カワルユウキ   作:送検

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アイドルマスターの二次小説でよく見る『事務所では...』なんてものを書いてみたくてこの小説を書き上げたのはここだけの話。
三人称視点で書き上げた話を投稿するのは初めてなので至らない点はあると思います。おかしな点、不明な点があれば、ご指摘頂ければ嬉しいです。
また、お気に入り登録、評価、誠にありがとうございます。今後、不定期更新になりますが完結まで何とか持っていけるように頑張るので今後ともよろしくお願いします。


事務所では───

 

 765プロライブシアターには、新たに発足したプロジェクトがある。その名を39プロジェクトといい一人一人の特徴は十人十色。そんな色の濃い面子の中に、合流した人物が2名いた。

 

 1人の少女の名を、北沢志保という。彼女は、冷静沈着で、レッスンも笑わずに真面目に、真面目に、ストイックに取り組み続ける。今はまだ、他のものより技術面で劣るものの、そのポテンシャルは底を知らない。

 

 そして、もう1人。

 

 その少女の名を田中琴葉という。彼女は、周囲に気を配り、尚且つ自分も真面目に取り組むという俗にいう『委員長』タイプの少女である。

 

 そんな2人の見習いアイドルはタイプ的には、似ている面が多々あるが本質的な面ではやはり彼女達はそれぞれの真面目さに特徴を持つ。

 

 北沢志保は周りに無関心である。どれだけ仲良くされようが、公私をわきまえる。レッスンでは周りと馴れ合うことなく、皆がレッスンを終えても1人で自主トレ。常に1人でいることが多い、そんな人間だ。

 

 現に、レッスンルームを見てみると今日も今日とて北沢志保は1人で自主トレをしている。そして、いつも通り1人のアイドルに挨拶され、突き放し、なし崩し的にレッスンを一緒にやる......尤も、志保は片方のペースなど考えてすらいないが。

 

 

 

 「し、志保ちゃん速いよー!!」

 

 「なら1人でレッスンをして頂戴。私は1人でも大丈夫だから」

 

 

 

 ご覧の通りのストイックさを持ち合わせたアイドルが、北沢志保というアイドルなのである。

 

 一方で、田中琴葉というアイドルは、やはり自主トレをしている時でも周りのペースに合わせ、それでいて真面目に取り組む。

 その気配りと、真摯さが良い方向に混ざり合い、早速仲間も出来た。

 

 休み時間中に差し入れを送ったりする程の真面目っぷりだ。その真面目さから時々友達に良い意味で笑われたりすることも多々ある。

 

 

 

 「にゃはは!琴葉はマメだねぇ!別にそんなこと気にしなくたって良いのに!」

 

 「そんなことないと思うんだけどなぁ」

 

 

 

 

 と、まあそんな具合にこの色の濃い面子の中で2人は悪戦苦闘しつつも、それぞれの持ち味を発揮し、この先も自身のアピールポイントを見つけ、日々邁進していく事だろう。寧ろ、それだけの想いを持たなければアイドルの道に足を踏み入れたりなんかはしないだろう。

 

 片や、自らの慕う家族───母、弟、そして、兄を笑顔にする為に。

 

 片や、周囲の期待に応える為に───そして、自らを応援してくれるとある男の為に。

 

 それぞれの信念を携え、周囲の為に、今日も2人はトップアイドルへの道を歩んでいく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ☆☆☆☆☆

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「琴葉ー」

 

 ふと、琴葉の耳に聞き慣れた声が聞こえる。その声は、やや高く、1度聞いたら忘れないであろう声。

 

 「恵美」

 

 琴葉が声のした方を振り向くと、そこには予想通り茶髪のロングヘアーにユニセックスのラフな衣服を着用しているイマドキの女の子といった風貌の所恵美が琴葉の後ろに立っていた。

 しかし、その見た目とは裏腹に今の恵美の表情は少し疲れたかのような表情をしていた。

 何時も明朗快活を地で行くかのような性格をしている恵美の事だ。このような表情をされてしまうと勿論真面目で気配りの出来る琴葉が見過ごす訳もなく、恵美を心配そうに見て、尋ねる。

