本日は、原作『ラブライブ!』にて『巻き込まれた図書委員』を投稿している、名前はまだ無い♪さんの企画小説です!
《名前はまだ無い♪さんより》
初めましての方は初めまして。名前はまだ無い♪です。
内容は薄いので、気楽に読んでください。
某月某日都内某所。そこそこ広い室内で海未とことりの二人は炬燵に入ってぬくぬくしていた。
「あったかいね、海未ちゃん」
「そうですね、やはりこの時期は炬燵が手放せません」
「あ、ミカンとって~」
「いくつですか?」
「う~んと、これくらい~?」
ことりはテーブルの上に腕を乗せ、手をパーにして海未に見せる。その様子に海未は苦笑いを浮かべながら、ミカンの入ったザルから五つ取り出しことりに渡す。
「ありがと~」
「それより他の皆は遅いですね」
「そろそろ来るんじゃないかなぁ~。あむあむ」
ことりがミカンを頬張りながら炬燵のテーブルに頭を乗せる。ちょうどその時、部屋の扉がノックされる。扉から入って来たのは絵里、希、にこの三人。
「お待たせ……ってあら? まだ二人しか来てないの?」
「おはようさん。二人がいて穂乃果ちゃんがいないのは珍しいやん」
「穂乃果のやつ、寝坊してるんじゃないでしょうね」
「いえ、先ほど連絡が来たので、まだ寝てるということは」
絵里たちも炬燵に入り、再びまったりとした時間が流れ始めるも、希がふと気づき立ち上がる。
「うちお茶淹れてくるけど、欲しい人おる?」
「は~い」
「あ、私も」
「これから来る人数考えたら、ポットとか用意しておいた方がいいでしょ。海未」
「はい。私たちも手伝いましょう」
希に続き、にこと海未が部屋から出て行く。
「ねぇことり」
「なぁに、絵里ちゃん」
「どうやったらミカンの皮がそんな剥け方するの?」
絵里がことりの手元を見ると鳥の形に剥かれたミカンの皮が複数個並び、戯れているワンシーンが作り出されていた。
「えっとね、ここをこうしてこうやって」
「ふむふむ」
「ここをこうして、最後にこうで、こう。これでかんせ~」
「待って、最後の所をもう一回」
絵里に見せながら皮を剥いていたことり。しかし最後の一剥きがよく見えていなかったのか、もう一度見せてほしいと頼む。ことりは仕方ないなぁ、とばかりにミカンを手に取り、再び剥き始める。その横では絵里が真似をしようとミカン片手にジッと見つめる。
「えっと、ここを」
「ええ」
「こう」
「……お願いもう一回」
三人が戻って来るまでさらに三つほど鳥を作り出しだが、終ぞ絵里は作り方が分からなかった。
「なるほどなぁ。それでこの数分で鳥が増えたんやね」
「まるで動物園ね」
目を離していた数分の始終を絵里から聞き、納得の表情をする希と、鳥の数に少し引いた目をしているにこ。
その動物園を作り出した張本人は、現在お茶を相方にミカンを美味しそうに頬張っている
「それにしても穂乃果はともかく、真姫たちは遅いですね」
「そうだねぇ~。あ、足音」
バタバタと騒がしく近づいてくる足音にことりがミカンを運ぶ手を止め、扉を見る。それと同時にバーン、と勢いよく開く扉。
「おっまたせにゃあ! 星空凛、ただいま参上!」
勢いよく開けられた扉から、これまた勢いよく飛び込みながら名乗り上げる凛。それから少し遅れて入室してくる花陽と真姫。
「お、遅れてごめんなさい」
「三人でお昼済ませていたら、予想外に時間がかかったわ」
「三人とも待ってたよ~。さ、座って座って~」
名乗りを終えるやいなや、無駄に洗練された無駄のない無駄な動きで炬燵に入った凛を横目に、ことりに促され足を入れる二人。その前にそっと置かれるミカンと湯呑。
「それにしても、こうして皆でのんびりするのもなんだか珍しいね」
「いつも穂乃果ちゃんが何かしら持ってくるもんね」
「そういう希も偶に持ってきますけどね」
「えー、そんな事ないよ~」
