サスケとナルトは家族   作:ジーザス

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本当にありがとうございます!書く意欲が増すのでこれからもよろしくお願いします!


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アカデミー入学早々に事件が複数勃発し、それらを自ら終息させたナルトだったが評価は相変わらず低かった。その理由の一つとして、好感度の上昇を狙った行動として捉えられていたからだ。

 

周囲から避けられている者は、良い行いをして振り向いてもらいたい。少しでも印象を改善したいがために、感心されるようなことをする。しかしそれは当然の思考であって、その行動が間違っているわけではない。

 

悪いことをしたならば、その印象をひっくり返すほどの地道な努力が必要となる。その道のりは犯してしまった罪の大きさに比例して厳しくなるものだ。

 

…とは言うが、ナルトの場合はそれとは全くの別物である。ナルトは意図してあのような事件を起こしたのではないし、ナルト自身があのようなことをしでかしたのではない。そもそもナルトを忌避する理由が間違っているのである。

 

だがまあ家族や友人を失った者からすれば、元凶が封印されているナルトに最低の評価を下すのは致し方ないと思う。愛する者を失った感情という者は見ていられないほどなのだから。しかしそのことを何の罪もないナルトに全てをかぶせるのは間違っている。

 

いのの誘拐未遂事件を公にナルトが解決したと公表しなかったのも、ナルトに対する批判を集中させないためのヒルゼンなりの配慮だった。解決したのは〈暗部による手柄ではあるが誰であるかは公表しない〉というものが真実として里の者に説明されている。

 

名前を公表できない理由ももちろん存在している。〈木の葉の里〉を裏から支える存在が、表に出ることは許されないからだ。容姿も名前を知らないからこそ、他里への脅威にも抑止力にもなり得る。それに暗部は隠密行動を主にしているのだから、影の存在が日の当たる表舞台で堂々と活動できるわけがない。

 

ここまで長々と暗い話を綴ってきたが、もちろんナルトへの評価が下がっているばかりではなく。上昇していることもまた事実。サスケやシカマル、チョウジは言わずもがな。サクラやヒナタも好感度はうなぎ登りだ。

 

いのと言えば、もはや恋心は抑えきれずに周囲に誰がいようと気にせずナルトにくっつく始末。事の顛末を詳細に知らされているイルカからすれば嬉しい現実であった。生まれてこの方、一部以外からは除け者されてきたナルトへ周囲の視線も憚らず、好意を降り注がせている人物がいることが我が事のように嬉しかった。

 

とは言うものの、嫉妬心もそれなりに渦巻いているのも確かだ。30歳には届かずとも20代後半であるにも関わらず、色恋沙汰が年齢イコールとなってしまっている状況。

 

自分と同じように孤独を味わってきたナルトが、目の前でイチャイチャしていれば嫉妬心を抱いても可笑しくはない。いや、むしろ当然と言っても良いのではないのだろうか。そうでなくては困る。

 

イルカは元からナルトへの好感度は高い。気にかけねばならない弟のような守るべき存在だからだ。そんなイルカに触発されたのか。アカデミーで教師を仕事とする教員や事務員は、あの事件以降ナルトへの評価を改めるようになっていた。

 

100%好意があるというわけではない。入学以前と比べれば、180度違うといいきれるぐらいには変化している。廊下ですれ違えば、笑顔で挨拶したり時たまにお菓子をくれたりと、対応はそれなりに柔らかくなっていた。

 

その変化に気付かないナルトではない。自身を忌避する視線を生まれてから延々と受け続けていたのだから、そういう人間の感情の変化には敏感だ。最初の頃はもちろん驚いたものだが、自身への好意的な行動はやはり嬉しいようだ。

 

普通ならば、今まで自身を敵のように見ていた相手が掌を返すように親身になれば誰だって違和感を抱く。抱かないのは余程の楽観者か大馬鹿者のどちらかでしかない。だが先述したように、そういう人間の感情に敏感なナルトだったからこそ、すんなりと受け入れることができたのだろう。

 

イルカのように最初から好意を抱いている者は少なかったが、その内の1人に数多くの教員から慕われ信を置かれている講師がいた。

 

その名をミズキと言った。

 

 

 

