アイドルカードは数あれど、個人的ナンバーワンはやっぱりこの子…!
「オレは最強!オレは無敵!だから、オレは何をしようとも許される!」
明らかにイっちゃった目で叫ぶ不審者。
それに相対する俺の身を守るのは、左腕に装着されたくの字型の盾。――
「それを、このデュエルで証明する!お前には、犠牲者の第一号となる資格をやろう!」
「そんなモンはいらん。勝つのは俺だからな」
「抜かせェ!」
「「デュエル!!」」
互いに視線をぶつけ合わせつつ、
「先攻は貰うぞ。ドロー」
手札は…まあ、微妙。
『悪くはないけど、良くもない…って手札だね』
『だな』
誰もいないはずの背後から聞こえてくる声に、口を動かすことなく念話をするように答える。
これは別に驚くことでもない。…何年も前から、ずっと傍に居てくれた少女の声なのだから。
『相手の方は…どうやら既にアレが来ているみたいだな』
不審者の手中にある5枚のカード。その1枚から、普通のカードとは異なる黒いオーラのようなものを感じる。
恐らくはそれがこの不審者を狂わせている元凶であり…俺たちが探しているものの1つだ。
『やっぱり?私はマスターほど分からないけど…何だか変な感じがする』
『多分左から4枚目だな。…まあ、内容が分からん以上は警戒していても仕方ないか』
『うん。マスターは、マスターらしくデュエルをするのが一番だと思うよ』
声に背中を押されるようにして、手元の6枚のカードに視線を走らせる。
「…フィールド魔法、《伝説の都 アトランティス》を発動」
伝説の都 アトランティス
フィールド魔法
このカード名はルール上「海」として扱う。
(1):フィールドの水属性モンスターの攻撃力・守備力は200アップする。
(2):このカードがフィールドゾーンに存在する限り、
お互いの手札・フィールドの水属性モンスターのレベルは1つ下がる。
「モンスターをセットし、更に1枚カードをセット。ターンエンドだ」
「オレのターン、ドロー!《強欲な壺》を発動し、さらに2枚ドロー!」
デッキからカードを2枚引く不審者。
「《サイクロン》発動!その目障りな伏せカードを破壊する!」
巻き起こった風が伏せカードを切り刻み、吹き飛ばす。
「…チッ」
「《聖なるバリア -ミラーフォース-》だったか…まあいい。お前には、早速オレが手に入れた力を拝ませてやる…!」
「まさか、1ターン目で切り札を呼べる手札を揃えたのか!?」
『不味いよ、今日はあまり手札が良くないのに…!』
俺たちが戦慄するなか、不審者は叩きつけるように勢いよくモンスターカードを繰り出す。
「オレは手札から、《星杯を戴く巫女》を召喚!!」
星杯を戴く巫女
星2/水属性/魔法使い族/攻: 0/守:2100
効果なし
「2つ星にして《ハープの精》や《ホーリー・エルフ》すら超える守備力!あの《漆黒の豹戦士パンサーウォリアー》でも破壊できない脅威の壁モンスターだ!」
「…………」
『…………』
……は?
「フッ、あまりの衝撃に言葉も出ないようだな!」
『……なあ』
『…どうしたの?マスター』
『
『いや、あれでも一般デュエリストには絶望的な壁じゃないかな?切り札でも攻撃力が2000を超えないのは普通だし』
『まあ、たしかに近所の小学生じゃ《シルバー・フォング》と《猛獣の歯》持ってる子が最強みたいだけど…』
エロペ…海馬コーポレーション元重役の切り札だった鉄壁氷山(笑)で守備力2450とかだったし、この時代でデメリットなし低級モンスターが守備力2100というのは一応破格ではある。
「さらに《一角獣のホーン》を装備し、攻撃力と守備力は700ポイントアップだ!お前の《伝説の都 アトランティス》の効果と合わせ、《星杯を戴く巫女》の守備力は3000!」
星杯を戴く巫女
攻: 900/守:3000
「さらにさらに!《明鏡止水の心》を装備!」
明鏡止水の心
装備魔法
装備モンスターは、戦闘及び装備モンスターを対象とするカードの効果では破壊されない。
装備モンスターの攻撃力が1300以上の場合、このカードを破壊する。
「これで《星杯を戴く巫女》は戦闘でも、このカードを対象とするカード効果でも破壊されなくなった無敵の盾!もはや如何なるモンスターも敵ではないわぁ!」
不審者は既に勝ったかのように胸を張っている。
まあ、たしかに力づくで突破するのは厳しい。…力づくで倒すのなら、だが。
「俺のターン、ドロー」
(一枚目の伏せカードは《ディメンジョン・ガーディアン》。《明鏡止水の心》を破壊して耐性を剥がしに来ても、コイツを発動することでまた耐性を付けることができる。《大嵐》のような魔法カードで逆転を狙ってきたとしても、もう1枚の伏せカードは《マジック・ジャマー》。手札の《タクリミノス》を捨てて無効化してやるぜ。この戦い…オレの勝利だ!)