 

 「どうかしたの?」

 

 「あ、あはは......実はね、今日は結構ハードな1日を過ごしてきたんだよ」

 

 恵美は、先程までの行動を思い返す。

 

 少年に出会い、そして意外な関係性を知り、そして肝心の用があるらしい女の子がもう1人の女の子と喧嘩していた───。

 それだけならまだしも喧嘩していた女の子───志保の何時もの冷たい程のクールっぷりとは無縁の家族を心配したり、兄に対してちょっとだけ傲慢な性格を持っていたりと色々な志保を知ってしまった。

 

 目まぐるしく変わり、崩壊する風景に、恵美は純粋に疲れてしまっていたのだ。

 とはいえ、目の前で起こっていた風景が嫌だったという訳では無い。恵美は啓輔という男を嫌っているという訳では無く、寧ろ無表情で軽快なトークを展開するシスコン兄貴に好意を抱いていた。

 何せ、話している内は驚くほど疲れに気が付かないのだ。これは北沢啓輔と話した人間がこぞって賞賛する本人は知り得ない北沢啓輔の持ち味であった。

 

 と、恵美がそんな事を考えていると琴葉が恵美を見つめて、尋ねる。

 

 「何があったの......?」

 

 一方で、琴葉は啓輔と恵美が話をしている間に他の仲間と共にダンスレッスンをしていた為に恵美が疲れを残した原因である『北沢兄765プロライブシアター突撃事件(恵美命名)』について、何ひとつ知識がない。それ故に、恵美が疲れを残している原因というのが気になった。

 無論、琴葉の質問に答えない理由がない恵美は琴葉を見て、笑顔で一言───

 

 

 

 

 

 

 「志保のお兄ちゃんが765プロに来たんだよ!」

 

 

 

 

 

 

 瞬間、琴葉は自身の顔が引き攣る感覚を覚えた。

 志保の兄───それは、つまりそういうことで。

 北沢志保の兄というなら、姓は北沢ということになる訳で、琴葉はその条件にピッタリ当てはまるシスコンブラコンお兄ちゃんの名前を知っていた。

 

 「......ねえ、恵美。その男の人って黒いショートヘアの......志保と同じ鋭い目付きをしてたり......する?」

 

 「んん......?どうだったかなぁ......?」

 

 恵美は、琴葉の顔の引き攣り具合に若干驚きつつもその男の顔をもう一度、思い浮かべる。

 

 黒髪のショートヘアーに整った顔立ち。鋭い目付きはそれなりに威圧感があって、感情表現には乏しかったけれど、何処か近寄り難さを感じさせない軽快なトーク。

 その特徴は、琴葉が問うていたキーワードに見事に当てはまったのだ。

 

 「うん、その子で間違いないと思うよ?何せあの目付きは志保とまんまそっくりだったからねぇ?はっちゃけた志保と会話してる気分だったよ!」

 

 瞬間、琴葉は何とも言えない顔をして、恵美を見る。その表情に、流石に何かを感じ取った恵美は苦笑いしつつ目の前の渋い顔をしている親友に問いかけた。

 

 「......どったの?」

 

 「......ううん、なんでもないよ」

 

 琴葉としては、特に言うべきことでもない。深刻そうな顔の割には、考えていることは『その男を知っている───というかクラスメイトだ』という在り来りな事なのだから。それでも琴葉のそんな顔つきを見た恵美がこれしきのことで引き下がる訳もなく、少しおちゃらけた様子でもう1度問いかける。

 

 「なんでもないってことないっしょー、だって今の琴葉の顔とんでもないことになってるよ?」

 

 「え......そんなに?」

 

 「うん」

 

 目は驚愕、そんでもって顔は引き攣っている。そんな表情を親友がしていれば、誰だって心配するだろう。

 

 「大体、何か用がなければそんな事聞かないでしょ?ここはアタシに任せてよ!」

 

