やはり俺の学校生活はおくれている。   作:y-chan

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夏休み編第1話

小町との絡みを結構多くしています。
お楽しみ頂けると幸いです。


#21-1

 夏休み、それは日々勉学に励む毎日を過ごしていた学生達のサンクチュアリ。

 ある者にとって1日誰とも会わずに家でクーラーにあたり惰眠を貪り、起きたら適当に平積みされているラノベを読み進め、適当に時間を過ごす。ひたすらにページをめくる手が止まらない。なにこれおもしろい。

 どこかの意識高い系が聞いたら消費活動しかやっていないとか非効率とかいってきそうだが知ったことではない。

 

 俺たちは学生であり生産性や効率とやらを高めるとか仕事とか締切とかそんなものにはまだ無関係でいたいのだ。どうせあと6、7年もすれば嫌でも45年の社畜生活が訪れるのだから。だからこそ俺は今のうちにダラダラ貯めをするのだ。ダラダラ貯めってなんだ? ダラダラって貯められるのか? 貯められたらノーベル賞貰えそうだな。なんに使えるか分かんねぇけど。

 

 そんなどうでもいい事を考えていたら部屋の外からドッタドタと階段を登る音が聞こえてきた。多分後数秒ぐらいで勢いよく俺の部屋のドアを開けるだろうと思い俺は上体を起こす。

 

 予想通り、小町は俺の部屋にノックもせずに入ってきた。

 

「おにぃちゃん〜、ゲームしよ〜」

 

 開口一番そんな魅力的な提案を出してきたが、大体こいつがゲームって言ったら罰ゲームがついてくるのである。

 

 多分アイスとかお菓子とか欲しくなって買いに行かせる口実を作りたかったのだろう。

 

「おぅ、いいぞ」

 

 まぁちょうど読書の最中につまめる何かが欲しかったところだ。

 その提案に乗ってやろう。

 

 そして俺たちはリビングへと移動し小町がゲームを起動させる。

 俺は小町がコントローラーを持ってきてくれるとふんでソファーに腰掛ける。

 

「それじゃ、なにやる? ドカポン?」

 

 ちょっと小町ちゃん? お兄ちゃんとの絆破壊でもする気なのかな?

 

「いや普通にマリカーでよくね?」

 

「そっかー、分かった」

 

 そうしてマリカーの設置をした小町はコントローラを持ち俺の所にやってきた。

 

「よいしょー」

 

「……おい」

 

 小町が腰掛けた所は俺の股下だった。

 大股開きにしてとりあえず座りやすくはしてやる。

 

 小町ちゃん? 何をしてるのかな? コントローラー持てねぇんだけど……

 

「おい、コントローラー持てねぇし見えねぇよ」

 

「こーやって持てばいいじゃん」

 

 そうして小町のお腹辺りに俺の手を回してコントローラーを掴ませる。なんかよく分からない構図ができあがってしまった。

 

「なんかコックピットみたいになっちゃったね」

 

「とうとうお兄ちゃんは物質になっちゃったよ」

 

 ELSと融合してメタル八幡になっちゃうよ。

 俺が……ガンダムだ!

 

 ってか、コントローラー問題は解決したが視界の問題が……

 

 とりあえず小町の肩に顎を乗せ視界の確保を図る。

 

「ちょっ、おにぃちゃん。重い、あと何気に痛い」

 

「お前が俺をコックピットにしなきゃこうはならなかった。我慢しろ」

 

 そう言って横目で小町を見る。小町も横目で俺を見てる。

 風呂入った? なんか少し赤いぞ?

 

「んふふ〜」

 

「ちょっ!? なんだよ」

 

 いきなり頬擦りして来やがった。ヤメロよシスコンと思われるだろうが。

 ……しまった、シスコンだったわ。

 

「なんでも〜、ほらおにぃちゃん。勝負だっ!」

 

「望むところだ」

 

 こうしてマリカー3本勝負が始まった、

 しかし俺たち兄妹はマリカーで身体を動かす癖があるから小町は右に俺は左にみたいな不整合が発生し、何度も俺の腕が小町の脇腹にめり込んだりしてセクハラ扱いされ、結果俺の負けという事になった。解せぬ。

 

「んじゃ、何が欲しいんだ?」

 

「うん? 、小町もいくよ」

 

 ……ん?

