ソビエト連邦召喚(ww2)   作:イブ_ib

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6話

「何ッ!? それは本当なのかッ!」

 パガンダ人民共和国建国の報を聞いたシエリアは飛び上がった。

「間違いありません、今もラジオから建国宣言が流れています!」

 シエリアは執務室のラジオを付け、チューニングダイヤルをぐるぐる回すとパガンダの放送が流れてきた。

『……我々は悪しき王政を打破し、人民による人民の為の国家が今成立した。同じ共産主義国家としてソビエト・ロシアと手取り……』 

「パガンダとはどこだ? ソビエトは報告してこなかったのか?!」

「ソビエトからは何の報告も受けてはおりません……」

「本性を現すにしても早すぎる! 一旦大使館に話を聞きにいかなくては……」

 シエリアは部下に車を出すよう指示を出す。

 

 ◇◆◇◆

 ソビエト大使館

「今日もひどい天気だな……」

 濃い鉛色の空、大使としてやって来たアンドレイは辟易していた。

「もう既にモスクワの空が懐かしい……」

 心なしか体調が優れない、そんな時。

「大使、シエリア殿から会談を行いたいと連絡がありました」

「うむ、大方パガンダの事だろう。宜しい話そうじゃないか」

 ◇◆◇◆

 会議室

「会談の席を設けていただき感謝します。それで……単刀直入に申し上げます。此度のパガンダ人民共和国の成立は貴国が関与したのではありませんか?」

 

 余りに突然核心を突こうと聞いてきたシエリアにあっけにとられながらも言い返す。

 

「なんとも……いきなりですな。確かにパガンダの新政府と我が国は手を取っている」

「ならなぜこちらに報告してくれなかったんです? 新世界探索の相互協力に情報共有をすると言ったではありませんか」

 

 その言葉にアンドレイは片眉を上げながらも反論する。

 

「こちらも接触して落ち着いたら報告しようと思いました。しかし向こうの方が一足早く動いた様ですな。それからというもの状況の把握に手間取りましてな」

 

「そうですか、次は迅速に報告していただきたいものです。ついでと言ってはなんですが我々も新たな国家を発見しましてね」

「……なんと!」

「名はイルネティア王国、とても温厚な国家で平和的な接触でした」

「それは誠に結構……しかしその情報こそ教えていただきたかったですな」

「それはお互い様でしょう?」

 

「ははは! それはそうだ! 申し訳ない! ……それでソビエト海側の国家はわかりましたが、グラ・バルカス海側*1は何か発見はありましたかな?」

 

「生憎、どうも海の機嫌が悪い様で」

 

 グラ・バルカス帝国はクルセイリース大聖王国方面に調査隊を派遣したが、いつも嵐のように波打っており生半可な船では船体が折れる危険があり調査が難航していた。

 

(グラ・バルカス……こいつらも何か隠しているに違いない)

 

 残念だがグラ・バルカスはイルネティアと接触した以外動きはながったが、共産国家特有の猜疑心の高さで勝手に疑っていた。

 

 

 ◇◆◇◆◇◆◇◆

 

「欧州情勢複雑怪奇……か」

 

 東京 外務省

 

 大体ロウリア戦が終わったあたりの日本だったが、現在ツァーリボンバ級の情報が飛び込んできた。

 

「ソビエト連邦、異世界にてかく戦えり……か」

 

 漫画好きの副総理が捻り出す様に呟く、さっき呟いた総理と共に力なく笑う。

 

「露助も中共もいなくなったと思ったらとんでもねぇ厄ネタ連れてきやがった」

 

 調査によるとここ第三文明圏には拡大主義をとる国がおり、占領下の国民は不満たらたらだろう。

 

「そんなとこに共産主義がやって来たらえらい事になるぞ……なぁ総理」

 

「えぇ、ほんとにあのソビエトだとしたら……先制攻撃も視野に入れんとな……」

 

 二人はかの大戦時の出来事を思い出していた。

 

「しかし……グラ・バルカスって国も妙だな、旧軍とあまりに似ていやがる。その国と露助が組むたぁな」

 

「平沼騏一郎の気持ちが分かった気がするよ」

 

 総理執務室にまたしても力ない笑い声が木霊した。

 

 

 

 

 

*1
ソ連とグ帝に面したそれぞれの海に即席的につけた名前

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