エンドスタート   作:まゆう

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第2話です。今回は束がプチ騒動を起こします。
長くなりそうなので2話に分けました。

1話もそうでしたが改行ミスってるので読みにくいと思います。すいません…。3話からは改善したいと思いますので、よろしくお願いします!


篠宮束のプチ騒動

「何をしてるの!あなたは!!」

 

  ここはボーダー本部内の食堂。今の時間は真昼間。そこにこんな怒鳴り声が飛んでくれば注目の的になるのは当然だ。

 

  しかもおれに怒鳴り散らしているこの女の子はボーダー内の有名人だ。

 

  つまりは、周りの視線がすごく痛い…。

 

「本当にあなたは何を考えてるの!もっとボーダー隊員としての自覚を持ちなさい!」

 

「いや、でもさおれの方がボーダー歴は長いんだぞ?木虎」

 

「言い訳しない!!」

 

「はい!すいませんでした!」

 

  こいつの名前は木虎藍。A級5位嵐山隊のエースを中学3年生にして務める凄腕だ。嵐山隊はボーダーの広報部隊も兼ねているので実は結構有名だったりする。そうじゃなくてもこいつくらい可愛ければどっちにしろ注目を集めてただろうけど。

 

「ちょっと!篠宮くん!話聞いてるの!」

 

「あ、ごめん聞いてなかった」

 

  さらに顔を真っ赤にしながらものすごい勢いで罵倒が飛んでくる。それをめんどくさいので聞き流していると、木虎の後ろから声がかかり、木虎は慌てた様子で振り返った。

 

「木虎、どうしたんだ?そんなに怒って」

 

「あ、嵐山さん!!」

 

「嵐山さん久しぶり〜、とっきー先輩に綾辻先輩も。あとついでにさとり先輩」

 

「久しぶりだな!篠宮!」

 

  嵐山隊の隊長を務める万能手、嵐山准さん。その抜群のルックスと性格でたくさんの人を虜にしているまさにボーダーの顔だ。

  実は弟と妹が大好きのブラコンシスコンだ。

 

「うん。久しぶり、束」

 

  嵐山隊の名脇役にしてバランサー、時枝充先輩。通称とっきー先輩。多分この人がいなかったら嵐山隊は回らない、サポート能力に定評のある万能手だ。

 

「束くん久しぶり〜」

 

  オペレーターの制服を着こなしたこの人は綾辻遥先輩。見ての通り嵐山隊のオペレーターにして才色兼備の高嶺の花。ボーダー内外に数多くのファンを作るとっても綺麗な先輩だ。

  完璧に見えるけど絵心だけはなぜかなくて、あの堅物であるボーダーの司令官である城戸政宗を瞠目させたらしい…。

 

「おれはついでなの!!」

 

  このどうしても3枚目が抜けてない人は佐鳥賢先輩。ツインスナイプという必殺技を編み出し、2丁の狙撃銃を操る変態狙撃手だ。おそらく世界広しといえど狙撃銃を2丁振り回す変態はこの人だけだ。

  嵐山隊のギャグ担当。

 

「それで、一体どうしたんだ木虎?」

 

  嵐山さんが改めてといった感じでいったん間を開けて木虎に問いかけた。

  これに答える木虎はまるでたいそう呆れました、という具合にひたいに手を当てて首を振る。

 

  そして一度おれを睨んでこう言い放った。

 

「聞いてください嵐山さん!!トリガーをなくしたんですよ彼は!!」

 

  つまりおれが怒られてたのはそうゆう理由だった。

 

 

 

 ・

 

 

 

  さて、おれがトリガーをなくしたのに気がついたのは今朝のことだ。

 

  朝食も食べ終わり、学校も防衛任務も全て休みだったからおれは暇を持て余してた。

  じゃあランク戦でもしに行こうと思い、いつものようにポケットにトリガーを突っ込もうとしたときだった。

 

  いつも置いてあるはずの机の上にトリガーが置いてないことに気づいた。

 

