本日は、原作『BanG Dream!』にて『蒼き薔薇は黒く堕ちてゆく』を投稿している、Lドラドさんの企画小説です!
──西木野真姫。国立音ノ木坂学院に通う生徒であり、地元で大きな病院である西木野総合病院の娘である。
真っ赤な髪色に紫色に輝く吊り上がった目。それは彼女をプライドの高い女性へとイメージさせるのには十分な材料であり、そのイメージは決して間違っておらず、成績は優秀。
そしてその性格のせいでほとんど友達はおらず、本人は自分に相応しい人間がいないだけだとかなんとか言っているが単純に友達の作り方がわからないという致命的な問題を抱えているだけである。
「……ねぇ、ねぇってば」
そんな彼女を変えたのは音ノ木坂学院スクールアイドル、『μ's』の結成である。当校の入学希望者減少による廃校を阻止するために結成されたアイドルグループ。彼女はそのメンバーの1人である。
ピアノのできる彼女は作曲を担当し、ラブライブというスクールアイドルの大きな大会を制するための曲を何個も作っていた。もちろん、他のメンバーの頑張りも誇らしいものである。
結果、μ'sはラブライブで優勝。廃校は免れ、彼女達の目的は達成出来た。
その後、μ'sは解散。彼女達は最高の形でスクールアイドルを終えることが出来たのだ。
そして現在音ノ木坂学院は春休み期間に入り、新学期に向けた準備を進めるのであった。
「ちゃんと返事しなさい!」
「いでっ! ちゃんと聞いてるって真姫!」
「……嘘ばっかり。私が何回も呼びかけてるのに……私の事嫌い?」
「そんな事ないって、大好きだよ」
「……ふふん。私も大好き」
そんな彼女は僕の幼馴染であり、一応恋人のような関係である。
元々家の親と真姫の親は兄妹の関係にあり、家から離れた音ノ木坂学院に入学する事になったのを期にお互いの親がどうせならうちに住めば良いと言ったのだ。
初めは僕は遠慮すると答えた。真姫は僕と同じ歳でそういうのを気にするはずだし、何よりプライドの高い彼女がそれを良いと言うとは思えなかったのだ。
それがどうしてそうなったのかそれを聞いた真姫が泣いてしまったらしい。
その事に驚き、罪悪感に駆られた僕は真姫の家に同居、という形で生活することを決め彼女の家へと向かった。
そして、家に到着した日、真姫と再開した瞬間に抱きつかれた。
「久しぶり……! やっと、また会えた」
「久しぶり、真姫」
真姫のお母さんから聞いた話、どうやら僕は何か勘違いしていたらしい。真姫は僕の事を嫌っている訳ではなく、プライドの高さが素直にさせてくれなかっただけらしい。
小さい頃からよく遊んではいたし、彼女が性格が中々友達を作れず、仲良く話せるのが僕しかいなかったらしい。なら、僕と一緒にいたがるのも無理はないのだろうと理解した。
それから毎日彼女は僕にベッタリである。……昔はこんなことしなかったんだけど、一体彼女の過去に何があったのだろうか。
あとすごく嫉妬深くなっていた。一緒にいるのは当然、当たり前と言われてしまったし、他の女の子と近くにいるだけで凄く怒ってくる。
特に酷かったのは……ああ、あれだ。
「ねえ、葉山くんって、西木野さんと仲良いの?」
「……うん。一応幼馴染だしね」
「へぇ、普段の西木野さんってどんな感じなの?」
それは学校の休み時間。僕はその時クラスの女の子達に真姫の事について話しかけられていたのだ。いくら真姫がプライドが高いとはいえ、その優秀さはみんな知っていた。
中にはそれでも仲良くなりたいと思いたい人もいるはず。だから彼女達は僕に真姫の事を聞いてきたのだと思う。
──バァン!
