エンドスタート   作:まゆう

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リハビリ代わりの番外編を書いてみました。
キャラが迷子で読みにくいと思いますが良ければ楽しんでいただければ幸いです。

エタらないで本編も少しずつ進めていきたいと思いますので、よろしくお願いします!


番外編
篠宮束と彼女の初遭遇


「ふぁ〜〜」

 

 防衛任務も休みでさらに学校も休みとあって10時過ぎまでたっぷり睡眠を取って、朝食と昼食を一緒にして食堂でご飯を食べたおれはいつものようにランク戦ブースへと足を運んでいた。

 いつもなら誰かしら適当な相手を見つけてランク戦に入り浸る所だけど今日のおれはしっかりと目的がある。

 

 その目的は、期待の新人の実力を確かめることだ! 

 

 つい先日ボーダーの入隊式が行われて新たにそれなりの数のC級隊員がおれたちの仲間に加わった。

 初めは全員一律1000ポイントから始め、訓練やソロのランク戦で鎬を削りならが正隊員になる為に必要な4000ポイントを目指すことになる。

 だけど、その中にも例外がある。

 

 入隊試験を終えて受かった訓練生は正式入隊日まで仮入隊という形で訓練を行うことができる。その中でも才能を認められた隊員には初期の1000ポイントにある程度のボーナスがつく。

 本来なら多くても1000程度のボーナスなんだけど、今回噂になってる訓練生の初期ポイントは3600、しかも同い年。

 

 これは是非とも実力を確かめたい! というわけでおれはソロランク戦ブースを目指しているわけだ。

 

 ランク戦ブースに到着し少し周りを見渡すとおれのよく知る映画大好き攻撃手の先輩がいた。

 

「荒船さ〜ん、こんにちは〜」

 

「ん? あぁ、篠宮か。元気だな」

 

 この人は荒船哲次さん理論を組み立ててマスターランクまで到達した理論派攻撃手だ。面倒見も良くてたくさんの人に慕われてる。弱点は全く泳げないことと、犬が苦手なこと。どっちもかなりの重症でその時だけはとても情けないことになるのも慕われる一因な気がする。

 

「もちろん元気だよ! それでさ、荒船さんはあのこと知ってる?」

 

「あのこと? あぁ、あれか。超有望な訓練生の話か」

 

「そう! それそれ! 誰だかわかる?」

 

 荒船さんも噂はしっかり把握してたらしくすぐにおれの話を理解してくれて、ブース前の人だかりを指差した。

 

「どうやらあの人だかりらしいぞ。さっきまでランク戦を見てたがなかなかの実力だった」

 

「へぇ〜、荒船さんがそう言うなら期待できるね! ちょっと行ってくる!」

 

「あ、おい篠宮!」

 

 荒船さんの呼び止める声を無視しておれは人だかりに向けて走って行った。

 

 人混みをかき分けて期待の訓練生を視界に収めたときの第一印象は「随分綺麗な子だなぁ〜」だった。ボーダーの女性は桐絵とかを筆頭に綺麗な人が多いけどこの子は見劣りしないくらいには綺麗な顔立ちだった。

 もっとも少し吊り上がった目から何というか生意気そうな感じがびんびんと感じられたんだけど。

 

 まぁ、なんにせよ今回のおれの目的はこの子なわけでとりあえず声を掛けないといけない。

 

「初めまして! おれは本部所属のソロのA級で篠宮束、多分君と同じで中学2年だ! よろしくな!」

 

 そう言って彼女に向けて手を出すと、目の前の女の子は「……A級」と小さく呟いてからおれと目を合わせて自己紹介をしてくれた。

 

「初めまして、私は木虎藍。よろしく、篠宮くん」

 

 木虎が出した手を取ってくれたのでそのまま握手をして数回腕をブンブンと振ってみたがどうやら木虎にはお気に召さなかったらしくてを振り払われてしまった。

 

「急に何をするのよ!」

 

「いやぁ〜、ごめんごめん。ついついね」

 

「はぁ、それでA級隊員が何の用かしら。わざわざこんなことをしに来たわけじゃないでしょ」

 

「お、話が早くて助かるよ。ここでさポイントの増減が無ければ正隊員とも模擬戦できるの知ってる?」

 

