チャプター 00
「話が…違うっすよ……」
「オレは…特別だって…」
何故、『アレ』に勝てなかったのか。
企業の連中はオレを特別だと言った。
お前にはアイツ──あの
本当に僅かな時間しかヴェンジェンスには搭乗していない。だが、それでもあのACを、恐怖の対象をこの世から消してしまうために必死でACを駆り続けた。
だが、その結果がこのザマだ。
自分のヴェンジェンスは全てを焼き尽くす暴力を体現した奥の手──確か
──なぜなら、カメラが捉えていたのは絶望の化身。
「────」
そう、『アイツ』はそこに佇んでいた。
白一色で統一されたカラーリングであったのに煤と埃に塗れて酷く黒に染まった機体。中量二脚のその機体は
コイツは膨大な兵力のほんの一部分でしかないたかだか一機のACでこのレジスタンスとシティとの抗争の勝敗を狂わせている存在だった。嫌というほど承知していたが、実際に敵対するとそれがよく分かる。否、分からされる。
コイツは──いや、コレは化物などという生易しい言葉で収まる相手ではなかったのだ。全てを焼き尽くすと称される兵器、俺という"特別"、そんなものなどお構い無しに関わったもの全てを破壊し、焼き尽くしていく──『
アイツが怖い。怖い。怖い。怖い。怖い。怖い。怖い。怖い。怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い───────ッ
────────恐い。
恐い、恐くて体の震えが止まらない。それどころか冷や汗が全身から吹き出るのも、涙がこぼれ落ちるのも止まらない。武器アレを打倒できると考えていたあの威勢はもう何処にもどこにもない。
あの2つの銃口のどちらかが火を吹けばコックピットの中の俺は──間違いなく焼け死ぬ。しかしだからといって緊急脱出をする時間をアイツはくれるはずがない。そもそもこの機体にそんな時間はないだろ。どうにかここから生き残る方法はないかと考えたが、思い付かない。どう足掻こうと自分は死ぬ。
完全な──詰み。
──それでも。
「死にたく……ない……」
それでも、死んでも死ぬのだけはゴメンだ。無理だと分かっていてもオレは生きたい。死んだら、終わりなんだ。こんなところで死にたくない。生きたい。
生きて、生きて、生きて───
───生きて、オレは何がしたいんだろう
それがRDの最後に抱いた疑念。
刹那、ヴェンジェンスのコックピットが爆発し、RDはその疑念の回答を考える余地すらない一瞬のうちに業火に包まれ、その生涯を閉じた。
『神様は人間を救いたいと思っていた 』
『──だから、手を差し伸べた』
『でもその度に、人間の中から邪魔者が現れた』
『神様の作る秩序を、壊してしまうもの』
『神様は困惑した』
『人間は救われることを望んでいないのかって』
『でも、神様は』
『人間を救ってあげたかった。だから───』
『先に邪魔者を見つけ出して、殺す事にした』
『そいつは「黒い鳥」って呼ばれたらしいわ 』
『何もかもを黒く焼き尽くす、死を告げる鳥』
──神様はその日、「黒い鳥」によって焼き尽くされた
2018/11/25 設定資料集と主人公機のカラーリングが違うとご意見を頂き、描写を修正しました。