戦姫絶唱シンフォギアAL 不思議な歌と錬金術士達   作:東山恭一

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初めての依頼

「で?どこ向かってんだこれ?街中で出来る依頼なのか?」

「ううん、こなすって言ってもこなす依頼がまず無いからね。王城に受けに行かなきゃ」

「何だ、もうあるのかと思っちまったよ…え?王城?」

「うん、あの豪華な建物。試験ってなれば普通の依頼より王城からの依頼の方が良いかなって」

 

スールが指差したのは町の外からも見えた白亜の城、その偉容にクリスは少しだけ身じろぎした。

 

「そうか…なんか緊張すんな」

「大丈夫だって!あ、ついたよ」

「心の準備くらいさせてくれよッ!」

「雪音、漫才をやってる場合ではないぞ」

「漫才じゃねえッ!」

「あははっ、クリスちゃん面白い!」

「うっせぇバカ!」

 

そんなやり取りをしつつ六人は王城に入る。入ったところには広いエントランスがあり右に何個か椅子と机があり正面には受付があった。リディー達は受付に向かい人を呼ぶ、すると奥から金髪碧眼の女性が出てきた。

 

「あら双子ちゃん達、どうかしたの?」

 

スールと話していたクリスは女性の声を聞いて咄嗟に声が出た。

 

「マリア?」

「え?」

「あ、いや。何でもねえ…声が知ってる奴に似てたもんだからよ、すまん」

「あらそうなの?良いのよ別に。で?どうかしたのかしら?」

「はい、この人達なんですけど…」

 

リディーは翼達の事と目的、そしてレンプライアの事に関して関係があるかもしれないから絵の世界に入れるために試験をしたいということを話した。

 

「なるほど、絵の世界にね。ちょうどいい依頼が今来てるの」

「ホントですか!」

 

女性の返答に響は表情が明るくなる。

 

「ええ、新緑のオーダリアの魔物の活動が激しくなってるようなの。このままじゃ被害が出そうだから様子を見てきて必要なら討伐をしてもらわ」

「新緑のオーダリア?」

「ええ、ここからそう遠くない場所よ、受けてくれるかしら」

「もちろんですッ!」

「おいおい一人で突っ走るなっての」

 

クリスが響を諌め正式に依頼を受けた後六人はアダレットを出て新緑のオーダリアに向かう途中でソフィーが装者に尋ねた。

 

「ねえ、そのカルマノイズってほっといたら危ない感じ?」

「ああ、何せ消えない上に放置しておけばこちらの世界にもカルマノイズが出る危険性がある。迅速に倒さねばならない」

「そういうこったな、さっさと行くぜ」

「分かった!頑張ろ…って言ってもこの依頼はあたし達手出ししちゃいけないんだっけ?」

「そうですよ、ソフィーさんが手伝うとすぐ終わっちゃいますから」

「もー、買いかぶりすぎだよー」

 

そう言ってリディーとソフィーが笑う、翼は少し眉をひそめソフィーに聞いた。

 

「ソフィー、つかぬ事を聞くが…ソフィーは手練れの錬金術師なのか?」

「え?いやいや、そんな事ないよ。あたしなんてまだまだ」

「そんな事ないですよ!ソフィーさんは凄い人です!」

「ふむ…」

 

その光景に翼はなんとなく察した風に続けた。

 

「なるほど、研鑽の途中と言ったところか?」

「うん、あたしの夢は錬金術でみんなを笑顔にする事だからね」

「そうか…良い夢だ」

 

優しく笑っている翼にスールがツンツンと翼をつついて声をかける。

 

「翼さんは夢あるの?」

「ああ、私も世界に羽ばたく歌手として、そして人を友を護る防人として更に研鑽を積まねばならない」

「え?翼さん歌手だったの?」

「そう言えば言ってなかったな」

「凄いね、フィリスさんが聞いたら喜びそう!」

「フィリス…?」

「うん、説明したいところだけどもうすぐ着くからまた後でね」

「ああ、楽しみにしておこう」

 

六人は爽やかな風が包む平原に到着する、そこには動物達が朗らかに過ごす場所だが少し様子が違った。

 

「…雰囲気が変です」

「何かピリピリしてるね、ヤな感じ」

「翼ちゃん達、気を引き締めてね」

「承知、元よりそのつもりだ」

 

警戒して歩き出す六人、錬金術師三人の予感は的中したのか大きな咆哮がすぐ近くで聞こえた。

 

「皆さん、あっちです!」

「うん!」

 

六人が向かうと上半身が鷲、下半身がライオン、響達の世界では空想の存在とされるグリフォンが暴れまわっていた。

 

「ええっ!?グリフォン!?」

「響さん、驚いてる場合じゃないです!」

「う、うん!行くよッ!」

 

響の聖詠が辺りに響く、シンフォギアを纏った響はグリフォンに飛びかかり顔に拳を叩きつける、だがグリフォンは物ともせず羽根をはためかせ風で響を吹き飛ばした。

 

「うわっ!?」

 

煽られた先で同じくシンフォギアを纏った翼に受け止められ態勢を立て直す。

 

「ったくこのバカ、先走るんじゃねえっての」

「その通りだ立花、一人でこなしてしまっては試験として意味があるまい」

「分かりました、じゃあ三人で行きますよッ!」

 

異世界での戦いの幕が切って落とされた。

 

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