 このランク戦ブースではC級隊員同士、正隊員同士で模擬戦を行うとポイントの増減が発生するが、ポイントの増減を無くせば正隊員と訓練生でも模擬戦が可能だ。

 とは言え、訓練生が使えるトリガーの数はたった1つ。もし訓練生と模擬戦をするならトリガーの数は1つに制限すべきだしおれもそうするつもりだ。

 

「知らなかったけど、つまり貴方は私と模擬戦がしたいということよね?」

 

「その通り! おれのメインはスコーピオンなんだけどこっちもスコーピオン1つでやるから戦おう! 入隊した時点で3600ポイントも貰った君の実力が知りたいんだ」

 

「そうね、同い年とはいえA級隊員と戦えるならいい機会だわ。ぜひ、お願いするわ」

 

「よしきた! それじゃあおれは105に入るからよろしくな!」

 

「ええ、こちらこそ。それと、別に他のトリガーも使っていいわよ」

 

「う〜ん、まぁ考えてはおくけど。多分必要ないんじゃないかな?」

 

 才能があると言ってもまだ訓練生。それに対しておれは3年間ここで自分の強さに磨きをかけてきた。スコーピオン1つだけでも訓練生に負けるつもりもないし、他のトリガーを使って公平性を蔑ろにするつもりもない。おれにとっては当然のこととして答えたつもりなんだけど、どうやら木虎はそうは受け取ってくれなかったらしい。

「必ず使わせるから!」と、そう言って怒りながらブースに行ってしまった。

 俺がやってしまったか、と思い呆然としていると

 

「まぁ、見た感じ気の強そうなやつだしな。とりあえず俺も楽しみにしてるからいい戦いを見せてくれ」

 

 そう言って荒船さんが頭に手を置きながら声をかけてくれた。

 

「了解です。負けるつもりはかけらもないですから!」

 

 おれはそう荒船さんに言い残して指定したブースへと入っていった。

 

 

 

 ・

 

 

 

「ん? おぉーカゲ、ランク戦でもしにきたのか?」

 

「なんなんだよ、この人だかりはよぉ」

 

 ランク戦室のロビーに入ってきた見慣れたボサボサの髪を見つけて荒船が声をかけると、いつものごとく粗野な口調で影浦が人混みを睨みながら返事をした。影浦はサイドエフェクトの影響であまり人混みを好まないのでいつもに増して刺々しい。

 

「見ろよ、今篠宮と今季入隊の有望株が模擬戦してんだ」

 

「なんであいつがわざわざ訓練生なんかと模擬戦してんだよ」

 

 影浦からすれば訓練生なんて相手するだけ無駄な雑魚の集まり。偶にできるやつもいるがわざわざそいつと模擬戦をしようとは思わないだろう。自分と近しい実力である束がわざわざ訓練生と模擬戦をする理由がわからなかった。

 

「まぁ、入隊した時点で3600ポイントが付いてて自分と同学年って事でどんなもんか気になったんだろ」

 

「3600だぁ、確かにそりゃなかなか見ねぇがボロカスにやられてんじゃねぇか」

 

 影浦の言う通りオーソドックスなルールである10本勝負でもう既に5本が終了し、束が5本を先取している。それも一方的に。

 

 6本目が始まるが木虎の拳銃(ハンドガン)から放たれるアステロイドは完全に射線が読まれ掠りもしない。そして束は弾丸を確実に避けつつしっかりと間合いを詰めている。

 

「確かに多少はできるやつみてぇだがこの程度ならたかが知れてるぜ」

 

 木虎は射線を読まれていることに早い段階で気付き、それに対応する工夫もしているがこの場合は束がうますぎた。束の機動力はボーダー随一、それはたとえ機動戦用のオプショントリガーを使えなくても変わらない。

 変幻自在のアクロバティックな動きに木虎は対応しきれていない。

 

「まぁ、いきなり篠宮のあの動きについて行けってのはだいぶ酷だろ」

 

「はっ! だとしてもこれじゃああいつの期待は満たされねぇだろうよ」

 

 そう行っている間にも束のスコーピオンが木虎のトリオン供給器官を刺し貫き6本目が終了する。このまま模擬戦が続くなら間違いなく影浦の言う通り束の期待は裏切られることになるだろう。

 

