戦姫絶唱シンフォギアAL 不思議な歌と錬金術士達 作:東山恭一
いざ、絵の世界へ
ゲートを通って再び最初に降り立った森にやってきたクリス、切歌、調。クリスが辺りを見回した後安堵したように溜息をついた。
「どうしたデスか、先輩?」
「いや、もしかしたら別のところに放り出されるんじゃねえかって心配だったんだ。特殊って言ってたしな」
「森の中ですけど…人の気配もないし」
「街からちょっと離れてんだ、つっても手入れはされてるしそこまで危険な森じゃないらしい。ほら、行くぞお前ら」
「はいデス」
「分かりました」
そう言って3人が歩き出そうとすると前から声が聞こえてきた。
「ホント!?歌いながら戦うの!?凄い凄い!私も早く会いたい!」
大きく明るい少女の声が聞こえてくる。その話している内容はおよそ自分たちの事だろうと思ったクリス達は一度足を止めた。
「先輩、この声の人知ってるデス?」
切歌が聞くとクリスが答えた。
「いや、こんなバカみたいに煩い声は知らねえな。向こうにもまだお友達がいたってワケか?」
「どうしますか?」
「あたしが会ったやつらの友達なら悪いやつじゃねえだろ、このままご対面と行こうぜ」
3人がそのまま歩いて行くとリディーとスール、そして濃いベージュの髪で弓を持った少女が現れた。
「よぉお前ら、コッチの都合でまたあたしが出張って来た」
「あ、クリスさん。そっちの二人は?」
「前言ってた仲間だよ」
クリスがそういうと切歌と調が自己紹介を始めた。
「暁切歌デス!よろしくお願いするデス!」
「月読調、よろしくね」
「私はリディー・マーレンです。よろしくお願いしますね」
「アタシはリディーの妹のスール ・マーレン。よろしくね」
四人が自己紹介を済ませるとクリスがリディーに聞いた。
「なあ、お前らが連れてるのって…」
「あ、今紹介しますね。フィリス・ミストルートさん。私達の友達です」
フィリスと紹介された少女はハキハキと自己紹介を始めた。
「フィリス・ミストルート!旅の錬金術師でソフィー先生の弟子だよ!好きな食べ物はお肉!よろしくね!」
「あぁ、こいつら二人は今言った通り。あたしは雪音クリスだ、よろしくな」
「うん!ところで…」
「何だよ」
フィリスがクリスの肩を掴んで興奮気味に訪ねた。
「ね、シンフォギアって今着てるのがそうなの!?歌いながら戦うってホント!?ミサイルとかわーって出るの!?見せて!」
「だぁぁ揺らすな揺らすな!全部そうだよ!戦いっぷりはその時になったら見せてやるから待ってろ!おい双子姉妹!こいついつもこうなのか!」
「いつもはもうちょっと落ち着いてるんですけど…昨日帰って来てからクリスさんたちの事話したらずっとこんな調子で」
「また面倒なのに捕まっちまったな…つーかいつまで引っ付いてんだお前は!とっとと街に行くぞ!」
何とかフィリスを落ち着け6人はアダレットに向かった。到着すると切歌と調がワクワクした様子で話し出した。
「調!お城デスよお城!やっぱりここ異世界デス!」
「うん、お伽話みたい」
「あんまりキョロキョロすんなよ、迷子になっちまう。で?今日はどうすんだよ、いよいよ絵の中に突入か?」
「ちょっとだけテントで作戦会議してから行きましょう、準備とかありますし」
「そうか、じゃあ行こうぜ」
テントに到着しマーレン姉妹とフィリスがテントに入る。クリスもそれに続いて入ろうとするが切歌と調が躊躇してるようで振り向いた。
「どうしたんだよ」
「ここが噂の四次元テント…」
「そんな尻込みするほどのもんでもねえよ」
「大丈夫デス?なんか入ったら体がゴチャゴチャーってなったり…」
「そんな恐ろしい事あってたまるかッ!さっさと付いて来いって」
3人がテントに入ると姉妹とフィリス 、ソフィーの他に銀の長髪の落ち着いた印象を受ける少女が居た。銀髪の少女はクリス達を見ると微笑んで話し始めた。
「おや、貴方達が…話には聞いています。私はプラフタ、ソフィーの師匠です。よろしくお願いします」
