サスケとナルトは家族   作:ジーザス

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お待たせしました1ヵ月ぶりですね。申し訳ありません!中々時間が取れず、FGOやSAOの投稿を優先しておりましたせいで遅くなってしまいました。

まだまだ物語は始まったばかりです。可能な限り投稿は続けますので、これからもよろしくお願いします。

前回投稿からUA5803、お気に入り44増えておりました。感謝です!


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ミズキによる〈「封印の書」窃盗未遂事件〉があったものの、それからはそれなりに平穏な日々が続いた。あの事件以来、ナルトへの評価は悪くないものになっている。クラスでの事故勃発を最小限に留めた頃より、明らかに印象は良くなっていた。

 

ナルト自身はその評価に、申し訳なさを抱かずにはいられない。公に発表された内容としては、〈自分がミズキの暗躍を見抜き、騙された振りをして捕縛した〉ということ。事実とは違うことを真実と思い込み、自分へ優しく接してくれるクラスメートに罪悪感を抱くのは仕方ない。

 

幼い頃から忌み嫌われていたナルトにとって、その変化はありがたく感じてしまう。いくらフガクやミコトが本当の子供のように愛情を注いでくれていても、やはり少しでも外に出れば化け物呼ばわりされる。

 

親代わりとクラスメートでは年齢の違いだけに、頼りがいの度合いが根本的に違う。サスケやチョウジ、シカマル、いのに本当のことを知らせられないことがどれだけ辛いことか。ナルトにすれば耐え難い苦痛なのだ。

 

だがその心がすさんでしまいそうな時に支えてくれるのは、誰よりナルトの境遇を理解している九尾である。この世に生を受けて僅か数時間で、九尾はナルトに封印された。

 

ナルトが街を歩けば物を投げつけ、悪口を聞こえるように口にする。自身が言われているとわかっていても、実際に言われているのはナルトだ。里内の人間はすべての責任をナルトへと向けていた。

 

それが九尾にとって有り得ないことだった。

 

ナルトは自身が封印される〈器〉でしかない。何故〈本体〉ではなく、〈器〉がそんな風に言われなければならないのか。

 

あぁ、腹立たしい。これだから人間という矮小で脆弱な生き物は、進化という方法を思いつかない。他者を犠牲にしなければ生を謳歌できない俗物が行ける世界なんぞ、〈六道仙人〉が望んだ世界ではない。

 

尾獣が静かに暮らそうと思い、山の奥深くに巣くっていても人間は見つけ出してしまう。自分たちを脅かす存在は、消し去らなければならない。そう思い込んでしまうのだ。なんと哀れな生き物なのか。なんと傲慢で欲深い生き物なのか。

 

どれだけ時代を生きようと、人間は古来より何一つ進歩などしていない。

 

 

 

 

 

「なぁ、サスケ。最近イタチさんなんか可笑しくないか?」

 

そう問いかけるナルトの声音と表情は、言葉通りに不安を抱いている様子だった。今ナルトはサスケと共に、火影岩の上にある岩場で、体力&チャクラ修行を行っている最中だ。

 

「分からなくはないが、俺たちにはどうすることもできない」

「それは理解してるってばよ。でも気になるんだ」

 

ナルトの表情は暗い。それを示すかのように、片手で岩場を上っていたナルトの速度は遅くなっていく。今2人がいるのは、断崖絶壁に近いほぼ凹凸のない場所。チャクラによる吸着がなければ、谷底へ真っ逆さまなのは確実だ。

 

「...で、お前は何処が可笑しいと思うんだ?」

 

ナルトより少し上を上っていたサスケが、両脚を壁に張りつけた状態でナルトに問いかける。壁に直角で立てているのは、チャクラの性質を変化させ足裏に集めているからだ。

 

「顔色とか雰囲気がさ、なんか違うんだってばよ。昔はおおらかで優しくて暖かったのに、今は冷たくて痛いんだ。まるでクナイを張り巡らしているみたいで」

「疲労だろう?兄さんはここの所、長期間の任務で里を留守にしていた。帰ってきても火影への経過報告と道具の調達だ。休む暇もないのだから気を張っていればそんなものだろう」

「それならいいんだけどさ...」

 

イタチはこの3年の間に〈暗部〉へ所属していた。〈暗部〉とは火影直属の裏部隊で、潜入捜査や情報収集を生業とする忍者だ。彼らは仮面を付け、本名を隠したコードネームで互いを呼び合う。

 

イタチはその才を遺憾なく発揮し、〈暗部〉内でも指折りの実力者へと上り詰めている。本来であれば歳若い青年に成果を上げられるのは、長年務めているものからすれば不満を抱かずにはいられない。

 

だが〈暗部〉に配属される者は、里のはみ出し者あるいは才能がそちらに向いていると判断された、異端者の集まりだ。だから妬みや憂いとは縁遠い存在であるからして、その程度のことでいがみ合ったり、仲違いしたりはしない。

 

浮かない顔で俯くナルトに、サスケは元気づけるように笑顔を浮かべながら言い放つ。

 

「そういやお前は崖登りで俺に負け越してたよな?これで今日も俺が勝ったら負け越しが増えるぞ」

「うおおおおお!負けてたまるかァ!」

『うっせぇぞナルト!少しは静かにしろ!』

 

気合いを入れて叫ぶナルトに、睡眠の邪魔をされて九尾の怒った声がサスケにも届く。サスケは九尾の声を聞いているからそこまで恐れることは無い。アカデミーに入学してからの4年の間に、会話を幾度となく繰り返した。

