雷霆と白兎   作:獲堕魔眼

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前回の投稿が約半年前...

いや、忘れていた訳ではないのですがオリジナル話にしたせいでネタが...


6頁目 小人の少女

ダンジョン 16階層

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

ピキッ。バキバキバキ。

 

ダンジョン内に存在するモンスターは全て"ダンジョンの壁から生まれる"。これはダンジョンが自身を守る防衛能力によるものだと考えられている。そのためモンスターは産まれてすぐにでも戦えるように成体で誕生し、まるで刷り込まれているかのように全く違う種のモンスターと連携することもある。

 

「ヴゥ…ヴモッ…」

 

今生まれたのはミノタウロス。猛牛の頭を持つ屈強なモンスターであり適正レベルはLv2という強力なモンスターだ。

 

「ヴゥゥゥ…ヴ?」コツン

 

そんなミノタウロスの足に何かが触れた。紫紺色をした結晶、モンスターたちの核である魔石だ。どうやら何者かがここで争ったのだろう。

 

「ヴゥ?」ひょい

 

魔石を拾い上げしげしげと眺めていたミノタウロスは何を思ったのかそれを口に入れた。

 

「…!!?」ドクン!

 

その瞬間ミノタウロスの全身を何かが駆け巡った。己の力が僅かながらも上がったように感じる。

 

ニヤリと怪物は笑った。これはいいものだともっと無いかと怪物は歩み出した。

 

 

ダンジョン 5階層

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

グツグツグツグツ

 

(じーーーー…)クゥ

 

「そんなに見つめても早くは出来ないよ、アーデさん。」

「はわっ!ご、ゴメンなさいです!」

 

ベルの手元で湯気を立てる小鍋を食い入る様に見つめていたリリルカが慌てて顔を上げた。そんな様子をベルはクスクスと微笑ましそうにしているのを見てリリルカは顔を赤くし俯いた。

 

あの後臨時のパーティーを組んで潜ることになった2人はベルがルーキーであるのを加味しゆっくり(?)降りており5階層に到着したのち昼食を取っていた。

 

「しかし、クラネルさんは本当に新人(ルーキー)なのですか?」

 

リリルカは自身が気になったことを聞いてみた。普通ならファミリアに加入したばかりのルーキーはステイタスも貧弱であるために2、3階層あたりで戦闘経験を積むのが普通である。

ところがベルは出現するモンスターを片っ端から屠っていき、なんの躊躇もなくサクサクと下層へと降りていくものだからリリルカは面食らってしまった。

 

「本当だよ。まぁ普通かどうかは僕も自信が無いけどね。」

 

鍋をかき混ぜながらベルは苦笑する。

 

ベル自身、自分が特殊であることは重々承知しているが悲しいかな出来たてホヤホヤのヘスティアファミリアには団員はベルしかいないために比較対象が存在しないため曖昧なのである。

 

「でもやっぱりつパーティがいると違うね。索敵も楽だし、アーデさんがルートを把握しているから無駄足食わずに済むし。」

 

「そ、そんな!リリは全然…ほとんどの戦闘はクラネルさん任せですし何度もフォローして頂きましたし…」

 

リリルカは否定するがベルはそうは思わなかった。

 

ダンジョンには長年の攻略により「ルート」と呼ばれるものが存在する。それは次の階層への最短ルートだったりレアモンスターが出現しやすいポイントへのルートだったり様々だが当然ダンジョン攻略2日目のベルにそんな知識があるはずもなく何度もルートを間違えリリルカに止められていた。

 

(なんというか自分に自信が無さすぎる様な気がするな)

 

目の前で縮こまってしまった少女にベルは手元の鍋の中身を器に移し差し出した。

 

「ま、その話はいいとして出来たよ。」

「あ、ありがとうございます。」

 

器にたっぷりと入ったスープを零さないように受け取り2人は食べ始めた。

 

「「いただきます」」

 

野菜たっぷりのスープは食べ応えもあり二人のお腹を十分に満たしていく。

 

リリルカは思った、こんな温かい食事を誰かと一緒にとったのはいつ以来だろうかと。

 

