やはり俺の学校生活はおくれている。   作:y-chan

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ネタを詰め込みすぎたら大変なことになってしまった回


#5-1

卯月の肌寒い気温が肌を刺激する。

俺の気持ちとは裏腹に晴れ渡った快晴が引き締まった群青の空を見せ、その下にある街を活気だてているかの様にこの目に見せてくれる。

 

こんな日は日光の下のほうが気持ちがよかったりする。

冷房付けて扇風機付けて毛布にくるまってるくらい贅沢な感じだ。

 

今日は一色の実験に付き合ってやる日なのだが、なにぶん女子と2人で休日一緒にいる経験など小町と母様以外初めてでどうすれば良いか分からん。

 

同じ千葉の兄妹を真似して深夜に小町に馬乗りで人生相談持ちかけようと思ったが流石に躊躇してしまう。

 

そんな真似しようものなら白黒の車と青い制服のお兄さん達につれて行かれちゃう。

あれは心身を妹に捧げたスーパーイケメンHENTAIお兄ちゃんじゃないと成し遂げられない芸当だ。

俺には難易度が高すぎる。非常に残念だが…無理だ。

 

約束した時間よりも10分程早く到着した。

メールで駅前に集合と言っていたが、駅前のどこに集合とは聞いていなかった。

とりあえず改札近くで待つことにした。

 

待っているだけなので手持ち無沙汰になってしまう訳だが、そういうときに限って時間という奴は遅くなってしまう…

 

とりあえず、近場の壁に寄りかかって、携帯を開く。

画面を見る振りをしながら、今日の目的について少し思考を走らせてみる。

 

まずは状況確認をしてみよう。

 

一色はあの爽やか系イケメンと付き合いたいとそう言った。

俺はその手助けをすれば良い。それだけだ。

 

で?なんで俺は今日呼び出されているのだろうか。

 

正直話だけだったらメールでもできたはずだ。

結局そのイケメンの奴についても外面知っただけで名前すらわからん。

覚えようとも思わねぇ。

なるほど、俺も相手に全然興味が無いことを表してるな。

 

一色には今日なにすんだとメールは送っているが、返信は『内緒ですっ』っと言われ、教えてすらもらえなかった。

 

このことから言えるのは、俺はこの実験中に一色から何かしらの指示をもらう事があると言う事だ。その指示が一体何なのかは分からない事が俺の最大の不安なのである…

 

うーん、冷静に考えると一色のあの様子だと外見だけで惚れ込んだ感じだろう。

一目惚れに似たようなものだとおもうが大丈夫なのだろうか?

黒歴史増やすぞ?

 

ってか他の誰かと付き合っていたらどうすんだこれ?

 

あの時完全に頭働いてなかったからテキトーに答えちまったのが悔やまれるぜ…

 

 

ん?

 

 

視線を感じ、いったん思考をきって視野を戻す。

俺の3歩くらい前に一色の姿が映った。一瞬うわぁ…という顔をしていたがすぐに取り繕っていつものちょっと口角を上げた表情に戻った。

え?俺なんかスゴイ顔してた?

 

それよりも声かけてね?ちょっと驚いたわ。

 

「せーんぱいっ、お待たせしました〜」

 

「声かけろよ、びっくりすんだろ」

 

「驚かせようとしたんですよ?」

 

「あー、そうですか。ならその作戦に見事に引っかかったわー」

 

棒読みにも近い台詞を吐きながら駅前の時計を見る。集合5分前だ。

 

ふふっっと微笑を浮かべる一色が再度『お待たせしました』と口を開く。

その微笑めいた表情に不意を突かれつい視線を外してしまう。

 

「別に待ってねぇよ。集合時間前だ」

 

「確かにそうですね。でもいまのポイント高いですよ」

 

「そ、そうか」

 

打算的とは分かっているのだが、どうもその仕草と表情に

照れを隠しきれない。これが男のさがというやつか。

 

そういや、こいつのこの仕草どう言い表せば良いかって前に考えたな。

候補が結構あったが、結局どれもしっくりこなかったな。

 

「そういえばだいぶ考えに耽けっていましたけど何かあったんですか?」

 

「今日の事について何すんだろうなって想像していただけだ」

 

「想像って…せんぱいキモいです」

 

えっ?俺が発言する想像ってそんなにキモい?

あいつが発言したら別の意味で捉えちゃうよね〜って事?

俺そんなキャラクター確定してねぇし、される様な友達いねぇし!

不審者扱いならあるぞ!…っそれかっ!

