闇のポケモンとシントの少年   作:アドゥラ

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あえて名前を出さなかったりすることが多いです。
そして、シキミさんは隠れた苦労ポジションになりそう。
あと、シロナさんごめんなさい。

ちなみに、DPtの物語は主人公女(ヒカリ)で、殿堂入り後はホウエン地方のコンテストを制覇しに行った。
あとは何故かフィオレ地方(ポケモンレンジャーの舞台)に行ったりしており、出るとしたらしばらく先。

他の主人公についても決めてあります。


第3話・波紋と雷

 サンギ牧場。イッシュの西部にあり、サンギタウンとタチワキシティの間に位置している。主にメリープが放牧されており、ミルクや羊毛が生産されている。ちなみに、メリープの毛は夏になると全て抜け落ちる上に、一週間で元に戻る。生えている時に触ると感電する恐れがあるので、抜け落ちるのを待つとか待たないとか。

 牧場の裏手にある森には野生のメリープや珍しいポケモンも生息している。

 

「ま、まだ買うんですか……」

「当然よ。この際だから実家にも送ろうかしら」

「そんなぁ~」

 

 現在、シロナはシキミから受けた精神的ダメージの仕返しとばかりに色々買い込んでいた。そのためアルは暇になったのかメリープに埋もれていた。

 

「……」

 

 至福の表情である。無言であるが、至福の表情。普通せいでんきの特性もあるため体が痺れるはずなのだが、筋肉がほぐれて気持ちいのだろうか。

 

「グゥレ……」

 

 もっとも、それを面白く無さそうに見つめているのはツララであるが。自分を撫でている時にはしなかったその表情が癇に障るらしい。

 その表情に怯えたのか、メリープたちは食事の時間だと言い訳するかのように牧草に群がり始めた。今にもこおりのつぶて……いや、ぜったいれいどを使いそうだった。いや、グレイシアは使えないのだが、何故かそんなイメージを周囲に与えたのだ。

 

「えっと、ツララ?」

「……レー」

「静かにこおりのつぶて撃つのやめてッ」

 

***

 

「酷い目にあった……」

 

 ツララもふてくされてボールに戻ってしまっている。向こうを見ると、いまだにシロナがシキミに絡んでいる。というか、酔っ払っている……

 そういえばお酒つくってたなー。そんなことを何処か遠いところを見るかのように感じながら、アルは酔いが冷めるまでは近づかないようにしようと森のほうに進んだ。一応、危ないからと無闇に近づかないように言われているのだが、あの状態のシロナに絡んだ方が危険である。シキミが涙目でこっちを見た気がしたが、気のせいなのである。

 

「探検かいしー」

 

 それにアルはまだ7才、色々なことに興味が湧く年頃である。最近はシロナの影響で考古学にも手を出し始めている辺り、色々仕込まれているようだが。

 

「私の酒がのめないんかー!」

「あーっもう! 誰か助けてください!」

 

 森に入る前に聞こえた叫び声には気がつかないフリをするアル。牧場主さんたちも困っているが、下手に関わらずにいたほうが身のためである。

 まえに発掘隊の隊長さんたちが止めようとしてどんな目にあったか……思い出すだけで恐ろしい。

 

***

 

 Rとでかく書かれた服を着たオッサンがいた。Rとでかくかかれた服を着たオッサンがいた……何を考えているか自分でも分からない。思わず二回言ってしまう辺り、さいみんじゅつをかけられたかの様な混乱をしているアルであった。

 オッサンは野生と思われるリオル――シロナが進化後のルカリオを持っているため、進化前のことを教えられたことがある――を数匹のポケモンで攻撃していた。ポケモントレーナーなら、よほどのことが無い限りこんな弱いものいじめみたいな戦い方はしない。ボールの中にも嫌な感じは伝わったのか、ツララが入っているボールが激しく揺れている。

 ツララを出そうとすると、捕獲しようとしたのかオッサンが見たこともない黒い、とても嫌な感じのするモンスターボールをリオルに投げつけた。

 

「危ない!」

 

 アルは思わず前に飛び出して、そのボールを弾く。オッサンはアルに気がついていなかったのか驚いていた。

 

「んな!? 何してんだこのガキ!!」

「……それはこっちのセリフだよオッサン」

「んだとぉ?! コレでも俺は18だ!!」

 

 あ、ありえない……思わずそうつぶやいてしまうアルだった。だって、え、え…………

 

「ええい、やっちまえお前ら!!」

「応戦してくれツララ!」

 

 相手はグラエナが一匹にポチエナが二匹。ツララだけじゃキツイ……シロナさんを呼びたいけども…………

 アルの頭の中には酔っ払いと絡まれるメガネが浮かんでいた。うん、無理だ。

 