両親はとうになく、ファミリアでの扱いは最底辺。ホームには居場所が無いため安宿を拠点とするしかなかった。

 

気づけばつーっと涙が溢れていた。涙を拭きながらリリルカはスープを飲み干す。そんな様子をベルは何も言わずにスープを飲んでいた。

 

「「ごちそうさまでした」」

 

互いにスープを飲み終わり一息ついたが二人の間には少し気まずい空気が流れた。

 

ー構えろベル、何か来るぞ!-

 

「!!!」

 

「?」

 

静かに周囲を警戒していた半身の警告にベルは咄嗟に武器を構え、リリルカは急に構えたベルに戸惑いながらも武器に手を伸ばす。

 

 

ビキッ

 

「「!?」」バッ

 

不意に聞こえた何かがヒビ割れるような音。2人の視線の先、ダンジョンの壁に無数の亀裂がはいりビキビキと徐々に広がっていく。そしてその壁を突き破り無数の人影が姿を現す。

 

現れたのは子供ほどの体躯に緑色の肌したゴブリンだった。

 

その醜い顔をニタリと歪ませ2人を見定めるゴブリンの数は6匹。ベルとリリルカはすぐさま行動に移る。

 

「アーデさんは左のヤツからお願い。僕は右のヤツから殺る。」

 

リリルカへと指示を飛ばしつつベルはゴブリンへと斬り掛かる。

 

「分かりました!」

 

指示を受けたリリルカも愛用の手斧を手にゴブリンへと斬り掛かる。

 

「「「「「「グルアァァ!」」」」」」

 

ーーーーーーーー

 

「いや〜。意外と稼げたね。」

「ですね。」

 

ベルとリリルカは換金を済ませバベル内のベンチに腰掛けていた。

あの後特に問題なくゴブリンを片付けて探索を再開した2人は夕方くらいに探索を切りあげ地上へと帰還した。

換金所にいたエイナに今日の収穫をジト目で見られたが気にしない。「昨日の今日で…」という呟き声が聞こえたが気にしない。

 

「さて、じゃぁこれ。今日の分け前ね。」

 

「はい。ありがとうございます…?」

 

ジャラッと金属音をならしながらリリルカの手に置かれた皮袋。しかしそのずっしりとくる重さに疑問を持ったリリルカは封をといて中を見るとそこには今日の収穫の半分ほどの貨幣が入っていた。

 

「ちょっ!?クラネルさん!こ、これは多すぎます!!」

 

「ん?そうかな?」

 

今日の探索の成果は25000ヴァリス。戦闘では大して働いてなくサポートメインだったリリルカとしては5000ヴァリスも貰えたらいいなくらいに思っていたのだ。

 

「僕はオラリオに来る前は外で傭兵をしてたけどあっちは頭割りが普通だし今日の探索はアーデさんの知識を貸してもらったりもしたしね。ま、情報料とでも思っといて。」

 

「し、しかし...」

 

戸惑いを抑えられない様子にベルはんーと頭をひねる。

 

ー前金ってことでいいんじゃないか?ー

 

(!いいね。それでいこう。)

 

ぼそりと呟くように言われた半身のアドバイスにならいベルはリリルカに提案した。

 

「じゃぁさ、前金ってことでどうかな?」

 

「...前金ですか?」

 

「そう。僕としてはアーデさんが良ければ明日も組んでほしいからその前金。」

 

困ったような表情を浮かべるベルの言葉にリリルカは言葉に詰まる。

 

「じゃ、そうゆうことで明日の9時にバベル前の広場に集合ってことでよろしくね。」

 

「あっ...」

 

いうや否やベルは立ち上がりそそくさとその場を後にしてしまった。リリルカは引き止めようと手を伸ばすが空を掴んでしまった。

 

「...」

 

リリルカは無言で手元の革袋を眺めていたがしばらくしてそれを懐に仕舞立ち上がった。

 

「...へんなの。」

 

そんな呟きを残しリリルカもその場を後にした。

 

 

 

 

 

 




もう早く少し更新できるように頑張ります

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