ラブライブ!~合同企画短編集~【完結】   作:薮椿

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《薮椿より》
 本日より企画小説の投稿開始となります!
 あらすじの通り32人の作家さんたちの小説が毎日投稿される訳ですが、その1発目はなんと主催者である私です(笑)

 普段は『ラブライブ!~μ's&Aqoursとの新たなる日常~』というハーレムモノの小説を投稿しています。

 今回の話の内容はお得意のハーレムモノですが、いつも投稿している小説とは少々毛色が違っています。こういうハーレムモノもいいと言うか、憧れますよね!
 一応この企画小説のために擁護しておくと、これ以降に投稿される小説は健全なモノなのでご安心を!()


Aqoursに甘やかされるだけの日常

 某月某日、土曜日の真昼間。

 今日も今日とてネットでオナニーのネタ探しが始まる。外は雲1つない快晴なのに、部屋に籠ってオナネタの探求だなんて、陰キャの中のド陰キャだって自覚はしているんだ。でも、オナネタを探している時の時間が何よりも至高だからやめられない。ベッドの上で1人で耽っている時もそりゃ気持ちいいけど、今日はどんなネタを使うか物漁りをしている時の背徳感に勝る快感はないね。

 

 それに、偉い人がこう言っていた。美味しいモノを食べるのは楽しいが、一番楽しいのはそれを待っている間だって。さっき僕が言っていたことと少しニュアンスは違うかもしれないけど、オナニーでも同じことが言えるんじゃないかな? 毎日同じ時間帯にPCの前に座り、目を皿にしてネタを探す。いいネタを見つけたらとりあえずブックマークし、ある程度集まったらブクマしたネタの中から今日のオカズに使用するモノを選定する。このサイクルを毎日やってるけど、決して飽きることがない。むしろ毎日のこの時間が楽しみすぎて、このためだけに生きているって感じがするよ。

 

 …………うん、分かってる。自分でも最底辺な人生を歩んでいるって。でも仕方ないじゃん、気持ちいんだから!!

 

 ちなみに、さっき同じサイクルを毎日繰り返していると言ったけど、その言葉に偽りはなく1年中365日通してだ。平日も休日も休むことなく、昼間はベッドの上で1人格闘技を披露している。ここまで聞いてお察しの通り、僕は学校にも行っていなければ働いてもいない。まぁ、いわゆるニートってやつだね。自分でニート宣言するほど恥ずかしいことはないけど、事実は事実だし、それに隠していたとしてもこの後すぐにバレるだろうから……。

 

 とりあえず、その"すぐ"が来る前にやることはサッサとやっておかないと。

 僕が一番嫌いなのはニートである自分自身でも、僕を社会に適合させてくれないこの世の中でもない。オカズ探しからオナニーフィニッシュまでのひと時を邪魔されることだ。ニートであることをどれだけ咎められてもいいけど、オナニーの妨害だけは誰であろうとも許さないから。

 

 

 今日は新しいオカズを探す予定だったけど、僕の目に敵うモノが見つからず時間を食っちゃったから、仕方ないけどお気に入りの時間停止モノのAVで我慢しよう。

 ティッシュの在庫はOK。ゴミ箱も近くに配置。イカ臭い匂いを誤魔化す用の消臭スプレーも準備完了。あとはベッドに寝転んで、スマホに保存してあるこの動画を再生するだけ。ダメだ、動画の内容を知っているだけに、想像しただけで下半身に血の気が……!! 待て待て落ち着いて我が息子。もうすぐその興奮を解き放ってあげるからね。

 

 

 さぁ、今日も僕を最高の絶頂を――――――

 

 

 

「おっはよーーーーっ!!」

 

 

「うわぁ゛あ゛あ゛あああああああああああああああああああ!?」

 

 

 ベッドに寝転がって、動画を再生しようとしたまさにその時だった。僕の部屋のドアが壊れるくらいの勢いで開け放たれ、そこから女の子たちがぞろぞろと乱入してくる。

 どうやって鍵のかかっている僕の家に侵入したのか、どうしてノックもせずに部屋に入ってくるのか、もはやそんなことは()()()()()()だ。でも、今日に限って()()()()()早い時間に来るなんて……!!

