戦姫絶唱シンフォギアAL 不思議な歌と錬金術士達 作:東山恭一
五人は森を抜け当たり障りのない会話をしつつしばらく歩くと中世ヨーロッパ風の城と城下町ようなものが見えてくる、その時点でようやく装者三人はここが異世界なのだと確信し、気を引き締める。そして大きな門をくぐった後リディーが三人に振り向いて言った。
「三人ともようこそアダレットへ…と言いたいんですけど…」
「どうしたの?」
言い渋ってるリディーに代わってスールがピシャリと言った。
「三人ともぶっちゃけ凄く怪しいのでこれから取り調べするね!」
「ああ…まあそれはそうだろうな。珍妙な服装で自分の事をロクに明かさないとなれば確かに取り調べしたくもなるだろう。承知した、立花と雪音も良いだろうか」
「はい、まずは相手に信頼してもらわないとですね」
「まあやましい事なんてねえし、先輩も腰を落ち着けられたら話せるだけは話すんだろ?」
「まあな」
三人が同意するとリディーが言った。
「じゃあ決まりですね。家…は片付いてないし、万が一って事もあるし…スーちゃん、ソフィーさんの所に行かない?」
「そうだね、もし何かあってもソフィーさんとフィリスさんが居れば何とかなるでしょ。じゃ、案内するね」
(完全に怪しまれてる…)
三人は自身らの疑われっぷりに溜息をつきながらも姉妹の後をついていく、着いた所は小さなテントだった。
「じゃあちょっと待ってて下さい」
そう言って姉妹はテントの中に入って行った。姉妹がいなくなった後、クリスが切り出した。
「完全に怪しまれてんな、まあ当然っちゃ当然だが」
「ああ、だからこそこれからの話でその疑いを晴らしていく他ないだろう」
「大丈夫です、話ができるなら人は分かり合えますよ!」
「お前にとっちゃいつもの事か、心強いこったな」
そこまで話すとテントからリディーが顔を出して三人に言った。
「どうぞ、入って下さい」
「入って…ってえ?テントに?」
「そうですけど…どうかしました?」
「どうしたもこうしたもお前こんなちっこいテントにこんなに入れるかっての」
「ああ、それなら大丈夫ですよ。まずは入って下さい」
リディーは笑ってそう言うとテントに引っ込んだ。
「何だぁ?この世界じゃおしくらまんじゅうでもしながら話すのか?」
「郷に入れば郷に従うまで、行くぞ」
「はいッ!おしくらまんじゅうなら負けませんよッ!」
「そうじゃねぇだろ…」
そう言って三人がテントに入ると一歩目で目の前の光景に立ち尽くした。
「これは…」
三人の前に広がっていたのは奥に充分な広さの部屋が奥に三つ連なる光景、外のテントの大きさとはとても見合わない広さだった。
「え?え?何でこんな広い部屋が…」
「どう言う事だよこれは…」
三人が呆けていると奥からリディーとスール 、そして赤い髪でマリアと同年齢くらいの優しげな雰囲気の女性がやってきて女性が三人に呼びかけた。
「あれ?怪しい人って聞いたから警戒してたけど…そうでもなさそう?おーい?」
「…はっ、あ、ああ。すまない、少し呆けていた」
「どうかしたの?」
「いえ大丈夫です、それより貴方は…」
「あたし?あたしはソフィー・ノイエンミュラー、ソフィーで良いよ」
「私は立花響です、こっちの赤い子が雪音クリスちゃんで青い方が風鳴翼さんです」
「よろしくね三人とも…で」
自己紹介が済むとソフィーが話を切り替えた。
「リディーちゃんとスーちゃんが怪しい人って言って連れて来た割には…服装以外は特に怪しくなさそう?」
「ではまずその服装から話をするとしよう。少し驚くかもしれないが…二人とも、解除するぞ」
「はい」
「おう」
三人がシンフォギアを解除すると目の前の三人は驚いた表情をして固まっていた。
「さっきのあたしらみたいだなこれじゃ」
「ソフィーさーん?リディーちゃんスーちゃん?」
「あ、ああ。ごめんね、急に服装が変わったからびっくりしちゃって…」
「まあそうなるだろうな、服装と言われた手前下手に戻すと混乱しかねないと思ったからな。まずはこれから説明させてほしい」