 だがそうはならない、彼女は木虎藍。

 

 1年後、A級5位嵐山隊のエースとなり篠宮束の良き友人に、そして好敵手とも呼べる存在になる少女だ。

 

 

 

 ・

 

 

 

(くっ、いくらA級と言っても同い年。まさかこんなに差があるなんて……)

 

 木虎には屈辱と焦りがあった。ボーダーへの仮入隊で才能を認められポイントに大きなボーナスをもらい、入隊後最初の訓練でも歴代で最速の記録を叩き出した。正隊員達にも褒められ、エンジニアや上の人達にも声をかけられる。

 調子に乗っていない、そう言えば嘘になるだろう。訓練生にも自分と同じくらいできる隊員はいなかったし、正隊員の模擬戦を見ても自分よりも動きの悪い人も多くいた。

 

 だからこそ、束に声をかけられたとき思ってしまった。「A級とはいえ同い年ならきっと自分でも勝てるだろう」と。

 

 蓋を開けてみれば大きな間違いだった。ここまで8本を終えて木虎の勝ちはゼロ。最初からここまでずっと圧倒され続けている。正式に入隊してまだ一週間程度とはいえ、木虎は自信を粉々に砕かれた気分だった。

 

(くっ、この動き……。同じトリオン体の筈なのに動きが全く違う!)

 

 今も木虎は動きを予測して偏差射撃を繰り返している。恐らく正隊員でもこの銃撃を完璧に回避できるかと問われれば難しいと答える隊員の方が多いだろう。

 

 だが、篠宮束はそれをやる。

 

 ボーダー随一の機動力、そして間違いなくボーダー最高の身体操作能力、最後に3年間の研鑽、それが合わさってこそのボーダー攻撃手ランク第4位、篠宮束だ。

 

 束が木虎の拳銃を蹴り上げる。

 

「くっ!」

 

 木虎は蹴り上げられた勢いも利用して後ろに下がる。ここまでの戦いで束の間合いは把握している。まずは距離をとってそこから立て直そうと考えたが、その後は訪れなかった。

 

「まだこれは見せてなかったよね。そこも間合いだよ」

 

 木虎の首が落ちる。

 

(今のは……なんて速さなの……)

 

 瞬間的に伸縮した鞭のようにしなるスコーピオンの高速斬撃が木虎の首を落としたのだ。

 

「やっぱり、他のトリガーはいらなかったね」

 

『戦闘体活動限界、木虎ダウン』

 

 木虎の体が緊急離脱用のベッドに落ちる。そのタイミングでブースに束から通信が入った。

 

「実力は大体把握できたかな。充分強かったし、すぐ正隊員になれると思うよ。でも、多分おれには勝てない。まだやる?」

 

 束にとってはもともと勝てて当然の勝負だ。同じトリガー1つの制限があっても訓練生に負けるわけにはいかない。とは言え木虎が強かったのも事実だった。結果で見れば圧倒してるのは束だが木虎はしっかり束の動きを把握し、対応していた。

 

「私はどうやら思い上がってたみたいね……。ありがとう篠宮くん、感謝するわ。……その上で、最後まで戦って欲しい」

 

 ここまでの戦いで束の実力は充分わかった。トリガーを1つしか使ってない以上本来の実力はさらに高いだろう。

 それでも、負けっぱなしでは終われない。

 

 木虎藍は負けず嫌いな少女だった。

 

 

 

 ・

 

 

 

「最後まで戦って欲しい」

 

 多分木虎には最初慢心があったんだと思う。A級とはいえ同い年のおれにならいい勝負、いや、「勝てる」ときっと思っていたんだろう。実際まだ正式入隊から一週間程度だったけど木虎の実力は高かった。すぐにでも正隊員に上がれるだろうし、現状でもB級下位とならいい勝負どころか勝つこともできるだろう。

 

 それでもここまでおれ相手に9連敗。それも木虎の対応も踏まえた上でそれを圧倒するような戦い方をした。いくら才能があってもこの程度で心が折れるならその程度だと思ったからだ。

 

 だが、どうやら木虎の心はまだまだ折れてないらしい。むしろ、最後は必ず一矢報いてやる、そういう気迫が表情と言葉から伝わった。これは最後まで少しも油断はできない。

 

