マギカ☆クロニクル   作:サキナデッタ

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※お久しぶりです(´・ω・`)
※リメイクから追加したオリジナルの話だったので構成とか練ってて時間がかかりました。



第8話 見滝原の魔法少女達②

4

 

 

 魔女との戦闘を終えて、私達は美樹さやかの待つ結界の外へと向かっていた。

 時間はかかったもの、まどかの体に怪我をさせることなく勝利できて一安心……と言いたいところだけども、私には一つ不安なことがあった。

 

『まどか、今の戦いのことだけども』

 

「ご、ごめんね。ちょっと油断しちゃって…次からは気をつけるから」

 

『戦いに細心の注意を払うことは何よりよ。でも私が話すことはそうじゃないの』

 

「何…かな?」

 

『無理してたでしょ』

 

「…………」

 

『あの時、受けた攻撃が使い魔の放った土砂だったからダメージは少なかったけども魔女との戦いは命懸け。ほんの一瞬の油断で命を落としてしまうの』

 

「じゃあ、どうすればよかったの?」

 

『あなたはあの戦いの場から退くべきだったわ』

 

「それって魔女をそのままにしておくってことだよね…? ダメだよ! 魔女を放っておいたらさっきの人みたいにまた被害に遭う人が出るかもしれないんだよ?!」

 

『確かにそうかもしれない。でもよく覚えていて、戦いにおいて最も大事なのは自分の身の回りの状況を把握することよ。それを疎かにしてしまって犯してしまった過ちは、あなただけではなくあなたの大切な人達をも苦しめることになる』

 

「……うん」

 

『分かってくれたのなら嬉しい』

 

 満足気に話し終えると、辺りの空間が徐々に歪んでいき、見慣れた景色が現れたことに気づく。どうやら結界が完全になくなったようね。

 外はまだ明るかったが、さっきと比べると日がだいぶ落ちてきていた。

 

「これで…終わったんだよね?」

 

『今日の戦いは、ね。何にせよお疲れ様、もう変身を解いても大丈夫よ』

 

「分かったよ。すぐに元の体に戻してあげるからちょっと待っててね」

 

 そう言ってまどかが指輪型になっている私のソウルジェムを指から外す。それと共に私の意識もふっと消えていった。

 

 

 目を覚ますと、まどかと美樹さやかの二人が私の顔を覗き込んでいた。

 

「目を覚ましたみたいだね、転校生」

 

「ええ…今回も私の体を見ていてくれてありがとう、美樹さやか」

 

「まあ、あたしにはこれくらいのことしか出来ないし」

 

「う、う…ん……」

 

「ねぇ、さっきの女の人も目を覚ましたみたいだよ」

 

 まどかに言われて振り向いてみると、ぼんやりとした様子で辺りを見回す女性の姿があった。

 

「あれ…? 私…何で……? どうしてあんなことを……!!」

 

 意識を失う前にしようとしていたことの恐ろしさを思い出した女性は顔を真っ青にしながらその場に膝をつく。

 この人はこれまでの時間軸でも魔女に魅入られて、この場所で自殺を図ろうとしていた。普段は"あの人"が彼女を助けていたけども、過去に何度か私もこの人を助けたことがある。

 魔女の糧にした方が本当はいいのかもしれない。でも私は救える命は可能な限り救いたい……私の憧れていた人達がしてたのと同じように。

 

 私は泣いている女性の元に近づいて、そっと手を握った。

 

「大丈夫…あなたは怖い夢を見ていただけ……もう大丈夫……」

 

「ぐすっ……うっ…ううっ……」

 

 良かった。この時間軸でもこの人を助けることが出来た。

 こんな小さなこと運命を変えるには何の役にも立たないのかもしれない、後悔しないための自己満足かもしれない。それでも私は……

 

「…………」

 

「何にせよこれで一件落着だねっ」

 

「…………」

 

「まどか? どうかした?」

 

「えっ? ううん何でもないよ!」

 

「まどか、アンタ____」

 

「ううん…私は____」

 

 離れたところで二人が何か話しているみたいだけども、特に気にすることではないでしょう。

 しばらくは女性を慰めるためにこの状態を続けたけども、やがて彼女は落ち着きを取り戻して私達に礼を言って立ち去って行った。

 

