読者の皆様より熱い希望があった、【サイエンカタパ】でガイアをお星さまにする計画ですが、実現不可能なことが判明しました。
私自身も書く気になり、相手の《魔導サイエンティスト》をパクってガイアを特殊召喚して射出し逆転勝利!というデュエルの構想を行っていたのですが、肝心の《魔導サイエンティスト》がレベル6までの融合モンスターしか出せない(《竜騎士ガイア》はレベル7)という根本的な問題が判明し断念せざるを得なくなりました。
何かと不遇なガイアに、天にも昇る気持ち(物理)を味わってほしかったのですが…。
「……」
宇佐美さんはずっと窓の外を眺めている。
父が帰ってきてから数日後。俺と宇佐美さんたちは父に連れられ、飛行機に乗って太平洋を渡っていた。
「宇佐美さんは、飛行機は初めて?」
「は、はい。海外に行くのも初めてなので…」
「というか、乗ったことがあるのは東郷君とお父さんだけじゃないかな?僕と明日香も初めてだからね」
「あ、そうなんですか?何だか乗ったことがありそうなイメージがあったんですが…」
漫画版だとアメリカに海外留学とかしてたし。
「僕たちも海外旅行は初めてだよ。大抵の場所で日本語が通じるんだし、どこかに行ってみたいとは思ってたんだけどね」
…外国人デュエリストが日本語表記のカードを使っているように、何故かこの世界の世界共通語は日本語である。お陰で我々日本人は外国語に堪能でなくても、気軽に海外旅行に出ることができるのだ。
なお、学校の教科には前世の英語に代わって、『デュエル』なる教科が存在している。やったぜ。
「…そういえば、吹雪さんはわりと無難な服装で来たんですね」
吹雪さんは高級そうな、普通にセンスの良い服を着てやって来た。
いや、それで正しいのだが、彼なら良くてタキシード、下手すれば小林〇子系統のコーディネートをして来かねないと心配していたのだが。
「本当は僕の一張羅を着て来たかったんだけど、明日香が絶対に駄目だって言って持ってこれなかったんだよ」
「だって、いくらなんでもアロハシャツは失礼過ぎると思うわよ、兄さん…」
グッジョブ明日香。
吹雪さんのアロハシャツとウクレレへのこだわりは一体どこから来ているのやら…
「…ところで、この飛行機はこのままI2社の近くまで飛んでくれるんですか?」
宇佐美さんが質問してくる。
俺たちが今乗っているのは普通の旅客機ではなく、アニメで遊戯たちが乗っていたI2社所有の特別機だ。…小型機とはいえ、社用車ならぬ社用機をいくつも持っているとはさすがはI2社である。
「ああ、IS社の本社に行くって話だったけどそれは父さんの勘違いだったみたいでね。もっと面白い場所に行くそうだよ」
「面白い場所、ですか…?」
首をかしげる宇佐美さん。
だが事実だ。この世界の人間は勿論、アニメ視聴者だった俺も行き先を想うとワクワクする心を抑えられない。
「会場は…
「凄いです…」
「ここが、あのペガサス城…」
「まさか、ここにまで来られるなんて…」
到着後、父に連れられてペガサス城の廊下を歩いているが、3人はお上りさんのようにキョロキョロと周囲を見回している。まあ、俺もあまり人のことは言えないが。
「ははは、皆興味津々のようだねえ」
「…父さんは、来たことあるんだっけ?」
「1回だけだけどねえ。ここは基本的にI2社の人間か、ペガサス会長と個人的に親交のある人間しか招待されないから」
少し自慢げに笑う父。
「…久方ぶりだな。東郷教授」
「東郷殿。お久しぶりですな」
と、そこへ背後から声がかけられる。
振り返ると、そこにはレの字型のもみあげが特徴的な筋骨隆々の男性と、モノクルを付けた壮年の男性が経っていた。
「…ああ、久しぶりですねえ。ラフェールさんにグリモさん」
…そう、アニメのドーマ編に登場したラフェールとグリモだ。
かつて世界的大企業として君臨したパラディウス社は、もとよりオレイカルコスの神復活までの道具だったこともあり、ダーツにあらゆる権限が集中する超独裁体制にあった。しかしそのダーツが突然失踪してしまったことで大混乱に陥り、彼に代わる指導者がいないことで徐々に崩壊を始めていた。
外部から見れば格好の獲物としか言えない状態だったが、ダーツが帰ってきた時の報復を恐れて企業買収家たちは二の足を踏んでいた。しかし裏事情を知るペガサス会長と海場社長はダーツが永遠の眠りについたことを知っているため積極的に買収攻勢を仕掛け、最終的にパラディウス社はI2社と海馬コーポレーションに吸収された。