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「やあ、ナルトくん。少しだけ時間を貰えないかな?」

「ミズキ先生?わかったってばよ。サスケ、先に行ってくれってばよ直ぐ追いつくから」

「ああ、わかった」

 

下校しようとしていたナルトを呼び止めたミズキは、木の葉でも人気のスポットである景色の良い建物の屋上へと連れてきた。ベンチに座るナルトへ缶ジュースを渡して、自分も同じように座って語りかける。

 

「この前は大活躍だったみたいだね」

「そんなことないってばよ。友人を守りたいと思ってやっただけだから」

「それでもたいしたもんだよ。結果的に誰も重傷にならず、数日後には以前と変わらない学校生活を送ることができたんだから」

 

感謝されるようにそして同時に褒められることが、ナルトはむずがゆくてしょうがなかった。悪い意味合いではなく嬉しいという意味合いである。

 

「毒を街に拡散させることなく、局所的な場に留めたのは真っ当な判断だった。あんなものが街に充満したら、大混乱だったろうからね」

「何も起こらなかったのはサスケのおかげだってばよ。集めることしかできないオレってば、その先のことはどうしようもなかった。でもサスケが炎を使えるって知ってたから、一か八かで試したらいけたんだ」

「君は自身の手柄ではない。むしろサスケくんこそが立役者だって言いたいんだね?」

「その通りだってばよ」

 

ナルトの謙虚な態度にミズキは微笑みを浮かべ、年長者としての経験を語り聞かせることにした。

 

「謙虚になることは悪いことではないけど、程々にしないと嫌われるから気をつけてね。たとえサスケくんが最終的なピリオドを打っていたとしても、それまでに上手く連携をとれるよう行動した君の策も評価に値するものだ。だから君は胸を張って自分の手柄でもあると言って良い。任務だって同じようなものさ。任務の完了を決定づけた者が、周囲から一番評価されるのは当然のことだ。だがそこまで誘導した者こそボクは賞されるべきだと考える」

 

自分の話に耳を傾けたままのナルトに微笑んで、講師たる威厳を以て講義を続ける。

 

「例えば暗殺をスリーマンセルで行ったとしよう。その中にはどんな対象であっても一突きで対象者を殺せる技量を持つ者がいる。その人物1人でターゲットを狙おうとしたが、護衛に阻まれ決定打を決めることができない。だがその人物以外の2人が護衛の意識をずらしたことで、隙を見つけることができた。そして一撃必殺の腕を持つ人物が放ったことで任務は達成された。どういうことかわかるかい?」

「…たとえ強力な暗殺術を持つ忍者でも、1人では完遂することはできない?」

「完璧だよ。護衛の意識を外させた瞬間にその人物は終焉を決定づけた。ボクが言いたいのは、終わりを決定づける瞬間を作った人物こそ、誰からも祝福されるべきだってことさ」

「それを置き換えたら、サスケに〈火遁〉を発動させたオレが貢献者って事?」

「ああ、そういうことだ。君には彼を凌ぐ技術を身につけられると確信している」

 

先程の優しい微笑みから打って変わって、真剣味のある表情を浮かべながらミズキはナルトを見る。その瞳に映る真剣さに、ナルトは嘘を言っているようには見えないと思えた。揺らぐことのない光とその真剣な声音は、ナルトの技能でも看破できない。

 

「オレがサスケを越えられる忍びになれる?」

「長年教師をやっていたからある程度のことは計れると自負しているよ。そのためにとっておきの秘密を君に教えてあげよう」

 

サスケを越えられる忍びになれると言われたナルトは、歓喜に震えそうになる身体を押さえ込んだ。ナルトにとってサスケは永遠のライバルだ。体術の腕前は互角だが忍術を比較すれば一歩も二歩も劣ってしまう。ナルトが上手く忍術を扱えない理由としては、九尾を封印している〈八卦封印〉によるチャクラの制限だ。

 

だからなのだろう。ナルトがミズキの言葉の誘惑に抗うことなく聞き入ってしまったのは。

 

ミズキの言葉を聞き逃すまいとナルトは耳を傾けるのだった。

 

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

 