  これはまずいと思い部屋中をどったんバッタン大探し。

 

  結局部屋の中にトリガーは見つからず仕方ないので探してもらうことにした。

 

  ボーダーのトリガーには全てのトリガーに使用したかどうか、どこにあるのかを探知できる機能が付いている。

  つまりこの機能があれば、おれのなくしたトリガーを探してもらうことができるというわけだ。

 

  だけど、これを頼みに行くということは必ずおれの師匠の1人にバレる。確実に怒られる。

  でも、背に腹は変えられない。足取りは重いけどおれはボーダー本部長であり、おれの師匠にして恩人である、忍田真史に会いに行くことした。

 

「失礼しまーす、忍田さんいますか?」

 

  挨拶をしながら本部長室に入ると、目当ての人物である忍田さんと本部長補佐を務める沢村響子さんの他にもう1人いた。

 

  そう、おそらくなんらかの報告を忍田さんにしていたであろう木虎藍だ。

 

「どうしたんだ束?ここに来るなんて珍しいな」

 

「いや、ちょっとすこーしだけその、用事が…」

 

  チラッと木虎の方を見るとどうぞ、というように目配せしてきた。

 

  木虎に聞かれればああなることはなんとなくわかってたので聞かれたくなかったけど仕方なかった。

 

「その、トリガーなくしちゃいました!」

 

  本部長室の空気が凍りついた。

 

 

 

 ・

 

 

 

「そのあと沢村さんが司令室と連絡とってくれて、食堂にあるらしいってなって今に至ります」

 

  と、これまでの顛末を嵐山さんたちに語り終わる。木虎は心底呆れているというのを隠しもせずに大きなため息をつく。

  嵐山さんたちもこれには苦笑いだ。

 

「まぁ、なんにせよトリガーが見つかったならよかったな!」

 

「ですよね!トリガー見つかったんだからそれでいいのに、藍ったら口うるさいから」

 

「口うるさいってなによ!!あなたに自覚がなさすぎるの!」

 

  おれの言葉にさらに怒りを増幅させた藍は赤かった顔をさらに赤くしておれに向かって怒鳴り散らす。

  そしてさらに注目を集める悪循環。ゴリゴリ精神が削られる…。

 

「しかしまぁ、やることなすことぶっ飛んでるよね篠宮は」

 

「いや、さとり先輩には負けるよ!どこの世界に狙撃銃2丁持ってる狙撃手いんのよ」

 

「ツインスナイプは唯一無二だからね!」

 

  さとり先輩とおバカな会話を繰り広げてる横で何やら話していた様子の嵐山さんと藍だが、なんでですか!という藍の声がこちらまで聞こえてきた。

 

「どうしたの嵐山さん?」

 

「いや、仕事のことで木虎を探してたんだけどな、篠宮も木虎も楽しそうだし2人で遊んできていいぞって言ってたところだ!」

 

  いや、嵐山さんそんなこと言ったらそりゃ藍ツンツンしちゃいますよ。

 

  とはいえ、もう嵐山隊の中でそのことは決定してしまったようだ。

 

「じゃあ、またな2人とも!」

 

  嵐山さんの爽やかな笑顔とともに嵐山隊の4人は藍を置いて食堂から去っていく。

  藍は置いていかれたままぽかんとしてる。本当に置いていかれるとは想像してなかったんだろう。

 

「とりあえず飯でも食うか」

 

「はぁ…、そうねそうしましょう。お腹も空いたし」

 

「そりゃあ、あんだけ怒鳴り続けてたらなぁ」

 

  笑いながら言った言葉に帰ってきたのは無言のひと睨みと一発のげんこつだった。

 

  こいつ、おれが生身なの忘れてやがる…。トリオン体で生身を殴るんじゃねぇよ。

 

  トリガーを起動し、トリオン体に換装すると生身よりもはるかに強靭な肉体が手に入る。それで生身の人間殴るのは本来よくない。まぁ、藍もおれ相手でなければそんなことしないだろうけど。

