エンドスタート   作:まゆう

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長くなりそうな予感したし切りがよかったので、前後編に分けました!

ついに約2年ぶりの新刊きましたね!スクエアに移籍もすんで毎月楽しみです!


篠宮束と玉狛支部①

「あれ?束じゃない。なんで玉狛にいるの?」

 

「おっす、桐絵。迅さんに呼ばれてちょっとね」

 

 今日おれは学校終わりにボーダーの支部の1つである玉狛支部に来ていた。

 

 そして、支部のリビングに入ってきたのは髪を腰ほどまで伸ばした見た目だけは綺麗な女の子だ。小南桐絵、玉狛所属のA級隊員で攻撃手ランク3位につけている人物だ。ちょっと、信じられないくらいに騙されやすかったりするのが面白いのでよくいじられている。

 

「てか、あんたいい加減私にも先輩をつけなさいよ」

 

「桐絵は桐絵でしょ。もう今更直んないよ」

 

 桐絵とおれはおれがボーダーに入隊した頃からの付き合いなので四年くらいになる。当時のおれはいっぱいいっぱいで周りに当たり散らすこともよくあった。そんなおれを変えてくれた1人が桐絵だ。

 おれがこの人を桐絵と呼び続けてるのはその時の名残だ。

 だいたい桐絵もA級1位部隊の隊長である太刀川慶(20)を呼び捨てなんだから人のこと言えないはずだ。

 

 桐絵がムキーっ!となって地団駄を踏んでいるがあえて見ないふりを敢行して、テレビを見ているとまたガチャリとドアが開いた。

 

 出てきたのはカピバラに乗ったお子ちゃまだ。

 

「お〜たばね、ひさしぶりだな。今日はどうしたんだ?」

 

「おう、陽太郎久しぶり。迅さんに呼ばれたんだよ」

 

 このお子ちゃまは玉狛のS級お子ちゃま隊員、カピバライダー林藤陽太郎だ。

 乗っているカピバラは雷神丸、玉狛のペットだ。こいつを陽太郎と桐絵は犬だと思っている。どう見ても少なくとも犬ではないと思うんだけど…。

 

「ほう、じんが。なんのようだ?」

 

「わかんないけどなんとなく予想はつくよ」

 

「どうせまた玉狛に入れってことでしょ?」

 

「うん。多分ね」

 

 迅さんはここ最近何度もおれを玉狛に来るように説得している。あの人がやることなら間違いなく意味があるんだろうけど、今のところおれはそれを断り続けている。

 

「たばね!たまこまにくるのか!」

 

「今のところはこっちに移動する気はないかなぁ」

 

「そうか…、ざんねんだ…」

 

 本気で残念そうな顔をしてる陽太郎の頭を撫でながらあやしてやっているとまた扉が開いた。

 

「ん、束もう来てたのか。迅はもう少しかかるぞ」

 

 この人は木崎レイジさん、玉狛の筋肉だ。生身の訓練を大事にする人で、トリオン体を動かすのは生身の感覚だから生身でしっかり動けるようになれば、トリオン体ではさらに動けるようになると言われて何度も一緒に訓練させてもらってる。

 

「おう、久しぶりだな束」

 

 この人は烏丸京介先輩、通称とりまる先輩だ。嵐山さんと並んでボーダー内にファンをもつモサモサしたイケメンだ。弟妹が多く、バイトを掛け持ちし家計を支えてるすごい人だ。

 

「レイジさん、とりまる先輩!久しぶり!」

 

「なんでとりまるには先輩なのよ!!」

 

「そりゃあ実はおれが小南先輩よりも年上だからですよ」

 

 あぁ、またやったよとりまる先輩。桐絵を1番おもちゃにしてるのは間違いなくこの人だ。

 

「えっ!そうだったの⁉」

 

 この人もこの人でなんで信じるんだそんな明らかな嘘。ほんとわざとやってるんじゃないかって疑ってしまうレベルだ。

 

「嘘に決まってるでしょ。毎回毎回騙されすぎだよ」

 

「なっ、騙したわねぇ!!」

 

 桐絵が何故かヘッドロックをおれにかけようとしてくるのでそれをスルッとかわす。

 

「毎回言ってるけどそれおれじゃなくてとりまる先輩にやるべきだから」

 

「いや、俺も勘弁してくれ」

 

 ヘッドロックを避けられ、からかわれた桐絵はさっきに輪をかけてムキーッッ!!としてるがそれも慣れたもので陽太郎も含めて全員がスルーだ。

 

「あ、そうだ。レイジさん、お土産キッチンに置いておいたからよかったら食べてください」

 

「ああ、毎度悪いな束。迅と宇佐美が来るまでお茶にしよう」

 

 レイジさんが入れてくれたお茶を飲みながら、おれが持ってきたいいとこのどら焼きを机を囲んでみんなで食べる。

 

「そういえばこの前木虎たちとチーム戦してたんだな」

 

「あれ?なんで知ってるの?」

 

「偶然ログを見つけたんだ。珍しいメンツだったからな」

 

「え?なにそれ!私も見たい!」

 