 

「あれ? 小町お前、外出たくないからゲーム負けたら買ってきての勝負じゃなかったの?」

 

 きょとんとした様子で小町は俺を見る。

 

「んーん? ただ単純におにぃちゃんと遊びたかっただけだよ?」

 

 ……なるほど、考えの前提が間違えていたみたいだ。

 兄と遊ぼうとする小町、なんて可愛いんだろう。愛でてやりたい。

 

「なるほどな。んじゃ一緒にコンビニ行くか」

 

「小町あっちがいい、おにぃちゃんとコンビにの所」

 

「千葉のホットステーションじゃなくていいのか? 少し遠いぞ?」

 

 ちなみに近くて便利の最寄り店は片道30分だ。うん、道民感覚かな?

 

「うん」

 

 あのコンビニ矢向がいるからあまり行きたくはないのだが、小町からの提案なら仕方が無い。

 

「んじゃ、行くか」

 

「うん!」

 

 そして俺たちは自転車に跨がり、コンビニへと向かう事になった。

 

 

 ***

 

 

 コンビニに入店すると同時に入店音がなり、聞き覚えのある声で「いらっしゃいまっ!?」と『せ』を仲間はずれにした挨拶が聞こえてきた。

 

 きっと夏の終わりに秘密基地にでも置いてきちゃったんだな。10年後の8月に思い出すと思う。たぶん、うん多分。君のことは忘れない。夏はまだ中盤だけどな。

 ざけんなよと『せ』が言っているのが聞こえる。きっと幻聴だろう。

 

「おにぃちゃん、アイスどれにするの?」

 

「そうだな。サックサクのモナカかスーパーなチョコチップがいいか迷うところ」

 

「それじゃ小町スーパーなチョコチップ買うからおにぃちゃんモナカね。あとで半分こしよっ」

 

「おぅ、いいぞ〜」

 

 その後に読書中つまめる適当なおやつを買いレジへと持っていく。

 見覚えのあるちっこい奴が何か言いたげに俺を睨む。俺お客なんだがなぁ……。

 

「先輩……彼女いたんですね。なんです? 仕事中の私にわざわざ見せびらかしに来るとかほんっといい性格してますね。夏祭り? 彼女さんといけばいいじゃないですか知りませんよもう」

 

 頬を膨らませぷいっとそっぽ向く矢向。

 まぁ知らなきゃそう思うわな。

 

「お前何言ってんの? 妹だ」

 

「普通の兄妹って常に手を繋いで買いものするんですか?」

 

「しらねぇよ。妹が普通だよって言ってんだから普通なんだろう」

 

「あ〜、どうも。比企谷八幡の妹の小町といいます〜。いつも兄がお世話になっているようで〜!」

 

 そんな会話を繰り広げていると、小町はいつの間にか外面モードに変更したらしくいつもの定文句を自然に口に出す。

 

 そういや他の客大丈夫? と俺は周りを見回したが幸いなことで客が誰も入ってきていないコンビニとしては悲しい状況だった。

 

「先輩の妹にしてはすごくしっかりしてますね。私、矢向由奈だよ、ゆーなって呼んでいいよ」

 

「……あれ? おにぃちゃん、中学生がアルバイトして良かったんだっけ?」

 

 小町ちゃん、いきなりぶっ込んできたわね。

 外面モード速攻で解除してるって珍しいな。

 

「あはは……こう見えてお兄さんと同級生だよ?」

 

 それを優しく諭すように矢向は事実を口にする。

 

「年齢詐称??」

 