 何処ぞのヒーローのように頼もしく胸を張る恵美を見て、琴葉は何とも言えない気持ちになる。

 大体、彼女に悩みなんてものはない。そして、今考えている事案が大したこともなく、目の前の友達に話すことでもないという事も同時に思っていた。事実、仮に琴葉が恵美の質問に対して『その男の子知ってるよー、私と同高なんだー!』なんて言ってみろ。それを聞いた殆どの人間は『え?あ......ふーん』と、返答に困るであろう。

 

 しかし、そんな事を考えてしまうのと同時に折角悩みを聞いてくれる恵美を無碍にしてしまう───というのも超がつくほどの真面目である琴葉には許容出来ない事案であった。

 故に、琴葉は恵美に苦笑いしつつ先程から顔が変になってしまっている理由を話そうと口を開いた。

 

 「実は、その人───北沢くんは私と同じ高校の人なの」

 

 「......今なんて?」

 

 「同じ高校の、クラスメイト」

 

 1拍、間が空く。

 

 そして、それと同時に恵美は琴葉の思惑とは大きく外れて、まさに『意外』といった顔つきで叫び声を上げた。

 

 「ええええええええ!?」

 

 「......ちょっと待って恵美。そこまで驚くこと?」

 

 「だ、だって......!高校生!?それも琴葉と同級生の!?高2!?」

 

 恵美は、琴葉からしたらなんでもないカミングアウトに対して、驚きを隠せないでいた。

 所恵美が思う北沢啓輔の人物像───それは、先程の印象の通りでそれら全ての特徴を纏めあげると、総じて『大人びて』いた。

 故に、恵美は啓輔の年齢を自身では知り得ない啓輔の実年齢よりも高く設定していた。身長の高さも含めると、少なくとも成人間近の人間だろうと恵美は思っていたのだった。

 

 「恵美は北沢くんに対してどんな人物像を抱いてたの?」

 

 「えっと......クールで、カッコよくて、それでいて......なんというか、シスコン?」

 

 当たらずとも遠からず───

 

 恵美の啓輔に対する印象を聞いた琴葉がそう思って恵美に学校にいる時の北沢啓輔について話そうとした瞬間、ふとドアが開く。

 

 開いたドアには2人の人物───片一方が、オレンジの髪にアホ毛がキュートな少女『矢吹可奈』に先程まで話題に挙がっていた北沢啓輔が溺愛するクールな黒髪少女『北沢志保』が立っていた。

 無論、2人共765プロの次代を担う金の卵でありそれぞれに大きな特徴を持つ。志保は前述の通り『冷静沈着、無関心』といったアイドルであり、可奈は『元気、歌声』が特徴のアイドルだ。

 

 ここで唐突だが、矢吹可奈は北沢志保と仲良くなりたい。それは、彼女───可奈の人懐っこさから来るもので、誰とでも仲良くなりたい物語の主人公のように、志保とも仲良くなりたかった。

 

 その一方で、志保はやはり周りに無関心であり、レッスンに妥協も、無駄話も、仲間との会話も現時点では一切ない。そんな彼女達の性格は『正反対』であり、なかなか二人の仲は進展していかなかった。

 

 「ま、待ってよ志保ちゃーん!」

 

 「......何か用?矢吹さん」

 

 「あ、反応してくれた!えへへー......実は今日美味しいパンケーキ屋さんを見つけたんだけど......って置いてかないでよ!待ってー!!」

 

 そんな二人の様子を見た恵美と琴葉は顔を合わせて苦笑いする。

 

 「そう......顔立ちは本当に似ているんだよねぇ」

 

 恵美は、そう呟いて啓輔との出会いを回想する。その思い出からは啓輔の軽快なトークが思い浮かばれる。今、こちらに向かってくる北沢志保と同じような無関心そうな顔をして、同じように猫系のキーホルダーを引っ提げ、そしてここぞとばかりの妹自慢。

 

 あまりのギャップに少しだけ笑いそうになってしまったのは本人だけの秘密だ。

 