「うむ、おれもたばねの戦いを見たいぞ!」

 

「端末から見れるだろ、自分で見ろ」

 

 レイジさんからボーダーから支給される端末を受け取り、そこにこの前やった4対4のチーム戦の映像を取り込んで桐絵と陽太郎の2人で食い入るようにその映像を見てる。

 

「今日は飯は食って行くのか?」

 

「うん、ついでに泊まってけって林藤さんが」

 

「そうか、束の部屋はいつものとこのはずだからあとで布団を出しておこう」

 

「ありがとう!レイジさん!ところで今日のご飯は?」

 

「私よ!」

 

「つまりカレーってこと?」

 

「なによ、カレーで悪いわけ?」

 

「いえ、まったく!桐絵のカレーは美味しいです!」

 

「ええ、そうでしょうとも!」

 

 そうドヤ顔で起伏の乏しい胸を張る桐絵に呆れ気味の表情のおれたち。

 桐絵はカレーしか作れない。まぁそのカレーはとても美味しいんだけど、桐絵が玉狛の夕食当番の時は常にカレーだ。

 一度カレーを褒めようものならおれの部屋に3日連続でカレーを差し入れられた時は流石に引いた。

 

 味はとても美味でした。

 

 その後のランク戦でおれは初めて桐絵から勝ち越すことができたのだけどそれはまぁ別の話だ。

 

 

 

 ・

 

 

 

「ごめーん、もうみんな揃ってるね」

 

「まだ、迅さんも林藤さんも帰って来てないよ宇佐美先輩」

 

「そっか〜よかったよかった」

 

 この人は宇佐美栞先輩、玉狛支部所属のオペレーターで元々は本部で現A級3位の風間隊のオペレーターをしていた人だ。

 ボーダー内でメガネ人口を増やそうとしていておれも何度かメガネを勧められた。別に目が悪いわけじゃないのに。

 

 宇佐美先輩が帰って来てから少ししてやっとおれを呼び出した張本人が帰ってきた。

 

「いや〜悪いな呼び出しといて」

 

「ほんとだよ迅さん」

 

「悪い悪い、実力派エリートは大忙しでな」

 

 この自分のことを実力派エリートとか言っちゃう人がおれを呼び出した張本人。玉狛所属のS級隊員、迅悠一だ。

 

 S級というのはボーダーの中でもたった2人しかいない特別なトリガーに使うことが許された隊員だ。

 S級が使うトリガーはブラックトリガーといって、俺たちの使うノーマルトリガーとは段違いの出力を誇る。だけどこのトリガーは優れたトリオン能力者が自分の持つ全トリオンを注ぎ込むことで自分の命と引き換えに作り出すことができるトリガーだ。だからなのかこのトリガーにはトリガーになった人の意思が反映され使い手を選ぶ。使えない人は起動すらもできないのがブラックトリガーだ。

 もっともこのトリガーはトリオン能力が優れているからといっても必ずしも成功するわけではないので、余程のことがない限り進んで作ろうとすることはない。だからこそ希少で強力無比なトリガーだ。

 

「さ、迅もきたことだしご飯にしましょう。束、出すの手伝いなさい」

 

「はいはい。おれお客さんなはずなんだけどなぁ」

 

「いいから、動け!」

 

 桐絵に急かされて仕方なくカレーの用意を手伝うこと数分、リビングには美味しそうな匂いを漂わせるカレーが全員分並んだ。

 

「ボスから先に食べてていいって連絡来てるし食べちゃいましょ」

 

 桐絵の言葉で全員がそれぞれいただきますと口にしてカレーに手をつけ始める。

 

「どう?」

 

「うん、相変わらず桐絵はカレーだけは上手いね」

 

「カレーだけってどうゆうことよ!」

 

「だって桐絵カレーしか作れないじゃん!」

 

「おいお前ら、落ち着いて食え」

 

 桐絵がまたまたムキーッとなったがレイジさんの鶴の一声で渋々といった様子でカレーに集中した。

 

「あ、そうだそうだ。なぁ束、何度も言うようだけどお前うち来ないか?」

 

 カレーをある程度食べ進めたタイミングで迅さんが恐らく今日の本題であろうことを聞いてくる。

 

「意外ね、あんた、束と2人でその話するのかと思ってた」

 

 桐絵の言った通りおれも2人で話すものだと思ってたけど…。

 

「ああ、まぁそのつもりだったんだけどさお前らにも聞いといて欲しかったんだ」

 

「俺たちにも関係のある話ということか?」

 

「そこはまだわかんないんだけどね。可能性はあるよ」

 

「迅さんならおれの答えが変わらないことはわかってるんじゃない?」

 

「まぁ、な」

 

 一拍おいて迅さんは険しい顔つきになって再び話し始めた。

 

「束、この話するかは迷ってたんだけど行った方が良さそうだから言っておく。みんなも聞いてくれ」

 

 こうゆう雰囲気の迅さんは大事な話のときだ。とても、大事な話だ。

 

 普段はへらへらふらふらしてる人だけど実はとてもとても重いものを背負ってみんなを守るために戦ってくれていることをおれだけでなくみんなが知っている。

 