「バリアー!」

「グレッ」

 

 まずは相手をよく観察すること……落ち着いて対処できなければ待っているのは敗北のみ。グラエナたちはツララを取り囲むように配置している。リーダー格のグラエナ。その動きを補助するかのように位置取っているポチエナ。おそらくメインとなる一体を強化するタイプの戦術、もしくはポチエナ達がでんこうせっか等の技でコチラをかく乱した上でグラエナが強力な技をあてに来るタイプ。セオリーどうりならこの辺りが来る……

 アルの考えはほとんど当たっていた。男は相手が子供だからと舐めてかかっているのだ。この状況下、セオリー通りではないほうが勝率が低いので間違いではない。だが、セオリーだからこそ予測された場合、簡単に対策を練られる。アルはシンオウチャンピオンであるシロナに基礎を叩き込まれている。彼女の経験上、一対多のやり方も必要な時があると、立ち回り方を少しだけだが教えていた。

 

「めざめるパワーを上空に!」

 

 まずは下準備。バリアーで防御を強化している間にリオルも回収しないといけない。特に、次の攻撃は巻き込みかねない。傷だらけのリオルじゃ危ない。アルは走ってリオルを抱えに行く。

 一瞬、目を向けていた男とポケモンたち。すぐにコチラを向いたため次の指示をツララに出す。

 

「打ち上げたアレにあられ!」

 

 ポチエナたちはさせまいと、でんこうせっかを使うがバリアーに阻まれて届かない。グラエナも突進の体勢に入っている。だが、あられを発生させるエネルギー弾は発射された。先に打ち上げためざめるパワーの火炎球。あられのエネルギーが加わり辺りが霧に包まれる。

 

「おわっ!? な、なんだ!?」

「今のうちに……」

 

***

 

 アルがやったは単純明快。単なる目くらまし技である。あの状況では勝てる可能性は低い。対策はあるが、必ず勝てるわけではないのだ。

 とにかく、今は逃げるしかない。

 

「……シロナさんに連絡」

 

 をとろうにも、酔ってるし……

 さすがにどうしようとアルは悩んでいた。今現在彼らは大きな木の洞の中にいた。ポケモン用の傷薬は少ししか持ってきていないためリオルも応急処置しかできていない。

 

「リオ……」

「大丈夫、絶対助けるから」

 

 安心させるようにリオルの頭を撫でる。とりあえず、ちょうどいいベッドがあったから寝かせて…………ベッド?

 

「メー」

「め、メリープ!?」

 

 首輪がついていないところを見ると、野生のようだ。何故かは知らないがメリープもたまたま洞の中にいたらしい。というか、のんきに草を食べている。

 思いのほか慌てていたからメリープの毛をベッドにしてしまったが、痺れたりは……していない。メリープも電気を出す気配がなく、のんきなものだ。まあ、さすがに乗せたままはかわいそうだからすぐにリオルをおろしたが……メリープは何処からか取り出したオレンの実をリオルに食べさせようとしている。いや、のんきというか大物?

 

「メリッ」

「グレ?」

「えっと、私の差し出したものが食べれないって言うの?」

「メリ、メリメリップ」

「いや……コイツ怪我しているだけだから」

「メリー」

「……ああうん、キミがマイペースなのは分かったから」

 

 別にポケモンと会話できるわけではないが、このメリープのマイペースっぷりになんとなく何を言いたいのか分かってしまったのである。

 というか本当にとくせいがせいでんきではなくマイペースではないのだろうか? いや、メリープにそんなとくせいの個体はいないが。

 

「とにかく、リオルの治療をしないと……」

 

 食べやすいようにオレンの実を小さく千切って口に運ぶ。ゆっくりと咀嚼を手伝い、体の中に入れる。何度か繰り返すうちに呼吸も楽になったようだ。

 

「大丈夫だよ、僕達がついているから」

 

 いつまでもここにいるわけにはいかないし、早く牧場に戻らないと。そう考えていた矢先、黒い影が洞の外にいた。

 

「エナッ!」

「ッ、見つかった!?」

 

 ポチエナが探しにきていたのだ。うかつだった。嗅覚が優れているのを忘れていた。アルがいくらバトルの基本を実践できたとしてもまだ7才。ポケモン固有の能力や優れた部分など、幅広い知識は身についていない。汎用性の高い戦術ぐらいしか使えないのだ。むしろ今まで見つからなかったのは運がよかったとしか言いようが無い。

 

「とにかく逃げるよ!」

「おおっと、そうはいかねえぜ」

 

 男が目の前に立ちはだかる。グラエナたちも勢ぞろいだ。

 