 

 

「ち、千歌ちゃん!? いつも言ってるけどノックしてよ!!」

「えへへ~ゴメンゴメン。早くニート君に会いたくって!」

「会いに来てくれるのは嬉しいんだけど、事前に連絡するとか、せめて部屋の前で声をかけてくれると嬉しいんだけど……」

 

 

 こうして、こちらの事情なんてお構いなしに突撃してくるのが千歌ちゃんたちだ。本人たち曰く、『どうせニートなんだし、予定も何もないから暇でしょ』らしい。確かにニートで予定もないから何も言い返せないけど、親しき中にも礼儀ありだ。それに全く予定がない訳でもなく、僕だってほらそのぉ……自慰の予定がね?? だったらその時間をズラせばいいんじゃなかと思うかもしれないけど、僕は昼間のこの時間帯にやるのが好きなんだ。特に平日の昼間は学校や仕事に行っている人が大半で、その人たちが汗水垂らしている時間にオナニーをするのがこれまた爽快感。それに千歌ちゃんたちに合わせて時間を変えちゃったら、それって負けた気分にならない? ニートでもゴミクズくらいのプライドはあるんだよ。

 

 

「そういや、今日はみんな来てるんだね」

「ゴメンなさい、突然押しかけちゃって」

「そう言ってもらえるだけでも嬉しいよ、梨子ちゃん」

「千歌さんが連絡を入れたと言っていたのですが、あなたの様子を見ると嘘だったみたいですね」

「そうだったんだ。ダイヤちゃんに嘘をついてまで、僕にサプライズしたかったのかな……」

「いえ、千歌さんのことなので、私の質問を適当に流しただけかと」

「あはは、千歌ちゃんらしいね……」

 

 

 こうやって僕のことを考えてくれるのは、梨子ちゃんやダイヤちゃんと言った真面目な子たちだけだ。現に千歌ちゃんを始めとして、曜ちゃんや鞠莉ちゃんは早速僕の部屋に山積みされてるゲームで遊ぼうとしている。アポなしで人の部屋に上がり込んで、しかも部屋のモノを勝手に物色するなんて失礼極まりないけど、これが日常になってるからもう慣れた。だからと言って、アポなし訪問が許されるとか、そういうことじゃないからね?

 

 

「全く、またこんなに散らかして……。洗濯物も溜まってるじゃん」

「あっ、果南ちゃん。掃除は僕がするからいいのに」

「しないから部屋が汚くなってるんでしょ? ほら、洗濯物貸して。部屋掃除のついでに洗濯してあげるから」

 

 

 みんなのお姉さんである果南ちゃんは、僕の部屋に来るたびにこうして世話を焼いてくれる。正直に言って僕は掃除ができない人間なので、部屋をキレイにしたり洗濯をするには誰かの手を借りなければならない。だから果南ちゃんの好意はとっても嬉しいんだけど、今はちょっとマズいことがあるんだよね……。

 

 とりあえず、この洗濯物だけは何とか死守しないと……!!

 

 

「ちょっと、そこにいたら洗濯物が取れないんだけど?」

「い、いやぁ今日はまだ洗濯しなくてもいいかなぁって」

「よくないでしょ。どう見ても3日分くらいは溜まってるよねそれ」

「ま、まぁニートだから服くらいどうなっても……」

「何隠し事してるのよ、アンタ」

「うひゃぁ!? よ、善子ちゃん!?」

「ヨハネ!! いいから貸しなさい」

 

 