「あ、ああ。よろしく」
クリスは受け答えをした後少し困ったような顔をした。
(ちょっとあの子の声に似てたな。ビックリしちまった)
そうしているとフィリスが話を切り出した。
「それでそれで?今日は絵の中に行くんだよね?どの絵に行くの?」
「どのって…絵って一つじゃないんですか?」
質問した調にリディーが答えた。
「はい、幾つか拾ってきた絵とか集まった絵とかあってそれぞれ違う世界が広がってるんです」
「そうなんだ…」
「それで、今回はざわめきの森に行こうかなって」
リディーがそう言うとソフィーがテントの奥に、スールがテントの入り口に行こうとしたがそれぞれプラフタとリディーが捕まえた。
「ソフィー、まだ話の途中ですよ」
「ちょっとお腹痛くなっちゃってー…あ、あはは…と言うわけで今回の件はパス…」
「スーちゃん、どこ行くの?」
「いやー急に頭痛くなっちゃってー…今回はちょっと無理かなーって」
あからさまな二人をプラフタとリディーは一蹴した。
「そんなこと言って逃げるつもりでしょう、
バレバレですからね」
「やだやだやーだー!あそこだけは許してっばぁ!」
「ダメだよスーちゃん。スーちゃんにも協力してもらわないと」
「うわぁぁぁぁぁぁん!リディーの鬼!悪魔!」
怖がってる二人を横目に切歌がフィリスに訪ねた。
「なんデスかそのざわめきの森って、そんなに危ないところデスか?」
「危ないって言うかあの二人は単純にあそこが苦手なだけって言うか…」
「どういうことデス?」
「出るんだよね…ユーレーイ…」
フィリスは手を前に垂らし驚かすような口調で「うらめしや〜」と言う。それを聞いてソフィーとスールは更に騒ぎ始めるが装者の3人にも少なからず波紋が広がっていた。
「幽霊…お化けデスよ調…ちょっと怖いデス」
「私も怖いけど切ちゃんと一緒なら…」
「はっ、何怖がってやがる。全部ハチの巣にしちまえば同じこったろ」
(わざわざ私達の部屋に来てまで…)
(心霊番組見てた人のセリフとは思えないデス…)
なんとか騒ぎを収め会議を再開し、リディーが話し始める。
「それで、奥まで行って異常が無いようならそれで良し。何か異常があったならそれを上手く取り除いて帰ってくる。それで行こうと思います」
「流れはいいけどよ、メンバーはどうすんだ?二人戦力外通告食らってんじゃねえか」
「大丈夫です、スーちゃんならいけます」
「むーりー!」
「ソフィーなら大丈夫ですよ」
「やーだー!」
再びソフィーとスールが騒ぎ始めた。
「ダメじゃねえか…別のメンバー連れて来た方が良いんじゃねえか?」
「よし分かった!プラフタとじゃんけんして負けたら諦める!」
「何が分かったんですか…」
「あたしも!あたしもリディーとじゃんけんして負けたら行く!」
「もー…分かったから、じゃあ行くよ」
「じゃんけん!」
「ぽん!」
ここはざわめきの森、鬱蒼と樹木が茂りどこからか噂話をするようなひそひそ声が聞こえ視線を感じる幽霊たちの社交場。そしてそこに響く声は…
「負けたぁぁぁぁぁぁぁ!!」
「あたしも負けたぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
「先生と探索だー!やったー!」
「揃いも揃ってうっせぇ!いい加減腹くくれっての!」
「先輩怖くないデス?」
「ここまであからさまだと逆に怖くない、いや普通のお化けも怖かねえがよ」
「切ちゃん、離れないでね」
「もちろんデース、どこでも調と一緒デスよ」
「お前らもそう言う事は家でやってくれ…ったく、大丈夫なのかこれで…一応カルマノイズ倒しに来てるってのに」
「大丈夫ですよ、スーちゃんもソフィーさんもやる時はバッチリやる人です」
クリスがため息を吐いて呆れるがそれを聞いて少しぎこちなく笑った。
「ま、そう言うなら信じるが。さ、行くか」
「はい、行きましょう」
そう言ってクリスとリディーは他のメンバーを連れて歩き始めた。カルマノイズ狩りが本格的に始まりクリスは気を引き締めた。