それと音楽産業廃棄物買いました。
モスクワ
外務省
この場で会談が行われたのだが、両国の外交官の雰囲気は控えめに言って最悪だった。
まず最初に行われたのは外交官の自己紹介と国の説明だったのだが、
それがまずかった。
皇帝を一番として国家運営を行うグラ・バルカス帝国と、皇帝を革命で玉座から引きずり落とした国ソビエト連邦。
ソビエトとグラ・バルカス、特にグラ・バルカスのソビエトに対する印象はかなり悪い物となってしまった。
「共産主義……理解し難い思想ですね……」
会談の合間の休憩室でシエリアは呟くと、アルスはさりげなくシエリアに紙を渡した。
『用心せよ、盗聴されている恐れあり』
その文を見てシエリアは急いで前を向き、手帳を使い筆談を始めた。
『ソビエト連邦とは敵対せずに済む事は可能?』
『現時点では何とも言えない、相手の出方次第』
外交官達にも前線の情報は少なからず伝えられている、相手の方が数枚上手だということも噂程度だが囁かれている。
現状グラ・バルカスはソビエトとの外交において後手に回るしか無かった。
◇◆◇◆
「……聞こえませんね。如何やら感づいたようです」
NKGB(国家保安人民委員部)の職員が上司に報告した。
「そうか、まあ良い。帝国主義者の考えている事なんてたかが知れている。全ては同志スターリンの意のままとなるだろう」
NKGBのヴィソツキー少尉は口角を上げて笑った。
◇◆◇◆
「両国の国交締結、新世界探索の相互協力に情報共有。そして転移後に起きた
不慮の戦闘に対する賠償金。これでよろしいですか」
モロトフから出された案にグ帝側も納得出来ないものではなかった為、それで問題は解決した。
◇◆◇◆
数日後……
「同志スターリン、新大陸調査隊より新大陸の西側にパガンダ王国と言う島国を発見したと報告がありました」
「うむ、それで愚帝には報告していないだろうね」
「は、報告してません」
「よろしい、では早速調査し崩せそうな場所を探ってくれたまえ。この世界における橋頭堡を作らなくてはな」
「了解致しました」
◇◆◇◆◇◆◇◆
パガンダ王国
パガンダの民は不満を抱えて生活していた。
政府上層部の汚職沙汰は当たり前、大臣達はこれ見よがしに屋敷に金を懸け高々蝋燭一本に至るまで高級品を使い僅かな差でマウントを取ろうと必死なのに、国民は重税に苦しみ今日のパンを用意するだけで一苦労という有様である。
そんなある日、酒屋にとある男が現れた。
別にそのこと自体は何らおかしい事ではない、しかし彼は違った。
『労働者が皆平等に暮らせて職にも飯にも困らない方法がある』
マルクス・レーニン主義と言うものを人々に話しまわっていたのだ。
最初のうちは皆、「そんなうまい話があるか」と気にも留めていなかったが、余りに真剣に話すもんだから
段々と彼の話をちゃんと聞くようになった。
その後は自国の政府批判を織り交ぜた演説に心を惹かれていった人々の数は膨れ上がり、遂にデモが起こった。
これには政府側も黙っておらず、鎮圧部隊を出したが、既に幾多のソ連工作員が紛れておりライフルや爆弾等で鎮圧部隊を蹴散らし、デモ隊を扇動し王城になだれ込んだ。
結果王はレイフォルへ逃亡、大臣達は処刑された。
こうして、ソ連工作員を中心とした傀儡国家パガンダ人民共和国が生まれた訳だが、勿論この流れに待ったをかける国家が現れるのであった。