 「うん、恵美の言う通り......北沢くんは志保にそっくりだと思う」

 

 そして、琴葉がそれに同調しながら二人揃って志保の様子を見ていると、それに気付いた志保が何やら嫌な雰囲気を纏わせて、こちらに近づいていく。

 やがて、目の前へと辿り着いた志保はこちらを鋭い目付き───彼女にとってはノーマルなのだが───で捉える。

 

 「あの、何か」

 

 さて。

 

 ここで覚えていて欲しいのは、田中琴葉が北沢志保という少女と『会話』というものをしたことがないという一点だ。勿論、両者共にいじめ等といった子供じみた事をしている訳では無い。ただ、単純に接点と縁がなかっただけなのだ。

 そのような理由もあり、琴葉にしては珍しく───端的に言えば、テンパっていた。

 何処のコミュ障だ......と琴葉は自分で自分を笑いたくなった。しかし、テンパってしまったものは仕方ない。何時もなら、会話でテンパることはないのだが今現在はこの鋭い目付きを送っている少女を目の当たりにしてテンパっているのが事実なのだ───と琴葉は現状を理解し、声を上ずらせながらも目の前の少女───志保に一言。

 

 

 

 

 

 「あ......」

 

 

 

 

 

 そして、その一言は。

 

 

 

 

 

 「アンパンチッ───」

 

 

 

 

 

 

 テンパった故に、発せられた一言だった。

 

 

 

 

 

 ☆☆☆☆☆

 

 

 

 

 

 

 北沢志保は、困惑していた。

 

 

(......何を言っているのかしら)

 

 

 彼女の名前は知っている。

 田中琴葉。765プロダクションの仲間であり、同じ時期に加入した───年上の同期。彼女は人当たりが良く、根は真面目、ダンスや歌の予習も欠かさない俗に言う所の委員長のような人だった。

 そんな仕事熱心な田中琴葉を北沢志保はそれなりに認めており周りに無関心な志保にしては珍しく『彼女の名前と特徴』は覚えていたし、それなりに敬意を払ってもいた。

 

 そして、そんな志保の僅かな敬意が早速瓦解しそうであった───。

 

 あの田中琴葉が某アニメの必殺技を吐いてらっしゃる。その事実は、志保の瞼を3ミリ程上げさせるには十分な出来事だった。

 

 「......どしたの琴葉?」

 

 あの、誰に対しても、どんな時でも笑顔を絶やすことの無い恵美ですら、良く分からない......困惑といった表情を浮かべ、先程からフリーズしている琴葉の顔の前で手を振っている。それ程に琴葉の『アンパンチ』には、破壊力のような何かがあったのだ。

 

 さて、冷静さを幾分か取り戻した志保は先程までのアンパンチの事など忘れたかのように、恵美に問いかける。

 

 「恵美さん、先程から私の方を見ていましたが何か用ですか?」

 

 「あー......これ、言っても怒んない?」

 

 「用件にもよりますが」

 

 志保が無表情でそう言うと、にゃはは......と笑い声を上げた恵美が志保の迷いのない瞳を見て、先程までの話題を志保に教える。

 

 「ズバリ、志保のお兄ちゃんの話をしてたんだよ───」

 

 「兄が何かしましたか。教えてください恵美さん」

 

 恵美が兄───啓輔の話をしようとした瞬間、志保は驚くほどのスピードで詰め寄った。

 

 彼女───北沢志保は、兄の事になると反応が鋭くなる傾向にある。啓輔が弁当を持ってきた時、啓輔の呼び声にいち早く反応し、兄のお使いのような何かが方向音痴の割に早かった事を心配したのは志保であった。そして、彼女は兄を尊敬し、明確な好意を寄せている。

 まあ、纏めて何が言いたいのかというと、北沢家のシスコンブラコンは啓輔だけではないということであって。そんな志保の高速移動&心配っぷりに恵美は改めて『家族だなぁ......』なんて感慨に耽っていたということだ。

 

