プロローグ
これは、かつて最凶とされた一匹の龍の物語。
最凶が世界から逸脱したとき、運命は動き出す。
我の名はない。
下界の者からは黙示録の龍と呼ばれていた。
何千もの大地を裂き、空を割り、星を焼いた。
そのせいか、我は恐怖の象徴であった。
また、最凶であるためか、挑んでくる者はいなかった。
時間は有り余っていたので、書物を読んでみたのだ。
それは『ラノベ』?とやらもだ。
そんなある日、運命は訪れた。
いつも通り空を飛んでいると、下界で地震が起こった。
そんなこと日常的なのだが、なぜだか気になり地上へ降りた。
すると、子供が泣いていたのだ。
山の方を指差して、『母さん』と叫んでいた。
どうやら、山で遭難してしまったらしい。
このとき、我はこの子供を助けようと思った。
しばらくあと、山で母親らしき人物を見つけ、守った。
不幸なことに、すぐに火山が噴火した。
そこで私は人間の母親を抱き抱え、火を受けた。
ああ、こんな人生も悪くなかった…。
まったく我らしくない。
side黙示録の龍
気がつけば、真っ白な空間にいた。
「ふむ、お主は黙示録の龍か。」
『誰だ、貴様は?』
神龍「わしは神龍じゃ。」
『ほう、で、そんな貴様が何のようだ?』
神龍「単刀直入に言おう、お主は死んだ。
だから、転生をしてもらおう。」
『嫌だな。我は世界に囚われるのを嫌いとするんだ。』
神龍「では、お主に感情を与えよう。」
瞬間、我の頭のなかに感情が流れ込んできた。
人間の喜怒哀楽など。
『なるほど、これが感情か。
面白い、転生しようではないか。』
神龍「物分かりが良くて結構。」
『それで、どの世界に転生するのかは決まっているのか?』
神龍「東方projectの世界じゃ。
1から世界を作ってもらおう。
龍神としてな。」
『それは面白い。』
神龍「では、行ってこい。」
『待て‼』
神龍「どうした?」
『少しだけここで暮らさせてもらおうじゃないか。』
神龍「仕事を手伝ってくれるならよいぞ?」
『仕方あるまい。手伝おう。』
神龍「それではしばらくの間、よろしく頼む、神妖龍聖よ。」
『それは我の名か?』
神龍「ダメじゃったか?」
『フハハハ、これが喜びか。
礼を言う、美神よ。』
美「こちらこそ。」
sideout
side美神
彼は昔のわしにそっくりじゃった。
まだ友や弟子、家族を持つ前のわしにな。
一人称や、その仕草、自分への自信、世界への無関心…。
そう、すべてにおいて、かつてのわしじゃ。
もしかしたら、容姿や声までもが。
そんな彼にわしは自分を重ねていた。
だから、彼にも知ってもらいたい。
人の温もりや世界の真理にの。
今はまだ無理じゃが、いつか心を開かせる。
わしがその役を努める。
わしにそれを教えてくれた師匠の龍次に変わっての。