 後ろから声を掛けてきたのは、堕天使ヨハネこと善子ちゃんだ。果南ちゃんとの対決に集中し過ぎて、彼女が忍び寄っていることに気付かなかった。善子ちゃんは既に僕の洗濯物を握りしめており、今にも僕の手から奪取しようとしている。そのことに気付いた時には時すでに遅く、僕が抵抗する前に善子ちゃんに洗濯物をひったくられてしまった。

 

 

「全く、ニートのくせに楯突くんじゃないわよ――――って、えっ?」

「あっ、やばっ!?」

「ふぇ?」

 

 

 善子ちゃんが持っている洗濯物の中から、雑誌のようなものが零れ落ち、近くにいたルビィちゃんの足元に散らばる。

 やってしまった……と、僕は頭を抱えそうになった。だって、洗濯物から落ちた雑誌はただの雑誌ではなく―――――

 

 同じく近くにいた花丸ちゃんが、落ちた雑誌のタイトルを読み上げる。

 

 

「『ロリっ子巨乳JKの時間を停止してヤりまくりの日々』、『中二病の女の子を性奴隷に堕とすまで』、『旅館に務める少女と禁断の恋』『水泳部のスクっ娘を玩具に!~催眠日和~』……み、未来……ずら?」

「そんな未来あって堪るか!! アンタねぇ……!!」

「よ、善子ちゃん顔近いって!!」

 

 

 オナネタ探しに夢中になっていたせいで、同人誌を健全な雑誌の表紙でカモフラージュすることをすっかり忘れていた。彼女たちはいつもこの時間帯に来ると分かっていたはずなのに……。やっぱり人間って、性欲に憑りつかれると正気を失っちゃうよね。だからこそこの世に強姦事件が蔓延っているんだろう……なぁ~んて、冗談を言ってる場合じゃないか。

 

 さっきまで騒がしかった僕の部屋は、一瞬で静寂に包まれた。ゲームで遊んでいた千歌ちゃんたちもこちらに注目し、僕に同情してくれていた梨子ちゃんとダイヤちゃんに至っては引きつった顔をしている。それにルビィちゃんに至っては――――――

 

 

「ピ、ピ、ピ……!!!!」

 

 

 彼女が驚いた時に発する『ピギィ!!』の声も、あまりの衝撃に生まれたてのヒヨコのような声しか出ていなかった。顔を真っ赤にして、今にも蒸発しきって気絶してしまいそうだ。

 

 それもそのはず、僕が隠していた同人誌はただのエロ同人ではない。花丸ちゃんが読み上げた同人誌のタイトルからお察しの通り、どことなく()()()()()()()()()()()()を連想させるものばかりだ。そして当の本人たちがそれ見れば、一目で自分たちと似ている立場の同人だと分かる。だからルビィちゃんもみんなも、男の部屋にはエロ本の1冊や2冊くらいあるよねぇ~みたいな軽い気持ちでスルーできないんだと思う。

 

 ちなみに、花丸ちゃんが読み上げた同人誌以外にも、洗濯物から落ちたものがある。敢えてそれのタイトルは言わないけど、僕が隠していた同人誌は全部で9冊。そして、ここにいるAqoursのメンバーも9人。まぁ、これで察して欲しいな……。

 

 

 しばらく沈黙が続いた後、最初にこの空気を破ったのは千歌ちゃんだった。

 

 

「も~うっ! そんなことなら早く言ってくれればいいのに!」

「へ? な、なに!?」

「んっふっふ~そういうことだったんだねぇ~」

 

 

 千歌ちゃんは悪い笑顔を浮かべながら、僕の両肩に手を置く。女の子特有のいい匂いに思わず打ちのめされそうになるも、彼女がこの顔をする時は決まって碌でもないことが起きると知っているので、何とか正気を保って警戒態勢に入る。

 とは言うものの、僕はニートをやっているせいか力がなく、日々スクールアイドルの練習で体力作りをしている千歌ちゃんたちは到底敵わないだろう。だから警戒態勢に入ると言っても、抵抗できるほどのパワーはない。つまり一度こうして捕まってしまったら、彼女たちのされるがままになってしまうんだ。まぁ、こうなるのも毎日のことだからもう慣れたけどね。

