マギカ☆クロニクル   作:サキナデッタ

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※"ワルプルギスの廻天"続報、いつになるかなー。楽しみで仕方ないです(*'ω'*)



第16話 現を顧みて①

鹿目まどかは夢を見ていた。それは今からそう遠くない過去…彼女の運命を大きく変えた日の出来事、在りし日の思い出を___

 

 

 1

 

 

『鹿…まどか、君には……を変え…れるだ……力が…る』

 

『まどか、ソイツの…葉に耳を………ちゃダメ!!』

 

 

 耳元で誰かの呼ぶ声が聞こえる。どちらも聞き覚えがない声だ……

 

 目を開けて、姿を確認しようとしたけども何故か靄がかかって見ることが出来ない。

 

 

「誰……誰なの?」

 

『騙さ……いで、……ツの思…壺よ!!』

 

『僕と契約…て魔……女になっ…よ!』

 

「ねぇ! あなた達は……」

 

 

 ちゃんとした返事は返ってこない。わたしの声が届いているのかは分からない。

 ただ分かることと言えば、二人ともまるでわたしに何かを呼び掛けているような感じだ。 

 

 

『ダメェェェェェ!!!』

 

 

 片方の声…女の子の悲鳴に近い叫びが聞こえる。

 

 その瞬間、頭の中に何かの映像が流れ込んできた。

 

 黒髪で、綺麗な顔だち、キリッとした目付きに不思議な服を着た…あの子、あの子の名前は……

 

 

「___ちゃん!!」

 

 

 無意識の内に出したのは、誰かの名前だった。

 だけど、その名前がハッキリと出てこない。

 

 

 

 その名前をもう一度出そうと、口を動かそうとした時だった__

 

 

 

 ジリリリリリ!!! 

 

 

 

「ふぇっ?!」

 

 目覚まし時計がけたましく鳴り響く。その音でまどかは奇妙な声を出しながら目を覚ました。 

 慌てて辺りを見渡す。そこは先程まで見ていた景色とは違う、普段と何も変わりない自室だった。

 

「……夢オチぃ~?」

 

 こてん。と首を傾げるまどか。

 

 これまでの十数年の人生で一度も見たこともないような不思議な体験をしていた気がする。

 それが一体どのようなものなのかは上手く言葉に表すことはできない。ただ言えるのは『不思議』、その一言だった。

 

 だけどもその中で一つだけ彼女に分かるものがあった。それは自分の夢の中に出てきた同じ年頃の女の子、自分と同じ人間がいたということ。

 しかしその少女に見覚えは全くない。どうしてそんな子が夢に出てきたのか……

 

「誰だったんだろう、あの子……」

 

 疑問が思わず声に出る。

 その後少しの間、考えたが何も心当たりが浮かばなかったのでまどかはゆっくりと布団から出ることにした。

 

 

 

 それからまどかは制服に着替えて、下のリビングへと降りて行く。

 リビングでは彼女の父親の鹿目知久と弟の鹿目タツヤがいた。

 

「おはよー。パパ、タツヤ」

 

「おはよう、まどか」

 

「ねーちゃ! おはよ~」

 

「ママは?」

 

「まだ寝てるみたいだね。まどか、いつものようにお願い出来るかい?」

 

「はーい」

 

 知久にお願いされてまどかは母、詢子が寝ている寝室へと赴く。

 

 

 

 バンッ!!

 

 

 

「Zzz……」

 

 寝室のドアを勢いよく開ける。しかし詢子は起きる素振りを全く見せずにそのまま眠っていた。

 まどかはそのことを気にせずにスタスタとカーテンに近づき、ドアと同じように思いっきり開ける。

 

「うぅん……」

 

 日の光が寝室に差し込んできて、詢子はうなされながら布団をかぶろうとする。

 だがまどかはそれを許さず__ 

 

「おっきろーーー!!!」

 

 一気に布団を引っぺがし、太陽の光の元にさらした。

 

「うぇあああ!!」

 

 詢子はベッドの上で悶え出したが、しばらくするとそれを止めて周りをキョロキョロと見渡した。

 

「……あり?」

 

「おはよう、ママ」

 

 寝ぼけ半分の詢子にまどかは笑顔で挨拶した。

 

 これが鹿目家の朝の習慣なのである。

 

 

 支度を全部済ませた後、まどかは家族と共に朝食を取っていた。

 すると知久がまどかにこんなことを聞いてきた。

 

「まどか。さっき起きてくる前に何か大きな声で喋っていたような気がしたけど、何かあったのかい?」

 

「えぇっと、たぶんそれ……寝言だと、思う」

 

「寝言?」

 

「うん…ちょっと変な夢見ちゃったから……」

 

「へぇー、どんな夢だい?」

 

 大きい声で寝言を言っていたことに恥ずかしく思っていると詢子が興味深そうに夢について尋ねてくる。 

 

「よく覚えていないんだけどね……

 目を瞑っていたら声が二つ聞こえてきて、わたしに何かを呼び掛けているの……

 片方が凄い声で叫んでいて…もう一つが……」

 

 不確かな記憶を必死に呼び起こそうとする。そして一ワードだけ思い出した。

 

「……魔法少女に、ならないかって言っていた…気がした」

 

「へぇー」

 

「ほぉーん」

 

「ねーちゃ、まほーつかい?」

 

 まどかの言葉に三人はそれぞれ反応を見せる。

 

「あ、あはは……へ、変な夢だよね……」

 

 

 

「確かに不思議な夢だったね」

 

「まっ、いいじゃんか。まどかくらいの歳だったらそういう夢くらい見るって」

 