 「ストップストップ!別に何かやらかした訳じゃないから!取り敢えず落ち着いてって!」

 

 兎に角、今は感慨に耽るよりもやることがある。そう思った恵美は志保を一旦落ち着かせ、先程から固まっている琴葉を再起動させるべく耳元で少しだけ大きな声を上げる。

 

 「こーとーはー!」

 

 「ひゃうっ!?」

 

 変な声を上げて、再起動した琴葉が最初に見たのは、志保のなんでもない普通の視線と、恵美が苦笑いしている表情だった。

 

 「ど、どうしたの2人共......え、2人......志保?」

 

 先程から素っ頓狂な声を上げて志保と恵美を交互に見る琴葉を見た志保がため息を吐きつつ琴葉に言う。

 

 「......呆れた。自分が何を言ったのか忘れたんですか?」

 

 「え、私......何か言ったっけ!?」

 

 琴葉は確認の意志を込めて、恵美に問いかける。すると、恵美は琴葉の真似をするべく真顔で、一大決心をしたかのような表情で琴葉を見て一言。

 

『アンパンチッ───』

 

 ご丁寧に、言い終わった姿まで真似した恵美を見た琴葉は、次第に意識を無くすまでの自分がどういった行為を───否、愚行をしていたのかを思い出す。

 

 「......あ、あああっ、ごめんなさい志保!私ったらとんでもないことを......!」

 

 「......別に良いですけど」

 

 羞恥に顔を赤く染めた琴葉を見て、特に咎める気もない志保は一言で琴葉の行為を見なかった事にし、話題を転換しようと琴葉に話しかけた。

 今の彼女にとっては、琴葉の『アンパンチ』発言よりも、優先すべきことがあったからだ。

 

 「で、恵美さん。兄について、何か?」

 

 「ああ、そうだったね!そう......アタシ達は啓輔のことについて情報交換をしていたのさっ!」

 

 「情報交換......?」

 

 「アタシ、啓輔気に入っちゃってさー。鋭い目付きの割に面白い発言をするのがもうたまらなく面白くて......」

 

 「はぁ......」

 

 お腹を捩らせてクスクス笑う恵美をジト目で見やる志保は、先程の1件を思い出し、改めて頭を下げる。

 

 「恵美さん、兄がお世話になりました」

 

 「んにゃ!別にいいってー。アタシこそ啓輔とお話出来て楽しかったからさ!」

 

 頭を下げた志保を諌めるかのように恵美が言うと、それを見ていた琴葉が、今の今まで出来ていなかった自己紹介をしようと志保に向き合う。

 

 「あの、志保。なかなかタイミングが合わなくて自己紹介出来なかったけど......」

 

 そう言って、琴葉が自分の名前を言おうとすると、志保がその言葉を遮るかのように手を出す。

 

 「結構です。名前......田中琴葉さん、ですよね。流石に何日もいれば名前と顔くらい一致しますから」

 

 それに、と志保は言葉を続ける。

 

 「琴葉さんのことは、兄からも伺っています。何時も兄がお世話になっています......先程の1件も、どうせ兄が絡んでいるんでしょう?」

 

 「あ......あのことはもう忘れてっ!」

 

 確かに、北沢啓輔に扇動されたのは事実だが、この場面で元はと言えば北沢啓輔が『アンパンチ』と発言すれば───と言ったのが宜しくなかったんだ等の言葉を目の前の妹に対して言えるほど琴葉のメンタルや良心は廃れてはいない。

 それ故に、行きどころのない羞恥心に苛まされた琴葉はまたしても赤面───そして、その光景を見た恵美は茶化すかのように笑い、志保は───兄が琴葉のような人物と仲良くなれているのに驚きと共に、何故か、嬉しく感じてしまっていた。

 それと、後で琴葉さんにそれなりの恥をかかせた兄はフリッカーからのチョッピングライトで処す。

 そう思って、無表情で拳を握り締めた無自覚ブラコン少女は、自身の考えが兄と殆ど似通っているということに、依然として気付いていなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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