「なかなか運がいい奴だなラッキーボーイ。だが、お遊びはここまでだ……おとなしくそのリオルを渡してもらおう」

「嫌だッ!」

「なら、力ずくだぁッ!」

「たのむツララ!!」

「グレッ!」

 

 前に出るツララ、だがそれと同時にメリープも前に出る。

 

「……メェェ」

 

 静かに怒るメリープ。メリープとリオル、種族は違えど同郷の者を傷つけられて怒っているのかもしれない。メリープはアルを一度見ると前を向く。ツララの横に立ち体には電気を纏い始めた。いや、これは充電していると言ってもいいだろう。

 

「一緒に戦ってくれるの?」

「メー!」

「うん、分かったよ……いくよツララ、メリープ!!」

 

 グラエナたちが飛び出す。でんこうせっか、さすがに三体同時に仕掛けてきた。だが、こんどはメリープがいる。マイペースで何処かつかみどころがない気がするが、リオルにオレンの実を食べさせようとしたり優しい子だ。その後姿をみてアルは必ず勝つと意気込む。

 

「ツララ、こおりのつぶて」

 

 速度の速いこおりのつぶて。キャンセルとまでいかなくても一瞬だけグラエナたちはひるんだ。

 

「メリープ、お願い!」

「メリメリメリメリ!!」

 

 電気を体から大量に放出する。先ほどの充電された分を引いてもコレは……

 

「まさか、10まんボルト!?」

「メリープの段階でこんな技を!?」

 

 体力の低いポチエナたちはこの技でノックダウン、グラエナもかなりのダメージを負ったかに見えたが……

 

「グルゥウウウウ」

「エナァ」

「ナァアア」

 

 傷付いても、三匹は立ち上がる。どうしてそんなになっても……アルは何故か悲しくなってきた。モンスターボールは絆の証。シロナはそう教えてくれた。なのにあの黒いボールからはそれを感じられない。まるで、無理やりにポケモンを戦いの道具にしているかのようだった。

 

「酷いよ……ポケモンをなんだと思っているんだ!!」

「そんなの、人間の道具に決まっているだろうが」

「違う……そんなのは絶対に間違っている!!」

「なんとでも言え……グラエナ、“ダークブレイク”」

「――え」

 

 一瞬、何が起こったのかわからなかった。黒い霧みたいのがグラエナの体に見えたと思ったら一気に力が増し、メリープに向かって強力な突撃をかました。地面タイプでもないのに、メリープにはその攻撃が効果抜群だったようだ、攻撃を喰らっていなかったのに一撃でノックアウトさせられた。

 

「なんだよ……なんだよそのポケモンたち…………その黒いのはなんだよ」

「お前、見えるのか? そういや、たまーに見える人間がいるって聞いたことがあるな。コイツはな、ダークポケモン。つっても開発されたデータを基に、ウチの組織が改良をしたものだ。ちょうど似たような研究もやっていたからな」

「……」

「このダークボールで捕まえたポケモンは例外なく戦闘マシーンに変貌する。まだ試作段階だからオーラを見ることができるというルカリオ、もしくはリオルの強力な個体を探してきてみれば邪魔しやがって……いつになく熱くなっちまったし、余計なことを言っちまったな。とにかくここで消えてくれや」

 

 アルは男の声よりも、目の前のポケモンたちを見ていた。黒い霧――いや、黒いオーラ。この前のコイルたちもコレと同じような……

 

「タチワキシティのコイルたちもお前等が……」

「ってことは、実験を邪魔したのは坊主か。まったく、邪魔ばっかりしやが――」

「ツララ、めざめるパワー」

「グレッ」

 

 男の顔のすぐ横を火炎球が通り抜ける。

 アルもツララも、ただ静かに佇むだけだった。ただ、その目はまっすぐに男を見ていた。

 

「……何の真似だ」

「ゆるせない。お前みたいな奴は許せない。ポケモンは道具じゃない。絶対に、許さない。んでもって、そのグラエナたちも助け出す!!」

「どうやるってんだ?」

 

 アルはうつむく……考えろ。状況は悪い。作戦は…………

 

「グレッ」

「ああ……分かってるよツララ。信じている。いや、一緒に戦おう」

 

 アルから白い光が溢れてくる。その光がモンスターボールに伝わり、グレイシアへと伝わっていく。

 

「な、その光はまさか……資料にあったリライブ!?」

「僕達は絶対にお前を許さない!!」

 




霧を発生させた方法はあまりつっこまないでください。

ダークボールは劇場版セレビィの方を参考にしています。
なので、ゲームに出ていた方は出てきません。

そして、次回に続く。
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