 

  ちなみにトリオン体に換装した後生身の肉体はトリガーに収納される。

 

  失言を最初にしたのはおれだ。仕方なくため息をついて先に進む藍を追いかけた。

 

 

 

 ・

 

 

 

「藍も飯食うときは生身に戻すんだな」

 

「ええ、トリオン体のままだと太る可能性が大きいし」

 

  このトリオン体のまま飯を食べると太るというのが女性の隊員の中の問題の1つだ。

  トリオン体はすごいもんで、食べたものの栄養をほぼ100%還元できるので、食べれば食べる分だけ体に吸収されてしまう。

  さらに満腹感が薄れてしまうとなってしまえばいくらでも食べて止まらないなんてこともある。実際エンジニアチーフの寺島雷蔵はこれで太った。

 

  だから飯を食うときにはトリオン体を解除し生身に戻す女性隊員は割と多い。

 

  木虎は他人にも厳しいがそれ以上に自分にも厳しい。そんなやつのことだからきっと体調管理や体型維持も仕事の一つとして完璧にこなしていることを想像するのは簡単だ。

 

「まぁ、そうか藍だもんな」

 

「何よそれ」

 

「お前はすごいやつだなぁってことだ」

 

「な、急に何言いだすのよ!」

 

「本当のことだぞ?」

 

「な、え…」

 

  赤くなって俯いてしまった藍を見ながらおれは海鮮丼と麻婆豆腐という謎コンビのA級定食を消費していく。

  相変わらず不意に褒められるのが弱いやつだった。

 

  だいたい飯も食い終わり食後に飲み物を飲みながら、さてこれからどうしようかと藍に話を振る。

 

「こっからどうしようか。藍もお暇を出されたんだし暇だろ?」

 

「暇だなんてことはないわ。鍛錬に、暇を出されても仕事はある。何より勉強だってしなくちゃいけないし」

 

「はぁ、真面目だねぇ藍は。お前はもっと肩の力抜いた方がいいと思うぞ」

 

「あなたは抜きすぎなのよ。実力があるんだからもっとしっかりしなさい」

 

「なんだ、おれのこと認めてくれてんのかよ」

 

「ええもちろんよ。実力は、ね」

 

「けっ、可愛くねぇやつ」

 

「可愛げなんてなくたって別にいいわ」

 

「ですか」

 

  何度繰り返したかわからない不毛なやりとりを繰り返していると、またも藍の後ろ側から声がかかった。

 

  おそらくこの相手だったらおれの後ろから来てれば嫌な顔を隠そうとしないだろうと確信できる相手だ。

 

「お、篠宮と木虎じゃん。2人で食堂いんのは珍しいなぁ」

 

「どーもっす、陽介先輩」

 

「…米屋先輩…」

 

  おれは気づいていたので普通に、藍は面倒なところを見られたとでも思っているのかため息をつき、不機嫌なまま返事をした。

 

  この人は米屋陽介先輩。A級7位三輪隊に所属する槍の弧月を使う珍しい攻撃手だ。

  誰の教えも受けないで我流でA級まで上り詰め、初手で首をよく狙う通称妖怪首おいてけだ。

 

「陽介先輩も飯?」

 

「おぉ〜そうだ、隣いいか」

 

「どうぞ、どうぞ〜」

 

  おれの隣の椅子を引いて隣に陽介先輩をご案内する。おい、藍。その嫌そうな顔やめろ、仮にも先輩だぞ。

 

「んで、どうしてこんなことなってんだ」

 

  陽介先輩にことの始まりをきっちり説明してあげると、やはり爆笑している。

  この人は楽しいことが大好きだからな。こんなことになると思ってた。

 

「おいおい、そんなこえぇ顔で睨むなよ」

 