翼はシンフォギアシステムの事、聖遺物の事、それが選ばれたものの歌によって励起する事を伝えた。ソフィーはそれを興味深げに聞いていて話終わると目をキラキラさせて話し始めた。
「歌いながら戦うシンフォギアかぁ…なるほど…」
「あとは一番重要な私達の事だが」
「そう言えばそうだね、翼ちゃん達はどこから?」
「実は…異世界と言ったら信じてもらえるだろうか」
それを聞いたソフィーと姉妹は目を丸くするがすぐに納得した。
「よく考えたらそれもそうか…シンフォギアなんて聞いた事ないし、何より異世界って言われてもあんまり抵抗無いしね」
「そうなのか?」
「うん、色々旅して来たからね!」
「そうか、話が早くて助かる。あとは目的なんだが…ソフィー、つかぬ事を聞くが」
「? うん」
「この辺りで人が灰になったと言う話を聞かないだろうか」
それを聞くとソフィーは怖気付いた表情になって聞き返す。
「え…?聞いた事ないけど…何それお化け?」
「お化け!?何!?翼さん達ゴーストハンター!?」
「いや違うのだが…それと言うのもだな」
翼は再びギャラルホルンの事と人を炭化させるノイズ、そしてその変異体であるカルマノイズの事について話した。
「ノイズ…人を炭化かあ…リディーちゃんとスーちゃんは聞いたことある?」
「そんな恐ろしい話聞いたことないよ!」
「私も聞いたことありません…」
「ふむ…ではノイズ被害はこの街では出てないと言うことか。では別のところか、この辺りに他の街はあるか?」
「んー…小さな街ならあるだろうけどここほどの街はないかなあ」
それを聞くと装者三人は不審に思い考え込んだ。いくら特殊な事態と言えどギャラルホルンがカルマノイズ出現地からそう遠い場所に自分たちを出すとは思えなかったからだ。考え込んでいるとリディーが口を開いた。
「もしかして最近のレンプライア騒ぎと関係あるのかなあ?」
「レンプライア?」
「はい」
響の疑問の声を受けてリディーが話し始めた。
「レンプライアって言って絵の中の世界にいる怪物なんですけど」
「絵の中?」
「はい、信じられないかもしれないですけどそうなんです」
「大丈夫だよ、絵の中もある意味異世界だし!」
「あ、そっか。で、そう言うことなんです。それが最近多く出現してて」
「ノイズと何か関係あるかもって事?」
「かもしれません、けど…」
「けど?」
「絵の中は危険が多くて…実力的に信頼できる人じゃないと入れないんです」
それを聞きクリスが会話に横から割って入る。
「それだったら大丈夫だろ、自慢じゃねえが腕には自信あるぜ」
「じゃあ試験させて下さい」
「試験だぁ?」
「はい、これから私達と依頼をこなしに行ってもらいます。そこでクリスさん達の実力を測らせて下さい」
「ハッ、上等だ。やってやろうじゃねえか!」
他の二人も同意して話が決まる。依頼をこなしに行こうとテントを出ようとするが翼がソフィーを呼び止めた。
「ソフィー、一ついいか」
「ん?どうかした?」
「このテントのことなんだが手品か何かか?」
「ああこれ?錬金術で作ったんだよ」
その言葉を聞いた途端装者達の表情が一変する。
「ソフィーは…錬金術士なのか?」
「うん、リディーちゃんとスーちゃんもそうだけど…まさかそっちの世界にも錬金術があるの?」
「そうなのだが…一つだけ聞きたい。パヴァリア光明結社という組織を知っているだろうか」
「パヴァリア?んー…聞いたことないなあリディーちゃん達も知らないよね?」
ソフィーが聞くと姉妹は二人とも知らないと答えた、それを見て翼は胸を撫で下ろした。
「ああ、それならば良いんだ。危うく嵌められたかと思ってしまった」
「嵌める?どうして?」
「パヴァリア光明結社…ひいては錬金術士はこちらの世界では世界に仇なす敵だった。錬金術を使い世界を掌握しようとしたのだ」
それを聞いたソフィーは少し悲しげな顔をした。
「そっか…錬金術を悪いことに…悲しいな、錬金術はみんなを笑顔にする物なのに」
「…そうか、すまない。辛い話をしてしまった」
「ううん、大丈夫。さ、行こう」
「ああ、行くぞ。立花、雪音」
そう言って翼達は依頼のためにテントを出た。