[IS]新宿のアーチャーの力を貰ったのでひと暴れする 作:才能ナシ
今回はオリキャラ(主人公の父親)、キャラの性格のわずかな乖離等が見られますのでご注意ください。
前回投稿した時、時間も時間なんで「どうせ誰も見てねぇからミスあったら投稿した後に直そう」と甘い考えをしていたら普通に100人ぐらい見ててびっくりしました。
もうそんなことがないようしっかり見直してから投稿したいと思います。
今回はたまたま時間ができたため執筆することができましたが、今後はこんなに早く投稿できないと思いますのでご容赦くださればと思います。
またお気に入り登録数25件とこんなに早くこんなに登録していただけると思っていなかったのでよいモチベーションにつながりました。本当にありがとうございます。皆様に楽しんでいただけるよう精進してまいりますのでよろしくお願いいたします。
原作キャラの一人称など相違がある場合はお手数ですが連絡を入れて頂ければと思います。
『先日報道した世界初の男性でISを起動させた…―』
テレビからは織斑一夏君のニュースの話題で持ちきりだ。当然といえばそうだろう、何せこの世界にとって絶対不変だった女尊男碑の根幹を揺るがす一大事件なのだから。
凡そ10年前の白騎士事件を目の当たりにしてから随分と長かった。いかんせん私も男性であるが故に街を歩いていると見知らぬ女から貶されるわ財布にされそうになるわとはっきり言って散々だった。原作でもこういった描写はなくはなかったが、正直ここまで醜悪なものだとは考えなかった。というか私は一夏君と同い年、つまりまだ中学生の段階だ。高校間近とはいえ子供の部類、そんな男をパシらせたり財布にしようとする大人って大丈夫なのか…まぁ、それは置いておこう。
原作でもそうだったのか、私という異物がもたらした変化なのかは記憶にないので定かではないが現在世界各国では女性至上の思想を持った政治家やテロが数多く蔓延っている。先日先進国ではイギリスが女性至上の思想を持った政治家が政権を掌握したというのだから恐ろしい。他の国でも、勿論日本でも時間の問題だろうという意見があるのだからたちが悪い。
そんな男性にとって絶望的な状況に降ってわいた織斑一夏という希望は大いに世間を賑わせた。何せ今まで男性はISを操縦できないという固定観念が覆ったのだ。そして何よりも、彼という例外が1人いたのならもしかすると他にもいるかもしれないという希望が生まれたことにより現在世界各国では男性のIS適性検査でてんやわんやといった状況だ。そしてその皺寄せは私が所属する「倉持技研」にも及んでいる。
「今日も今日とて男性のIS適性検査…正直言って無駄骨だとわかっているのがやる気を大きく削ぐなぁ。私が担当するのは関東地区に限るとはいえ、はっきり言ってまだまだ終わりが見えないよ」
日本でのIS技術部門では我が倉持技研に並ぶ機関がないので、政府から適性検査の応援依頼が届くのは予想していたが…
正直こんな事をしているぐらいなら『打鉄・弐式』の開発に回したいのだが、事実を知っているのは私だけだし言うわけにもいかないので是非もない。
今の私にできることは1日でも早く織斑一夏君が男性にとっての希望から唯一無二の象徴になるのを祈り待つことぐらいだ。いや、今は私がいるから唯一無二ではないのか。
「おはよう執矢。今日は随分とゆっくりしているね」
「おはよう父さん。正直言ってあの適性検査に嫌気がさしてね、こうして少しでも長くリラックスできる我が家にとどまることで細やかな反抗を示しているだけさ」
私の本音に父は苦笑いを浮かべ朝食をとるために席に着く。私の父「
そんな父の遺伝子を持つは私もまたこれといった特徴はなくモブ顔に分類されるが、顔面偏差値は中の上ぐらいだと自負している。そして少しでもアラフィフっぽさを出すために髪型はオールバックで一房だけ前に垂らすアラフィフヘアーだ。髭に関しては今後の私の男性ホルモン次第だが…父を見る限りあまり期待できなさそうだな髭生えてるとこ見たことないし。身長はアラフィフと同じ175㎝で高くもなく低くもないといったところだろうが、前世では身長がコンプレックスの一つだった私にとっては十分すぎるほどの躍進だ毎日牛乳飲んだ甲斐があった。