「さてと! じゃあ魔女退治も終わったし今日のパトロールはこれくらいにしますかぁ!」

 

「そうね。もう魔女の反応もしなくなったし引き上げましょうか」

 

「うん! あっ、そういえばさやかちゃんお昼に放課後どこかに行くって話してなかった?」

 

「ん……? あー!! 恭介の見舞いに行くの忘れてたー!!」

 

「面会の時間まで、そんなに時間ないわよ」

 

「やっばーい! 今日こそはちゃんと行くよって伝えたのに!!」

 

「さやかちゃん。急がないと!」

 

「分かってるって! あっ…その前に転校生!!」

 

「何?」

 

 美樹さやかに手招きをされて近づくと、耳打ちでこう囁いた。

 

〈まどかのヤツ、かなり疲れてるから今日はどこも連れまわさないで真っすぐ家に帰らせてよ〉

 

〈言われなくてもそうするつもりよ〉

 

「二人とも何を話してるの?」

 

「何でもないよ! ちょっとした小話」

 

「美樹さやかの言う通りよ。あなたもこんな所で油売ってないで、さっさと彼氏の元へ行ってあげなさい」

 

「か、彼…ってアイツとはそういう関係じゃないって……」

 

「はいはい。早くしないと今日も会えなくなるわよ」

 

「明日覚えてろよー、それじゃ!」

 

 そう言いながら美樹さやかは全力で上條恭介のいる病院へと向かっていった。

 

「私達も帰ろっか。ほむらちゃん」

 

「ええ、そうしましょう」

 

5

 

「ヤバいヤバい! 急がないと面会の時間終わっちゃう!」

 

 病院へと急行するさやかだったが、幸運にも辺りには人が少なく、周りを気にしないで全力で突っ走ることが出来た。

 

「この調子ならギリギリ間に合いそう! ……ん?」

 

 だが人通りが少なかった故に、すれ違う通行人の不自然な挙動が余計に目に留まった。

 一見するとさやかと同じ歳くらいの女の子だろうか。その子は両腕を下にダランと垂らして俯いた状態でフラフラと、とても危なっかしい歩き方をしていた。

 

「…………」

 

 以前までのさやかなら特に気にすることなく、上條恭介のいる病院に向かっていた。しかし今の彼女は違っていた。そこはかとない違和感を拭いきれずにいたのだ。

 さやかは思い切って少女の前に回り込み、下から顔を覗きこんでみた。

 

「ちょっと…大丈夫? ねぇ、ねぇってば!」

 

「…………」

 

 少女の反応はなく、さやかにぶつかっても歩みを止めようとはしなかった。いよいよ少女が普通ではないと察したさやかは、彼女から一旦離れてもう少し様子を見ることを決めた。

 

(ごめん恭介…! でも魔女に操られているかもしれない人を黙って見過ごすわけにはいかないの!)

 

 

 後をつけて数分後、少女は薄暗い裏路地へと足を踏み入れようとしていた。

 それを見て、さやかは彼女が魔女の口づけを受けて操られていると確信する。

 

(すぐにまどか達に連絡しないと!)

 

 携帯を開いて、まどかの番号へと通話しようとする。だがそのまままどかに電話をすることはなく、ほむらの方に電話をすることにした。

 そして操作を終えて、顔を上げるとさやかはあることに気が付く。

 

「あれ…? さっきの子、どこに行ったの?」

 

 

 ピリリ……と突然私の携帯が鳴りだした。画面を開いて相手を確認してみると美樹さやかからの着信だった。

 まだ何か話すことでもあったのだろうかと思いながら、通話ボタンを押す。すると電話の向こう側から何やら慌てた様子の彼女の声が聞こえてきた。

 

「もしもし?」

 

『て、転校生! ま、魔女が…魔女の結界が!』

 

「なんですって?!」

 

 予想外の言葉に驚いて思わず声が出てしまう。急に大声を出してしまったせいで隣にいるまどかも目が点になっていた。

 

「ほ、ほむらちゃん? ど、どうしたの?」

 

