闇のポケモンとシントの少年   作:アドゥラ

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今回、とあるキャラが出てきますが……アニメにも出ていませんし、ゲームでも詳しいことは分からないのでキャラがアレなことになっていると思うのでご了承ください。

バトルに重点を置いてみましたが、いかがでしょうか。
感想をいただけますとうれしいです。



バースデー編
第6話・若葉な人


 空港に到着したアルたち。シロナが手続きをしている最中、暇だなぁと呟きながらロビーでアルとツララは天井を眺めていた。天井の両端が開いており、鳥ポケモンが時折飛んできてそれなりに眺め続けられる光景だった。

 

「あ、色違い……違うか」

 

 珍しいという色違いのポケモン――飛んでいたのはムックル――を見たかと思ったら、光の当たり加減でそう見えただけだった。時刻は午後5時、夕日のせいだったようである。

 

「……シロナさん遅いなぁ」

「グゥレ……」

 

 ツララも眠くなってきたのかウトウトし始めている。

 

「ボールに戻る?」

「グウレ」

 

 戻って休んでもらおうとアルはウォレットチェーンに縮小してつけていたボールを取り出すが、ツララは首を振って断った。

 

「なら、もうちょっと待とうか」

「グレ」

 

 手続きに手間取っているのか時間が過ぎていく。ちょっと遅すぎるかな。と、アルがそう思い探しに行こうと席を立ったが何故か妙な視線を感じて後ろを振り向いた。

 視線を向けていたのは10代後半と思われる女性だった。薄茶色のロングヘアで白い帽子をかぶっている。手に持っているのは旧型のポケモン図鑑だった。

 

「んー……」

「えっと、何か用ですか?」

「……さぁ?」

 

 なんというか、怪しい。怪しすぎる。というかなんでポケモン図鑑を自分に向けるのだろうとアルは困惑していた。

 

「あのぉそのポケモン図鑑を向けるのやめてくれますか?」

「ふふふ、これはポケモン図鑑じゃないよ」

「えー?」

 

 どうみても旧型だがポケモン図鑑である。

 

「これはね、私がポケモン図鑑を改造して作ったミュウ探知機だよ!! 科学の力ってスゲー!!」

「……」

 

 アルの中では怪しい人物認定決定。どれくらい怪しいかというと、噂に聞く『きんのたまおじさん』ぐらいに。

 というより自分で言うなと指摘したい衝動を抑えることに専念しよう。なんか不毛な気がする。

 

「説明しよう!」

 

 いや、聞きたく無いですと拒否しようにも聞いてくれない。アルは少し涙目だった。

 

「この探知機は様々なポケモンの遺伝子データを組み込むことによりミュウを探知するという機能を擬似的にだが可能にしているの! 全てのポケモンの遺伝子を持つといわれているミュウだからこそこの方法で探知できると私は推測しているわ! もっとも、現在の機能では限界もあるし、そもそも全ての遺伝子というより全てのポケモンに通じる遺伝子を持っているんじゃないかというのが学会の意見なんだよね。アルセウスっていう神様みたいなポケモンがいるって言う意見もあるぐらいだし、ポケモンの祖先の研究はまだ解明されていないことだらけ。そのくせ化石ポケモンの研究ははかどっているし……おおっと、話がずれたわね。まあ現在300種類ぐらいの遺伝子情報が組み込まれていて、その共通点などをうまく絞ってミュウを探知していたんだけど……なんであなたに反応しているのかしらね?」

「人に反応している時点でポンコツだと思うんですけど」

「…………ふふふ、私を怒らせると怖いわよ」

「え、ちょ……人さらいー!?」

 

 

「あら、アルたちは?」

 

 アルが何処かへ引きずられた数分後、シロナたちはあるのいた場所に来たのだが……タイミングが悪いとしか言いようがなかった。

 

***

 

「勝負は一対一。どちらかが戦闘不能になった時点で決着よ」

 

 どうしてこうなったと頭を抱えたい気分のアル。『私の発明を馬鹿にしたなぁ!』と怒る女性を何とかなだめようとするも、結局バトルで決着をつけるという謎の展開に頭をか硬い気分になったのだ。大事というか、二回言いたい気分なので二回言った。

 

「さあ、行きなさいトロピウス!!」

「いってツララ……ボクがグレイシアを持っているのは分かっているのにトロピウスですか?」

「ふふふ、子供相手ならこの程度のハンデで十分よ」

 

