カインの腐敗録   作:痛い作者ことカイン=9

18 / 19
 やっと投稿。
 そう言えば、カイン=9を超絶下手な絵で描きました。イメージが壊れる可能性もあるかもしれないので、自己責任で閲覧下さい。

 追記
 諸々の展開を鑑みて、当小説を続行するにはカインの〈Infinite Dendrogram〉開始時期をレイより一ヶ月早い程度にすることとしました。通告が遅れてしまい、申し訳ございませんでした。


第十六話 カイン=9の日常

 □霊都アムニール 【死霊術師】カイン=9

 

「へえ⋯⋯超級激突ね」

「はい〜。リアルなら来月下旬に執り行われるらしいんですけど、もしもチケットが取れるようなら一緒に行かない〜?」

 

 木漏れ日の差し込む公園で、ボクはその提案に対して黙考していた。誘ってくるのはみいこ。ベンチに座るその傍らには、メタリックな金色に輝く兜が置かれている。狩人に兜って⋯⋯。

 

 話は戻るが、超級激突についてである。

 確か何も予定は無かったはずだし、参加は出来る。それに、超級同士の戦いってヤツも見てみたい。

 ただ、ついさっき三日がかりで【死兵】のレベルをマックスにし終わって、【古戦士】のジョブを取ってきたばかりのボクとしてはビルドの構築に勤しみたかったのも事実だ。〈Infinite Dendrogram〉しかゲームをしたことがないボクとしては、このビルドというのがなかなか楽しくてね。

 

 前回モルブインで、例の【古戦士】のジョブクリスタルに触れた時の濃密な殺気は、先程行った時には感じられなかった。だから、【古戦士】のジョブを取る事にしたのだ。

【死兵】のレベルをマックスにしたから、合計レベルが150を超えたので取得を許してもらえたのかもしれない。まあ、強引にでも取ることはできたが、それはやっぱりなんというか嫌だったからね。多分というか、絶対に死ぬ。

 

 ボクは、この世界ではあまり死にたくないんだ。

 死ぬのが怖いと言っても良い。

 この世界、〈Infinite Dendrogram〉はゲームなのに、変な話だよね。自分でも分かってるさ。この世界がリアル過ぎるから、錯覚しているだけだって、ね。

 

 閑話休題だ。

 別段、断る必要も無い。何せ、超級激突はボクの知見を広めてくれるに違いないのだから。このデンドロという世界を生きるカイン=9という存在に何らかの影響を与えてくれるのは確かだ。

 

「良いよ、行こうか」

「やった〜。約束ですよ〜」

「ああ、約束だ」

 

 ただひとつ思ったのだが、超級激突のチケットは高いんじゃないだろうか?

 何せ、超級職マスター同士ではなく、超級エンブリオ、“超級”マスター同士の戦いである。そんなもの、誰であっても観てみたいに決まっていると思う。

 チケットが易々と入手できるとは思えないのだが⋯⋯。

 

「チケット? 大丈夫ですよ〜。私、これでもリアルラックは良い方ですから〜。この前ガチャ引いた時は、コレも手に入れましたし」

 

 そう言って見せてきたのは、彼女の装備の中で一つだけ明らかに雰囲気が異質な兜。聞いてもはぐらかされていたのだが、もったいぶっていただけか。

 いったい、この兜がなんだと言うのだろうか?

 

「この兜の名前は【傑竜兜 ドラグヘルム】と言うんですけど〜、この前の依頼の報酬金とパープル何とか捕縛の報酬金で引いたガチャから出たんです〜」

「ちょっと待ってくれ」

「はい〜?」

 

 いや、「はい〜?」じゃない。

 なんで、UBM特典がガチャから排出されるんだ。というか、なんでガチャでそんなものを当てているんだ。絶対にそれ、確率がおかしいヤツだろう。リアルラックが良いとかそういう話なのか?