その日の夜、ナルトはヒルゼンの自宅に侵入してあるものを盗み出した。それは初代火影が自ら危険と称した忍術が記されている〈封印の書〉であり、そのことは瞬く間に上層部に広まることとなる。

 

それを知った里の上層部は怒り狂って緊急会議を開催していた。

 

「今回の事件はあまりにも酷すぎます!」

「悪戯どころでは済みませんぞ!」

「…うむ、各々ナルトがいるであろう場所の捜索を頼みたい。発見しても確保せず儂に知らせてほしい。儂自ら趣いて返してもらうことにしよう」

「「「「御意!」」」」

 

暗部を含めた上忍たちはヒルゼンの自宅眼から里内へ散らばっていった。ヒルゼンはパイプを吹かしながら、空を見上げている。今起こっていることが悪い冗談であると願うかのようにも見えた。

 

「…火影様、少し時間をいただけますか?」

「いのいち、それにフガクもどうした?」

 

捜索へ向かったと思いきや、その場に残ったままの2人にヒルゼンは振り向かず問いかける。

 

「今回の件、腑に落ちないのです」

「何が言いたいのじゃ?」

 

いのいちの神妙な声音に違和感を抱き、ヒルゼンは背を向けままではいられなくなったようだ。振り向いた様子は火影として当然のように、動揺していない里長として相応しい態度だった。パイプは未だに吹かしたままだが…。

 

「ナルトくんが悪戯でこのようなことをするはずがないと確信しています。彼は生まれてこの方、一度も問題という問題を起こしていません。そんな彼が危険な〈封印の書〉を盗み出すとは考えられないのです」

「私も同様です。彼がそのようなことをするはずがありません」

「ふむ、お主らの言いたいことはわかるがのぉ。監視カメラにはナルトがばっちりと記録されている。これはどうしようもない事実じゃ」

「〈変化の術〉を使えば誰でもナルトくんに化けられます」

 

もちろんヒルゼンはそのことを理解している。〈変化の術〉は外見を変えることができる有能な忍術である。何処かへ侵入する際に、顔ばれしている忍びなら一目見ただけで警戒されてしまう。そういう時に役立つものだ。といっても声や性格を真似るものではない以上、変化する相手を知っている者に出会えば容易く看破されてしまう。

 

だが今回は音声拾う監視カメラではなかったため、本人なのかまたは別人であるのかまではわからない。

 

「一番の解決方法で簡単なのは、〈封印の書〉を持つナルトかナルトに化けた誰かを見つける事じゃ。2人とも頼むぞ」

「「はっ!」」

 

捜索隊として里内へ散っていった2人を見送ってから、ヒルゼンは自室の水晶玉でナルトの位置を見つけ出すことにした。

 

 

 

 

「こんなところかな?案外簡単にできたってばよ」

「見つけたぞナ・ル・トっ!」

「あっ、イルカ先生みっけ!」

「先に見つけたのはこっちだ馬鹿者!…ったく迷惑かけやがって。ここで何してたんだ?」

 

普段と変わらない会話をする2人を見ていると、今が緊急事態であるということを忘れてしまいそうだ。

 

「術の練習してたんだってばよ」

「こんなところでか?」

「ミズキ先生が教えてくれたんだってばよ。この巻物とこの場所を、っイルカ先生危ねぇ!」

 

突然ナルトがイルカを突き飛ばし放たれたクナイから守る。その間にもナルトは一撃もかすることなく避けきる。

 

「ひゅう~。入学者成績3位は伊達じゃないってことだねナルトくん」

「ミズキ先生、何で…」

 

樹の上から見下ろしてくる人物に、ナルトは信じられないとばかりに動揺を隠し切れていない。ナルトにしては珍しいことだと、サスケや友人たちが見ればそう思っても仕方ないほどだ。

 

「ミズキ、何のつもりだ!?」

「お前に用はない。ナルト、巻物を渡せ。お前には必要のない代物だ。それとも交換条件として何かが必要か?」

「何かって何だってばよ」

「くっくっくっく。教えてやるよお前が煙たがられている理由をな!」

「やめろミズキ!」

 

イルカの制止も虚しくミズキはある秘密を暴露していった。

 

