※それとまどマギ10周年おめでとうございます!!
3
「私が…魔法少女に?」
『そうだ。キミが魔法少女になればこの状況を打破できるし、暁美ほむらやマミと一緒に魔女と戦うことだって可能になる』
キュゥべえの提案にまどかは揺らいでいた。
何の取り柄もなくてただ誰かに迷惑をかけるだけの人生。彼女はそれがたまらなく嫌だった。
誰かの役に立ちたい、しかしどうすれば良いか自分では全く分からない。
そう思っていた時、まどかはあの場所で答えを見つけた。
使い魔との戦いで傷つき倒れたほむらを見て。彼女から魔法少女の世界を知って。
魔女によって苦しめられている人達を助けようと。
孤独に命懸けの戦いを続けていた友達を助けようと。
それが誰かの為に今の自分が出来る精一杯のことだと。
だが魔法少女になることがどれほど危険で、どれほどほむらを悲しませるのかも知っていた。
『あなたは…今まで、何を聞いていたの……?! 魔法少女になってしまったら、二度と元の生活に戻れないのよ!』
『で、でも!』
『でもじゃない!! もし魔女との戦いであなたの身に何かあったらどうするの?!
残されたあなたのことを大切に思っている人達はどうなるの?!』
ほむらと出会った日の翌日、ほむらの自宅で魔法少女についての話を聞いていた時に起きたやり取りだった。
あの時の必死の叫びと今にも泣きだしそうな顔は今でも鮮明に残っている。
だからこそまどかは迷っていた。
ほむらを守るために契約を行うか、ほむらとの約束を守るために契約を拒否するか。
『……それに魔法少女になることでキミ達が危惧していたまどかの身体に対しての負荷も一気に減らすことができる。
魔女との戦闘をするにおいてキミ達魔法少女に最適な環境を与える、それがボクの役目でもあるからね』
「でも私は……」
『確かにこの選択はキミにとって大きな分岐点となる。けどその選択を待ってくれるほど世の中は甘くはない。早く決断をしないと取り返しのつかないことになるかもしれない』
「…………ッ!!」
「まどか……」
焦燥に駆られる親友の姿にさやかはただ見ていることしか出来なかった。
まどかがキュゥべえに選択を迫られていると同時に、彼女も彼女自身でずっと悩んでいたからだ。
「キュゥべえ、わたしは……ッ!」
悩みに悩んだ末にまどかが答えを言おうとしたその瞬間。
『雖後□縺ゅ≠縺ゅ≠縺ゅ≠縺ゅ≠縺ゅ≠!!!』
背後で魔女の断末魔と共に巨大な爆音が結界全体に轟いた。そして爆風の中から満身創痍のほむらが出てきてまどかにこう言った。
「その必要は……ない…わ」
まどかがキュゥべえと契約すべきか悩んでいた頃、私は魔女との戦闘を行いながらその状況を察していた。
彼女はいつだってそうだった。
目の前で苦しんでいる人がいたら自らを犠牲にしてでもキュゥべえと契約をし、その人を救っていた。
美樹さやか、巴マミ、その他の親しい人達。時間軸によって対象は変わっていった。
じゃあ今のまどかが契約のために天秤にかけられている人は誰…?
そんなものはもうとっくに分かっている。
『私』だ。私のせいで彼女は契約をするべきか悩んでいるんだ。
契約をしたら私との変身で生じる疲労のリスクもなくなり、私や美樹さやかに心配されることなく魔女退治に専念することが可能になる。
一見したら今抱えている問題全てを解決させたれる素晴らしい手段だ。
でもそれをしてしまったら……
『キュゥべえに騙される前のバカな私を、助けてあげてくれないかな?』
私はまた彼女との約束を守れなくなる。
ならばどうすればいい? どうすれば契約するのをやめてくれる?