 

 すると、千歌ちゃんに気を取られていたせいか、またしても背後に忍び寄る陰に気付かなかった。

 

 

「言ってくれれば、私たちが相手したのに」

「ぶっ!? ちょっ、何言ってるの!? って、鞠莉ちゃん!? 耳かじらないでよ!?」

「相変わらずウブね。男の子なのに、とってもprettyなんだから」

「耳元で囁かないで! くすぐったいから!!」

 

 

 みんなは自分たちをモチーフにした同人誌を見ても嫌悪せず、むしろ卑しい桃色のオーラを放出させていた。妖艶な表情をしている子もいれば、頬を赤らめて如何にも恋する思春期女子のような表情をしている子もいる。例えスクールアイドルと言えどもアイドルの名を背負っているんだから、男に対してそんな表情をするのはどうかと思う。だけど、またこれが()()()()()()なんだ。

 

 Aqoursのみんなは僕の部屋に来ている時だけ、()()()()()()()()。ライブの映像を見る限りでは輝かしい清純な乙女たちなのに、どうして僕の部屋だと思考回路が逝っちゃうんだろうなぁ……。それに普通じゃないのが日常って、なんか矛盾してるような気もするけど……。

 

 するとその時、突然後ろから抱き着かれた。

 この肉付きのよい身体と、年相応以上に育った胸の感触は――――――!!

 

 

「曜ちゃん!?」

「えへへ、あったりぃ~! ていうか、後ろを見てないのによく分かったね」

「そ、そりゃあ……ねぇ?」

「私のおっぱい、気持ちよかったでしょ?」

「そりゃもちろん……って、あ゛っ!?」

 

 

 マズい、僕が変態だってバレてしまう!! と思ったけど、散らばった同人誌から余裕でバレバレか。

 曜ちゃんはしてやったりの顔で、僕をより強く抱きしめる。自分で胸を強調しておきながら、なおここで僕に押し付けるってことは、もはや恥など感じていないのだろう。千歌ちゃんと鞠莉ちゃんにも囲まれ、女の子たちの妖艶な雰囲気に酔って今にも気絶してしまいそうだ。

 

 ふと他の子たちを見てみると、千歌ちゃんの異質な行動なんてさぞ当たり前かのように部屋の片付けをしていた。スクールアイドルとして、華の女子高校生として慎みある行動を取るとか、そんなことは一切考えていないっぽい。特にダイヤちゃんなんてこの状況を見たら真っ先に怒りそうなのに、何食わぬ顔で散らばったエロ本を片付けているんだから、やっぱりこの部屋に来たAqoursは異質だ。

 

 

「ダ、ダイヤちゃん? 無理してそれを片付けなくてもいいんだよ……?」

「あなたに任せたら一生片付けないではありませんか。私のことは気にせず、あなたはゆっくりしていれば良いのです。家事周りは私たちがやりますので」

「一生って……」

「それじゃあ私はゴミをまとめて出しに行ってくるね。ルビィちゃん、手伝ってくれる?」

「うん!」

「そ、そんな! 梨子ちゃんとルビィちゃんの手を汚す訳には……」

「あなたを放っておいたら、一生ゴミ出しなんてしないでしょ?」

「だから、一生って……」

 

 

 そりゃね、僕だってやる気さえあれば部屋の片づけもゴミ出しも1人でできるんだよ。でもそのやる気を奮い立たせる前に、Aqoursのみんなが全部やっちゃうものだからどうしようもない。1人暮らしだと1日でそこまでゴミは溜まらず、かと言って3日置きくらいに掃除しようと思ったら、その間隔でAqoursが訪問してくる。だから詰みなんだよ詰み。だから一生、僕のやる気は湧き立たず仕舞いなんだ。

 

 自分自身の不幸さを嘆いていると、いつの間にか部屋の入口にいる果南ちゃんが花丸ちゃんと善子ちゃんに声をかける。

 