「そういう父さんこそこんな時間まで家にいるなんて珍しいね。いつもならもっと早く食事をとって研究室に向かってるころじゃないか」
「あぁ…うん。そのことなんだが執矢にも話しておかなければいけないね」
普段は「忙しい時こそ余裕のある表情を」が信条の父さんに暗い影が落ちている。どうやらただ事ではないらしい。
「実はさっきね…政府から連絡があってね。話題の世界初の男性IS操縦者である彼の専用機を作れという特命を受けたんだ」
あぁ…そうかついに来たのか。まぁ、思い出したのが1週間前だったとはいえ結局間に合わなかったなぁ。学校休んで無理やり手伝ったけど原作通り70%の完成率で止まってしまった。
「ちょっと待ってよ父さん!今うちはIS適性検査と弐式の作成で手一杯だ。とてもじゃないが専用機をもう1機並行して作る余裕なんてないよ!」
とまぁあたかも突然の依頼に驚いている体を出しているが、本心ではこの決定が覆ることはないのはわかっている。そして
「わかっている!だが政府の特命を断るわけにもいかないんだ。…それでここらかが重要な話なんだが。政府にうちの現状を話したら弐式の凍結を言い渡されたんだ。せっかく学校を休んでくれてまで手伝ってくれた執矢には本当にすまないが…」
更識簪の不遇を止めることができなくなった。原作でもそれなりに愛着があったのに、なんでこうなることを忘れていたんだろうね…止めるための行動も、手段も私には存在していたというのに。
「仕方がないよ…いくら予期せぬ事態とはいえ、父さんはできる事をやったんでしょ。でもね父さん、1つだけ言わせてもらうと謝る相手が違うでしょ」
私のことはどうでもいい、忘れていた私には責められる罪はあれど父さんを責める権利なんてないのだから。
だが彼女は違う。血のにじむ努力を経てやっと代表候補性になった彼女が蔑ろにされていいはずがないのだから。私は知っている。彼女が何を思い今まで努力してきたのかを、否定されても折れずに食らいついていた彼女の強さを、そして心の奥底で自分を救ってくれる存在が現れることを信じているはかなげな弱さを。
だからこそ私は彼女の力になりたいと思った。昔からこういう純真無垢で救われない子には惹かれるたちでもあるし、彼女の能力は私に必要なのだから。
「謝るんなら簪さんにでしょ。こっちの都合で彼女の顔に泥を塗るんだから謝っても許してはくれないだろうけど」
「…あぁ、そうだね。謝りにいかないとね、自分の専用機を心待ちにしていた彼女に。…あぁ、憂鬱だなぁ~簪ちゃん間違いなく泣いちゃうよ!あれだけ定期的にうちに来ては弐式の作成風景を見て喜んでたのに!データ収集の時なんかしっぽが見えるぐらいはしゃいでたのに‼あんないい子なのにこんな仕打ちをしなきゃいけないなんてぇ~‼」
あぁ、今までのストレス爆発したな…最近見てなかったからそろそろかと思っていたが父さん定期的に錯乱して体ねじりながら暴れまわるからな。いつまで続くかわからないが正直今は付き合っている時間がないので私はかねてより考えていた最終手段に出ることにした。
「大丈夫だよ父さん。俺も一緒に行って謝るからさ。それに彼女を傷つけることは避けられないけど、悲哀の涙を流すことは避けられると思うよ」
「!?本当かい、本当にあの子を悲しませずに済むのかい?」
「任せてくれよ父さん。何せ私には腹案があるのだから」
私と父さんはあれからすぐ更識家にアポを取り、現在絶賛謝罪中であります。
予想通り彼女は激怒している。彼女とはあまり面識がないため記憶上のデータから算出するほかなかったから計算が甘かったようだ。二割増しでヒステリックに喚いている。まぁ、当然といえば当然だろう。激怒するのは当然だし彼女は原作よりもわずかとはいえ若いのだから。
「私の機体を先に完成させてからではダメなんですか!?」
「いや…政府から彼の機体を最優先で完成させるようにと言われてしまいまして…それに、弐式の凍結は政府からの命令でしてうちではとても」