「そう遠くないうちに近界民の大規模な攻撃がある」

 

 一瞬目の前が真っ暗になった。呼吸が荒れる。隣で心配してくれている桐絵の声が遠くに感じる。

 

 蘇るのは四年ほど前の記憶だ。

 

 空が真っ暗に染まってそこから見たことも無いような怪物たちが出てきて街を潰していった。

 日頃の行いが悪かったのか、運が悪かったのか、何が悪かったかなんて今となってはわからない。

 結果として、おれの家族はみんな死んでしまったんだから。

 

 火の手から逃げる人を見た、瓦礫から手を伸ばす人を見た、その中を一人で必死に逃げるおれを覚えてる。

 

 祖母も父も母も姉も妹もみんな死んでしまった。力がなかった、助けるための力が。林藤さんと忍田さんに助けられて戦うための力をもらった。それでもたまにおもってしまう、あのときおれも一緒に死ねたら、と。

 

「束!しっかりしなさい!」

 

 フッと、目の前に元の景色が戻ってきた。息が荒い、心臓は自分のものではないみたいに速く脈打っている。一体どのくらいの時間こうなっていたのだろう。状況がほとんど変わっていないから恐らくほとんど時間は経っていないだろう。

 

「ハッ、ハッ、ハッ…ふぅ…。ごめん、桐絵ありがとう。もう大丈夫だよ」

 

 おれの肩の上に心配そうに置かれた桐絵の手をどかす。突然のことで動揺してしまった。吹っ切れた気でいてもまだまだちっとも吹っ切れていないみたいだ。

 

「ちょっと、迅!あんたねぇ!」

 

「桐絵!大丈夫、迅さんのせいじゃない」

 

「それは、そうかもしれないけど…」

 

「続けて迅さん」

 

 おれのために怒ってくれてる桐絵には感謝しかないけどこれでは迅さんも続きを話せない。

 

「ああ、ごめんな束。少し性急すぎた」

 

「大丈夫だよ、気にしないで」

 

「ああ、悪いな。いつになるかは詳しくはわからない。けど、かなり大規模になる」

 

「その大規模侵攻とおれたちに何の関係がある?」

 

「ああ、ここからが本題だ。この大規模侵攻で束が敵に攫われる未来が見えた」

 

 今度は全員が時が止まったような感覚を味わった。

 




感想や評価お待ちしてます!

主人公の設定一応置いておきます!

主人公設定
篠宮 束 シノミヤ タバネ
中学三年生 ポジション 攻撃手 アタッカー
年齢15歳 誕生日 4月4日
身長163cm 血液型A型
家族構成 祖母 父 母 姉 妹
好きなもの 鍋 焼肉 家族 仲間
関係性
忍田さん、林藤さん←師匠
鬼怒田さん←部屋をくれた丸い人
風間さん←恩人
小南←恩人その2
太刀川←強いけどやばい人
木虎藍←仲間
緑川駿←可愛い後輩その1
黒江双葉←可愛い後輩その2
絵馬ユズル←可愛い後輩その3
パラメータ
トリオン 7
攻撃 11
防御・援護 6
機動 11
技術 9
射程 2
指揮 3
特殊戦術 5
TOTAL 54
TRIGGERSET
MAIN
スコーピオン
グラスホッパー
シールド
テレポーター(試作)
SUB
スコーピオン
グラスホッパー
シールド
バッグワーム

大規模侵攻直後から入隊した古株の隊員の1人。家族を全て失い、一人で逃げているところを林藤さんと忍田さんに助けられたことが縁でボーダーに入隊する。
入隊当初は家族を全て失ったショックから精神状態が不安定な状態にあったが師匠である林藤さんや忍田さん、風間さんや小南の影響で本来の明るさを取り戻した。
アタッカーとしてはグラスホッパーとテレポーターを併用する高速機動と変幻自在のスコーピオンで削り倒すヒャハー系アタッカーの1人。
スコーピオンの扱いは影浦に勝るとも劣らず日々影浦との模擬戦でその腕を磨いている。マンティスは2人が模擬戦している中偶然生まれた技の一つ。
家族を失った反動からかボーダーの仲間を特に大事にしていて、後輩への愛が深い。
ユズルを激しく後悔させた経験を与えた張本人。
鬼怒田さんの好意でボーダー内に自分の部屋を与えられており、入隊後からそこに1人で暮らしている。仲の良い隊員たちの溜まり場になっている。
数少ない一万越えのアタッカーでありアタッカーランクの4位に付いている。中学生の中では一番のポイントの持ち主。
実はスコーピオンだけでなく孤月もある程度使いこなしており、忍田さんから孤月の扱いを教わった純血統の孤月使い。最終的にはスコーピオンに落ち着いたが、今でも孤月を使ってランク戦をしたりしている。孤月を使ってもマスタークラスの実力者。
TRIGGERSET孤月版
MAIN
孤月
旋空
シールド
グラスホッパー
SUB
スコーピオン
シールド
グラスホッパー
バッグワーム
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