「わかった、やろうか。まぁ、負けるつもりはないけどね」

 

 その言葉を合図に仮想空間への転送が始まる。

 

 ある程度の間合いを確保した状態で転送され、先に動いたのは木虎だった。そして、その動きは完璧におれの意表を突いた。

 

 距離をとっての射撃、ではなく。木虎が選んだのは真正面からの突撃だった。

 

「いいね! 真っ向勝負は望むところだ!」

 

「真っ向勝負? そんなことしないわよ。勝てるわけないもの」

 

 射撃を絡めながら真正面からの突撃してきた木虎を迎撃するためにおれも片刃の形状でスコーピオンを生成し迎え討とうとした瞬間、木虎は斜め前方、つまりおれの真横に向かって一気に跳んだ! 

 

「それくらいじゃ意表はつけないよ!」

 

 その程度の変化で一本をくれてやるつもりはない、正面に振り下ろそうとしていたスコーピオンを振り下ろしの途中から真横への体ごと振り回す横薙ぎへと変化させる。

 

「この程度で有利が取れるなんて思ってないわ!」

 

 木虎を捉えるはずだった横薙ぎは木虎が当たり直前に全力で後方に跳んだことで空振りに終わる。そして、木虎はその動きの中でもしっかりと狙いをつけて射撃ができている。

 勢いのまま射線から離れ、スコーピオンを伸縮させる高速斬撃で木虎を狙うが木虎は前方に飛び込むことでこの斬撃を回避する。

 

「もう見抜いたのか。すごいね」

 

「こんな不恰好な回避しかできなかったわ」

 

 あの、高速斬撃を見抜けれる訓練生は恐らくいないだろう。一回くらっただけでそれを見抜き回避までした木虎は充分賞賛に値するはずだ。そして何より、木虎は戦い方を大幅に変えてきた。距離を取れる拳銃の有利を捨ててあえて接近戦で確実に弾丸を命中させるつもりだろう。

 あの距離のままではおれに弾丸は当たらないのだからいい判断だと言える。だがそれは木虎に接近戦に対応できる才能があってこそ。

 ここまでを見る限り木虎は充分接近戦も対応できそうだった。

 

「行くわよ!」

 

 もう一度木虎が突っ込んでくる。

 

「こっちも行くぞ!」

 

 そして今回はおれも同じタイミングで踏み出した! 

 

 木虎の銃撃を前に出ながら身体を揺らすことで回避していく。それに対して木虎はおれに当てるというよりどちらかというと動きを制限するような射撃に変えてきている。そのせいで大きく躱しながら前に出ることが難しくなった。

 木虎の狙いはゼロ距離射撃のはずだ、たしかにゼロ距離なら避ける避けないは関係ない。狙いがわかる以上距離をとって戦うこともできないことはない。でも、そんな考えで戦えば負けるのはおれだ。自分からしかけろ、相手の思惑も食い破って必ずおれが勝つ! 

 

 すでに距離はブレードの間合い。この間合いでは撃たれてから回避はいくらトリオン体の反射速度があっても間に合わない。射線を読み取り、そこに身体を入れないようにする。そして木虎が撃った、そのタイミングで深く身体を沈めそのまま斬り上げる!! 

 

 並の攻撃手なら避けられない一撃だったはずだが木虎はこれを身体を真横に晒すことで紙一重で避ける。そして、木虎は斬り上げた俺の左腕を掴みそのまま自分の方へと引っ張った! そのせいで不安定な姿勢だったおれのバランスが崩れ木虎の方へ倒れこむような形になる。

 

「くそっ!」

 

 倒れこむ前に崩れたバランスを掌握して右手に再生成したスコーピオンで首を狙って斬りかかるが、この一手は上半身を晒した木虎の首を浅く裂くに止まる。

 

 パンッ! パンッ!! 

