遊戯王 精霊と共に歩むデュエリスト   作:ヒャル

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新たな精霊 ヂェミナイ・エルフ

「さてと…」

 

 帰宅してリビングの定位置に座り込むと、懐から《ヂェミナイ・エルフ》のカードを取り出す。

 

「出て来てくれるか?《ヂェミナイ・エルフ》」

 

 カードに向かって語り掛けると、半信半疑といった表情で《ヂェミナイ・エルフ》の精霊が姿を現す。

 

『…あの精霊の少女が話しかけているところを見て、もしやと思いましたが…貴方は精霊を見る力をお持ちなのですか?』

「まぁな。それより実体化してみたらどうだ?ここには俺たちしかいないから、一目を気にする必要はないぞ」

『は?し、しかし…』

「マスター、お茶淹れてきたよ」

 

 困惑していた《ヂェミナイ・エルフ》は、エリアが実体化してティーセットを持ってきたのを見て目を丸くする。

 

「俺は下手な古代人以上に精霊を扱う力があるみたいでな、こうして精霊を実体化させられるんだ。感覚が分からんようなら…」

 

 手に持った《ヂェミナイ・エルフ》に力を注ぎ込む。

 《ヂェミナイ・エルフ》の透けていた身体が徐々に実体を持ち始め…やがて少し浮いていた2人は床の上へと落下した。

 

「…上手くいったか。今ので実体化をする時の感覚は掴めたか?」

「「は、はい。」」

「結構。数枚くらいは実体化させても特に負担にはならないから、家の中では自由に実体化してもらって構わない。ただし外では実体化するな。エリアと違って一目で人間じゃないとバレるからな」

 

 そこまで言って、重要なことを聞いていないことを思い出した。

 

「…そういえば、お前たちは持ち主が俺に変わったことについて何か異論はあるか?前の主人を倒した俺に使われるのが嫌なら、無理に使うつもりはないが…」

 

 あのバカが主人でも精霊としてサポートしていたから、義理堅く忠誠心篤い性格なのかもしれない。

 

「いえ、我々は主人の為に力を振るうのみです。前の主の同意の下、貴方と新たな主従関係が結ばれている以上貴方の為に働くことに異論はありません」

「正直なところ、精霊である我々からしても前の主はどうかと思える方でしたので…弱者からカードをむしり取るような行いに加担せずとも良いならば、こちらの方が良い職場です」

 

 如何なる命令も反発せずに淡々とこなす仕事人タイプか。

 エリアほどフレンドリーな関係にはなれないだろうが、こちらに忠実に仕えてくれるなら問題ない。

 

「そうか。…そういえば、お前たちの名前は?」

 

 《水霊使いエリア》と違い、《ヂェミナイ・エルフ》はカード名に本人の名前が入っていない。

 

「…主がつけていただけませんか?我々は主の望むように振舞い、望むような臣下になる所存です。その証として、主より名前を授かりたいのです」

 

 …名前をつけろと!?

 

「…エリア、何か案はないか?」

「いや、さすがにこれはマスターが自分で考えなきゃダメだと思うよ」

「やっぱりか…」

 

 ネーミングセンスとか、自信無いんだがなぁ…

 

「…『アルフェ』と『ルイフェ』でどうだ?不満なら他のを考えるが」

「なるほど…元より、我々に異論などありません。ありがとうございます、主」

「授かった名前に誓って、主に絶対の忠誠を」

 

 跪いて仰々しく頭を下げる《ヂェミナイ・エルフ》…もといアルフェとルイフェ。

 ちなみに金髪の方がアルフェで、赤毛の方がルイフェだ。

 

「その忠誠を裏切らんことを俺も誓おう。これからよろしく頼むぞ」

 

 滅多なことでは裏切らないだろうが、だからといって雑に扱っていい理由にはならないからな。

 

「…ところで、エリア殿は家事など色々と主のお世話をされているようですが…我々もした方がいいのでしょうか?」

 

 頭を上げたアルフェが、思い出したように訊ねてくる。

 

「…どうするエリア?」

「マスターのお世話は私の趣味みたいなものだからダメっ!」

 

 まあ、予想通りの答えが帰ってくる。

 

「そういうわけで特にデュエル以外で仕事はないが…強いていうなら、有事には実体化して助けてくれるか?」

「と、言いますと?」

「大抵のことはデュエルで片が付くとはいえ、リアリストがいないわけじゃないからな。暴力を用いてくる相手には、俺はこの通り子供の身体だし、エリアも体術は専門外だ。まあ、魔法カードとかで戦えないこともないが…」

 

 俺は精霊を扱う力の延長として、モンスターカード以外のカードも扱うことができる。例えば某おじさんのように、《ファイヤー・ボール》のカードを使って火の玉を飛ばすことが可能だ。