「「ヒィッ!?」」
そんな時目の前にある僕の机の前に紙の束が勢いよく、大きな音を立てて叩きつけられる。
これをした張本人である真姫は一瞬怖い顔を見せた後すぐに笑顔になる。
「……葉山くん? これを運ぶの手伝ってくれないかしら?」
「……は、はい……」
その笑顔はとても怖いものだったと言っておこう。
「……だって、あの時の涼。凄く嬉しそうだった。それが嫌だったのよ! 涼が私以外の女にうつつを抜かすとか本当に許さないいんだから!」
「いや、別にうつつを抜かしていなかったし、そうだったとしてもあんなに大きな音を立てなくても良かったじゃないか」
僕は膝に座ってきた真姫を後ろから手を回すように抱きしめながらあの時の話をする。
これくらいに真姫は嫉妬深い。彼女は常に僕と一緒にいたいがための手段は問わない。
現に今も彼女の胸元近くに置いてある手をずっと握って離そうとしない。
「……僕は真姫の事を思ってたんだよ。あの人達、真姫と仲良くなりたいって思ってるよ。ただでさえ友達居ないんだから……」
「友達居ないは余計よ! それに私は友達が居ないんじゃなくて作らないの。友達なんて……μ'sのメンバーと涼だけで十分よ……。あっ! 涼は友達を超えて夫だからね!」
「あ〜はいはい」
僕はそんな事を言う真姫を軽くあしらい、頭をぽんぽんと撫でる。
「……なに? 私と結婚するの嫌なの?」
「全然そんな事ないよ。というか真姫が本当に僕と結婚したいって言うなんて思わなかったよ。小さい頃だけの約束かと思ってた」
「そんな訳ないじゃない。私の事を深く理解してくれるのは貴方だけ。私の夫は貴方以外ありえないんだから」
「……実は男友達が僕しかいないから選択肢が僕だけだったりして」
「……は? 私がそんな出来たばかりの男友達にホイホイついて行く軽い女だと思ってるの?」
「……いいえ」
暗く濁った彼女の瞳の視線が僕の顔に突き刺さる。こういうのにも怒るからほんと怖い。
「全く。光栄に思いなさいよね。こーんな成績優秀で優等生な私と結婚出来るんだから……」
そして僕はそれ以上何か言う真姫を黙らせるかのように自分の唇で彼女の唇を塞ぐ。
「ん……ちゅっ……ちゅぱっ」
「……ん、もう、ちゅっ……私の話を……んちゅっ、遮ら……ないで」
そう言う割には彼女も舌を入れて深いものを絡めてくる。もう唇の周りは唾液だらけ。それに真姫も出来上がったかのように顔を火照らせ、瞳はうるうると歪ませている。
「……その割りには嬉しそうじゃないか?」
その言葉に真姫はゆっくりと頷く。本当に、可愛いやつだ。真姫は。
……こんなに可愛い子と幼馴染で良かった。愛されてよかった。こんな関係になれて本当に良かったと心の底から思える。
「涼……私……もう」
「……そろそろご飯にしよう。時間もいい時だしさ」
僕はその先はせず、晩御飯の準備を行うためにキッチンに向かう。期待していたのかは分からないけどお預けを食らった真姫は怒られた子犬のようにしょぼくれた顔をしていた。そんな顔も可愛い……どんな顔も可愛いよ。
「ふ〜。お風呂上がったよ、真姫」
晩御飯も食べ終わり、先に風呂に入られせてもらい、パジャマに着替えたあとリビングに戻った。
そして、僕の目の前には真姫が立っており、鋭い眼光でこちらを睨んでいる。
彼女の手に持っていたスマートフォン、それは自分のものではなく、僕のものだった。
画面はメッセージアプリのトーク画面を開いているように見える。
「……涼? これは何かしら?」
「……ん? ああこれか」
僕が見せられたのは思った通り、アプリのトーク画面だった。内容は僕達のクラスメイトで、μ'sのメンバーの1人である小泉花陽ちゃんとの会話であり、特に問題のある所は見当たらない。なのに彼女は怒っているように見えた。
「なんで、私が知らない所でこんなに花陽と仲良くなってるの?」
「なんでって……それは同じクラスメイトなんだから当然じゃないか。別に僕だって彼女に対してやましい思いはないし、真姫だってμ'sのメンバーの仲間じゃないか」
「そ、そうだけど……やっぱりいや。涼が私以外の女の子と仲良くしてるなんていやよ。もし、花陽が涼の事好きだったら……私、どうにかなりそう……」
とても不安そうな顔になる真姫。僕はそんな彼女を安心させるように頭を撫でる。
「大丈夫だよ。僕の傍に一緒にいてくれるのは真姫だけだ。僕は真姫以外の女の子についていく気はない。真姫が僕の事を思ってくれる限りね」