「まほーつかい、かっこいいー」

 

 詢子と知久はうんうんと頷いている中、まどかは恥ずかしそうに俯いていた。

 そんな様子を見て、詢子はまどかの肩に優しく手を置いた。

 

「なーに、恥ずかしがることないってこの年頃の子はな、みーんな似たようなことがあるさ」

 

「そうなの……?」 

 

「そっ、子どもは夢を見る生き物だからね。だからそういう経験が出来たまどかはラッキーだってことさ」

 

「夢を見る……じゃあ大人はどうなの?」

 

「んー、そうだねぇー」

 

「夢を叶えることが出来る生き物、じゃないかな?」

 

 知久がフォローを入れると、まどかはなるほどと頷く。

 それに詢子が付け加えて言った。

 

「確かにそうかもしれないけど、大人になるにつれて厳しい現実だって知っていくことになる。だから夢を叶えると言っても、必ずしも自分の理想通りになるわけじゃないからな。それだけはしっかりと覚えておきな」 

 

「はーい!」

 

「……ってなんでこんな話になったんだろ?

 

「ま、いっか。そう言えば前に話していた仁美ちゃんのラブレターの件、どうなったんだ」

 

「それがね…あれから更にもう一通ラブレターが届いたんだって」

 

「へぇーそれは凄いね」

 

「ふっ……」

 

 感心する知久に対し、詢子は鼻で笑ってみせる。

 

「直に告白できないような奴がラブレターなんか書くなっての

 

「あはは…相変わらず厳しいね。ママ」

 

「当然さ。まだ中学生には先の話だけども、将来のパートナーってのはしっかりと選ばなくちゃいけないからな。相手がしっかりとした人じゃないと苦労するのは自分だからね」

 

「そのパートナーってどういう人を選べばいいのかな?」

 

「一緒にいて心が安らぐような人、自分のことを大切に想ってくれる人、その人のことを本気で大事にしたい。後は…その人と一緒にこれからもずっと生きていきたい。そういう人だな」

 

「ママにとってのパートナーはパパなんだね」

 

「勿論さ、パートナー選びにはその人への愛も大事になるんだからな」

 

「そうそう。それがあるからパパはママと結ばれたんだからね」

 

 二人はそう言って笑い合う。その様子にまどかは羨ましそうに眺めていた。 

 

「いいなぁ……わたしも早く出会いたいな~。そんなパートナーに」

 

「おっ、まどかからそんなセリフが聞けるなんてアンタも成長したねぇー」

 

「か、からかわないでよ…」

 

「運命の王子様がどんな人なのか、分かったら真っ先に紹介しなよ」

 

「にゅぅ……」

 

「大丈夫。まどかにもきっと良い人が見つかるよ」

 

「そうそう自信持ちなよ。まずはそこからだ」

 

「……そうだね!」

 

今朝、詢子から貰った新しいピンクのリボンを見ながらまどかは笑顔になる。

自分の両親のように、大事に想いあえるような人といつか出会えることを祈りながら……

 

 

2

 

 

そうした家族との朝のやり取りを終えた後、まどかはいつも通り家を出て親友のさやかと仁美の待つ通学路へと赴いた。

いつもの挨拶。いつものやり取り。いつもの日常。

何の事件も起きない平凡な毎日、それがいつまでもずっと続くものだとこの時のまどかは信じていた。

しかしそんな少女の思い描く未来はあっさりと崩れ去った。

 

そうだった。その日の夕方に私はほむらちゃんと出会って、たくさんお話をして、それから……

 

『ふ、ふへぇ……』

 

『ううん……』

 

『ほむらちゃん!!』

 

『まどか…? 私…元の体に……』

 

『ほむらちゃん…だ、大丈夫?』

 

『心配には及ばないわ』

 

『そっか…良かったぁ~ほむらちゃんが無事で』

 

『今日はひとまず家に戻りなさい」

 

『でも……』

 

『明日、あなたの学校が終わった後にしっかりと話してあげる』

 

『…………』

 

『家に帰る道は大丈夫よね』

 

『うん、ちゃんと帰れるよ』 

 

『それじゃ……』

 

『あっ、待ってほむらちゃん!!』

 

『何?』

 

『明日、どこで待ち合わせすればいいの?』 

 

『向こうの通りある総合病院の一階の受付で待ってて。昼過ぎに検査も終わって、退院も出来るから』

 

『分かったよ。じゃあバイバイ、ほむらちゃん』

 

『また明日ね、まどか』

 

いろんなことがたくさん起こって混乱しながらもその日はほむらちゃんと別れたんだっけ

そしてその夜にほむらちゃんのことを考えて、何だかとっても懐かしい気持ちになって……

また明日会えるのが楽しみでしょうがなかったんだったよね

 

『夢の中で会った、ような…。なんてこと聞いちゃったら変な子だって思われちゃうかな? えへへ…』

 

そうだった。この時はもっと仲良くなりたいって思ってたんだよね。

ほんのちょっと前のことだったのに遠い昔のことのように思えちゃうよ……

 

身体の感覚はないはずなのに、目から涙が溢れ、頬を伝うのが分かった。

だけどもまどかはどうすることも出来なかった。

真っ暗闇の中でただひたすらに一人の友を想う。今出来るのはそれだけだった。

 

 

 

 

 





次回、第17話 現を顧みて②

※"見滝原の魔法少女達"から続いてた完全オリジナルとは違って、今回は旧作の内容が多く含んだ回でした。次回も似た感じになるとは思うので書く時間があれば一気に仕上げて投稿できると思うのですこーしだけ期待してお待ちください。
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