「なんで⁉私のほうがずっと早く約束されてたのに!私のほうがずっと頑張ってきたのに!私が…私がやっと認められたと思ったのに…何で、何でなんでナンデ皆それを否定するの⁉何で突然出てきた男が優先されて!それまでずっと頑張ってきた私が我慢しなきゃならないの!こんなの絶対おかしいじゃない‼」
彼女の剣幕と怒涛の攻めに父さんはたじたじで正直頼りにならないな。これも計算より情けなさの値が増えてるなぁ。やはり教授の力を得ても私は暗算が苦手らしい。所詮は元一般人なのだと再認識させられる。
と、くだらないことを考えてるといい加減彼女が泣きだしそうだ。父さんも父さんなりの矜持があるだろうから様子を見ていたが仕方がない。一肌脱ぐとしよう。
「更識簪さん、あなたの怒りは最もだ。私は貴女の今までは知らないので同情することしかできないが、貴女の力になれることが1つだけあるんだ。どうか聞いてほしい」
「…貴方は誰ですか?同情なんて最初から求めてないし、私の力になれる?見たところ私と同年代くらいなあなたに何ができると?」
どうやら興味を持たせることには成功したようだ。しかし、今のやり取りで彼女の中の私と男性に対する信用が地に落ちているのか目にハイライトがともっていない。ぶっちゃけるとめっちゃ怖い。これ失敗したら間違いなく彼女は人間不信コース待ったなしで男性嫌いになるだろうな。もしそうなったら百合的展開になる可能性もある、か…ふむ、悪くはないがさすがにそれを見ようとすると色々とまずいものがあるのでやらないし彼女を不幸から救うことにはならない。何より彼女を悲しませないと父さんと約束している。
簪さん、どうか落ち着いて私の話を聞いておくれ。
「これは失礼。私は倉持技研リーダー貞治の息子で、臨時研究員として務めさせていただいております倉持執矢というものです。挨拶が遅れて大変申し訳ない。あなたの気を引くために同情などという安い言葉を使ったことを許してほしい。しかし、貴女の力になれるというのは本当です。少なくとも貴女にとって、最高とは言えなくても妥協しうる提案です。せめて話だけでも聞いて頂きたい」
「…いいですよ。貴方の提案には正直期待していませんが、聞く価値がないと切り捨てるには惜しい気がします。でも、もしその提案が私の満足できるものでなかった場合、私はもう二度と貴方たちの手を借りることはない。とだけ言っておきます」
よし、最初のステージに立つことに成功した。ここで躓いていたら計算のくそもなかった。最大の難関はクリアした。失敗したら原作通りの行動をとるというお墨付きをもらってしまったが、もとよりい失敗するつもりなどない。ここまできたのなら方程式さえ間違わなければ成功は確定しているのだから。
「寛大な処置に感謝します。さて、私の提案というのは『打鉄・弐式』のプロジェクトを完全には凍結しないというものです。具体的には、現在プロジェクトに携わっている職員の殆どを新規開発班に回し打鉄開発には少数精鋭で当たる」
「ちょ!ちょっと待ってくれ執矢!打鉄開発のために精鋭を残す余力なんてうちにない。そのことは朝、執矢自信が言っていたじゃないか」
「邪魔しないでください父さん。研究者を残すことができないことは百も承知。しかし、父さんは忘れていますよ。倉持技研にはそれだけの人材はいない、しかし倉持技研に『正式に』所属していない研究者の中にはそれを可能にする人材がいる」
「お前…まさか…」
ここまで言えばさすがに父さんには私の考えが分かったようだが、こちらの事情を深く知らない簪さんはまだ全貌がつかめていないようだ。
「よそから研究員を補充するということですか?笑わせないでください。日本には倉持技研に並ぶIS研究者を抱えている機関など存在しませんよ。そんなどこの馬の骨ともわからない研究者が作った機体なんてとても信用できません。どんな初歩的なエラーが起きるかわかったものじゃない。よもや、海外から引き抜いてくるなんて馬鹿げたことを言うんじゃありませんよね?」
私の考えとはあまりにも見当はずれな回答を提示させられて思わず吹き出しそうになる。国内にうち並みの研究者がいないことぐらい誰でも知ってるし、海外から引き抜きなんて行えば下手をしなくとも国際問題になる。一応ヒントは提示しておいたのだがどうやら見かけは冷静でも内心には先ほどの怒りが沸々と煮えたぎっているのだろう。もし彼女が真に冷静であったならば間違いなく気付けたはずだ。