「いや…その……」

 

『女の子を追いかけていたら、気づいたら目の前に結界があって! そしたらその子もいなくなって!』

 

「待って美樹さやか。落ち着いて状況を説明して頂戴」

 

『使い魔と追いかけっこしてる真っ最中なのに落ち着いてられないっつーの!』

 

「使い魔?! 今あなた使い魔って言ったの?!!」

 

『だから__うわあああああ!!!』

 

 彼女の叫び声が聞こえた直後、カシャンと何かが落ちる音がして通話が強制的に切られてしまう。

 何かの拍子に携帯を落としてしまったのだろうか、それとも追われていた使い魔に……

 

「ほむらちゃん…一体何があったの? さやかちゃんどうしちゃったの?!」

 

「…………」

 

 本当なら疲弊しきってるまどかを連れて美樹さやかを救いに行くべきではない。でも事情を伝えたとしても彼女は「うん。わかった」と応じて帰るような子ではない、自分がどんな状態でも必ず親友を助けに行くだろう。

 それに今の魔力が著しく低下している私一人では、美樹さやかを救うどころか使い魔と戦って倒すことすら厳しい。

 だとしたら私が取るべき行動は……!

 

「美樹さやかが使い魔に襲われている。急いで助けに向かうわよ」

 

「えっ?! だって魔女はさっき……」

 

「別の魔女が現れたのよ、グズグズしてたらきっと取り返しのつかないことになる…まどか走れる?」

 

「う、うん…大丈夫……」

 

「そう。それなら私の後に付いてきて!」

 

 ソウルジェムを取り出して魔女の位置を探りながら走り出す。

 反応は確かにあった。でもさっきまでは何の反応も示していなかったのに……突然孵化をした? いや、こんなことこれまでの時間軸では一度も起こらなかった。そもそもこんなに魔女が短期間で大量発生することも。

 

 一体この時間軸で何が起きてるの…? もしかして私の異変にも何か関係が…?

 

 今私の胸の中ではイレギュラーに対する困惑、そして後ろから息を切らしながら追いかけてきているまどかに対する罪悪感の二つがごちゃ混ぜになっていた。

 

 

 

 数分後、魔女の反応があった場所に辿り着いた私達はそこであるものを発見した。それは美樹さやかの携帯で壊れた状態で結界の前に落ちていた。

 

 状況から察するにきっと私に電話している最中に結界に呑み込まれてしまい、その拍子に携帯を落としたのね。それで通話も途中で切れてしまった……と。

 

「ほむらちゃん! 早く変身してさやかちゃんを助けに行かないと!」

 

「そうね。でもまどか、あなたはさっきの戦いでかなり体力を消耗しているはず…だから無理に戦わずに美樹さやかの救出を最優先で動いて頂戴」

 

「うん……それじゃ行こう!」

 

「『変身!!!』」

 

 

 こうして結界の中へと突入して行って、何とか使い魔達の猛攻を避けながら美樹さやかを救出した私達だったが……最悪の状況に陥ってしまった。

 

『完全に逃げ道を塞がれてしまったわね……』

 

「はあっ…! はぁっ…! はぁっ!」

 

「もう無茶しないで、まどか!! 転校生、あれほど連れまわさないっでって言ったのに!!」

 

『今はそんなことを言ってる場合ではないわ…どうにかしてこの状況を打破しないと……』

 

 まどかの体力は限界。

 私の体は結界の外にあって、自分の意志で戻ることも変身することも出来ない。

 

 危機を回避するための策を考えていたが、そんな時間を与えまいとするかのように、私達を取り囲んでいた使い魔達が一斉に襲い掛かってきた。あまりの絶望的な光景に私は目を瞑ってしまった。

 

 

 けど、いつまで経っても使い魔達が私達に攻撃することはなかった。ドギュン!! と連続して銃を撃つ音が結界内に響き渡る。

 

「まさか!」と思い、目を開けると、そこには……

 

「危なかったわね。でももう大丈夫」

 

 見滝原のベテラン魔法少女。巴マミが私達の前に立っていた。

 

 

☆ See you!! Next Story…… ★




次回、第9話 見滝原の魔法少女達③
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