 小町はそれは絶対に無いと否定する。

 ……あの表情は完全に俺をおちょくっている時の顔そのものだ。

 

「なんでっ!?」

 

 流石の矢向も表情を崩した。

 まぁ分からなくは無い。

 どことは言わんけれど一部を除いて確かに中学生だもんな。

 

「明らかに中学生だよね? 何中? 同中?」

 

「な……なかなか失礼ですねこの子……やっぱり先輩の妹だ」

 

 ぐぬぬ……と矢向は警戒心をあらわにした。

 

「何言ってやがる矢向。これくらいジャブだジャブ」

 

 俺にはもっと辛辣な言葉を笑顔で述べてくるぞ。あぁ、兄妹愛が恨めしいぜ。

 

「その割に……何を食べたらそんな大きくなるんですか? コンビニ弁当ってもしかして大きくなる成分が入ってるんですか?」

 

「ちょっ!? どこみてるんですか!」

 

 そう言って矢向は自慢の非売品を両腕で隠す。

 

「ふむ……コンビニ弁当を取り入れたらそこそこ大きくなるのか……」

 

 うんうんと小町が何度か頷いている。

 

「お前さっきから何してんだ? こいつ同級生だし」

 

「こいつ言うな! ちゃんと由奈って名前があるんだっ!」

 

 うるせぇ、細かい所でつっかかってくなちっこいの。

 

「さっきから先輩先輩言ってるしどう考えても年下でしょ?」

 

 あー、なるほど。そういうことか。

 

「矢向は俺が年上って事を知ってる、と言うか俺のクラスの大部分が多分俺が年上って事しってんだよな」

 

「えっ、おにぃちゃんぶっちゃけたの??」

 

「ぶっちゃけたというか一色が俺呼ぶときの名前な?」

 

「あっ確かにせんぱいだねぇ。なんでせんぱい? ってなるねそれ」

 

「っそ、って事で俺が年上って事はバレてんの」

 

 なるほどと理解した様子で何よりだ。

 

「いやー、すいません。勘違いでしたね。先輩でしたか〜」

 

 小町は態度を一変させる。

 

「もぅ、先輩! ちゃんと妹さんの教育しておいて下さいね! あと明後日夏祭りですからね。忘れないでちゃんと来て下さい」

 

 そう言って矢向からレジ袋を渡された。

 支払いはICカードですませておいた。

 

「ひとつ聞いて良いですか?」

 

「んぁ? いいぞ」

 

「なんで先輩は先輩なんですか?」

 

「それはなんだ? 俺にアリストテレスやらルソーやらの哲学を説けって言ってるの?」

 

「そうじゃないですよ。なんで先輩は1年生なのかなって」

 

「……それは貴方には関係ない事です」

 

 ピシッとした空気が訪れた。

 この言葉を吐いたのが小町であり、そこには冗談と言うものは微塵も存在しなかった。

 

「あれ? もしかして結構込み入ったこと聞いちゃった?」

 

 流石の矢向もこれには戸惑いを隠せないらしい。

 

「おにぃちゃん、いこっ!」

 

 小町に手を引かれ店を出た。

 自転車に跨がり俺たちはアイスが溶けないように急いで帰る

 その道中で小町が声を上げる。

 

「おにぃちゃん、あの矢向って人と夏祭り行くの?」

 

「あぁそうだ。……もしかして嫉妬してるのか?」

 

 それなら八幡すごく嬉しいぞ。

 

「どちらかと言うと心配かなぁ〜」

 

「あれ?」

 

「ん?? あぁ〜最近のおにぃちゃんなら気づかないかもね。らしくないしさ」

 

 最近よく言われるのだが、なんだらしくないって。

 

「とりあえず、そのらしくない理由もちゃんと家で話聞いてあげるから話して見てね」

 

「おぅ」

 

 そう言って俺は急ぎめにペダルを漕いだ。

 

 