「まさか。貴女の示した解はどれも実現不可能だ。そんなことはここにいる全員が理解している。私が言う精鋭というのはもっと身近にいてここにいる全員が知っている者のことですよ」
「回りくどいですね!誰なんですか⁉その研究者は」
うーん、ここまで行っても理解できないか。私は一度も
「簪さん、私は確かに自己紹介の時に自分を『臨時研究員』と申したはずですが」
自分を倉持技研の研究員だと言っていないんだがなぁ。
「は…?まさか、貴女が打鉄弐式の開発に携わると…?」
「That's right‼そう、少数精鋭という言うのはすなわち私のことであります。僭越ながら私はISに関する知識は「ふざけないでよ‼」…」
私の言葉を遮り簪さんはその怒りをあらわにした。さきほど父さんに向かっていた怒りより数段上の憤怒でもって私をにらんでくる。
「突然謝りに来たかと思えば、やれ私のIS開発を凍結する、やれ私のIS開発をまだ大人にすらなっていない男1人で行う…?貴方達もしかして私のことを馬鹿にしてらっしゃるんですか⁉いい加減にしてくださいよ!たった1人でISを開発するなんてあの人でもない限りできるわけがないじゃないですか‼まして男の貴女が‼ISに乗れない不適合者がISを作成するなんてできるわけないでしょう!」
爆発した怒りは矛先を言葉に変え私たちに襲い来る。本日最大の怒りと憎悪を吐き出した彼女を見た父さんはたじろぎ沈鬱な表情を見せる。おそらく失敗したと思っているのだろうが、大丈夫だよ父さん。これも全部計算通りだから。
そもそも今の彼女がぽっと出の男を信用できるはずがない。もし開発に携わるのが父さんだと言ったらもう少し落ち着いてはいただろう。しかし、父さんではダメなのだ。彼女の期待を裏切らずに機体を完成させるには俺しかいない。
現状彼女は俺のことを一切信用していない。それは実績がないということも1つの原因だろうが、最大の要因は私が男だということだ。
さっきも言ったが彼女の中の男の信頼は地に落ちている。そんな時に自分の命を預ける機体を、ISのことを深く理解していないと思しき男1人に任せられるはずがない。
だが、それは裏を返せばISの事を深く理解している事実を証明できれば交渉の余地があるという言ことだ。そして私にはそれを可能にするカードがある。
「貴女の意見は最もだ、否定しようのない正当なものだろう。しかし、この場に限ってはそうではない。何故なら私は国内に限らず全世界中のどの男性研究者よりISに関する知識と理解がある」
「ハッ!貴方みたいな若輩研究者が随分大きく出ましたね。そこまで言うのなら当然それを証明出来るのですね!口先だけでないのなら私も考えなくもありませんがね!出来るのなら‼」
「勿論ですとも」
そういって私は自信のネクタイにつけていた蝶型のネクタイピンをとり彼女の前に差し出した。私の行動に彼女は訝しみつつも差し出されたネクタイピンを見つめていると、彼女は驚愕した。
「これって…まさか⁉」
「That's right」
-展開-
私がそう念じればそれはすぐに答えてくれる。ピンは青く輝き、発せられる燐光はさながら蝶の群れが羽ばたくかのような幻想を生み出しそれは顕現した。
「これが私が男性の中で最もISを理解しているという他ならぬ証明。私が私の力のみで一から作成した私の専用機第三世代型IS『プロフェッサー』だ」
「I…Sを…起動した…?」
「も…執矢…おまえそれ、いったい…いつから」
「ん?うちにあるISコアを1つこっそりくすねてぼちぼちと。時期的には第一世代が引退した時だね。その時に情報を改竄して…」
「い、いやそっちじゃない!いや確かにそれも重要だが今はいい‼父さんが聞きたいのはな!お前いつからISを動かせたんだ」
「父さんがIS研究を始めて最初に俺を研究室に入れてくれた時」