 

「さいですか…」

 

「とにかく、あの人の件について情報収集してきたのでどこか入りません?」

 

「そうだな。落ち着けるとこ探すか…」

 

適当に駅前を歩く、やはり天気が良いのか建物と空のコントラストがハッキリとしていて、晴れた街を歩いているという情緒を感じる。

 

すると見覚えのある緑の看板が…

 

「おい、サイ…」

 

「却下です」

 

せめて最後まで言わせてよ…

 

「せんぱいサイゼ好きですね」

 

「そりゃ、うまいし、広いし、いつまでも居座れるし」

 

「たしかにそうですけれど〜。サイゼだと雰囲気でご飯まで一緒に頼んじゃいません?せめて食事は別の所でしたいんですけれど」

 

「あー、確かにあるな。ドリンクバーだけ頼もうとしたら何故かドリア頼んでるとか毎回だわ」

 

「なら探す所はカフェとかそういった所にしましょー」

 

「お、おぅ…」

 

なんか建設的な会話に見せかけて自分の欲求を押し通しやがった。

 

「あっちなんてどうですか、格安のチェーン店カフェ」

 

「お、おぉ…」

 

「どうかしました?」

 

「なんかオシャレなカフェに行くかと思いきや普通の所選択するんだなって思ってな」

 

「オシャレなカフェ行ってもせんぱい緊張しちゃいますよね」

 

一色さんマジ気遣いできるマジ良い子マジ卍。

おっ、マジ3つで鳴けんじゃね?鳴くだけの八幡。マジ役に立たねぇ…

その前に麻雀のルール知らんわ。

 

「そうだな。気遣いありがとな」

 

「せんぱいが緊張して顔真っ赤にしてぷるぷるしていると私も恥ずかしいので、今回はここでしましょうー」

 

悪かったな、流石に顔真っ赤にしてぷるぷる震えねぇよ。挙動不審にはなるがなっ!ガハハッ!!

 

「さいですか…」

 

「ほらせんぱいっ!いきますよー」

 

 

***

 

 

チェーン店系のカフェに入るのは初めてではないが、俺はそうそう来る所ではない。店内はモダンな木目?ウッドテック?まぁ木を意識したようなオシャレな店内だった。

 

俺はもうこれでも十分オシャレなカフェだと思うんだけれど、オシャレなカフェはさらにオシャレなカフェなの?混乱するから進化後に名称追加してくれよ、オシャレなカフェ・ブルーとかオシャレなカフェの極意とかおらワクワクすっぞ。

 

「せんぱい、いま凄くどうでも良いこと考えていませんか〜?」

 

「い、いや、そんな事は無いぞ?」

 

「だって店内見て口角ヒクヒクしてますよ」

 

嘘だろ!?ちょっとうまいこと考えたから1人でウケてしまった。昔、思い出し笑いを小町に見られて『おにぃちゃん!!!外でその笑い方絶対しないでね!確実に不審者と思われて通報されるから!』って言われてたの忘れてた!自重しよう…テヘペロ☆

 

「自重します…」

 

「何考えていたんですか?」

 

えーそれ聞いちゃう?八幡張り切っちゃうぞ。

 

「一色、漫画は読んだことあるか?」

 

「はい、有名所でしたら」

 

「俺はこのカフェが十分オシャレなカフェだと思うんだ。しかしお前の言うオシャレなカフェはこれより上位のオシャレなカフェなんだろ?オシャレなカフェのオシャレなカフェって言いづらくないか?」

 

「いえ、そういうのは店名で言いません普通?」

 

真顔でそれ返されると俺のネタへの導線が消えてしまうんだが…

冷静に考えるとその通りだ。俺の熱意返せ。

 

「一色、お前のネタ潰しの会話に涙が出そうだぜ…」

 

「せんぱいなら泣いた分だけ強くなれるんじゃないですか〜?分からないですけれど?」

 

なんでこいつこんなネタ知ってんの?ってかそれどこのサイヤ人だよ。

 

「アスファルトに咲く花みたいに…俺、強くなれるのか?」

 

「そもそもアスファルトに花の種が発芽するような栄養素ありましたっけ??日光も当たらなさそうですし。発芽しないんじゃないですかね?」

 

ヤーメーローヨー。現実突きつけるなよほんとに悲しくなるだろ。

 

「…明日こねぇじゃん。夢も希望もねぇな」

 

「あのー?さっきからなんの話ですか???せんぱいなんでどや顔してるんですか?今かなり気持ち悪い顔していますよ?」

 

「その言葉が今日1番俺の心を抉ったわ…帰って良い?」

 

ごめん小町、お兄ちゃん学ばなかったわ…

 

 

閑話休題

 

 

店内の暖房が効きすぎていたのでホットの気分は失せ、アイスコーヒーを注文し、カウンターからガムシロップを5つほど取って空いている2名席に腰掛ける。

 

向かいに一色が対面で座ると、まじまじと俺のコーヒーを覗いてきた。

一色もアイスのカフェモカを頼んでる。やっぱり暖房ききすぎだよねここ…

 

「せんぱいって甘党なんですね。ガムシロ5個も入れる人初めて見ました〜」

 

「人生は苦いからな、コーヒーくらい甘くしたって文句は言われんだろ」

 

ストローでズイズイとコーヒーを飲み干してく。アイスコーヒーってすぐ無くなるよね。

 

「はぁ?」

 

なんかむかつく返し方すんな。折角キリッと言ってやったぞ感出したのに。…あっ、さっきも出したわ。

 

「っで?そろそろ情報を開示して欲しいのだけれど?」

 

「そうです、そうです」

 

一色は携帯のメモ帳に情報をまとめているのだろう携帯をいじりだした。

 

「名前は葉山隼人先輩です。2年生でいま総武高校で1番イケメンな男子です!」

 

おいおい、狙うレベルたけーなー。

 

「となるとかなり競争率たけーだろうな」

 

「まぁ、そんじょそこらの女とか私の敵ではないですけどね…」

 

一色こわっ!?なんでそんな笑顔でここまで冷酷な声がだせんの?前に腹話術とかやってた?