「……じゃあ、許してくれる? こんなにわがままな私を」
「うんうん。許す許す」
「ほんと!? じゃあ、私が涼の部屋に勝手に入ってあれな本を全部処分したのも、涼が着た服を勝手に新しいのに変えてそれを私が行為に使ってるのも許してくれる!? それからそれから……」
あ、えっと……そこからはもうやばいから許したくはない気がするなぁ。
「……私が涼が寝てる間に勝手に中に出して貰ったのは……許してくれる?」
「……はっ!?」
おい、今、なんて言った……? 中にって……。
「え? それって、ゴム付けてないって……」
その言葉に恥ずかしげに真姫は頷く。それを見て僕は身体全身の力が抜け、枯れたひまわりのようにぺたっと倒れる。
「う、嘘だろ……」
一応僕達はそういった事をやってはいる。けどそれはちゃんと避妊をしてだ。まだ学生の時に妊娠なんて冗談じゃないし、真姫や僕の両親になんて顔を見せればいいのかわからない。……それなのに、彼女は。
「あっ! で、でもちゃんと避妊薬は飲んだから大丈夫! 涼が思ってる様なことにはならないから!」
……なら、良いんだけど。今の真姫だと本当か嘘か分からないんだよなぁ。
「……でも、なんでそんなことしたのさ……」
「それは……涼、最近私に構ってくれなかったじゃない。他の女子とばかり話してて。
……それに、私は涼が思ってる以上に我慢できない人間なの。……だからね」
真姫は座り込んでいる僕の顔を両手で持ち、微笑みながら、身体を密着させながら口を開く。
「……足りないの。もっと、涼が、涼の全てが欲しいの……!」
だからキスした時、あんな風になっていたのか。そうか、僕はまだ真姫の事を考えてやれなかったのか。
あんな事をさせる原因にもなってしまったのか。
「……分かった。僕の部屋に行こうか」
「……! えへへ、やった……! じゃあ行こう! 早く早く!」
それを待っていたのかと言わんばかりに彼女は飛びっきりの笑顔になっては凄い力で僕を引きずって部屋へと連れていく。
もしかして僕、嵌められた?
それからは夜が明けるまでやっていたような気がする……。それが曖昧になるくらいにやっていた。
それはもう避妊をちゃんとしていたのか分からなくなるくらいにね。どんだけ真姫体力あるんだ。μ'sでのトレーニングがああなったのか?
とは言っても、将来的にこうなるのは分かっていた。それほどまでに真姫が僕に想いを寄せている、僕が彼女に想いを寄せているのも。
僕は一緒のベッドで隣で優しい寝息をたてている真姫の頭を優しく撫でる。お互い、生まれたばかりの格好で、周りには乱れ放題の使用されたゴム。それはその夜がとても激しかったものを思い出させるには充分だろう。
……本当に中に出してないよね? それだけが心配だ。
「……んん、りょ……う……」
真姫は何か寝言を言っている。まだ何か変な夢でも見てるのだろうか。
「……もう、私が、いないとダメ……なんだから。もう……どこにもいかないよね?」
……そうか、真姫はずっと僕を待っていたんだね。なのに僕は気づけなかった。幼馴染だから、真姫はああいう性格だからって。
でも違かったんだ。彼女は寂しかったのだ。ずっと誰かを求めていた。それが僕だったのだ。
なら僕も、彼女の傍にずっといよう。もし、彼女が学生として居られなくなったとしても僕はずっと君のそばに居る。責任は全て僕が取る。
そうでも無ければ彼女の今までの寂しさを受け止めることはできないだろう……。
「おはよう、涼。まだ早いけど、どうせ結婚するんだから早く婚姻届は書いて方がいいわよね?」
僕の目の前に叩きつけられたのは婚姻届。……あの、まだ結婚出来ないんですが。
「大丈夫。なんとかなるわ。それにパパとママからね、早く孫が見たいなって言ってたわ。それは貴方の両親も同じ事言ってた」
……どうやら僕が学生として居られるのは数日だけになるかも知れません。
《Lドラドさんより》
この作品を読んでいただきありがとうございます。
短い文ですが楽しめていただけたら幸いです。
ヤンデレは需要も少なく、人を大きく選ぶ作風ではありますがこれを機にヤンデレを好きに、書きたいなというものに出来れば良いかなと思っています。
ラブライブを書く機会はまたあるかはありませんがまたどこかで会うことがありましたらよろしくお願いします。