勇者を討伐した魔王様は魔力を封じられた為に解雇される。   作:吉樹

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第7話 「魔王様、鍛える」

 ギルドで”情報”を仕入れてからドルントを後にした私たちは、購入した馬車で街道を進んでいた。

 

 頑丈な造りの幌に加え、馬車中もかなり広いのは、それなりのお値段がする高級馬車だからである。

 定期的に魔力を注ぐことで車輪の強度が高まり、それが維持される仕様なので、脱輪の心配はなく。

 しかしながら、その馬車を引く肝心の馬は、生物ではなかった。

 

 影で形成されている、ひと際大きな馬の形をした何かだった。

 

 その影の元──御車を務めているアテナが、影術で作り上げた”馬”だ。

 生物である馬の世話は何かと手間であり面倒ということで、このような方法をとっていたのである。

 

 

「やはり、徒歩よりも快適だな。高い買い物をした甲斐がある」

 

 

 丸められた布団に寄りかかりながら、小窓から外の景色を眺めながら私は感想を漏らす。

 大人が二人くらい手足を伸ばしても広々としている馬車内のため、これといった閉塞感を感じないので、大金をはたいたとしても後悔の念はまったく感じなかった。

 

 

「さすが貴族だよね~。こんな高級な馬車をぽんと一括買いしちゃうんだからさ」

 

 

 尻尾をフリフリしながらあぐらを掻いているウルは、しきりに感心している様子。

 

 

「無理に冒険者をしなくてもさ、お金には困らないんじゃないの?」

「そうとも言えないさ。消費するだけの生活だと、いずれは資金も尽きてしまうからな」

「収支はしっかりしないとだね!」

「クレア様は金使いが荒いですからね。きちんとした収入源は確保しておかねばなりません」

「そうなんだ……さすが貴族だねぇ……」

「アテナ。意味もなく私の評価を下げる発言はするな。ルウも信じるなよ? アテナのいつもの冗談なんだからな」

「え? 冗談なの?」

「心外ですね。私は常に正直をモットーとしております。嘘なんて吐きません」

「わざと曲解させた事実を嘘と言うんだよ」

 

 

 あはは、とウルが楽しそうに笑って来た。

 

 

「仲がいいんだね、ふたりとも」

「ん? ああ、まあ……付き合いが長いからな」

「そうですね。いつもクレア様に無意味に虐げられておりますが、頑張って生きております」

「またお前はそういうことを・・・」

「あははっ」

 

 

 そんなやりとりを交わしながら、街道を進む。

 よさげな場所があれば立ち止まってウルに稽古をつけたり、水の確保や木の実などの食料調達も忘れない。

 ドルントで食料は大量購入しているが、食料は多くあっても困らないからだ。

 A級品の道具袋のために”質量保存”の魔法がかけられているので、腐る心配はないのである。

 

 

 ”目的地”までの道のりは、まだまだ長い……

 

 

 

 ※ ※ ※

 

 

 

 だいぶ暗くなってきたこともあり、街道の脇に馬車を止めて、夜営をすることに。

 

 精霊であるアテナは夜目が効くし、星々の輝きがあれば影も発生するので影馬を動かすことも可能ではあるのだが、別段急ぐ旅でもないので、こうしてまったりと夜営することにしたのである。

 

 馬車内の片隅に置いていた、持ち運びが便利な簡易焜炉を馬車から下ろし、それと共にちょっとした台所といったものを造ったアテナが、料理を始める。

 調味料や香辛料、食材も潤沢なので、夜営とはいっても食事の質は期待できるだろう。

 

 何やらスープ系のものを作っているようで、切りそろえられたいろんな食材が入れられ、グツグツ煮えている鍋からは、なんともおいしそうな匂いが。

 思わず腹の虫から催促されてしまう。

 

 

「おやおや、クレア様。はしたないですよ?」

「仕方ないだろう。うまそうな匂いをさせるお前の料理が悪い」

「ふふふ。それは、褒め言葉としてとっておきましょう」

 

