戦姫絶唱シンフォギアAL 不思議な歌と錬金術士達   作:東山恭一

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依頼完了

「さーて、異世界最初…2度目か?まあ良い、派手にぶちかますッ!」

「応ッ!立花、まずは斬り込むぞ!」

「はいッ!」

 

響と翼がグリフォンに突っ込み攻撃を加える。だがグリフォンは空に飛び立ち近接では届かない距離まで登ってしまった。

 

「逃さん!」

 

翼がアームドギアを変形させ青い斬撃を飛ばすがそれすらも悠々と身を翻しかわされてしまう。

 

「だったらハチの巣にしてやるッ!土砂降りなァ!」

 

クリスがガトリングを展開してグリフォンに向けて乱射する、グリフォンは大きく旋回しながらかわしつつクリスを睨んだのち突進を仕掛けた。

 

「うおっ…と」

 

クリスはグリフォンの本体こそ避けたがその巨体から繰り出される突風に少し怯む。そして立て直すと既にグリフォンが2回目の突進を始めていた。

 

「やべ…ッ」

「危ないッ!」

 

響が前に躍り出てグリフォンの顔面を殴りつける。一瞬押し切られそうになるが脚部のジャッキを地面に固定しそのまま拳を振り抜く。飛び退ったグリフォンは更に高空へと登っていった。

 

「やらせっかよ!乗れ!」

 

クリスは大型のミサイルを二基射出する、それに響と翼が飛び乗りグリフォンへの距離を近づける。

 

「一撃で決めるッ!」

 

ミサイルはグリフォンを追い越しグリフォンの上を取る。そして二人が飛び降り無防備なグリフォンの背中に拳と剣を突き立て地面に叩きつけた。

 

「…ふぅ」

「もう動かないな、討伐完了だ」

「今日の晩メシはコイツか?」

「それいいね!美味しそう!」

「冗談だっての」

「だが戦勝の祝いには良いかもしれんな」

 

3人が話しているとソフィー達が興奮しながら響達に話しかけて来た。

 

「凄いね3人とも!初めてなのにグリフォンやっつけちゃうなんて!」

「あれがシンフォギアって言うんですか!」

「ねぇねぇクリスさんのミサイルどうなってるのか見せて見せて!」

「あわわわ3人とも落ち着いて!」

 

なんとかソフィー達を窘め話を再開させる。

 

「…で、これで任務完了という訳だな?」

 

翼がそう言うとリディーが微笑んで返答した。

 

「はい、お疲れ様でした。じゃあ帰りましょうか」

「んーつっかれたぁ、お腹減ったなあ」

「その前に報告だろ?食い意地張ってんなあ」

「そうだったぁ…」

 

六人は王城に行き報告をする。

 

「…と言うことで暴れていたグリフォンを討伐、他に異状はなかったため帰還しました」

「お疲れ様三人とも、以降はこちらで様子を見るわ。何はともあれ、これなら絵の世界に行っても申し分なさそうね」

「ええ、ありがとうございます…と、そう言えばまだ名前を聞いていませんでした」

「あら、そう言えばそうね。私ったら…私はミレイユ・フェリエ・アダレット。よろしくね」

 

ミレイユの名乗りに翼は疑問の表情を浮かべミレイユに質問した。

 

「ミレイユ女史、今「アダレット」と名乗りましたが…もしかして」

「ええ、そのもしかして。私ここの王女なの。双子ちゃん達言ってなかったの?」

「そう言えば忘れてました…」

「あらあら、まあ良いけれど。まあそう言う訳だから、よろしくね」

「あ、ああ。よろしくお願いします」

 

先ほどとは打って変わって堅くなった翼をミレイユは笑って窘めた。

 

「良いのよそんなにかしこまらないで、ミレイユさんって呼んでくれれば」

「分かりました、ではそのように」

「ええ、ともかくお疲れ様。もう帰って良いわよ」

「はい、では」

 

六人はミレイユに別れを告げて王城を出る。道中でスールが三人に切り出した。

 

「ねぇ三人とも、これからどうするの?泊まってくの?」

「うーん、向こうの世界での報告もあるし一旦帰ろうかな」

「そうだな、心配させてもあまり良くない。スール、すまないが泊まりはまた今度だ」

「ちぇー、せっかく色々聞かせてもらおうとしたのに」

「次会ったら腐る程聞かせてやるよ」

「ホント!?楽しみにしてるね!」

「ではな、また会おう三人とも…ああそうだ」

 

別れ際、翼が思い出したように振り返ると話し始めた。

 

「実は私たちの仲間がもう三人いる、次来るのはその三人かもしれない…と言うか十中八九そうなるだろう」

「他の人?」

「ああ、三人とも手練れだ。どうか試験は免除してやってくれないか」

「じゃあ話はつけておきますね」

「感謝する、名前を伝えておく」

 

翼はマリア達の名前と外見を伝える、そして「これはどうしても信じられなければ」と付け加えて秘密の判別方法を伝えておいた。

 

「…と、そういう訳だ」

「はい、分かりました。じゃあきっとまた会いましょうね」

「うん!じゃあねみんな!」

「イヤでもまたそのツラ拝むことになりそうだけどな」

 

三人はゲートを通ってS.O.N.Gに帰還し、弦十郎に向こうの世界の事を報告した。それを聞いた弦十郎は唸った。

 

「アダレット…錬金術の平和利用…なるほど、特に敵性となる人物は見られなかったのだな?」

「はい、課せられた試験もこなしました。これでカルマノイズの討伐に臨めるかと」

「分かった、引き続き任務を続行してくれ」

「承知しました…そうだ、マリア」

 

翼は一度話を切ってマリアに話を振る。

 

「何かしら」

「向こうに話を通しておいた、マリア達も怪しまれずに向こうに行けるぞ。安全も確認されたし行ってみるのはどうだ?」

「そうね…」

 

マリアが考えていると切歌と調が割って入った。

 

「アタシ行ってみたいデス!」

「私も…興味ある」

「切歌、調、遠足じゃないのよ。これはあくまで任務なんだから…でも、興味あるのは否めないわね。次は私達が行くわ」

「そうか、ではそうしよう」

「やったデース!…ん?」

 

切歌がふと見ると少し残念そうな顔のクリスが居た。

 

「クリス先輩、浮かない顔デスね。どうしたデス?」

「べ、別になんでもねえよ」

「そんな事ないデス、なんか残念そうな顔してるデスよ」

 

それを聞いた響がいたずらっぽく笑いながら言った。

 

「向こうの子と色々話す約束してるからそれじゃないかなぁ?ね?クリスちゃん?」

「バッ…テメッ!余計なことを!」

「あはは、図星なんだ?」

「先輩可愛いデース」

「っせぇ!」

 

クリスは赤くなりながら否定する、それを見かねたマリアはクリスを宥めてから話し始めた。

 

「分かったわよ。クリス、今回は代わってあげるから次行くときは譲りなさい」

「だからそうじゃ…まあ…ありがとよ」

「どういたしまして」

「楽しませてあげてきなさい」

「だからちげーってのッ!」

 

S.O.N.Gは楽しい喧騒に包まれて時間が過ぎていった。


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