  藍の今にも人を殺しそうな視線を受けてビビる陽介先輩。まぁ、この人と生真面目な藍は性格が合わないからなぁ、なんて思っていると陽介先輩がある提案をしてきた。

 

「おれ、これから弾バカと緑川とランク戦の予定なんだけどお前らくるか?」

 

「なんで私が、嫌で「やります!」す」

 

「よし、決定!んじゃいこーぜ」

 

  藍が断る前におれと陽介先輩で決定させてしまう。こうすればなし崩し的に藍は連れて行くことは可能だ。

  なんだかんだ言ってこいつ押しに弱いからな。

 

「はぁ…」

 

  ため息をつきつつもう藍は行かないなんて言わない。これで俺たちのこれからの予定は決定だ。

 

 

 

 ・

 

 

 

  陽介先輩が食い終わるのを待っておれたちは3人でランク戦ブースまで歩いて行く。

  はっきり言ってこの3人で歩くのはすごく目立つ。なんせA級隊員が3人、さらにはこの3人でつるむことがまずないときてる。

 

「目立ってんなぁ。まぁ、そりゃそうか」

 

「この3人で本部の中歩き回るとかまずないですからね」

 

「はぁ、ますます嫌になってくるわ」

 

「まぁ、いいじゃねぇか。藍もみんなとランク戦しろよ。好きだろ駿」

 

「ちょっと、その言い方やめてもらえる!?」

 

  陽介先輩の約束していた相手の1人緑川駿はおれと藍の一つ下。つまり後輩だ。

 

  藍は後輩から尊敬されるのが好きで、ついでに年上からは認められたい欲求が強い。

 

「お、もうあいつらいんな〜」

 

  ブースに着くともうすでに陽介先輩と待ち合わせていた2人がいた。

 

「おっせぇぞ槍バカ!てか、なんで木虎と篠宮いんだ?」

 

  この人はA級1位太刀川隊に所属する凄腕の射手である出水公平先輩。通称弾バカだ。

 

 射手というのは銃手と違い銃を使って弾を打ち出すのではなく、直接弾を打ち出すポジションだ。威力、弾速、射程を調節したり、トリオンキューブを自在に分割して射出することのできるポジションだ。

 

「あれ?束先輩と木虎ちゃんじゃん!なんでいるの?」

 

  こいつは緑川駿。A級4位草壁隊の攻撃手であり中学2年生でA級所属する凄腕だ。

  おれと同じスコーピオン使いでよくランク戦もやるし、部屋にも遊びに来てくれる可愛い後輩だ。

 

 ちなみにこの2人と陽介先輩の3人合わせてA級3バカと呼ばれることもある。

 

「さっき食堂で会ってよ〜、連れてきた」

 

「よっす、出水先輩、緑川!」

 

「どうも、緑川くんは久しぶりね」

 

「おい、木虎扱い違いすぎだろ」

 

  基本的に藍は年上にはツンツンしてるから仕方ない。だからよく可愛くねぇな、なんて言われてるんだけどな。

 

「これで5人だしもう1人連れてきたらチーム戦出来るね」

 

「おっ、確かになぁ。誰か捕まるかなぁ〜」

 

「誰かしらはつかまんだろ」

 

「そうだね!このメンツなら最低でもマスタークラスだといいけど!」

 

  マスタークラスというのはトリガーのポイントが8000点を超えることだ。トリガーのポイントは4000を超えるとB級に上がることができ、8000を超えるとマスタークラスと呼ばれ一つの区切りになる。

 

  さて、ツンツンしてる藍は置いておいて4人でだれか探しているとこちらに声をかけてくる子がいた。

 

「こんなに集まってどうしたんですか?束先輩?」

 

「おっ!双葉!ちょうどいいタイミングだ!」

 

  この子は黒江双葉。A級6位加古隊の攻撃手であり、最年少のA級隊員だ。

  ちなみに駿は幼馴染であり、山の中の分校に通っていた元野生児だ。

 

「え?どうしたんですか?」

 

「これでチーム戦できるな!!」




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