と、あらかじめ用意しておいた言い訳を述べて父さんの追及をかわす。本当は生まれたときからだがそんなこと言っても信じてもらえないだろうし、言うのもばかばかしい。赤ん坊のころにISを持っていたのはあの神の力。正確には未来の私が作ったISをコアごと過去に飛ばしてもらったからだ。だからプロフェッサーを作ったのが私というのは本当だし、生まれたときから動かせたというのも本当だ。ISを過去に飛ばした理由は…なんだったかな?記憶にないや。
まぁ、そんなことはどうでもいい。今一番重要なのは
「どうだろう簪さん?これでもまだ私の技術を信用してはもらえないだろうか?」
「ほんとうに…あなた、ISを」
「そうだとも。今まで公表しなかったのは現在の状況からわかる通り非常に世間を混乱に陥れる。それに貴重なサンプルとしての扱いや監禁生活なんて御免被るから誰にも話さなかった…今は少しばかり後悔しているがね。簪さん改めて謝罪する。私がもっと早くこのことを公表していれば君は現在の怒りを抱くことはなかっただろう」
だがそれは、簪さんとは別に同じ思いをしていたかもしれない人がいることを意味している。
「私がもっと早く公表していれば、君は今までの努力を否定されることはなかっただろう」
しかし、私はそんなIFの可能性に巻き込まれる見知らぬ存在よりも更識簪というかつて確かに感情移入し、気に入った存在を優先する。
「完璧すぎる姉と比べられ、常に付きまとうその幻霊を振り切ろうと身を顧みない努力をした貴女を否定していいはずがないのだから」
「…え?」
「更識簪さん。私は貴女の姉にはあったことがないのでどれほどの存在なのかは知らない。だが、私が知る簪という少女は真面目で努力家で優秀な少女だ」
彼女が常に姉と比べられていたことに苦痛を感じたのならば、せめて私だけは彼女という存在のみで彼女を肯定しよう。しかし私は…
「貴女には貴女しかできないことがある。それを証明するための手助けを私はしてあげられる。いつまでも姉の幻霊が付きまとうのならば、貴女が優れている分野で姉を打ち負かし『私は更識簪だ!』と宣言してやればいい。その為に手助けを私はしてあげられる」
「ほ…本当に、そんなことができるの?私のISを作れるの?あの人の呪いを…貴方は振り払ってくれるの?」
「あぁ、勿論だとも。私の手にかかればたとえ世界征服だろうとその1つや2つ容易に達成してやるさ。しかし、君には申し訳ないがきっと…私は君のヒーローにはなれないだろう」
「⁉な…で、それを」
「君の普段の言動などから計算してね…大抵のことはしてやれるが私はヒーローなどという柄ではないし、もとよりそんなものに焦がれるたちでもないのだ。でも」
君の嘆きをぶちまける洞ぐらいにはなれる。きっとこの先君の心を本当の意味で救う主人公が現れる。間違いなくそれは私ではない。だがその主人公が現れるまでは君の嘆きを聞き、君を支え、背中を押す良き存在になろう。
だから
「私を信じてほしい。私を信じて、君の命、君の誇り、君の未来を私に預けてくれ。今すぐでなくても構わない。よく考えてくれて構わない。だが、今はひとまず泣きなさい」
私はISを解除し今にも崩れ落ちそうなほど動揺した簪をそっと抱きしめ囁いた。その瞬間、彼女の中で何かが切れたのか私を抱きしめ返した泣き始めた。私は彼女を優しく、だがぬくもりが伝わるよう力を入れて彼女を抱きしめ、時に彼女の背中を、時に彼女の頭を優しくなでる。この時私には間違いなく彼女の心に巣食う真っ黒な闇を貫いたと確信した。
10年以上貯め込んだ嘆きをすべて吐き出すまで、彼女か満足するまで私は彼女の洞になる。
…結局泣かせてしまったが、まぁこれは悲哀の涙じゃないから勘弁してくれよ父さん。
結局簪はあの後泣き疲れて眠ってしまった。後日、私の提案を承諾するという旨を倉持技研に来た彼女から直接頂いた。その時名前で呼ぶ許可ももらった。自分で仕組んでおいてなんだが、前世を通して女性を名前で呼ぶなど幼稚園ぐらいでしか経験がない私は柄にもなく少し緊張してしまった。今ではなれたものだがな。
さて、これで用意すべき条件はあと1つ。それさえ整ってしまえば後はモリアーティ教授の驚異的な計算能力で解を得られるだろう。その解に従って行動していれば私の願いは、子供の頃に見た夢はかなうのだから…
所で…最後の条件…私の夢…
それって…何だったかな?