 お、大人気ない……

 アルは素直にそう思ったが口には出さなかった。

 

「トロピウス、かげぶんしん!」

「ツララ、バリアーを張れ!!」

 

 女性の指示を受け、トロピウスがツララを囲むようにかげぶんしんをする。

 

「エアスラッシュ!」

 

 周りのトロピウスが羽をたたみ、攻撃の姿勢に入る。本体は一つだが、かなり完成度の高いかげぶんしんだった。アルにもツララにも本体を見分ける術がない。

 

「あられを撃ってくれ!」

「グレッ」

 

 指示により、エネルギーの球を上に撃ち出すツララ。一旦、自分の戦いやすいフィールドにしてからの方がやりやすい。あられ状態になったフィールド。ゆきがくれのとくせいもあり、なんとかツララは攻撃を回避していた。

 

(……エアスラッシュになんであんなに時間がかかるんだろう?)

 

 普通、エアスラッシュは出すまでが速い技だ。あられを使うことのできる暇があるのはおかしい。

 

「かげ……かげぶんしんなのに影がある?」

「あら、鋭いわね」

 

 そう、通常は本体を除いて影が見えなくなるかげぶんしん。完成度が高いとは思っていたが……

 

「チャンピオンクラスのトレーナー?」

「これでも、カントーとオレンジ諸島では殿堂入りした事もあるんだよね。だからトロピウスぐらいでこっちはちょうどいいの」

「……」

 

 アルはうつむき始めた。女性にはそれが諦めたようにも見えたのだが……

 

「…………なら、型にはまっていちゃだめだよね」

「へ?」

 

 アルは一言、女性には理解できない何かを言った。

 

「ツララ、もう一度バリアー!」

「グレッ」

 

 再びバリアーの重ねがけ。そして、普通は考えられないような方法に出た。

 

「れいとうビームを地面に向かって撃て!!」

 

 その指示通り、地面に向かってれいとうビームを放ったツララ。その威力で一気に上へと飛んだ。ちなみに、シキミの別荘で彼女からアドバイスを貰い、こおりのつぶては忘れさせてれいとうビームを覚えさせている。技マシンを借りていたのだ。

 

「ええ!?」

「めざめるパワー・散弾!!」

 

 複数個放つことも可能なめざめるパワー。一つ辺りの威力を小さくすることで散弾のように発射する技能。コツを掴めば簡単だが、普通の子供はその発想にたどり着かないと女性は目を白黒させていた。

 

「……分身が全部消えちゃったみたいだね。おまけに炎タイプ……厄介な戦法を取るね」

 

 女性は何かを考えるしぐさをとり、真っ直ぐアルの方を向いた。

 

「なら、ちょっと本気出すよ……にほんばれ!!」

「ロッ!!」

 

 トロピウスが咆哮を上げる。それに答えるかのごとくあたりに強い日差しが降り注ぎ始めた。

 

「あられが消された!?」

「まだまだ!! かげぶんしん」

 

 先ほどの倍以上。円形に取り囲むのではなく、周囲にドーム状の配置でツララを取り囲む。

 

「回転しながらめざめるパワー!!」

「グレッ」

 

 体を回転させめざめるパワーを打ち出す。だが、一つの分身に当たる度にその分身が二つに分かれ、二つの分身となって現れる。

 

「ま、まだふえるのか!? なら、もう一度あられ!」

「グゥレェ!!」

 

 力をこめて再びあられを使おうとするも、効果は現れない。

 

「な、なんで!?」

「ああ、それはね……こういうことよ」

 

 トロピウスの動きが少しだけ遅くなる。すると、エアスラッシュによりあられの発動前の球が滅多切りにされていた。

 

「さーて、そろそろ終わらせるわよ。なんせ私のトロピウスのとくせいはサンパワー。時間かけすぎると体力が減るからね。いきなさい、ソーラービーム」

 

 トロピウスの口に光が集まっていく。この状況、一瞬でも判断が遅れれば終わる。アルは何か対策はないか考える。状況を打破する一手、めざめるパワー……火力不足。バリアー……物理技以外には効果が期待できない。あられ……いや、ゆきがくれに期待するのは博打過ぎる。なにより、速度が足りない。なら、どうすればいい?