 

「Sの文字が刻まれたカプセルの中から出てきたんですけど〜、多分これ、死んだティアンの人の持ち物だったりするんでしょうね〜」

「⋯⋯ああ、多分ね。この世界は、課金があるならまだしもそんなものは無い。だから、ガチャ如きでUBMの特典武具、それも無垢な唯一無二が当たるなんて考えにくい」

 

 全て憶測だし、ボクの希望的観測でしかないが、間違ってはいないだろう。

 マスターは本当の意味では死なない。だから、マスターの特典武具はずっとマスターが持ち続けることになる。それこそ、引退してでもだ。

 だけど、ティアンの特典武具は違うだろう。NPCである彼らにとっての死は、現実でのボクらの死と同じだ。“魂の在処”へと旅立ってしまう。

 まあ、そもそもティアンがUBMなんていう存在を倒せるのかは分からないが、師匠とかなら容易く出来てしまいそうだ。

 

 自由を提供すると共にリアルも提供する〈Infinite Dendrogram〉が、マスターの欲深き賭けに“当たり”を提供するというのなら、それくらいのこと(死亡したティアンの特典武具の再分配)はしてもおかしくないだろう。

 

「おめでとう、と言って良いのかな?」

「ん〜、私はあんまり気にしてないからね〜。曰く付きでも、強ければ使うよ?」

 

「目の前で悲劇が起きるなら尚更ね〜」と気負いなく最後に付け加えたみいこは、恐らく世界派のマスターなんだろう。

 月夜さんに教えてもらったのだが、この、世界派と遊戯派という括りは面白いね。当てはまる人にはかなり正確に当てはまる。

 

「⋯⋯まあ、何か良いことあると高確率で悪いこともやってくるから、ゼロサムなんだけどね〜」

「⋯⋯」

「⋯⋯あはは」

 

 ⋯⋯取り敢えず、ボクの方でも手に入らないか色々やってみよう。

 当面は、超級激突までにやれるところまでやっておく。

 

 でも、今日は何処にも潜りたくない。絶対にだ。

 

 ―――もう、一日23時間ログインは絶対にしない。やることを終わらせたらすぐにログアウトして寝てやる。

 

 

 ◇

 

 

「もう良いかい?」

「まだですわ。もう少しそのままでお願いしますわね」

 

 気恥しさでどうにかなってしまいそうだ。

 今着せられているのは黒いナース服。残念ながら無い胸を無理やり寄せて蠱惑的なポーズをさせられているが、向かいの鏡に映るボクは全然魅惑的じゃない。

 しかも、さっきは所謂ビキニアーマーを着せられた。まだ小六の子供に何を着せているんだ⋯⋯。

 

 アステリアさんの絵画屋には今回が二回目となる来店である。

 お金が必要だったり時間が空いた時にでも来て欲しいと言われていた為、装備の新調をしようと思い体を売りにきたのだが、先程約束した超級激突のチケットを手に入れるのにもお金が必要であるのでそれも含めてコスプレコースにしたのだ。後悔している。

 え、なんでオールしたのにログアウトすらせずバイトをしているのかって?⋯⋯なんでだろう。深夜テンションと言うヤツだろうか?

 

「さて、と。こんなものですわね」

「おぉ、凄いね」

 

 リアルで出来ることは、こっちの世界でも出来る。

 ボクは、そんな凄い技術なんて持ってないし素直に尊敬する。小説?あんなのは小説もどきさ。偉大なる先駆者の足元にも及ばないよ。まあ、いつかはその次元に辿り着きたい、とは思っているけどね。

 

 何はともあれ、アステリアさんの絵は凄かった。

 こんなにも色気の無いゾンビ娘を、おぞましくもその中に美しさの垣間見える一枚の絵画にしてしまうのだから。

 

「それほどでもないですわ。素材が良いからこんなにも素晴らしい絵が描けるのでしてよ」

「アステリアさんは、お世辞が上手いね」

「もう。世辞ではありませんのに」

 

 器用にも片翼をパタパタさせながら絵の具を乾かすアステリアさんを眺めながら、そんなことに使うものじゃないのでは?と浮上する疑問を飲み込んだ。というより、アバターメイクの翼なのに、なんで自在に動かせているのだろうか?

 尽きない疑問を全部飲み込んでいると、アステリアさんが何かを思い出したかのように口を開いた。

 

「そう言えば、あのスライム男がシンク林道の方にUBMを討伐に行ったようなのですけれど、私は呼ばれませんでしたの。まあ、ティターニアの勅命だったみたいですし、仕方の無いことかもしれませんけど」

「ジェイクさんが?」

「ええ。私と彼の仲なのですから、呼んでくれても良いでしょうに」

 

 何でも、ジェイクさんはこの国のアイドル【妖精女王】直々の依頼で、シンク林道に出現したUBMの討伐に向かったらしい。

 ジェイクさんって、そんなにすごい人だったのか。スライムに包まれたただの変態かと思っていた。

 

