ソビエト連邦召喚(ww2)   作:イブ_ib

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3話

 グラ・バルカス情報局

 

 現在情報局は正月と盆がいっぺんに来た様な騒ぎとなっていた。

 

「数日前から報告されているケインの新型について詳細な情報は無いのか?!」

 

 怒鳴るように局員は情報を求める。

 

 

 数日前から突然現れたケイン神国の新型戦車及び航空機は、帝国のそれの遥か上の性能を持っており、防ぐのが一杯一杯であった。

 

 ◆◇◆◇◆◇

 グラ・バルカス軍 後方基地

 

 

「ではレジー大尉、大尉と交戦した新型機の事について教えてもらえないだろうか」

 

「ええ」

 

 レジーはIl-2と戦った時の事を事細かく話した。

 

 

「……その新型の攻撃機は7.7ミリどころか、20ミリでさえ弾くというのですか……」

 

 

「ええ、正直アレを落とすには苦労すると思います、弱いところを狙うなどして……例えば操縦席とか」

 

 グラ・バルカス帝国は交戦した兵たちに聞き込みを行い、有効な戦術を模索していた。

 

 

 ◆◇◆◇◆◇

 

 赤軍参謀本部情報局

 

 

「ドイツの通信を傍受出来ないのか?」

 

 

「はい、数日前からドイツの通信を拾う事すら出来ないのです……」

 

「日本と思われる通信も一切傍受出来ません」

 

「そのかわり、何処の国とも違う信号が……」

 

「どれ、見せてみろ」

 

「はっ」

 

 それは其処には如何なる国の言葉とも違う言葉のモールス信号の様な物が書かれた紙だった。

 

「なんだね、これは?」

 

「それがわからないから苦労しているのです」

 

 

 参謀本部では兵士達が機械と睨めっこしており、解読しようと励んでいた。

 

 

 ◇◆◇◆◇◆

 グラ・バルカス帝国 首都ラグナ

 

「ではなにか? 我が帝国がユグドからこの他所の星へ転移したというのか?」

 

「はっ、天文台による観測や他国との通信が取れないことや、陸地続きだった所が切り立った海岸になっている事からその様な結果が出されました」

 

 

 グラ・バルカス帝国 皇帝のグラ・ルークスは将校の報告を聞き、頭を悩ます。

 

 国が突然転移しましたなんて言われたら

 そりゃ頭を抱えるだろう。

 しかし皇帝の心配事は他にもある。

 

「転移したことはわかった。しかし少し前からケインの新型戦車が確認されているとの報告だが……」

 

 

「……ええ、その件なのですが……」

 

 

 そういうと、後ろにいた技術将校が一枚の封筒を出し、机に広げる。

 

「此方が例の新型と呼ばれているものです」

 

 一枚の写真には遠くからだがT-34-85が写っている。

 

「そしてこれが鹵獲したケイン神国の戦車です」

 

 写真にはルノーFT17と九五式を足して2で割った様な戦車が写っていた。

 

「ほう」

 

 

「この新型戦車を一目見てわかる事は、途轍もなく巨大な砲を装備している事です。パッと見でも50ミリは超えているでしょう」

 

 

「それに、砲塔はボルトなどの継ぎ目がありません、恐らく鋳造によって作られたものと思われます」

 

 

 グ帝戦車も接合部にボルトを使用しており、鋳造による砲塔などを量産するなど高い技術力が要求される事となる。

 

「車体などは、このように、斜めになっております。コレは傾斜装甲と言われておりまして、我が国でも研究中のものです」

 

 

 ◆◇◆◇◆

 

 

 しばらく技術将校の説明が終わると、皇帝の口が開く。

 

「つまりお前は何が言いたい? まさか我が第八帝国の技術がケインに劣っていると言いに来たわけではあるまいな?」

 

 

「……あ、え〜、コホン 失礼致しました。勿論第八帝国がケインなどに劣る訳が万が一にもございません。 」

 

 技術将校が話していると、「変われ」という感じで最初の将校が前に出る。

 

 

 

「我々が転移して周辺国が軒並み消え、何よりケイン神国がある所から現れた戦車や航空機の国籍マークは我々の知るケインの物とはまるで違います」

 

 

「つまる所なんだ?」

 

「はい、彼の国も我が国同様転移して来たばかりの国だと思われます。しかも彼らも直前まで前の世界で戦争をしていたと思うのです」

 

 

「なぜそんな事が言える?」

 

 

「直前まで戦争をしていなければああして直ぐに戦闘になるとは思えません。記録によれば謎の光が起こった翌日に戦闘が起きています。事情を知らない戦線の兵士は此方の兵士を見て攻撃したものだと思われます」

 

 

「で、どうすれば良い?」

 

 

「まずは誤解を解くべきです。そしてなるべく彼の国とは友好的に接するべきです。残念ながら戦車を見るに彼の国の方が性能が上ですので正面からぶち当たれば我が軍は劣勢に立たされてしまうでしょう。 周辺国の調査はそれからでも遅くはないでしょう」

 

 

 グラ・バルカスではまだ見ぬ隣国と、どの様に接触するか慎重な会議が行われていた。

 

 

 


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