 まけたくない。チャンピオンクラス。勝てないのが当然だ、でも諦めたくないのだ。勝ちたいのだ。なら、方法は一つ。この状況で逆転の一手を見つけ出せ。急げ、時間がない。

 残った技はれいとうビームだ。普通に撃ち合っても負ける。なら、どうすればいい。今、もっとも欲しいのは、ソーラービームを防げる盾だ……ああ、ならできるじゃないか。そうだ。方法があった。

 

 アルの目線の先には先ほど、れいとうビームを地面に撃った時にできていた氷塊があった。それは光を反射して輝いているのだった。

 

***

 

 アルが作戦を考えている時間、それは数秒あるかないか程度だった。だが、その時間で今できる範囲で一番先頭続行できる可能性の高い方法、それは……

 

「ツララ! れいとうビームを斜め下に撃て!!」

「グレッ」

「無駄よ、ソーラービーム発射!!」

「トロォォォ!!」

 

 光がトロピウスの口からあふれ出る。サンパワーの力も加わり、とてつもない威力でソーラービームは発射された。そして、ツララに直撃する……かと思われた。

 

「ウソでしょ?」

 

 ツララの立っていたハズの少し前、そこで光を受けた何かが爆発した。いや、ソーラービームをいくつもの光の筋に分断させたというべきか。

 そこにあったのは氷。瞬時に作られた氷の盾だ。この内部でソーラービームが色々な角度に反射されたのだろう。もっとも、すぐに融けてしまったようだが。

 これこそ、アルの立てた作戦。氷の盾を作ることで、ソーラービームの威力を弱めようと考えたのだ。うまく成功し、ツララ自身も反動を使い後ろに退避。

 

「凄いわね……でも、大分体力は少なくなったみたいね」

 

 女性の言うとおり、ツララは既にバテている。アルも集中力が切れ始めていた。無理もない。一時的に体感時間を引き延ばすという荒業を無意識にだが小さいその身で行ってしまっているのだ。

 

「まだ、日差しは強いまま……これでとどめ――」

「させると思う?」

「――え?」

 

 何故か女性の後ろにシロナが立っていた。

 

 

***

 

「まったく貴女はどうしてそういつもいつも暴走するのよ」

「す、スイマセン……」

「オーキド博士には連絡しておきますからね。ちょうどシンオウにいらっしゃると聞いていますし」

「あああ!? やめてくださいシロナさん!!」

「リーフ、いい加減にしないとナナカマド博士も呼びますよ」

「や、やめて下さい!!」

「……ええ、分かったわ。呼ぶのはやめます」

「あ、ありがとうございます」

「既にあなたの後ろにいるんですもの」

「リーフ君、話は後で聞かせてもらおう」

「若いのはいい事なのじゃが……流石に7才の少年相手に大人気なさすぎじゃのう」

「お、お許しをぉぉぉぉ」

 

 実は、シロナは手続きの最中に博士達と出くわし、折角だからと一緒に行動をし始めたのだが、有名人が集まっていたせいか、色々と時間がかかってしまった。

 アルを探しているうちに、近くのバトル場でバトルをしている人たちがいると聞き、もしかしてと思いやってきた次第だ。

 ちなみに、疲れたのかアルは既にまぶたが落ちようとしていた。

 

「…………次は勝つ」

 

 結局一歩届かなかったとか、シロナの知り合いだったのかとか色々言いたいことはあるが、最終的に眠気に負けるのだった。

 

「メー」

 

 ツララは既にボールに戻っていたが、ウールが自分からボールを飛び出し、アルを上に乗せた。

 

「……メー」

 

 ボールの中から感じたバトルの光景。ウール自身の目には炎が燃えていた。ツララだけじゃなく、自分も戦いたいと。

 熱血系女子、メリープのウールが活躍する日も近いかも知れない。

 

「お仕置きはやめてェェェッ」

 

 リーフの叫び声がなければ感動的だったかもしれない光景である。

 




というわけで、FRLG女主人公のリーフでした。
ゲーム上でも仮にですが、この名前がデフォっぽいようです。

今現在、高校生ぐらいという設定です。レッドも同様。

レッドの数年後に殿堂入りし、紆余曲折あった後オーキド博士の助手として働いているという設定。

ミュウを追いかけており、暴走すると本文のように周りを巻き込む人というイメージで書いています。

詳しい設定はまた本編での活躍次第で明かすと思います。
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