 彼が元チーム・サティスファクションとしてリアルファイト能力の高い不動遊星を圧倒していたことからも、戦闘におけるこの力の有用性がよく分かる。…それでも本田レベル100(プロフェッサー・コブラ)やリアルファイターアモンには勝てる気がしない。

 

「直接戦闘ですか…腕力にはあまり自信がありませんが、身軽さと小刀による戦闘術には自信があります」

「精霊が実体化して応戦するとは相手も考えないでしょうし、奇襲や不意打ちはお任せください」

 

 まあ、そういう事態は極力避けたいのだが…

 

「ところで、《ヂェミナイ・エルフ》はデッキに入れるの?星4で水属性じゃないけど…」

「本気のデッキはともかく、普段使いのデッキに入れる分には問題ないだろ。グラヴィティ・バインド使わないからな」

「…主はあのデッキを普段は使われないのですか?」

 

 驚いたようにルイフェが訊ねてくる。

 

「まあ同級生とかには威力過剰だし、そもそもロックデッキは評判が悪くてな…」

 

 「どうせガチガチのロックデッキだろ」とガチガチのガチデッキ使いが馬鹿にするように言っていたように、ロック系デッキはあまり評価されない。エックスのようなデッキ破壊よりはマシとはいえ、ビートダウンデッキに比べれば不当に低く評価されている気がする。

 

「別にグラヴィティ・バインドと平和の使者あたりで2重ロックして、イナゴとスカラベでガンガン除去しながらステルスバードでライフ削って、それでもめげずにようやく繰り出した切り札をラヴァ・ゴーレムの餌にしつつ波動キャノンでライフを消し飛ばすとかやってるわけじゃないんだが…」

「いや、そこまで容赦ないプレイングをする人っているの…?」

 

 どこぞの自称初心者な店員である。

 

「それに、もっとカードが集まれば新しいデッキも組んでみたいしな。あのデッキはそこらのデュエリストには負けんとはいえ、吹雪さんのデッキの方が強いし」

 

 実際、吹雪さんには未だ勝てたことがない。

 

「我々からすれば主のデッキは非常に凶悪かつ強力だと思うのですが…あの方のデッキはさらに上を行くというのですか?」

「この場合は強弱っていうより相性の問題かな?マスターのデッキは力押しにはとっても強いけど、吹雪さんのデッキが相手だと持ち味を殺されちゃうんだよね」

 

 エリアの言う通り、俺のデッキは吹雪さんのデッキとは非常に相性が悪い。

 デッキの基幹であるアトランティスとグラヴィティ・バインドによるロックビートも、追い剥ぎゴブリンとダイレクトアタッカーによるハンデスコンボも中心となるカード1枚で簡単に破綻させられてしまうのだ。

 GXで獣戦士族デッキを使った際にはアイドルという雰囲気に合わないせいか使わなかったが、あのカイザー亮のライバルと言われていたのが良く分かる。…下手すればグラヴィティ・バインドより性質が悪いんじゃないだろうか?

 

「まあ、その辺はおいおい考えていこう。…俺からは以上だが、エリアからは何かあるか?」

 

 他には特に話しておくことが考え付かなかったので、エリアに水を向ける。

 

「私からは…言うまでもないことだけど、マスターに迷惑はかけないでね。家を散らかしたら自分で片付けること。それと、マスターは力が強いからついふらふら~って抱きしめたくなっちゃうけど、私の許可なくやっちゃダメ!」

 

 最後の奴はエリアが許可不許可を出すことなのだろうか…

 

「…貴方の方がここでは先達ですし、マスターよりの信頼も非常に厚いようですから貴方の言に従うことに否はありません。ただ…」

 

 そこまで言って言葉を区切ると、アルフェはどこからともなくデッキを取り出す。

 

「同じ主に仕える者同士、相互理解を深める必要があると考えます。その為に、私とデュエルしていただけませんか?」

「デュエル?うん。構わないよ」

 

 エリアも当然のようにデッキを取り出す。

 まあ、精霊としてはそこまでおかしいことじゃないだろうからな。

 

「…さすがにデュエルディスクの予備はないから、デュエル用のプレイシートを使ってくれ」

 

 俺は横で観戦させてもらうとしようか。

 




 私もネーミングセンスはないので章の題とかはいつも困ります。
 「アルフェ」「ルイフェ」も即興で考えて、とりあえずこれでいいかと決定しましたがもっと良いものが作れるのではと思いますし(元ネタは北欧神話はアルフヘイム)。
 次はデュエル回になりますので、更新に時間がかかるかもしれません。

 では次回、『精霊対決! エリアvsヂェミナイ・エルフ』にてお会いしましょう!


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