記憶にないや…
私はいつも姉さんと比べられていた。それはどこの家庭でもまま見られることなのかもしれなけど、私の場合それは顕著だった。
優秀すぎる姉さんと、平凡な妹。自然と周囲からは姉を絡めた重圧がかけられた。
毎日毎日、私が何かをするたびに「お姉さんは」、「貴女の姉は」って言われ続けた私は自然と姉さんのことが嫌いになった。
八つ当たりだってことは分かってたし、逆に姉さんは私に歩みよろうとしてくれていたのもわかってる。
でも私の中に生まれたドス黒い程感情は姉さんを拒絶し、いつしかそれは姉さん以外にも向けられることが出てくるようになった。
そんな自分が嫌で私は努力した。努力して、努力して、努力して。
いつしか姉さんと比べられることがなくなる日を信じて。いつしか姉の隣に立てる日が来ると信じて。
けど、私がどれだけ頑張っても…あの人は悠然とそれを越えていく。
あの人が1人でISを作ってロシアの代表候補性になったのに、私は日本の代表候補性が精一杯。でも、実力は違っても代表候補性という土俵に立つことはできた。自分で作ることはできないけれど、専用機を貰って頑張ればあの人と戦うことができる。勝つことはできなくてもあの人に一矢でも報いることができれば私の状況が少しは変わるかもしれないと信じて。
なのに私は自分の国に裏切られた。
世界初の男性IS操縦者の為の専用機を作るため、私の専用機開発は凍結されると技研のトップが直接謝りに来た。
意味が分からなかった。何で確かな実績を持った私より、どこの誰とも知らない男の子に遠慮しなければならないのかわからなかった。
正直そのあとは自分でも何を言っているのかわからないぐらいヒステリックになった気がする。
でも、絶望に沈む私を救い上げてくれる人がそこにいた。
技研トップの息子の倉持執矢
彼は初めて私を認めてくれた人。初めて私だけを見つめてくれた人。
最初は私も信用できなかったけど、彼は私の中に眠るドス黒い悪意を的確に指摘し、刺激し、結果としてそのすべてを吐き出させてくれた。私の全てを受け止めてくれた。
貴方は自分のことをヒーローになれない人間だといっていたけれど、あの時の貴方は間違いなく私にとってのヒーローだった。
貴方はやがて私の心を救うヒーローが現れるといっていたけれど私の心はすでにあなたに救われている。
だってこんなにもアナタノタメニツクシタイと願っているのだから。
私の心は間違いなく救われている、救われているに違いない。
もし、貴方の言う通り本当のヒーローが現れたとしてもきっと私は貴女に尽くすことを選ぶだろう。
だってもう私の心には救われなければならない心などないのだから…
自分で書いててなんか安っぽいし、無駄に長い話になったなぁと思いました。
もう少しキャラクターの感情表現をうまくし、余計な肉をそぎ落とせばもっとよい作品になったと思わずにはいられません。
やはり小説を書くというのは難しいと実感しました。
この反省を生かし精進していきたいと思いますが、どこまで行けるのかはわかりません。
感想アドバイス等ありましたら頂ければと思います。