 

ナルトの心奥深くにある場所ではなく。ナルトの意識と切り替わって現れた九尾と。

 

九尾は問うた。ナルトへの想いは本当なのか。ナルトを家族として、義兄弟として、好敵手として認めているのか。ナルトの過去をどう思っているのか。

 

サスケは答えた。ナルトは家族で義兄弟で好敵手だと。ナルト以外に、自分を自分として理解してくれる存在はいない。血縁関係があろうがなかろうが自分には関係ない。同じ志を持つ者は、互いに認め合い競い合うべき存在だと。

 

それを聞いた九尾の笑みを、サスケはきっと忘れないだろう。厄災と畏怖され1匹で里を破壊できる存在の笑顔など、見れることなどないのだから。

 

『サスケ、お前はナルトの良き理解者だ。3代目のジジイやイルカの小僧以上にな。ナルトの心の支えは誰でもない、心の底からあいつを理解してやれる存在だけだ』

 

穏やかな笑みから一転して、次の瞬間には沈痛な面持ちで九尾は語り始めた。

 

 

 

 

『ワシは昔から破壊という概念しか持っていなかった。形あるものが消えていくのは愉快痛快。得がたい愉悦に他ならなかった。...ワシら尾獣は何処にいようと忌避される。憎悪の塊であるワシらは、すべての災いの元凶として憎しみの対象となった。ワシらが関わっていなかろうと、ワシらに全てが降りかかった』

「...お前は怒りを感じなかったのか?」

『感じたとも。何故ワシらのせいになるのか。何故ワシらが静かに暮らすことを許さないのか。それが昔からの疑問だった。ほとんど覚えてはいないが、ワシを封印された者共、ナルトの前任者共はこぞってワシを嫌悪し憎んだ』

 

皮肉な笑みを浮かべながら九尾はサスケを見つめる。

 

「でも何故ナルトに対しては穏やかなんだ?」

『ナルトはワシを憎まなかった恨まなかった。ワシが封印されているが故に迫害を受け続けた。だがそれでもナルトは笑ってワシを許した。その時ワシは初めて恐怖した。何故こやつはワシを憎まない?ワシがいるから傷つくというのに。ワシに対してナルトは感謝しか言わない。笑顔を屈託のない笑みをワシに向ける?』

 

ナルトの意識と入れ替わっている九尾は、襖を開けて縁側へと下り立つ。庭にある池の揺れる水面で反射する己の〈器〉を、慈しみが宿った瞳で見返す。

 

『化け物と呼ばれたとき、ナルトの感情がワシに流れ込んできた。「仕方がない。これは誰にもある理不尽が自分だけ多いだけだ。」そんなことを僅か6歳のガキが考えると思うか?大の大人でも受け入れきれず発狂する』

「なんでナルトは耐えられたのか、だよな?...ナルトの精神力が尋常じゃなかったんじゃないのか?」

『その可能性も無きにしも非ずだろうが。てか、てめえは自覚しろ』

「は?」

 

サスケは何を言われたのかわからなかった。ナルトの過去を聞いているというのに、何故自分が指摘されるのか理解できなかったのだ。

 

『誰のおかげでナルトが暴走せずにいられたと思ってるんだ?お前だお前。お前がナルトを支えてきたから、普段の日常が当たり前になっとる。まさか気づいてなかったのか?』

「俺がナルトを救っていた?馬鹿馬鹿しい。俺はナルトのような、腕が立つ奴を失いたくないだけだ」

 

サスケの言葉に九尾は内心ため息を吐く。その行為自体がナルトを救っていたという事実だと言うのに、認めないことが腹立たしかった。

 

『まあ、ワシは知らん。ともかくお前のおかげで、ナルトは何も変わらず穏やかに過ごせている。それさえ知ってくれていたらいい』

 

そう言う九尾が穏やかに、親が子を慈しむような表情を浮かべながら口にする。

 

『ナルトほど心地いい〈器〉は二度と訪れぬだろう。だから頼む、ナルトを守ってやってくれ。俺の安全よりあいつの安全を作ってくれ』

 

その言葉が九尾の心からの叫びだとサスケは理解した。自分の命よりナルトが大切と言っているのだと。ナルトが死ねば自分は自由になるというのにそれを望んでおらず、むしろナルトの中にいたいという思いが伝わってきた。

 

 

 

 

あの日、サスケは自分自身に誓った。ナルトが決して自分を呪うことなく、笑顔で生きられる世界を作ってみせると。そのためにはまず自分が変わらなければならない。今の腕ではその理想は夢のまた夢。届かぬ儚きものとなってしまう。

 

そうしないために自分が強くなり実力を示す。憧れを抱かれるような存在になって、ナルトを毛嫌いする存在を見返してやる。

 

だからサスケは〈火影〉を目指す。

 

「負けてられねぇよな。兄さん、兄さんはナルトと俺をどうしたいんだ?」

 

雲ひとつなく暖かな日差しが降り注ぐ空を見上げ、サスケは誰にも聞かれることのない問いを投げかける。空へ放ったはずの問いは自分自身に降りかかる。自問自答しても答えは見つからない。

 

かぶりを振ることで頭から追い出したサスケは、ナルトを追って〈片手崖登り〉を再開するのだった。

 

 

 

 

それから少しばかりして、あの悲劇の事件は起こる。それがよもや、運命を左右するなど2人は知る由もなかった。

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