オレイカルコスの神から魂を解放されたドーマの三銃士とグリモも、ラフェールとアメルダの家族を死なせたのもヴァロンの孤児院を焼き払ったのもダーツだったことを知ってドーマへの忠誠心は消え失せており、仇であるダーツに義理立てすることもなくI2社からのスカウトに応じた。現在はデュエルの腕とドーマで身に付けたオカルト知識をペガサス会長に貸す一方、普段はI2社の慈善事業に関わって孤児等にデュエルを教える生活を送っている。…まあヴァロンは世界を放浪し、たまに帰ってきては孤児たちに土産話を聞かせるという生活を送っているらしいが。
「ラフェールさんも今回の発掘計画に?」
「ああ。今回はかなり大きな計画になるのでな。私だけではなく、アメルダも参加する予定だ。…その子供たちは、教授の息子とその友人たちか?」
と、ラフェールがこちらに視線を向けてくる。
「はい。お会いできて光栄です、ラフェールさん」
そう言って頭を下げておく。
「私はそう頭を下げられるほどの者ではない。私はI2社に属する、ただのデュエリストに過ぎないのだから」
「いえいえ。あの武藤遊戯を倒したことのあるデュエリストに、敬意を払うなという方が無理ですよ」
「ええっ!それは本当かい!?」
俺の言葉に吹雪さんが食いついてくる。宇佐美さんと明日香も驚きを隠し切れない顔をしている。
「…グリモ、お前が話したのか?」
「よいではありませぬかラフェール様。紛れもない事実なのですから」
咎めるような視線を向けられ、苦笑するグリモ。
「…たしかに私は一度、武藤遊戯に勝利した。だが、まもなく再戦して敗れている。誇示するほどの戦績ではない」
「一度勝っただけでも凄いですよ!是非デュエルの相手をして貰いたいですが…」
「子供らしい、そのような熱意は嫌いではないのだがな…」
闘志を燃やす吹雪さんに、ラフェールが苦笑するように息を吐く。
「だが、私はこれから会議に出席しなければならないのでな。残念だが、その時間はない」
「そうですか…」
がっくりと肩を落とす吹雪さん。
「すまないな。…それはそうと、君たちが来ることは聞いている。会議の間は、グリモにこの決闘者の王国を案内してもらうといい」
「え?いいんですか?」
「構わない。グリモは元々会議に出席しない予定だったからな」
「私はラフェールの供として伺っただけですので、会議中は手空きなのです」
「なら…よろしくお願いします」
そういうことなら、お言葉に甘えさせてもらうとしよう。
「グリモさん、息子たちをお願いしますねえ。ではラフェールさん、行きましょうか」
「ああ」
そろそろ時間らしく、父とラフェールは会議室があるのだろう奥へと消えていった。
「では、私めが案内を…と言いたいところですが。義人殿、少しよろしいですかな?」
「何でしょうか?」
「私とデュエルをしていただきたい。以前お会いした時には、貴殿はまだデッキをお持ちでなかったから諦めましたが、今はそうではないのでしょう?」
「はあ、構いませんが…」
グリモとは以前、I2社に連れて行って貰った際に会ったことがあるだけなのだが…わざわざデュエルを挑まれるようなことをしただろうか?
「結構。ではこちらへ。かつてこの城に集った4人のデュエリスト、そしてペガサス殿が戦ったデュエルリングへと案内してさしあげましょう」
グリモに連れられ、俺と宇佐美さんたち3人はペガサス城の他の部屋へと移動した。
まさかのドーマ組登場。いや、これはちゃんと初期プロットからあった展開なんですよ?(レックス竜屋とかは完全に即興)
期待されていた方がいるかもしれませんが、現時点ではペガサスとデュエルはしません。
世界でも上位に位置するであろう実力のペガサス(とラフェール)相手では明らかに勝ち目がありませんし、レックス竜屋戦のようにタッグで挑むにしてもどう組み合わせるかという問題が発生します(主人公と吹雪さんはロックデッキなので味方まで妨害する恐れアリ、うさみんはもう組んだ、《ゴキボール》とか使ってる幼少期の明日香はデッキが謎すぎる)。というわけで、普通に戦えそうなグリモに出張ってもらいました。
もっともグリモのキャラはあまり覚えていないので、アニメを見返してきました。…《デーモン・テイマー》可愛かった。やはりストレートロングは大正義である(確信)
では次回、『尽きぬ増援!進撃の連合軍』にてお会いしましょう!