 

「だったら、私たちはお昼ご飯を作ろうか」

「了解! ニートくんのために頑張るずらっ!」

「どうして私がこんなクズニートなんかのために……」

「そんなこと言っちゃって、床に落ちてたシャツをチラチラ見てたこと知ってるんだよ~? 何を持って帰ろうとしてたのかなぁ~?」

「もう持って帰るって言ってるじゃないの!! って、そんなことするかぁあああああああああああああああああああああああ!!」

「善子ちゃん、顔真っ赤だよ。往生際が悪いずら」

「相変わらず私だけには辛辣ね、花丸……」

 

 

 そういや最近、ちょいちょい僕の服がなくなっているような気がしたんだけど、まさか善子ちゃんが……? 実は僕が着る服はみんなが自主的に買ってきてくれるので、自分で自分の服がいくつあるのか、どんな種類があるのかは詳しく把握していない。だけど最近は目に見えて服が消えているので、もしかしたら善子ちゃん以外にも犯人はいるかも……?

 

 ちなみに、服以外にもみんなが買ってきてくれるモノがある。生活必需品はもちろん、食品や飲料、漫画やゲームなどの嗜好品まで、僕の好みに合わせて持ち込んでくれる。そもそもこの家自体が鞠莉ちゃんの会社の系列で、家賃や電気代など、その辺諸々は鞠莉ちゃんのお気遣いで全部タダだ。部屋の片付けも料理も作ってくれるし、そこまでされたらニートにもなるよねぇ……。

 

 

「そういえば、この前送った私たちの水着写真、見てくれた?」

「え゛っ!? み、見たよ……一応ね」

 

 

 僕を右から抱きしめている千歌ちゃんが、何故か目を輝かせながら質問をしてくる。

 千歌ちゃんたちの水着写真。うん、確かに携帯に送られてきたよ。どうやら最近Aqoursのみんなで海合宿をしたようで、その時に撮ったであろう写真を何枚も僕に送り付けてきたんだ。集合写真を始めとして、個人の写真まで付属していたから、もはやAqoursの写真集としてそのまま売りに出してしまえるほどの代物だった。

 

 しかし、問題はそこではなく、かなり際どいポーズの写真もあったってことが問題だ。肩紐の片方を外したり、オイルを塗っている姿など、アダルティックな写真に思わず度肝を抜かされてしまった。現代の女子高生は、高度な情報化社会の煽りで性知識が豊富だと聞く。でもそれを考慮したとしても、思春期女子が男子にそんな写真を送り付けるなんて正気の沙汰じゃない。

 

 だけど悲しいかな、不覚にも下半身が立ってしまった事実は揉み消せない。知り合いの女の子の際どい姿を、しかもスクールアイドルのあられもない姿を観察しているという背徳感が、より一層僕の興奮を煽るのだ。もちろん、このことはみんなには内緒だけどね。バレたら最後、悪夢のようなからかい地獄が待ってるだろうから……。

 

 

 その時、耳元に息を吹きかけられる。

 

 

「ふぁあああんっ!! な、なに!? 鞠莉ちゃん??」

「Oh! 思ったより可愛い悲鳴で、私の方がビックリしちゃった」

「もう、脅かさないでよ!」

「そんなことよりも。何回やったの?」

「う゛っ!? や、やったって……何を?」

「フフッ、本当は意味分かってるんでしょ? だったらイントネーションを変えてみようか? 何回ヤったの?」

「そ、それはぁ……」

 

 

 バレてる!! 普段は何も考えてなさそうな天真爛漫キャラなのに、人を追い込む時だけは勘が鋭いのはどうして??

 とにかく、みんなの尋問に負けちゃダメだ。さっきも言ったけど、ニートにだってプライドはある。ニートだからって陽キャにされるがままだなんてありえない。ここからなんとか逆転の策を考えないと。逆にこちらがみんなを赤面させて追い込むような、決定的な一手を!