 

 もうしばらくお待ちくださいと言って、アテナは無表情ながらもどこか嬉しそうに料理に意識を戻す。

 と、涎を拭うしぐさをしていたウルが、ふいに思い出しように私に声をかけてきた。

 

 

「そういやさ、どこに向かってるの?」

「なに……? いまさら聞くのか? てっきり知っていると思っていたんだが」

「知らないよー? ついてきただけだし」

「そうだったのか……」

 

 

 私は脱力してしまう。

 ウルは素直すぎる……この先、悪い奴に騙されなければいいが、とつい思ってしまう。

 

 

「目的地は、アルペンと言う名の森の魔女だ」

「魔女……?」

「ああ。ギルド職員からの情報だと、この先の街道一週間くらい行ったところにある……ええと、そうそう。バーブルという都市の東にある森に、その魔女が住んでいるらしい」

「ふーん……いまさ、街の名前忘れてたでしょ?」

「都市はいくつもあるからな。いちいち覚えてなんていられんだろ」

 

 

 国を統べていた者にあるまじき発言だが……いまの私は王じゃないのである。

 

 

「まあねー。いっぱいあるもんね。あたしもさ、生まれ育った村の名前くらいしか覚えてないもん」

「いやいや、それは少し問題じゃないか? せめて周辺にある街や村落くらいは覚えておかないとダメだろう。あと、首都くらいも」

「むう……父さんみたいなこと言って」

 

 

 頬をぷくうっと膨らませてから、思い出したように表情をコロッと変えたウルが、私を見てくる。

 

 

「んで? なんでその魔女に会いに行くわけ?」

「……少し込み入った事情があってな」

「言いたくないなら、別に聞かないよ?」

「いや、別に問題ない。たぶん私は、ちょっと厄介な”呪い”にかかってるかもしれないんだ」

 

 

 あの勇者から受けた”攻撃”で、私は著しく弱体化してしまったのだ。

 そこで私は、あれを呪いの一種かもしれないと判断したのである。

 同化している精霊を媒介にした、何らかの弱体の呪い。

 勇者と精霊の関係性を知ったからこそ、思いついたのだ。

 

 冒険者として生きていくのが困難ならば、早い話、力を取り戻して返り咲けばいい。

 

 とはいえ、全てが思い通りにいくとはさすがに思っていない。

 だからこそ、あらゆる事態に備えて万全の準備を整えたというわけである。

 

 

「え……呪いっ? 大丈夫なのそれ!?」

「命に危険があるといった類のものじゃないから大丈夫だ。だが、呪いがかかってるかもしれないのなら、解いておかないとならないだろう?」

「だねー。あ、じゃあその魔女が、呪いに詳しいとか解呪できるかも、とかなんだね?」

「そういうことだ。まあ、ダメもとだけどな」

 

 

 ダメならダメで仕方ないが、可能性があるのならば試してみるのも悪くない。

 これといってアテがある旅じゃないのだから。

 

 

「大変なんだね、クレアもいろいろとさ」

「大なり小なり、ヒトは大変なことを抱えてるもんさ。お前もだろう? ウル」

「う……うん、まあ、ね……」

 

 

 しどろもどろになるウルに、私はそれ以上下手に言葉はかけなかった。

 

 

 

 ※ ※ ※

 

 

 

「シャアアアアアアアアアアアアアアア!」

 

 

 ヒトに似た顔をした、翼を生やした四足歩行の魔獣──レッサー・デーモンが、耳障りな咆哮をする。

 対するは、右手に鉤爪を装着しているウルだ。

 下級魔獣のためにそれほど脅威はないのだが……彼女は緊張を隠せない様子だった。

 

 まだ目的地に到着はしていないが、その道中で何度も稽古をつけてきたので、今日は魔獣相手に実戦訓練してみようという流れになったのだ。

 この場にいるのは一匹のみだが、最初から一匹だったわけではなく。

 合計で4匹おり、移動中の私たちに襲撃してきたのである。

 