「少し前の戦いで切らしてしまったので、UBM素材が欲しいのですけれど、どうにも私一人では古代伝説級は討伐出来ない上、一人ではシンク林道の奥まで辿り着けるかも分からないのですわ」

「なるほど」

 

 アステリアさんのジョブについて聞いたことはあるが、はぐらかされて教えてもらえなかった。だが、時々会うジェイクさん曰く、エンブリオの到達位階も、条件付きだが強さもジェイクさんの方が下らしい。恐らく、UBM素材はその強さの条件に関わってくるのだろう。

 

「さ、休憩は終わり! まだまだ描かせてもらいますわよー!」

「⋯⋯お手柔らかに頼むよ」

 

 余談だが、絵画屋を出てげっそりしたボクの手元には前回の二倍の額が握らされていた。

 

 

 □シンク林道 【兵卒王(キング・オブ・ソルジャー)】ジェイク・スタンドアローン

 

 

「ふうむ」

 

 どうしたものか。

 ショゴスは開幕数分で殺られて(・・・・)しまった。“上級エンブリオ”が必殺スキルを用いても敵わず、ものの数分で粉砕されたのだ。唸りたくなるというもの。

 そもそも私の戦闘能力は、上級エンブリオであるショゴスとの連携がウェイトを占めるが、そのショゴス亡き今、私は目の前のコイツ(・・・)と単身戦わなくてはならない。

 

「ハッハッハァ! 全くもって勝ち目が無いね!」

『AAAAAAAAAA!!』

 

 自らの勝利を確信でもしているのか、目の前で彷徨する全長10メートルを優に超す巨大なモンスター、古代伝説級(・・・・・)UBM【壊腕精霊 バスタースプリガン】を睨みつける。

 こうなるんだったら、お姫様から依頼を受けた時にアステリア辺りにでも声をかけておくべきだった、かな。

 そもそも、まだ戦うつもりは無かったんだけどね。ショゴスも条件が揃わなくては大して強さを発揮できないから、軽く偵察のつもりであったのだが⋯⋯。

 

 ⋯⋯今となっては後の祭り、か。

 

 

「⋯⋯仕方が無い。腹を括るしかないようだ」

 

 バスタースプリガンが油断している今のうちにストレージから、持ち手まで燃え盛る撃鉄式馬乗槍【撃赫焔槍 ガイ・トリクス】と近未来的な様相の片手剣【機動剣 エクサセンチュリオン】を装備、身体にはお姫様から賜った【妖精大騎士鎧シリーズ】を装備する。

 

 これで、完全装備。

 本気(マジ)本気(マジ)で後には引けなくなった。

 ここで私が一矢報いることがすら出来ずに負けたとなれば、私はレジェンダリアの面汚し。お姫様の期待に背くことにもなる。

 

「腕の一本や二本、もらっていくぞ」

『AAAAAAAA!!』

 

 大体、「舐めるな、雑魚」と言ったところか?

 ならば、有言実行。

 

「“討伐ランキング”二位、【兵卒王】ジェイク・スタンドアローン、参る!!」

 

 装備スキルによって強化された膂力で地面を蹴り、遥か上で嘲るバスタースプリガンに肉迫。【撃赫焔槍 ガイ・トリクス】のスキル《マキシマム・ブレイズ・キャノン》を発動。

 砲口から放たれた火炎がバスタースプリガンの顔面を焼く。

 

『AAAAAAAAAA!?』

 

 唐突な顔への攻撃に、そのダメージにバスタースプリガンは両の怪腕を振り回すのをすんでのところでバスタースプリガンの胸元を足蹴にして回避。

 アレに当たると、ショゴスのようになってしまう。それは拙い。

 何としてでも、コイツを弱体化させる。後はアステリアとかそこら辺がどうにかしてくれるに違いない!うん!

 

「まだまだ終わらんぞ!」

 

 左手の【機動剣 エクサセンチュリオン】のスキル《ハイ・マニューバー》を発動。AGIをさらに強化してバスタースプリガンへと斬りかかった。

 




 私の読み込みの甘さなんですけど、ジュリエットの年齢と主人公の年齢は同じには出来ないみたい。ジュリエットは中2だけど、カインはまだ小六。なんという⋯⋯。
 ジュリエットの年齢改変しても良いのだろうか? 初の原作との乖離ポイントがジュリエットの年齢って⋯⋯。クロウレコードは読んでないので矛盾点とか発生するかもしれないし⋯⋯どうしよう。
 何はともあれ、感想などなどお待ちしております。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。