雷霆と白兎   作:獲堕魔眼

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この作品を読んでくださった皆さん、あけましておめでとうございます。
……遅い。遅すぎる!
自分で言うのもなんですが掛かりすぎました。年末年始が忙しかったとはいえ
今度からは頑張って一定の間隔で書けるようにしたいです。


第1章 少年は冒険者となる
1頁目:神様との出会い


迷宮都市“オラリオ”

世界にたった一つの“ダンジョン”を中心とした都市であり、そのダンジョンに潜り日々そこに住まうモンスターを相手にする冒険者たちでにぎわう街。

 

ガヤガヤと賑わう大通り。正門から続く通りには今日も多くの人で溢れかえっていた。

 

「ふぅ~。やっと着いた。」

 

その中に真っ白なフード付きの外套を目深くにかぶった青年が荷物を背負いなおしながら呟いた。

 

「話には聞いていたけど流石は世界の中心って呼ばれるだけのことはあるね。」キョロキョロ

 

―あまり道の真ん中に突っ立ってるのは良くないぞ。あとキョロキョロしてっと田舎者臭いぞ、“ベル”―

 

突如青年の中から声が聞こえる。しかし周りに聞こえた様子はなくその声は青年―ベルに向けて告げられたものだった。

 

「わかってるよ。お兄ちゃん。」ボソッ

 

ベルは自分の半身の指摘にこたえながら被っていたフードを脱いだ。顕わになったのは純白の白髪に血よりも紅い瞳、そしてどこか中性的であどけなさを残しながらも整った顔立ち。外套に隠れて見えないが170後半の身長に程よく鍛えられた肢体は戦士のそれだ。

そんなベルを見た通りすがりの人々(主に女性)は自然と目で追ってしまっていた。

 

「さて、お爺ちゃんからの手紙によれば…」

 

そんな視線など気にせずにベルは懐から手紙を取り出した。そこには尊敬する祖父の字が綴られていた。

 

『ベルよ、元気にやっとるか?おぬしが儂のもとを巣立ってから早数年がたったがおぬしがさらに強くなっておると儂は信じとるぞ。さて、話は変わるがそれなりの実力を身に着けたのなら世界の中心と言われておるオラリオに向かってはどうかの?昔聞かせておった物語の舞台じゃ。数年前でもうまくやれたかもしれんがさらなる修練をと旅に出たおぬしなら己の力と多くの出会いのもとさらに成長できるじゃろう。あ!可愛い女子がおったらぜひ紹…』グシャ!

 

ベルは手紙を握りつぶした。読んでいて我慢できなくなったようだ。

 

祖父のもとを旅立って数年、時折手紙をもらっていたが必ずといっていいほど下世話な内容が含まれているのはあの爺の性格がうかがえる。

 

(はぁ、これがなければ尊敬できるんだけどな…)

 

そうであろうか?(by作者)

 

たしかにすごい神であることには違いないのだろうがいかんせん頭の中が煩悩全開のためになんとも締まらないのである。

 

―兄弟、気持ちはわかるがCOOLに行こうぜ。あーぁ、そんなんじゃ読めねーだろうに―

 

己の中の半身が呆れながらもフォローする。体の内側から熱い魔力が腕を伝い手紙に流れ込む。するとクシャクシャだった手紙が何事もなかったかのように綺麗になった。

 

「ありがとう。とりあえず関係なさそうなのは飛ばすとして...あぁ、ここからか。」

 

それは手紙の最後の方、後から付け加えられたような文だった。

 

『…頼むぞ。それと、オラリオでやっていくのなら儂の姉上を頼るとよい。とても純粋でおおらかな女神じゃからお主もすぐに馴染むじゃろう。名を“ヘスティア”。見た目は黒髪の幼子で胸が大きいからわかりやすいじゃろう。 同封しとった手紙に事情をしたためといたから渡しとくれい。ではベルよ、其方に善き出会いと加護があらんことを。―ゼウスより―』

 

…………

 

読み終えたベルは手紙をたたみ懐へしまった。さて、

 

(ねぇ、お兄ちゃん。僕目がおかしくなったのかな?)

 

―心配するなベル、俺にも見えてる。つまり見間違いでも白昼夢でも無いってことだ―

 

手紙を読みつつも人の流れに任せてゆっくりと歩いていたベルはだいぶ中心の方までやってきたのだが…

 

(どうみても、あの人(神?)なんだよね………)

 

そんなベルの目に映ったのは、

 

「いらっしゃいませ~!!」

 

可愛らしい女神さまがおそらく揚げ物屋であろう屋台で大きな声で売り子をしている光景だった。

 

 

―ヘスティア―

 

僕はこの日を一生忘れないだろう。

 

「いらっしゃいませ~!揚げたてのじゃが丸君はいかがですか~!」

 

神友のヘファイストスのところを追い出されてからというもののその日の生活を送るためにもアルバイトをするしかなく、親切なおばちゃんの屋台でこうして売り子をやっている。何だかんだで楽しいし、お客さんとも仲良くなれたし、案外悪くないね。

 

「すいません。一つ貰えませんか?」

 

「はーい。ありがとうございまーす!100ヴァリスです!」

 

昼時の波も過ぎ、だいぶ落ち着いたころに彼はやってきた。

透き通るような白髪に紅く綺麗な眼。真っ白な外套に隠れてるけどスラっとしながらも男の子らしい身体つきをした彼は人懐っこい笑顔を浮かべ注文をしてきた。僕は身に着けた接客スマイルのままじゃが丸君を渡す。

 

「ありがとうございます。失礼ながら、女神ヘスティア様ではございませんか?」

 

「へっ?あぁ、うん。その通り僕がヘスティアだよ。」

 

驚いた。自分で言うのもなんだけど僕の外見は子供にしか見えない。初見で僕のことを神だと見切れる子はそうはいない。

 

「おぉ、やはりそうでしたか。人伝に聞いた特徴しか知らなかったものですので。当たっていてよかったです。」

 

「へーそうだったのか。」

 

「はい、それで一つお願いがあるのですが…」

 

「?。僕にお願い?言っちゃなんだけど僕は叶えられることなんてほとんど無いぜ?」

 

自分で言っていて悲しいが眷属(ファミリア)の一人もいない神だ。できることなんてたかが知れている。

 

「僕を貴女の眷属にしていただけませんか?」

 

「………へっ?」

 

これが僕。慈愛と家庭の女神ヘスティアと最初の眷属にして未来の英雄、ベル・クラネルとの出会いのお話。

 




誤字脱字があったら教えていただけると嬉しいです。
次の話は今月中には何とかしたいです。


ヘスティア「僕の出番短過ぎやしないかい!?」
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