 

「それでも、お前以上の女子がいない訳でも無いだろ。そこら辺考えておかないと」

 

「まぁ、そこですよね」

 

「で、他に情報は?」

 

「部活はサッカー部所属みたいですね。実際放課後部活でているの確認とれてるんで確実だと思います」

 

おー、ちゃんと裏とってんだな。こいつ意外と優秀なのかもしれないな。

 

「ほぅ。なら部活入ってお近づきになるのも1つの手だな」

 

「それは考えてるんですけれど、プライベートが無くなるっていうのがちょっと迷い所なんですよねー」

 

まぁ確かに、青春を部活に費やす様な性格してなさそうだしな。

 

「他には?」

 

「いつも、6名?7名くらいのグループで固まっているみたいです」

 

人数が曖昧だ何。たまに抜けとかが発生するって事か?

 

「あー、と言う事は葉山先輩を中心としたスクールカースト上層部って所か」

 

「そのグループのうち、女子は何人だ?」

 

そう聞くと、一色が怪訝そうな顔した。

 

「あの…せんぱいが女子の人数聞くって非常に危ない感じがして…」

 

「俺、結構まともな人間だからね?」

 

「そうです…よね。信用します…」

 

信用するってその顔絶対信用してないよね。手伝えって言ってきてそれないよー?

 

「女子は3名です。…でうち1名がせんぱいと前話していた由比ヶ浜先輩です」

 

意外なところ…いや妥当か、由比ヶ浜の名前が出てくることに納得できた。

 

「まぁ、そいつら全員お前の敵だと思った方が良いな。なんせ1番葉山先輩に近い奴らだ」

 

誰もいないよね?せんぱいに奴らって言っちゃった。

学校じゃないのにちょっとビクビクしちゃう。

 

「そういえば彼女の有無とかは?」

 

「いえ、今の所誰かと付き合ったって話は無いらしいですね」

 

「ふーん…」

 

「…ねぇ、せんぱい?」

 

一色の笑顔の視線が刺さる。

なぜなら微笑を保ったまま声がやたら低く冷酷だからだ。

 

俺は急遽姿勢を正す。

 

「な、なんだ?」

 

「私のこと馬鹿にしてます?他人事だと考えています?」

 

「い、いやそういうことはないぞ?」

 

「さっきから、すぐ考えれば出てくるような事ばっかり言ってますよね?真剣に考えていますか?」

 

「それは一色が優秀って事だろ。きっとうん多分そうだと思う」

 

「まったく全然使えないせんぱいですね。しっかりしてくださいっ」

 

おぃ、そんな怒った顔しながらカフェモカ飲むな。

ちょっと可愛いと思ってしまっただろうが。

…ってか年下に怒られている俺まじ悲惨…

 

「まぁ、いいです。今日買い物の時間で1つくらい妙案出して下さいね!」

 

ん?

 

「おい、買い物の時間ってどういうことだ?」

 

「これから、買い物行くじゃないですか〜?」

 

「いや、初耳だぞ!?そこまで付き合うとは聞いてない」

 

「え?もしかして今口説いています?初めて女の子と買い物一緒に行くからって既に付き合ってる雰囲気だして彼氏面とか引くし気持ち悪いし無理だしもう少し女心を勉強してから出直してきて下さいごめんなさい」

 

最後にぺこりとお断りのお辞儀までされてしまった。

 

「…彼氏面してねぇし、無理矢理ねじ込んだ感あるんだよなーそれ」

 

てへっっとお辞儀の頭を上げてテヘペロのポーズしてるし。

どうせ計算ずくだろう。

 

うーんもう少しでこの表現を表せる言葉が出てくるんだがまだ出てこないなー

愛らしい?あくどい?なんか違うんだよな。

 

「良いじゃないですか〜、こんな可愛い女の子とデートできるんですから〜」

 

「自分で言わなきゃな」

 

「で?一緒にお買い物行ってくれますよねっ」

 

俺はまた深くため息をつき、『行くぞ』と言いカフェの外へと向かった。

後ろから『あー待って下さいよー』と一色の声が聞こえたが無視した。

店外に出るとアイスを頼んだことを後悔した。寒い…

 

 

二人が出た店内

 

返却トレイに返されたグラスに残っている氷がカラン、と音をたて実験第二部の開始ゴングを鳴らした。

 

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