RD/ストラトス   作:ハナガネ

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プロローグ
チャプター 00


「話が…違うっすよ……」

 

「オレは…特別だって…」

 

何故、『アレ』に勝てなかったのか。

企業の連中はオレを特別だと言った。

お前にはアイツ──あのAC(化物)を倒す力があると。そのために乗ったことは無いが倒すための力──AC(ヴェンジェンス)を与えてくれた。

本当に僅かな時間しかヴェンジェンスには搭乗していない。だが、それでもあのACを、恐怖の対象をこの世から消してしまうために必死でACを駆り続けた。

 

だが、その結果がこのザマだ。

 

自分のヴェンジェンスは全てを焼き尽くす暴力を体現した奥の手──確かOW(オーバードウェポン)だとか対警備組織規格外六連超振動突撃剣だとか言っていたか──そのあまりにも規格外な出力の反動によって機体の至る所から熱暴走によって火が吹き上がり、機体は崩壊の一途を辿っていた。そんな状態の機体がコックピットの操作など受け付けるはずもなかった。加えて、ジェネレーターが過度の熱暴走によって爆発し、破損していたため、最後の足掻きでブーストチャージすることすらも出来なかった。殆ど動くパーツが無いほど大破した機体の中で、唯一ヘッドパーツのカメラはノイズが混じりながらも機能していたが、それはRDにとって不運でしかなかった。

 

──なぜなら、カメラが捉えていたのは絶望の化身。

 

「────」

 

そう、『アイツ』はそこに佇んでいた。

白一色で統一されたカラーリングであったのに煤と埃に塗れて酷く黒に染まった機体。中量二脚のその機体はパルスマシンガン(ARACHIDE EG 13)バトルライフル(UBR-05/R)の銃口をこちらに向け、その間の距離も射撃保証距離を保ちながらも、決して反撃も逃走も許すことのない適正な距離。相手が再起不能だろうが決して油断しない、そして相手に一部の隙も見せないACを知り尽くしたAC乗りの手練中の手練。

 

コイツは膨大な兵力のほんの一部分でしかないたかだか一機のACでこのレジスタンスとシティとの抗争の勝敗を狂わせている存在だった。嫌というほど承知していたが、実際に敵対するとそれがよく分かる。否、分からされる。

 

コイツは──いや、コレは化物などという生易しい言葉で収まる相手ではなかったのだ。全てを焼き尽くすと称される兵器、俺という"特別"、そんなものなどお構い無しに関わったもの全てを破壊し、焼き尽くしていく──『例外(暴力)

 

アイツが怖い。怖い。怖い。怖い。怖い。怖い。怖い。怖い。怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い───────ッ

 

 

 

────────恐い。

 

 

 

恐い、恐くて体の震えが止まらない。それどころか冷や汗が全身から吹き出るのも、涙がこぼれ落ちるのも止まらない。武器アレを打倒できると考えていたあの威勢はもう何処にもどこにもない。

 

あの2つの銃口のどちらかが火を吹けばコックピットの中の俺は──間違いなく焼け死ぬ。しかしだからといって緊急脱出をする時間をアイツはくれるはずがない。そもそもこの機体にそんな時間はないだろ。どうにかここから生き残る方法はないかと考えたが、思い付かない。どう足掻こうと自分は死ぬ。

 

完全な──詰み。

 

──それでも。

 

「死にたく……ない……」

 

それでも、死んでも死ぬのだけはゴメンだ。無理だと分かっていてもオレは生きたい。死んだら、終わりなんだ。こんなところで死にたくない。生きたい。

 

生きて、生きて、生きて───

 

 

 

───生きて、オレは何がしたいんだろう

 

 

 

それがRDの最後に抱いた疑念。

 

刹那、ヴェンジェンスのコックピットが爆発し、RDはその疑念の回答を考える余地すらない一瞬のうちに業火に包まれ、その生涯を閉じた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『神様は人間を救いたいと思っていた 』

 

 

『──だから、手を差し伸べた』

 

 

『でもその度に、人間の中から邪魔者が現れた』

 

 

『神様の作る秩序を、壊してしまうもの』

 

 

『神様は困惑した』

 

 

『人間は救われることを望んでいないのかって』

 

 

『でも、神様は』

 

 

『人間を救ってあげたかった。だから───』

 

 

 

『先に邪魔者を見つけ出して、殺す事にした』

 

 

 

『そいつは「黒い鳥」って呼ばれたらしいわ 』

 

 

『何もかもを黒く焼き尽くす、死を告げる鳥』

 

 

 

──神様はその日、「黒い鳥」によって焼き尽くされた(RD)に救いを与えた。




2018/11/25 設定資料集と主人公機のカラーリングが違うとご意見を頂き、描写を修正しました。
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