 

 そして2発の弾丸がおれの供給機関を貫いた。

 

『トリオン供給機関破損、篠宮ダウン』

 

 ボスッ、そんな間抜けな音と共におれはブースの緊急脱出用のベッドに落ちた。最後、木虎は相打ち上等だったんだろう、だからこそあれだけ距離を詰めてきた。まぁ、結果は木虎の首は薄皮一枚裂かれた程度でおれは供給機関を撃たれて負けた。あそこで無理せずに一度しっかり立て直せば負けることは無かったかもしれないけどそれはおれの戦い方じゃない。なら、おれの戦い方を負けた9戦で頭に叩き込み最後に勝ちを拾った木虎の完勝だ。

 

 ブースを出ると目の前でカゲさんがにやにやとおれの方を見ているのを発見してしまった。ランク戦をする前はいなかったので多分途中でここに来て荒船さんあたりに声をかけられたんだろう。

 

「おい篠宮ぁ、負けてんじゃねぇか」

 

 わかるぞ、これはおれをおもちゃにしようとしてるカゲさんだ。だけど負けてしまったのは事実なので何も言えない。

 

 ぐぐぐ……、と唸っていると横から木虎に声をかけられた。

 

「篠宮くん」

 

「ん? どうしたんだ木虎」

 

 木虎は少し言い淀んだ様子を見せ、顔をしかめっ面にして一つ息を置いてから「ありがとう」とそう言った。

 

「お礼言われるようなことしてないよ。おれの方こそボコボコにして悪かった」

 

「いえ、いいのよ。むしろ本当にお礼を言いたいくらいなの。あなたのおかげで高くなりかけていた鼻を叩き折ることが出来たわ。最後の一本は本当に自分の自信にもなったし」

 

「まぁ、確かにおれに勝つつもり満々だったもんね、最初。まぁ、最後は一本取られた訳だけど」

 

 プライドの塊のように見えて自分に非があることは認めて頭を下げられるらしい。おれに迷惑をかけた訳でもないから別に何も言わなくたって良さそうなものだけど、きっと木虎は自分に厳しい性分なんだろう。そんなやつは割と好きだ。

 

「今度は正隊員になったら、貴方にまた勝負を挑むわ」

 

「もちろん、その時は受けて立つよ。次はパーフェクトだからな藍」

 

 手を差し出しながら言うと、木虎はおれが急に名前で呼んだことで少し面食らったみたいだけど「ふー」とため息をついて笑顔を見せながらおれの手を取ってくれた。

 

「ええ、次は絶対に負けないわ篠宮くん」

 

 こうしておれと藍は初めて出会い、初めてのランク戦を行ったのだった。

 

「それはそうと、藍はトリオンあんまり多くないみたいだし正隊員になったらスコーピオン教えてやるよ」

 

「……そうね、教えてもらえるなら教えてもらおうかしら」

 

 藍が正隊員になってからスコーピオンを教えた師匠はおれなのだと追記しておこう。

 

 

 

 ・

 

 

 

「篠宮くんの印象最初はこんなのじゃなかったのに」

 

 ラウンジで飲み物を飲みながら藍と話していたら急にそんなことを言われた。

 

「急になんだよ」

 

「ふと最初に会ったときのことを思い出したのよ。最初は少しふざけたところもあったけど同い年で実力もあって凄い人だって思ってたのに……」

 

 その言い方ではまるでおれがダメなやつみたいではないかと藍に文句を言えば、その通りでしょととてもありがたいお言葉を貰ってしまった。

 

「なんでおれがダメなやつなんだよ……」

 

「はぁ……、トリガーの私的利用に隊務規定違反、本部内で米屋先輩や出水先輩たちとトリオン体で大騒ぎ。ほんとに、こんな人だとは思ってなかったわ……」

 

 非常に疲れた様子を見せて、大変珍しいことに藍は机にうつ伏せにズルズルと沈んでいった。どうやら相当参ってしまったらしい。

 

「おれは藍の印象出会った頃とあんまり変わってないけどね」

 

「一応聞いておいてあげるわ」

 

 じろっ、とこちらを今にも襲い掛かりそうな眼光で睨みながら聞いてくる藍におれは笑いながら答えた。

 

「プライドが高くて自分に厳しい自信家のキレイな女の子、かな」

 

 藍はポカンとした後少し赤くなった顔を「バカじゃないの」と言いながら晒した。

 

 その後米屋先輩が空気をあえて読まずに赤くなった木虎を弄ったことで木虎の機嫌は更に下降していくことになるがそれはまた別の話である。

 




如何でしたでしょうか?よければ感想や評価どしどしお待ちしてます!!

次は本編を書く予定ですが番外編になったらすいません…
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