ね、えりち。と横に座る絵里に同意を得ようとするも、絵里は何やら考え込む様子でそれには答えない。そんな反応に希はあれー、と笑顔のまま首を傾げる。
「いえね、よく考えると希が発端の騒ぎが二個三個探せばありそうなのよね」
「そう言われてみれば、あんたたちが部室に来たのって希が差し向けた事だったわね」
「えー、あれをカウントしてまうん? でもそんな事言うたらにこっちとの鬼ごっこはにこっちが原因やん」
「あれは追われた立ち場だから、寧ろ私が被害者な気がするんだけど?」
「あの時にこちゃんを追いかけ始めたのって誰だっけ?」
花陽の言葉に一斉に当時の記憶を呼び起こすにこを除いた七人。そして同時に思い至ったのか、一斉に口を開く。
『誰だっけ?』
「ちょおおおおい! なんで誰も覚えてないのよ! この中でもしっかりしてる海未か絵里ぐらいはせめて覚えていなさいよ!」
「だ、だってあの時自然と後を追うって結論に至ったし」
「そ、そうです。だいたいいつもこういう事を言う希や穂乃果が発案ではない事は覚えているのですが、なぜか誰が発案したのか、覚えていないのです! 私は悪くない、私は悪くないです! そう、全部先生がやれって」
「いや、別にそこまで責めてる訳じゃないから、少しは落ち着きなさいよ。別次元入ってきてるわよ」
うがー、と頭を押さえる海未を落ち着かせるにこ。その横では、もうその話題は終わったとばかりに別の話を始める面々。
「それにしてもここまでゆっくりしてていいの? 全員、とまでいかなくても、何人かは予定あるんじゃない?」
「それについては私が答えるわ!!」
真姫の言葉を待ってましたとばかりに天井から降り立つ黒い影。突然の来訪者に一同そちらに視線を奪われる。
「クックック、さぁ恐れ戦きなさい! 堕天使ヨハネ、ここに降臨!!」
「あまりにも早い着地! うちじゃなきゃ見逃してまうね!」
「……えっと、脚、大丈夫?」
決めポーズと共に立ち上がる堕天使ヨハネこと津島善子だったが、着地で痺れたのか脚が少しばかり震えている。
「フッ、心配せずとも私は堕天使。自動回復が働いてるわ。つまり! これくらいどうってこともにゃいわ! ……ないわ!」
「あ、噛んで言い直した」
「えっと、取り敢えず座る? 脚大丈夫じゃないでしょ?」
「ミカンもありますよ」
「優しさが逆に痛い!」
まるでダメージを受けたかのようにオーバーリアクションで胸を押さえるも、そのままいそいそと炬燵に入り湯呑とミカンを受け取る。
「それで、あなたは何か知ってるの?」
「モチのロン! 私の千里眼[A]をもってすれば見えぬものなどあんまりないわ!」
「あんまりなんだ」
「それは私たち、否、今この現状の説明にも繋がりえること」
「今と現状で重複しとるやん」
「その真理とは!」
「とは?」
「何やら外界で祭事が行われてるとの事で、我ら一同様々な神の手によって起こされるであろう波乱万丈な数日の中、せめてのこの日だけは僅かばかりな休息を
善子が一息に言い切りお茶を飲むと、途端に訪れる沈黙。
それは善子の言っていることを何とか理解しようとする者、途中から思考が追いついていない者、始めから聞いていない者、すでに話そっちのけでミカンを食べていることりとそれぞれが黙っているのである。
そして何とか理解しようとした絵里がつまり、と口を開く。
「この数日間私たち、言い方からしてヨハネさんのお仲間も忙しいから、今日くらいはゆっくり休んでねって事でいいのかしら?」
絵里の確認に無言で頷く善子。その時、どこからともなく現れた二人の少女が善子の襟首を掴む。
「あ、善子ちゃんここにいたずら!」
「あ、どうもすみません。うちのメンバーがご迷惑をおかけしました。ほら善子、皆の所へ戻るよ」
「げぇ! ずら丸に果南! どうしてここが!」
「はいはい。その話は後でね」
「失礼しました、ずら」
襟首を掴まれ、引き摺られるように連行されて行く善子を見送ったあと、まるで何もなかったかのようにそっと扉を閉める花陽。