 3匹は私が瞬殺したが、ちょうどいい機会だからと、残り一匹をウルに討伐させることにしたのだ。

 その3匹の亡骸は、いま現在、アテナが手際よく分解中である。

 ギルドで取り引きできる価値ある部位を物色中なのだ。

 

 レッサー・デーモンは仲間が殺されたことにいきり立っているようで、私へと怒りをぶつけてくるものの、正面にウルが立ちふさがっているために、矛先を小さな狼少女へと向けていた。

 

 

「シャアアアアアアアアアアアアア!」

 

「ひぃ……っ」

 

 

 容赦のない殺気をぶつけられて、ウルが思わずへっぴり腰に。

 私は溜め息を吐いてから。

 

 

「ウル! 戦う前から相手の威圧に怯むんじゃない!」

「わ、わかってるよぅ……!」

 

「シャアアアアアアアアアアアアアア!」

 

「ひぃ……っ」

 

 

 怒りを表現しているレッサー・デーモンなれど、どうやら警戒を滲ませているようで威圧する咆哮をするのみであり、ウルはウルでビビッているようで動く気配がまったくなかった。

 

 

(やれやれ……これでは埒が明かないな)

 

 

 仕方がないので、発破をかけることにした。

 一条の雷撃を放ち、下級魔獣の足元にてはじけ散る。

 ビクッと身体を震えさせた魔獣が大きく吼えるや、ウルめがけて突進を開始した。

 

 

「ひい……来たぁ……っ」

「ウル! 相手をよく見て動け! そこまで早い動きじゃない!」

「う……うん……!」

 

 

 こうして、怯えながらのウルと怒り心頭の下級魔獣の戦いが始まった。

 

 

「シャアアアアアアアアアアア!」

「うひぃ……!」

 

 

「シャアアアアアアアアアアア!」

「こ、このお……っ」

 

 

「シャアアアアアアアアアアア!」

「あうち……で、でも負けない!」

 

 

「シャアアアアアアアアアアア!」

「とりゃあーーーっ!」

 

 

 一進一退の攻防戦。

 私はただ、黙って見守るのみである。

 

 

「クレア様。ウルさんの様子はどうですか?」

 

 

 価値のある部位の回収を済ませたアテナが、私の横へと移動してきた。

 

 

「ああ、よく戦っているよ。……レッサー・デーモン”程度”と互角に、な」

 

 

 馬鹿にするでもなく、ただただ事実だけを述べる。

 まあ考えようによっては、まだ13歳なのだから、年齢の割にはよく動けているという評価もありかもしれない。

 

 

「やはりクレア様はスパルタですね」

「ウルが本気で強くなりたいと思っている以上、手を抜くのはあの子に失礼だからな」

「……正直、私としては意外でした。ウルさんは、すぐに根を上げると思っていたので」

「だな。私も半信半疑だったさ、最初はな」

 

 

 こちらの予想を覆して、ウルはどこまでも真摯に頑張った。

 弱音はすぐ吐くし、すぐに泣き出すものの、決して諦めることはしなかったのだ。

 まるで昔の自分を見ているようで……私はついつい、指導に熱を入れてしまっていた。

 

 

(ドルントの門番や職員がウルに心を許していたのが、わかるな)

 

 

 久しぶりに気骨の溢れた若者に出会え、こちらも嬉しくなってくる。

 

 

「シャアアアアアアアアアア!」

 

「てっやああああああああああああああああ!」

 

 

 ウルのひと際大きな絶叫。

 鉤爪がうなりを上げ、ついにレッサー・デーモンに致命傷を与えていた。

 どうと倒れ伏した下級魔獣は、もはやピクリとも動かない。

 

「やった……やったよ! クレア!! ねえ見た! 見たよね! 見てたよね!? あたし、ひとりで魔獣を倒したよ! どう!? すごいよねあたし!!」

 

