また、今作のリリはオリジナル設定多めなのでツッコミは無しでお願いします。
バベル前広場
早朝にもかかわらず、オラリオの中心地であるバベルの入口には多くの冒険者達がつめかけていた。
(ふぁ〜…)
その人通りの中をあくびを噛み殺しながらベルが歩いていた。
ー眠そうだな。ベルー
(昨日は大騒ぎだっからね。)
昨日神様の神友であるミアハ様とタケミカヅチ様の2神とそのファミリアの方々と顔合わせ兼食事会があったが皆さんいい人(神)達だった。
ー ー ー ー
タケミカヅチファミリアのホームである長屋に一同が集まっていた。
「この度女神ヘスティア様のファミリアの一員となりました、ベル・クラネルです。よろしくお願いします。」ペコリ
その場にいる全員に向かいベルが挨拶する。
「うむ、私はミアハという。うちは小さな薬屋をやっていてな。なにか物入りになったなら訪ねるといい。そしてこの子が…」
「ミアハ様の眷属のナァーザ・エリスイスです。ミアハ様の元で調合師をしている。ぜひ買いに来てくれると嬉しい。」
美麗な顔立ちをした男神ミアハとどこか眠たげな印象を持った犬人(シアンスロープ)の女性ナァーザが挨拶する。
「俺はタケミカヅチだ。一応武神って名で通っている。君の所と同じ探索系のファミリアだからなんか聞きたいことがあれば聞くといい。で、こいつらがうちの…」
「タケミカヅチ様の眷属で団長を務めている桜花・カシマという。最近Lv2に昇格したばかりだが先達として答えられることには答えよう。」
男前な男神のタケミカヅチの自己紹介に続き益荒男といった風貌の団長桜花が挨拶をした。
「自分は命・ヤマトと言います。タケミカヅチ様の元で修行中の身ですが、ベル殿のお役に立てるように努めます!」
「えっ…と。千草・ヒタチ。です…。ああまりお役に立てないかもですけど…よ、よろしくお願いします。」アセアセ
綺麗な顔立ちをした礼儀正しい少女の命が挨拶したかと思えばオドオドした感じで目元が隠れた少女千草が挨拶する。
「彼らがボクが何かと世話になっている神友達とその子供たちだ。もう一神紹介したかったんだけどあの子はボク達と違って忙しいからね。」
タハハと苦笑いしながらヘスティアは締めくくった。こうしてベルは無事に皆との顔合わせを済ませたのだが…
ー ー ー ー
ーしかしカオスだったなー
(確かにね…)
大きなテーブルを囲んだ楽しい食事会だったがお酒が入りだしてからどんどん場の雰囲気がおかしくなってきた。
やれ主神のお節介行為で商品がタダで配られて商売上がったりだの、うちの団長は女心が分かってないだの。主に女性陣の愚痴が炸裂しだしてからさらにおかしくなってきた。その上何故かその話し相手がベルであり、ベルは逃げるのとも出来ずに変に目の据わったナァーザと命の相手をする羽目になった。
ちなみに件の主神と団長は居心地が悪そうにチビチビと酒を飲んでいたそうな。
ー結局夜中まで付き合ったもんなー
(僕の許容範囲内だったから良かったよ。)(--;)
その混沌の宴は夜中まで続き皆がみな酒を飲みまくった。そうなれば翌朝には屍の山が築かれるのは当然の理である。酒が苦手なためあまり呑んでおらず平気だった千草とさんざん付き合わされたにもかかわらずピンピンしているベルが2人がかりで介抱していた。
何事も無かったかのように平然とダンジョンへと向かうベルの背中を見送りながら「アイツヤベェ…!」と全員が思っていたのをベルは知らない。
ーとりあえず今日はどの辺まで潜るんだ?ー
(エイナさんからの許可もあるし6階層辺りまで行こうか。)
その頃ギルドの受付でハーフエルフの職員が頭を抱えていたそうな。
(…ん?)
ーどした?ー
ふっとベルは広場の片隅で言い合っている一団が目に付いた。数人の男の冒険者と小さな女の子が言い争っている。
暫くすると男達はさっさとダンジョンの中に入って行ってしまった。女の子は頭を抱えてベンチに座り込んでいる。
(…ねぇ、お兄ちゃん…)
ーお前の好きなようにすればいいんじゃないか?ー
ベルの問いかけに一瞬の迷いも見せずに兄が答える。まるで全てお見通しであるかのように。
(…うん、ありがとう。)
兄に背中を押され、ベルは少女に声をかける。
「ねぇ、お嬢さん。ちょっといいかな?」
これがとある主従の出会いだった。
ー少女ー
(はぁー…ついてないのです…)
少女は1人ベンチに座り込み重いため息を吐き出した。彼女は今日ギルドの募集にあった野良パーティーに入れてもらうはずだった。しかし集合場所に行けば自分が小人(パルゥム)の女だとわかると手のひらを返したように追い出された。「ちんちくりんの役立たずな小人は要らない」だそうだ。
(こんなんじゃあの目標まではとても…)
彼女のファミリアの団長から提示された脱退の条件。とても一個人が支払えるはずのないその金額に彼女は絶望感を覚えていた。しかし何もしないわけにはいかないとこうしてダンジョンに挑もうにもソロで稼げる額などたかが知れている。かといって野良パーティーは先程のように入れて貰えないか、入れても取り分の少ないサポーターとしてだ。
(このままじゃ…)
さらにファミリア内では弱いものは搾取されるのは当たり前。少しでもお金を稼いだと噂が立てば奪われることなどざらだ。その為少女は少しずつ貯めた貯金を複数に分けて保管しているほどだ。
(やっぱり正攻法だけじゃ…でも…)
実際ファミリア内の団員の中には非合法なことに首を突っ込んでいる者も少なくない。手を染めたくなどない。しかしこんなことではいつまで経っても闇の中だ。
少女の瞳に薄暗い影が差し込もうとしていた時、
「ねぇ、お嬢さん。ちょっといいかな?」
「は、はい!?」
急に声をかけれ下を向いていた頭を上げる。そこに写ったのは白だった。雪のような白髪にルビーのような目全身白を基調としたコートのような装備に身を包んだ同年代の少年がいた。見たことない顔だ、オラリオ生まれの自分が今まで見たことない特徴の少年だった。
「あの、お兄さん。私になにか御用ですか?」
ニコニコと人懐っこい笑顔をうかべた少年に問いかける。普通、こうして近ずいて来るのはろくな奴ではないのが普通だが何故か彼からはそんな雰囲気が感じられない。
「別に大したことじゃないよ。お嬢さんが良ければ…僕とパーティー組まない?」
「…ほぇ?」
何の気なしに掛けられた言葉に間抜けな返答を返してしまった私。
これが私、リリルカ・アーデと我が主、ベル様との出会いだった。
コメント、質問等ありましたら是非ください。
ベル強化と書きましたがリリも結構強化します。