「俺はフィールド上の裏側表示モンスターを反転召喚。出番だぞ、《水霊使いエリア》!」
裏側表示だったカードが反転し、大きな宝石のついた杖を持つ少女が現れる。
腰まで伸ばしたストレートロングは空のように青く、同色の瞳を持つ顔立ちもよく整っている。
水霊使いエリア
星3/水属性/魔法使い族/攻: 500/守:1500
リバース:このカードがフィールド上に表側表示で存在する限り、
相手フィールド上の水属性モンスター1体のコントロールを得る。
フィールドに召喚されたエリアは少しだけこちらを向くと、ウィンクをしながら微笑んできた。
さすがは俺の
「エリアのリバース効果により、水属性モンスター1体のコントロールを得る。《星杯を戴く巫女》を奪取!」
「何だと!?」
エリアが杖を振るうと《星杯を戴く巫女》は一瞬びくりと身体を震わせ、ふらふらとこちらのフィールドへと歩いてくる。
エリアが笑いかけながらその手を取ると、我に返ったようにその隣に立ち、不審者に敵意の籠った視線を向けた。
(だ、だが《水霊使いエリア》の攻撃力はアトランティスの強化分を含めてもたったの700。次のターンに《タクリミノス》を召喚すれば十分に殴り倒せる。そうすれば《星杯を戴く巫女》は戻ってくる!)
「さらにフィールドの《水霊使いエリア》と水属性、《星杯を戴く巫女》を墓地に送ることでデッキから《憑依装着-エリア》を特殊召喚する!」
エリアが巫女と手をつなぐと光に包まれていき、一瞬目が眩むほど輝いたかと思うと幾分か成長した姿で再びフィールドに姿を現す。
憑依装着-エリア
星4/水属性/魔法使い族/攻:1850/守:1500
自分フィールド上の「水霊使いエリア」1体と
水属性モンスター1体を墓地に送る事で、
手札またはデッキから特殊召喚する事ができる。
この方法で特殊召喚に成功した場合、以下の効果を得る。
このカードが守備表示モンスターを攻撃した時、
その守備力を攻撃力が越えていれば、
その数値だけ相手ライフに戦闘ダメージを与える。
劇的に攻撃力が上がっただけではなく、身長も少し伸びて胸の膨らみもしっかりと…などと考えていてはさすがに怒られるだろうか。
「ぐっ、こうなっては次から守備表示で耐えるしかないか…」
「…忘れていないか?このターン俺は…まだ通常召喚を行っていない!」
「…はっ!?」
「《シーザリオン》召喚!」
シーザリオン
星4/水属性/水族/攻:1800/守: 800
効果なし
「この2体はいずれも水属性…よって、《伝説の都 アトランティス》によって強化される。攻撃力の合計は、4050!」
憑依装着-エリア
攻:2050/守:1700
シーザリオン
攻:2000/守:1000
「だ、だだだだだが俺のフィールドには2枚もの伏せカードがある!お前にこれを突破することができるかな!?」
「そんな露骨なブラフにひっかかるかよ…まあいい、合わせてやる。《ハリケーン》発動!」
ハリケーン
通常魔法
フィールド上の魔法・罠カードを全て持ち主の手札に戻す。
激しい嵐が吹き荒れ、フィールド魔法カードと2枚の伏せカードが持ち主の手札へと吹き飛ばされる。
「お、俺の伏せカードが…」
「手札に戻った《伝説の都 アトランティス》を再度発動。そして、2体のモンスターでダイレクトアタック!」
「ぬ、わぁぁぁぁっ!!」
不審者 LP:0
「…
気絶した不審者のデッキを調べてみたが、《星杯を戴く巫女》以外は普通のカードのようだ。
『みたいだね。じゃあ、早く浄化しちゃおう?』
「ああ」
《星杯を戴く巫女》のカードに力を注ぎ込むと、黒いオーラは徐々に弱まっていき…やがて霧散した。
「これでよし、と。精霊には後で話を聞くとして、ひとまず他のトラブルに巻き込まれる前に退散するか」
『そうだね。この人が目を覚ますかもしれないし』
《星杯を戴く巫女》をポケットに入れると、俺は霊体化したままのエリアと一緒に帰ることにした。
予想よりスムーズにいったが…初仕事でこうも上手くいったからといって油断はするべきではないんだろうな。
俺たちが何故こんなことをしているのかを説明するには、俺がデュエリストとしての道を歩み始めた小学生の頃まで遡るべきだろうか……。
エリアはかわいい(確信)
ウィンとか他の霊使いたちも可愛いですし、現在も可愛いカードは生まれ続けていますが…マイフェイバリットヒロインカードはエリア!
この回だけではよく話が理解できませんし、次は一気に過去に飛びます。
今度は説明回、そしてエリアのヒロイン力解放の回…!
では次回、『メインヒロイン!水霊使いエリア』にてお会いしましょう!(もう出来てるんで今日中に投稿しますけど)