 興奮気味で私のもとに駆け寄り、ぴょこぴょこ動いてくるウルの頭を、優しく撫でてやる。

 

「初めてにしては上出来だ」

「ほんと? ほんとにほんと!? やったー! クレアに褒められたよー! アテナさん、見たよね?! クレアに褒められたよ!!?」

「おめでとうございます、ルウさん」

 

 いつまでも嬉しそうにはしゃぐウルを、私とアテナは微笑ましそうに見ているのだった。

 

 

 

 ※ ※ ※

 

 ※ ※ ※

 

 

 

「……面白くない」

 

 

 魔王城の威厳の象徴である王の間にて、ただ独り玉座にいた新魔王(ブレア)は、両ひざに両肘を置いて、忌々し気に呟いていた。

 この場に誰もいないのは、単純に時間帯のためである。

 バルコニー側にはカーテンが閉められているので室内は薄暗く、天窓から差し込んでくる月明りだけが、唯一の光源として落ちていた。

 

 

「こんなはずではなかった……」

 

 

 目障りな女を失脚させて自分が王の座に就いたまではよかった。

 しかしその後が、予想を裏切っていたのだ。

 

 

 魔族国は実力主義社会。

 

 

 弱い者が淘汰され、強い者がのし上がるのは当然のことであった。

 敗北した者は、勝者にどう扱われようが仕方がないのだ。

 

 

「だというのに、あの男(マイアス)ときたら……」

 

 

 いまだに前魔王を支持しており、志を同じくする同胞を集め、一大派閥を作り上げていたのだ。

 いまでは、マイアスを中心とした前魔王支持者で構成される派閥とで、権力を二分する形となっていた。

 水面下でドバンが連中の切り崩しを行っているが、あまり効果はない様子。

 

 

 ブレアにとって面白くないこの流れに拍車をかけた原因……城全体に、とある”噂”が広がっていたのである。

 

 

 前魔王のクレアナードは、新魔王のブレアの奸計で失脚させられた、と。

 勇者を引き入れ、漁夫の利を得ただけの卑怯者。

 実力ではなく、汚い手で王の座を奪取した簒奪者……と。

 

 おかげでブレアは、魔王になったというのに、まるでその気がしなかったのだ。

 

 

「マイアスめ……汚い手を使いおって……」

 

 

 証拠はどこにもない。だが、断定する。

 しかしながら、マイアスがこのような裏工作を得意とする性格でないことはすでに知っているので、恐らくは、裏で糸を引いている人物……あの女の妹(ラーミア)当たりが入れ知恵しているのだろう。

 

 しかし表立った証拠が何もない以上、表面上は事を荒立てる気はないという姿勢を見せている№2を排除するわけにはいかなかった。

 そんな暴挙に出れば、さすがにマイアス派の連中が黙っていないだろうからだ。

 

 前魔王を失脚させ得たのは、弱体化したからという実力主義社会を背景とした大義名分があったからであって、いま№2のマイアスを排斥する正当な理由がなかったのである。

 

 マイアスも着実に実力をつけているので、正直なところ、ブレアと一騎打ちをしたとしても、もはやどちらが勝つかはわからない状態であり。

 しかもそのような事態になるということは、マイアス派と正面切っての衝突になることが予想され、魔族にとって甚大な被害を被ることだろう。

 それに加えて、戦力が消耗したところで人族の軍に攻め込まれては、ひとたまりもない。

 それではブレアが欲している権力が崩壊してしまい、本末転倒になってしまうのだ。

 

 

 つまり、いまのこの煮え切らない状況は──

 

 見通しが甘かった……その一言に尽きる。

 

 

(ドバスめ……あの無能が。一任したのは失敗だった)

 

 

 とはいえ。

 連中が粋がっていられるのは、前魔王(クレアナード)()()生存してるからに過ぎず。

 あの女さえ消してしまえば、マイアスたちもおとなしくなることだろう。

 

 

(こんなことならば、見す見す逃がすのではなかったな)