 

 しかし、追い打ちをかけるかのように、後ろから抱き着いてる曜ちゃんが僕の耳元で囁く。

 

 

「素直になっていいんだよ。だって私たち、あなたに使ってもらうために水着写真を撮ったんだから。あんな姿、あなたにしか見せないんだよ?」

「つ、使うって……どうやって?」

「もうっ、女の子に言わせる気?」

「あっ、いやゴメン、そんなつもりじゃ……あ、あれ、どうして僕が謝ってるんだ……?」

「ルビィも抱きしめていいですか!?」

「えっ、どうしたのいきなり!?」

「ニートさんがその、とっても愛おしくなっちゃって……。そんな可愛い顔を見せられたら、ルビィ、悪い子になっちゃいそうです」

「できればマルもお願いしたいかなぁ~って。それにほら、マルの身体は柔らかいから、色々気持ちよくできると思うし……」

「2人共女の子がそんなこと言っちゃダメだって! それに色々って何!?」

 

 

 どちらかと言えば、花丸ちゃんもルビィちゃんも愛でられる立場の子だ。でも今は肉食系女子と化しており、目がいつもと違って少し怖い。まるで獲物を狙う獣のような、そんな眼光をしている。Aqoursのマスコットである2人が、まさかここまでSっ気を醸し出すとは……。

 

 すると、ゴミ捨てのためにゴミをまとめていたダイヤさんが、僕に包まれたティッシュを見せつけてきた。

 

 

「ダイヤちゃん? それ僕のゴミ箱に入ってたやつだよね……? ばっちぃから捨てなさい」

「これ、匂いと香りの残量的に、捨てられたのは2日前と推測できます。そして、その2日前とは私たちの水着写真があなたに送信された日。つまり、このティッシュの使い道は……。さぁ、白状してもらいましょう。今自白すれば罪は軽くなりますよ」

「どうしてそんなこと分かるのさ!? 今までみんなを傷付けると思って敢えて言わなかったけどもう言うよ? 変態だよ!!」

「それがどうしたというのです。あなたにご奉仕できるのなら、そんな罵倒も受け入れましょう」

「開き直らないでよ!! ねぇ梨子ちゃんはどう思う??」

「私たちの水着でヤったにしては、出してる量がちょっと少ないかな?」

「僕に何を期待してるのさ!?」

 

 

 もうAqoursの水着写真でオナったことを自白したようなものだけど、みんなも思考回路がぶっ飛んでいるせいで僕の失言に気付いていない。さっきまでは純粋な反応を見せていた子が多いのに、話が猥談に切り替わった途端にこれだよ。みんなの脳内が突然ピンク色になるのは今に始まったことではなく、この部屋に来て話題がそっち方面に乱れると、全員キャラが変貌する。どうしてだかは知らないし、知りたくもないけどね。

 

 女の子にお世話をされるのは確かに嬉しいよ? 嬉しいけど射精管理までしてもらおうとは思わない。これはニートの意地ではなく、男としての最低限のプライドだ。自分の性のコントロールは自分でしたい。このまま性処理まで千歌ちゃんたちに任せてしまうと、本当に彼女たちの身体でないと絶頂できなくなりそうだから……。

 

 しかし、僕には抵抗しようにも抵抗する力はない。ニート生活をしてるしてない以前にそもそも身体が小さいので、年頃の女の子でも僕を簡単に組み伏せられてしまう。この状況、何て言うのか知ってるよ。

 

 

 

 …………詰み。

 

 

 

 そんな背水の陣の僕に、前から抱き着いている千歌ちゃんは囁くように呟く。

 

 

「別に隠さなくてもいいのに。私たちの写真でたくさん白いのを出しちゃったって」

「そ、そんなことできないよ! 例え写真であろうとも、大好きなみんなを穢すことなんて絶対!!」

 

 