「お前には知られてはならないある掟が作られている。それはお前の正体が九尾のバケ狐だと口にしない掟だ!」

「ミズキっ!」

「お前がイルカの両親を殺し、〈木の葉の里〉を壊滅させた張本人なんだよ!お前は憧れだった火影に封印された挙句、誰からも忌み嫌われてきた。その理由がこれなんだよ!」

 

ミズキにすれば、それはナルトにとって堪えようのない事実だと確信していた。ナルトが夢見ている火影が自身にそんなことをしていたなどと知れば、どのような行動をするのか目に見えていた。

 

イルカもナルトが、その事実に耐えられないと思っていたことだろう。里を守る長がそんなことをしていたとナルトが知れば、かつてのようなことが起こってしまうと。

 

だがミズキの間違いは浅はかすぎた。ナルトにとっては既に知っていた事実であり、何より自分が生きている意味そのものだったからだ。

 

「オレがバケ狐...か。それは間違ってるってばよ。オレはうずまきナルト火影を志す忍びだ!」

「何を言っている!お前が厄災をもたらす悪だってことを今ここで俺が教えてやる!」

『やめとけ』

「「っ!」」

 

突然に何処からか地響きのように腹の底へ響く声が聞こえてきた。

 

「だ、誰だ!?」

『お前の目の前にいる』

「なに!?」

 

ミズキの視界にいるのはナルトだけ。先程の声とは違う異質な声音は、ナルトから発されるとは思えない。だが、その声はナルトから聞こえてくる。

 

『ワシの名は九尾。貴様が厄災とぬかしたそのものだ』

「何を言って...そうか!これは幻術だそうに違いない!」

『はぁ、貴様は大馬鹿か?ナルトは幻術を苦手としているのを、教師である貴様が知らないわけがなかろうに』

「...ま、まさか本当に九尾、なのか…?」

『だからそう言っているだろうが』

 

ミズキの状況理解の遅さに九尾はため息を吐く。ナルトをよく見れば、普段の大人しそうな容姿とは違い、幾分かきつめな見た目になっている。

 

水色の瞳は獰猛性のある獣に。肉食性のある動物のように鋭い犬歯。頬にある髭のような見た目も相まって、まるで貪欲さに飢えた肉食動物そのものだ。

 

その見た目から絞り出される声音が、ミズキの恐怖心を否応なく高めていた。イルカも久方ぶりの恐怖に震えてはいるが、あの頃のような嫌な空気を感じてはいない。

 

『貴様はナルトをバケ狐と言ったな。それは間違っている。ナルトはナルトであってバケ狐ではない。尾獣の中でも最強である九尾を宿す人柱力だ。貴様の言うバケ狐とやらはワシのことだろうな。...さて、ナルトを侮辱したことに対する怒りをどうぶつけることにしようか』

「待ってくれ九尾!」

『あぁ?…てめぇは確かナルトの担任だったか』

 

九尾の射抜くような視線にたじろぎながらも、イルカは言うべきことを口にする。

 

「たとえ掟を破ったからといって、何も殺さなくても!」

『甘いな。そんなあまちゃんだから、ナルトが敵意を抱かれても当然としか思えない』

「っ!」

 

現実を突きつけられイルカは何も言えなくなってしまう。確かにナルトは自分と同じ両親がいない子供として、長い長い孤独を味わってきた。うちは一族が代わりに育て、愛情を惜しみなく注いだとしても、本当の親から注がれる愛とは大いに違う。

 

ナルトが欲しているのは、血の繋がった親からの愛情。表に出さず自身で気付いていなくても、チャクラにはその感情が溶け込んでいる。だから九尾は否応なくそれを知らされる。だがそのことをわざわざナルトに伝えることをしない。

 

する意味がないからだ。それを知ってしまえば、対価を要求することなく我が子のように育ててくれるフガクやミコトを侮辱することになると理解しているからだ。九尾にとって2人は宿主であるナルトに暖かみを与えてくれる存在。無碍にすることは憚られた。

 

『ここでお前があいつを生かそうと、どちらにせよワシらを殺すつもりだぞ』

「ミ、ミズキ」

「ここでバケ狐とイルカを殺し、巻物を火影様に届ければオレの昇進は間違い無しだ!じゃあなぁ!」

 