答えは簡単。まどかが契約する理由をなくせばいい。
根源である私が何とかすれば問題は解決される。その為に私は……
『遘√?蜑阪°繧画カ医∴繧』
突然相手をしていた使い魔が咆哮してこちらへと襲い掛かってきた。
その動きを捉えた私は魔女の攻撃をギリギリのところで回避し、盾の中に右腕を突っ込みながらすかさず魔女の懐へと潜り込んだ。
『縺医▲?』
「暁美さん?! 一体何を……?!」
突然の行動にマミと魔女、両方が驚きをあらわにする。
本当はこんなことしたくはないけども、私が今出来るのは…!
盾から自作の爆弾を取り出して、それを魔女本体がいる鳥かごへ腕ごと突っ込む。そして__
『雖後□縺ゅ≠縺ゅ≠縺ゅ≠縺ゅ≠縺ゅ≠!!!』
爆音と共に凄まじい悲鳴をあげながら魔女は四散し、跡形もなく消滅した。
4
「ゲホッ…ゲホッ…! 何この煙?! 何も見えない…」
「美樹さん、大丈夫?!」
「だ、だいじょ…少し煙が目にしみるだけです」
「なら少しの間、目を閉じてて」
そう言ってマミはリボンを手に取り、頭上で大きく回して風で煙を吹き飛ばした。
「もう大丈夫よ」
「あ、ありがとうございます」
礼を言おうと目を開けるさやか、そんな彼女の視界に衝撃的なものが映った。
それは満身創痍で倒れているほむらだった。
「転校生……」
「彼女のお蔭で魔女は倒せたけどもビックリしたわ。まさかあんな強引な方法をするなんて」
「マミさん…ほむらちゃん大丈夫ですよね?」
「心配しなくても命には別状ないわ。ただ爆発をすぐ近くで受けたせいで負傷が酷いわね。
多少の傷は治せるけども全快までは難しいかも」
困った様子を見せながらも少しでも回復させられるようにほむらの治療を行う。
まどかとさやかはその様を固唾を飲んで見守る。
そして____
「うっ……」
「ほむらちゃん!」
「ちょ…まどか、急に抱き着かないで……」
「だって凄く心配したんだもん! ほむらちゃん、またあの時みたいに傷だらけになって私…私……」
「ごめんなさい。でも早急に魔女を倒す為にはああするしかなかったの」
「早急に…って、どうして…?」
その問いかけに対してほむらはすぐには答えず、ただじっとまどかの目を見つめていた。
やがて胸の内で覚悟を決めたほむらは大きく息を吸って告げた。
「あなた、キュゥべえと契約をするつもりだったでしょう」
「それは…!!」
咄嗟に否定しようとしたが魔女を撃破後のほむらを思い出して言葉を呑む。
そして小さく頷いた。
「うん……」
「そう…やっぱり、あなたはそうするのよね……」
悲しげな顔をしながら俯くほむら。
まどかはそれを見て胸を痛めるがそれでも一歩ほむらの元へと歩を進めた。
きっとまたあの時のように強く怒られてしまう。
だけども逃げずに話を聞いて今度はしっかりと私の気持ちを伝えよう。
そして私もほむらちゃんやマミさんと一緒に___
「ならあなたとの関係はここまでよ。鹿目まどか」
「え?」
突然の出来事で頭の中が真っ白になる。
関係はここまでって? それに私のことをフルネームで…?
呆然とするまどかを一瞥し、同じく状況を呑み込めていないマミに対してこう告げる。
「私の実力はこの通りよ。今回は事情があってあんな戦い方をしてしまったけども次はない。
また機会があれば会いましょう? 巴マミ」
「え、あ……」
まともな返答がされる前にほむらは彼女達に背を向けて結界の外へ行ってしまった。
離れていく友の後ろ姿に対してまどかは何も行動を起こせず、ただ見ていることしか出来なかった。
☆See you!! Next story……★
次回、第13話 夢想に耽って①