最も反ブリタニアのテロが盛んである為に矯正エリアへの格下げは妥当という意見も多かったのだ。
また、リリーシャは軍部の強硬派で知られるカラレス将軍をエリア11の総督に就任させて徹底的にイレブンを弾圧させた。テロリストが潜伏するゲットーの住民に対しては、テロリストを通報せずに匿うテロ協力者というレッテルを張り、テロリスト諸共ゲットー殲滅を行わせる。キョウト六家をテロ支援者として捕えて処刑するなど、カラレスはリリーシャ皇帝の関心を買おうと張り切ってイレブン弾圧に励んだ。
クロヴィス統治下においては行政の腐敗もあってキョウト六家はうまく立ち回っていたが、カラレス統治下ではそのような腐敗は一層された。カラレスは自らの失態になりかねない腐敗を見逃すことはなかったのだ。キョウト六家が滅びた事でエリア11のテロ組織は支援を絶たれて、更にナリタの日本解放戦線がブリタニア軍に壊滅させられたことでエリア11のテロは急速に弱体化していった。
以前ならばここまで露骨な虐殺を繰り替えてしておればEUや中華連邦などの他国が批判していただろうが、いまやブリタニアを批判するように国家など皆無となっており、まさにやりたい放題であった。その為、ナンバーズたちに取ってシャルル皇帝時代よりもひどい暗黒時代となっていた。
こうなった理由は、リリーシャにとってナンバーズは名誉ブリタニア人にすらなれない(なろうとしない)まつろわぬ民でしかなかったからだ。シャルル皇帝はナンバーズを適当に差別していたのみだったが、増えすぎた人口を減らしておきたいリリーシャは彼らを邪魔者として間引きすることを考えていたために、民族浄化ばりの弾圧となっていた。
ブリタニアへの不平不満をぶつける為に中途半端な抵抗運動をしたイレブンたちは、そのような愚かな行動がどういった結果をもたらすのか嫌というほど思い知ることになった。その為、テロを止める者や巻き添えを恐れてテロリストを密告する者まで現れて、エリア11でテロは急速に収まった。
エリア11では原作通りルルーシュとナナリーがいるが、C.C.と接触できなかった為にルルーシュがゼロになっていないので、クロヴィスのような無能者でなければ叩こうと思えば簡単にできる。
ちなみにエリア11にいたC.C.はカプセルに収納されたままで本国に回収されて、リミッターで威力を最低限に抑えたフレイヤで始末しておいた。別にC.C.単独では害にならないが、新たにギアスユーザーが誕生して帝国に敵対する可能性を考えると、やはり不安要素は排除しておきたかったからだ。
原作の紅月グループ(ナオトが死亡していないため扇グループになっていない)もその他のテログループごと始末されている。また、紅月カレンはリリーシャが即位してすぐに始末した。やり方としてはカレンは原作の一年前から反ブリタニアのテロ活動に参加していたので、情報部を使って裏付け捜査を行った後にシュタットフェルト家を国家反逆罪で粛清しただけだ(シュタットフェルト家当主夫妻とカレンは銃殺刑になった)。シュタットフェルト家にとっては寝耳に水であっただろうが、娘がエリア11で反ブリタニアのテログループに参加していたとあっては言い逃れは不可能であった。
リリーシャとしては反ブリタニア思想を持っているのにブリタニア貴族として活動できるカレンは邪魔だった。原作ではシュタットフェルト家の娘という立場をまったく活用できていなかったが、うまく立ち回ればブリタニアの内憂にもなれたのだ。というか、シュタットフェルト家の娘としてリリーシャに近づいてリリーシャの暗殺を企む危険性すらあった。それを放置するべきではないので、リリーシャは先手を打ってシュタットフェルト家ごとカレンを始末しておいた。
神聖ブリタニア帝国はリリーシャが即位以降、エリア拡大をせずに既存のエリア(特にエリア11)の安定に力を注いできた。
シャルル皇帝はエリアを確保すると足場を固める前に次々に侵略を進めていたが、これは大国ブリタニアでもかなりリスクが高い行動だ。下手をすれば手が回らなくなってエリア支配が破綻する危険もあるから、普通に考えたらエリアを確保したら暫くはそのエリアの安定に力を注ぐべきなので、リリーシャは即位してから三年間も足場固めに集中していた。
しかし、それももう十分であろう。そろそろ世界征服という次の段階に移るべきだ。例の一斉攻撃で壊滅的被害を受けた地域は未だに混乱が収まらずに無政府状態になっていた。これではブリタニアの侵攻を防ぐことなど不可能で、あっという間に征服できるだろう。
ルルーシュside
ルルーシュ・ヴィ・ブリタニアにとってリリーシャは双子の姉ながらよくわからない人間だった。母マリアンヌと瓜二つの容姿を持ち、文武両道に長けた才女であることは知っているが、リリーシャは異母兄弟姉妹たちどころか母を同じくするルルーシュとナナリーに対してさえ一定の距離を保ち本心から付き合おうとしなかったからだ。