「なんか……賑やかだったね」
「……そうね」
「なぜかどっと疲れたわ」
善子の登場から退場までのほんの数分、たった数分、されどその数分で謎の疲れに襲われ、机に頭を乗せる。態度に出さないまでも、他も疲れているのか、しばらく誰も何も話さず、お茶を飲む音と、ことりによる動物園の拡散だけがされた。そして鳥が十一段のピラミッドになった時、海未が口を開く。
「ことり、流石にそろそろ捨てましょう?」
「うん、流石に私も作り過ぎちゃったって思ってたんだ。あ、花陽ちゃんゴミ箱取って~」
「はい、どうぞ」
「ありがと~」
「それにしても大分作ったわね。これ全部ことりが食べたの?」
「ううん、海未ちゃんの分も入ってるよ」
上から一つずつゴミ箱に入れながらことりが答える。
「凛は先ほどから何を読んでいるのですか?」
「えっと、他の参加者さんたちの小説を読んでるにゃ」
「ほかのさんかしゃさんたち? また奇妙な名前の人がいるんですね」
「今の海未ちゃんのことば、この人にだけは言われたくないやろなぁ」
「名前に関しては大分ふざけてるものね」
「私の悪口ですか!?」
「ちゃうちゃう。ほれ、海未ちゃんあ~ん」
少しばかり動揺する海未は希から差し出されたミカンを食べ、お茶を一口飲み落ち着く。
「それでなんの話でしたっけ?」
「もしえりちがとあるマフィアのボスだったら」
「洗脳うけそうですね。あとオレンジ色のおしゃぶりとか持ってそうです。白い帽子とか被って」
「なんでそんな具体的なの!?」
「いえ、なんとなく」
海未のあまりにも具体的な想像に驚く絵里。そして今日何度目かの勢いよく開け放たれる扉。
「こんなタイミングで私がっ! 到着!」
「そして私も来ちゃいました!」
「脈絡なさすぎでしょ! ていうかもう一人は誰よ!」
「私です!」
「だから誰よ!」
「「誰だ?」て聞きたそうな表情してますので自己紹介させてもらいますが、私はスクールアイドルの高海千歌!」
「なぜだかすごくイラッとするんだけど?」
「まぁまぁにこ落ち着きなさい。千歌さんだっけ? 立ってるのもなんだから、ここに座ってお茶でも飲んでお話しましょう」
「ようこそ……「スクールアイドル」の世界へ……」
「あんたら、いい加減にしないと怒られるわよ」
にこが握りこぶしを作った事で大人しく炬燵に入る穂乃果と千歌。絵里と希は内心テンションこそ高かったものの、炬燵に入ったまま菓子受けに入っている煎餅の袋を開けていた。
「それで穂乃果はどうして遅れたんですか?」
「えっとね、早々に私がいてもなんだかなぁっていう神の陰謀と、特に理由のない遅刻が私を襲ったから?」
「つまり分からない、という事ですね」
「あ、でもでも! 来る途中で千歌ちゃんと会って、意気投合してたらこんな時間にって」
「はい! それでどうせ行先同じですし、一緒に行きませんかって話からこうなりました」
ビシィ! と敬礼をして続ける千歌。
「まぁ私たちが到着って事は話すネタが無くなったって事なので」
「え、待って。もう終わるの? なら急いで片付けないとじゃない!」
「そういう事ならもっと早く言ってよね!」
千歌の突然の告白にバタバタと慌てて散らかしたゴミなどを片付け始めるも、そんな様子を無視する穂乃果と千歌。
「そんな訳で! ゆっくり休んだところでラストスパート!」
「皆張り切っていくよー!!」
「もしかしたら『μ's』じゃなくて『Aqours』の話かもしれないけど、そうだったとしても面白いのは請け合いです!」
「「楽しみにしててね!!」」
《名前はまだ無い♪さんより》
もう企画も終盤。これまでのお話は素晴らしい作品ばかりでしたね。この後に控えている作家さん達も自分よりも面白おかしい楽しい話を投稿すると思います。
自分は次話からも一読者として楽しみにさせて頂きます。
ありがとうござました。