 家に到着して買ったアイスを半分こし、食べながらゲームを始めた。

 あいかわらず小町の場所は俺の股下だ。

 俺も小町の肩に顔を乗せて絶賛猫背が捗る。

 さらに言うと小町の太ももの上にカマクラが丸まっているって言う三重構造。

 俺の手をカマクラが小町の手だと勘違いし毛並みに触れる事ができるのがメリットだ。

 

「さっきの話」

 

 そう口火を切ったのは小町からだ。

 

「おにぃちゃんさ。矢向さんとどうやって出会ったの?」

 

 さっきの話の続きの前に前提を聞いて置きたいといったところか。

 

 俺は小町に矢向と最初に出会った頃の話と期末の時の話をする事にした。

 

 

 ***

 

 

 俺が矢向との出会いから期末のはなしを終え小町からありがたいお言葉を頂けた。

 

「とにかく、おにぃちゃんがああいう系が良いって言うなら仕方ないけれどね。その代わり小町は金輪際近づかないからね。今後おにぃちゃんとか絶対言わないから。ずっとロリコン八幡って呼ぶからね」

 

 小町ちゃん。それはお兄ちゃんに死ねと言っているのと同意義だから止めよ? あとお前の先輩だよ? 矢向。っていうかそこまで矢向もロリロリしくないだろ。ほらあるだろ? ほら、ほら、どことは言わんけどさ!

 

「りょうかい」

 

「ほんとおにぃちゃんどうしたの? ほんとらしくない」

 

 心配そうに小町は俺を横目で見る。

 

「いや、なんだろうな……」

 

「……そういえば、いろはおねぇちゃんは? 最近話聞かないんだけど」

 

「最近話してないな……」

 

 どうやらその様子で察したのか小町は寝ているカマクラを起こしてどかせ、八幡コックピットから立ち上がる。

 

「……はぁ、ほんっとおにぃちゃんは自分の事になるとごみぃちゃんだよね」

 

 なんかいきなり辛辣な言葉が出てきた。

 おにぃちゃんそんな悪い事した??

 

「おにぃちゃん、いま何も悪いことしてないって顔してるよね」

 

 そんなに俺の表情って分かりやすいのかね?

 

「何もしていないことが何よりも悪い事なんだよ」

 

 そう言って小町は携帯をテーブルから拾い誰かに電話した。

 

「あっ、いろはおねぇちゃん? お久し振りですー小町です! 今日ってこれから時間空いてます? 実は今日小町が急用ででなくちゃいけなくて〜。うん、うん、そこでほんとごめんなさい、兄の面倒見てもらいたくて……、えっ、40秒で支度する? いえいえいえ、そんな急がなくても大丈夫ですよ。全然1時間あとで。うん、うん。ではすいませんがお願いします。ありがとうございますー!」

 

 流れるような会話を繰り広げ小町は電話を切る。

 

 ってかなんだよ、会話の流れから一色が家に来んの? マジか……

 

 小町は俺に指をしてふふんとなにやら自慢げなご様子だ。

 

「おにぃちゃん。あした小町の作文手伝ってね!」

 

 いきなり面倒くせぇイベントぶっ込んでくるなよ……

 

「あぁ? まぁいいが、急用ってなんだよ」

 

「ちょっとね〜」

 

 そう言って小町は誤魔化して教えてくれなかった。

 

「いろはおねぇちゃんと何があったか知らないけれどさ。でもおにぃちゃんには必要な人なんだなって事はよく分かったよ。」

 

「どういうことだよ」

 

「兄妹だからね〜。わかっちゃうんだよ〜」

 

 小町ちゃん? 俺小町ちゃんのこと全く分からないんだけれど、それでも兄妹なら何でもわかり合えるとか言うつもりなのかな??

 

 そんな思いとは裏腹に小町はそのまま自室へと消えていった。

 




いかがでしたでしょうか。
小町との絡みを含めつつ物語を進める回となりました。

そしてとうとう疑惑がでてしまった矢向さん。
さぁこれからどうなる!?(真っ白なドキュメント画面を見ながら)
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