それでも大切な家族だと持っていたが、母上が殺害されてすぐに失踪したことで、それが過ちであったことを理解させられた。最初はどうして出奔なんかしたのか理解できなかったが、母を殺した犯人の捜索を打ち切った父に直談判した時に「生きていない。死んでいる」と、存在そのものを否定された上にナナリーともども日本に人質として送り込まれた際に、こうなることがわかっていたからリリーシャは自分たちを見捨てて逃げ出したのだと痛感した。
リリーシャの判断が間違っているとは思わない。確かにあの時の俺は父親を信じていた。だからこそ、直談判をやったわけだが、リリーシャは最初から腹違いの兄弟姉妹だけでなく父親すらも味方とは思っていなかったから、もはや皇宮では生き残れないと判断して生き残りの為に逃げたのだ。
ナナリーを見捨てたのは連れて行っても足手まといになるからで、ルルーシュを見捨てたのはそんなナナリーを見捨てて一緒に逃げることをルルーシュに了承させるのは難しいと判断したか、もしくは身体能力が低いルルーシュ本人すらも足手まといと切り捨てたからだろう。とはいえ、それはわかっていても、やはり実の姉に見捨てられて面白く思うはずもない。
そんなリリーシャに対する複雑な感情を抱えたまま、皇族の怪死事件が発生した。この突然の事態に困惑しているうちにリリーシャが電撃的に神聖ブリタニア帝国第99代皇帝に即位した。これでリリーシャの生存が確認できた。もっとも人質に送られた俺たちですら生き残れたのだから、あれほど狡猾で生き残ることに貪欲なリリーシャがそう簡単に死ぬわけがないと思っていたので、これも当然だろう。
そんなリリーシャは俺たちと違って皇位継承権を失っていなかったために最後の皇族として皇帝になれたわけであるが、そんなリリーシャを匿い皇帝に押し上げたジェレミア・ゴットバルトは現在では忠臣として持ち上げられていた(リリーシャは監察軍のことを隠匿するために一般にはジェレミアがリリーシャを匿っていたことにしていた)。
しかし、アッシュフォード家としてはこれは寝耳に水な話であった。リリーシャがヴィ家唯一の後援貴族だったアッシュフォード家を無視して、何の関係もなかったゴットバルト家を頼った事自体がかなりの非常識だったのだ。
そもそもアッシュフォード家はルルーシュとナナリーを匿っていたが、それは慈善事業ではない。没落したアッシュフォード家が起死回生の賭けとしてルルーシュを皇族として押し上げて自分たちの家を盛り立てようとしたにすぎない。それでも同じヴィ家の皇族を匿ったジェレミアはナイト・オブ・ワンに抜擢されてリリーシャ皇帝の治世において大いに権勢を強めているにも関わらず、アッシュフォード家は相変わらず没落したままの状態なのだ。元より分が悪い賭けだったとはいえ、これではババを引かされたようなものであった。
当主ルーベンは兎も角その息子夫婦はこの状況に耐えかねて、リリーシャにルルーシュとナナリーを売りとばしたが、それは呆気なく蹴られてしまった。というのも、リリーシャにとって二人は皇族に復帰させる価値のない者だったからだ。
ナナリーは目が見えず足も動かないという重度の障害を負っており、弱肉強食が国是のブリタニアにとって非常にわかりやすい弱者だ。おまけにそんな障害をも補える程の優れた能力があるかといえばそうではなく、むしろルルーシュが汚いものを見せないように甘やかせて育てたせいで皇族として致命的に適性がなかった。はっきり言っていくら皇族でもそんなナナリーに敬意を持つ臣民はそう多くないだろう。それを考慮すればいくら皇族が激減してしまったとはいえナナリーを皇族に復帰させるのはブリタニア皇室の恥にしかならない。
ルルーシュは能力に問題はないが、先帝時代に自ら皇籍を破棄した過去がある上にブリタニアに強い恨みを抱いており、例え皇族にしても不穏分子になる恐れがある為に皇族に復帰させることはできない。
このリリーシャの厳しい指摘を受けたアッシュフォード夫妻はルルーシュとナナリーを使ってアッシュフォード家を再興させることができない、と判断した。その為、夫妻は娘のミレイとロイド・アスプルンド 伯爵を結婚させる事で家を再興しようとしてミレイとロイドの婚約を成立させたが、ミレイがルルーシュの子供を妊娠してしまったことでそれが頓挫しただけでなく、アッシュフォード家は大いに揉めることになった。
これは、ミレイの望みであったとはいえ俺に大きな非があることは言うまでもない。切羽詰まった俺は責任を取る為とアッシュフォード家に恩を返すためにリリーシャに頭を下げて皇族に復帰させてもらった。リリーシャとしては俺が心を入れ替えてブリタニアに尽くすのであれば、俺を皇族に復帰させてもよかったのだろう。プライドを捨てて頭を下げてきた俺を意外そうに見ていたが、あっさりと皇族復帰を許した。
こうして、皇族に復帰した俺はミレイと結婚して、アッシュフォード家を再興した。更にミレイとの間に生まれた長男も皇位継承権を与えられて皇族として認められることになった。