ミズキが狂気に満ちた笑みを浮かべ、背中に背負っていた巨大な手裏剣を両手に握り投げつけた…と思いきや。

 

「ぐふっ!貴様ぁ!」

「オレを殺すのは勝手だけど、イルカ先生まで巻き込むなってばよ!」

 

その手から巨大手裏剣が放たれる瞬間、ナルトの右膝がミズキの顎を蹴り上げていた。その勢いはアカデミーに所属する子供とは到底思えない力だった。ミズキの身体は運動法則に則って、見事な放物線を描いていく。とはいえ、さすが講師である忍者らしく背中からではなく脚から着地する。

 

あまりの痛さにしかめ面をしながら憎々しげに、ミズキはナルトを睨み付けていた。

 

「これ以上イルカ先生に手ェ出してみろ。ぶっ殺すぞ?」

「「っ!」」

 

6歳とは思えないドスの効いた声音と殺意に、さしものナルトへ友好的な感情を抱いているイルカでも寒気を抱かずにはいられなかった。ではナルトを害悪とみなしているミズキはどうだろうか。

 

「っこの、落ちこぼれのバケ狐がぁ!」

 

意外と怖じ気づくことなくナルトへ向かっていった。いや、今の場合は虚勢であると言った方が的確かもしれない。呼吸は乱れ接近する脚は脆く、攻撃を繰り出すための印を結ぶ指はせわしなく震えている。

 

「オレが落ちこぼれじゃないのを見せてやる」

 

ナルトが両人差し指と中指を十字に交差させた。

 

「〈影分身の術〉!」

「なっ!」

「…なるほど。ナルトお前って奴は」

 

煙が晴れると、ミズキの周りには大勢のナルトと同じ姿をした人間が立っていた。いや、ナルトに似た人間なのではなく、全てがナルト自身だ。分身や残像ではなく実体そのものを作り出す高等忍術。分身と違い影分身は、大量のチャクラを消費するため、上忍クラスでも数十人を作り出すのがやっとだ。

 

だが今のナルトが作りだした実体の数は優に100を越えている。何故アカデミーに入学したての子供が、それほどの莫大な量のチャクラを有しているのか。それはナルトが尾獣と呼ばれるチャクラの塊である彼等を、その身に宿しているからだ。

 

つまりナルトは九尾を宿しているから、これほどの人数の実体ある分身を容易に作り出せる。

 

『取り敢えず、イルカ先生を殺そうとした罪からだってばよぉ!』

「ちょ、待っ…」

 

結果、ミズキはナルトによって処断されたのだった。それを水晶で見ていたヒルゼンは、穏やかに微笑んでいるのだった。

 

 

 

数時間後、イルカによって連行されたミズキは厳重に警備された地下牢獄へ収容となった。

 

事態の結果報告として、「ミズキの計画を知っており、ナルトはミズキの誘惑に惑わされた振りをしてミズキに指示された場所へと趣いた。そこに現れたミズキを戦闘で気絶させた」という旨で里の上層部へ知らされることとなった。

 

ミズキの悪行をイルカとヒルゼンが利用した格好となったが、2人からすればナルトへの評価を変えようという思いが強かったからそうしたまでだ。里の上層部もあまりに都合の良すぎる事情に難癖を付けたかったようだが、証拠もない以上どうすることもできなかった。

 

ナルトがミズキに騙されたのを知っているのは、その場に居合わせたイルカだけだったのが大きかった。詳細はもちろんヒルゼンやフガク、いのいちには共有させている。いのいちに伝わったということは、〈猪鹿蝶〉として活躍する秋道一族、奈良一族、山中一族には伝わることだろう。

 

だがフガクがいるといっても知らされるのはミコトやサスケ、イタチにそしてイタチの信頼する友人1人だけになる。フガクとしては、ナルトのことをあまり良く思っていない一族に知らせるのは気が引ける。一族としての共有情報にするか、家族としての縁が強い血縁関係が濃い家族内に留めるのか。それはフガク次第だ。




本来であれば、この話は卒業試験の後に起こった事件です。しかし今回は前話であのようなことが起こっているので、書いても可笑しくは無いかなと思って、敢えて書いてみました。

賛否両論あると思いますが、次話でまたお会いしましょう!

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