 

 

 落ちぶれた人生を後悔と共に過ごさせるために、あえて見逃したのだ。

 しかしよもや、その判断が誤りだったということに、ブレアは顔をしかめる。

 

 

(あの女への嫌悪が判断を誤らせた……か)

 

 

 ただ見逃すのも面白くないので、恥辱を与えるべく配下を追撃させたが……それも失敗に終わっており、もっと本格的な数を送り込めばよかったとかるく後悔。

 水面下で牽制してくるマイアス派のせいで、もう下手に動くわけにもいかなかった。

 

 ──だからこそ。

 いまブレアは、独りこの場で待っていたのだ。

 

 

 独りしかいなかった空間に、突如として”気配”が生まれた。

 

 

 いつの間にいたのか、ブレアの視界に人影が。

 全身黒ずくめ……口元を覆っているために性別は不明だが、紅い両目が魔族であることを示して来る。

 全ての入り口は閉じているのでどうやって侵入してきたのかはわからないが、その黒ずくめは音もなく、静かにその場に佇んでいたのだ。

 

 

「きたか。会うのは初めてだが、お前の噂は聞いているぞ。”暗殺者”ウーア」

 

 

 ブレア自身が動くわけにはいかず、兵も下手に動かせない、しかもドバンもアテにならない以上、第三者を使うという方法をとったのた。

 最強魔王だった頃ならばいざしらず、弱体化した今の状態ならば、それなりに名が売れている暗殺者でも殺せるだろうという判断である。

 

 いずれはマイアスも消す予定だが、いまはまだその時ではなく、まずはあの女の始末が最優先される。

 

 

「……依頼内容は」

 

 

 マスクのためにくぐもった声であり、声から性別を判断することはできなかったが、ブレアはこれといって気にした様子はなく。

 

 

「前魔王クレアナードの首をもってこい」

「弱体化したとの噂は聞いている」

 

 

 さすがはプロというべきか、暗殺者は眉根をピクリとも動かさず、淡々としていた。

 

 

「最強でなくなったのならば、依頼を果たせるだろう」

「だが、殺す前にやってもらうことがある」

「他にも依頼が?」

「奴が”女”であることを後悔させてから、奴の首をとれ」

 

 

 にやりと厭らしく嗤うと、初めて暗殺者の眉根が一瞬だけ反応する。

 

 

「……自分の仕事はあくまでも殺すこと。女を甚振るのは管轄外だ」

「何を硬い事を。あの女の美貌を前にすれば、そんな青い考えなど吹き飛ぶさ」

「……了解した」

 

 

 所詮は金で雇われる身であり、依頼主の意向には添わねばならない。

 どんなクズな依頼内容であろうとも。

 

 

(どうやら、新魔王の評価は評判通りだったということか)

 

 

 暗殺者は内心で吐き捨てる。

 仕事が仕事なので、依頼主の情報はあらかじめ把握しておくのも、身を守る手段なのだ。

 優秀な暗殺者であればあるほど、用心深いということである。

 

「期限は設けんが、出来る限り早く首を持ってこい」

 

 言葉を交わしたくないという表れなのか、暗殺者はこくりと頷いたあと、闇に溶けるようにして消えていった。

 気配がなくなるも、扉や窓が開けられた形跡はまったくなかった。

 

 

「魔法の類だったのか……? まあ、なんでもいい」

 

 

 大きく息を吐き、玉座に深々と背中を預ける。

 

 

「クレアナード……つくづく、邪魔な女だ」

 

 

 排除した後も尚、こうして手を煩わされるのだから。

 

 

「何と言われようが、勝ったのは俺であり、あの女は敗者に過ぎんのだ……俺は魔王であり、あの女はもはやただの魔族に過ぎん……。そうだ……勝ったのは、この俺なのだ」

 

 

 月明りが差し込む中、まるで自分に言い聞かせるように独りごちていた。

 

 

 ──────

 

『小説家になろう』にて本編書いてます。


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