 とは言っても、実際のところ白いのを出しちゃったから言葉に説得力がない。でも、みんなを穢したくないというのは事実なんだ。だから、みんなの写真をオナネタにするのは今回だけ。2日前に賢者モードに入った時、そう誓った。

 

 その時、みんなの様子が一変していることに気が付く。

 さっきまではピンク色の雰囲気が部屋を支配していたのに、今はすっかり元通り。それどころか、部屋の温度が少し上がっているような……? 見ればみんなの顔が真っ赤なので、部屋の冷房が切れちゃったのかな……って、切れてないじゃん。散々僕を弄って遊んでいた千歌ちゃん、曜ちゃん、鞠莉ちゃんもおとなしくなり、果南ちゃんたちは覚束ない手付きで家事をしている。

 

 ど、どうしようこの空気?? 何か女心に触れる失言をしちゃったとか……?

 

 

「し、仕方ないなぁ~! ニート君のために、旅館の娘としての腕を振るいますか!」

「千歌ちゃん!? 急にどうしたの!?」

「ちゃんと歯磨きしてる? 私がやってあげようか……?」

「梨子ちゃん!? そこまで不清潔じゃないから!!」

「今日はお風呂まだだよね? だったら私が背中を……」

「曜ちゃんが一緒に……!?」

「ぱそこんを触っていると、肩凝りが酷くなるってきくずら。だからマルが肩揉んであげるね」

「ちょっ、花丸ちゃん力つよっ!?」

「ルビィは何をすればいいですか? この薄い本では、ルビィに似た子がニートさんの汚い部分をぺろぺろ舐めるメイドさんになってましたが……」

「そ、それは忘れて……」

「服、洗濯するわね。か、勘違いしないで! ニートの服なんて汚くて触りたくもないけど、3日も溜め込んでたら服の方が可哀想だと思っただけだから!」

「そう言いながら善子ちゃん、カバンに僕の服入れたよね今!?」

「これからニート君の食事は全部私が考えるから。朝昼晩、毎日のおやつも間食も全部ね」

「果南ちゃんのお気持ちは嬉しいけど、ちょっと病んじゃってるかなぁ……」

「これほどまでにイカ臭い匂いのするティッシュを、普通のゴミ置き場に捨てるのは近所迷惑ですわね。これは黒澤家の専用ゴミ集積場に捨てないと……」

「だ~か~ら! 僕の目の前で堂々と盗まないでよ! ゴミだけど!!」

「みんなにやることを取られちゃったし、他には……あっ、私のおっぱい飲んでお寝んねする?」

「しないよ!! ていうか、鞠莉ちゃんまだ出ないでしょ!?」

 

 

 なんだろう、急にみんなが僕を甘やかしてる気がする……。いや、いつも甘やかされてるんだけど、今この瞬間がこれまでよりも一番甘々だ。

 しかし、そんな彼女たちの誘惑に乗せられてしまうのが僕だ。自分でやらなきゃとは思うけど、千歌ちゃんたちの優しさに触れると途端に身体の力が抜けちゃうんだよね。自分がどんどんダメ人間になっていくのが目に見えて分かるよ。まぁ、その背徳感が快感なんだけどね。

 

 

 こうして、今後もAqoursに甘やかされる日々が続くんだろうなぁと思う反面、みんなと一緒に生活できることに嬉しさを感じてる僕がいた。

 

 

 ま、人生楽しんだもの勝ちだから、これでいいの……かも??

 




《薮椿より》
 投稿順を決めるくじ引きで、見事に主催でトップバッターを引き当てた薮椿です()
 トップで目立つのは好きですが、後に控える31人の作家さんたちのために、ロケットスタートを確実に決めなければならないという緊張もあります。
 しかし、個人的には満足のいくものが出来上がったので、トップバッターとして恥は一切ないです。それどころかこのロケットスタートを機に、他の作家さんたちを引っ張っていく気が満々だったり(笑)

 今日から約1か月間、毛色の違う『ラブライブ!』小説が日々投稿されるので、是非毎日足を運びに来てください!
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