短編及び中編集   作:ADONIS+

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TA-ユニット

シドゥリ暦2120年

 

 ブリタニア帝国軍の歩兵は、軍服を着てレーザーライフルなどで武装してるだけという者が大半である。というのもブリタニア帝国は宇宙艦隊や機動兵器に関してはかなり力を入れていたが、地上兵力、特に歩兵は軽視していたからだ。

 

 まあ、それもしかたないだろう。ブリタニア帝国では普通に考えれば歩兵による陸戦など考えられないからだ。そもそも陸戦ならば自走砲、戦車、更には航空機ヘリなどの攻撃で事足りる為に歩兵を強化する必要が薄かった。これには監察軍設立以降にブリタニア軍のドクトリンが変更された事が大きく影響していた。

 

 以前は戦争が起こった場合、艦隊戦で敵艦隊を殲滅、そして艦隊や航空戦力等で敵地上戦力を叩いてから地上軍を送り歩兵で敵地を占領するというドクトリンだったが、ブリタニア軍はこれを改めて初っ端から敵勢力の母星もしくは星域を大量破壊兵器で一気に殲滅するという有無を言わさぬ問答無用な方針になったのだ。

 

 つまり、宣戦布告(宣戦布告を受ける)→敵戦力を殲滅する→占領して降伏させる、というプロセスを短縮して敵だと認識したら問答無用で大量破壊兵器で殲滅という形になったのだ。

 

 こうなった理由は、そもそもブリタニア帝国は建国してからというもの鎖国体制をとっており、唯一国交をもっていた地球にしても散々支援してきたにもかかわらず、時空管理局崩壊後は掌を返して反ブリタニア勢力になったので、ブリタニア人からすれば地球人に散々支援してやったのに恩を仇で返された形になってしまったからだ。

 

 この結果、再び鎖国体制に入ったブリタニア帝国は異世界人に対して根強い不信感を持つようになり、彼らに対して無関心というか容赦のなさが発揮されて異世界人を軽視するようになった。異世界人が何億人死のうがブリタニア人一人の命が助かるならば安い物と思うようになり、それがブリタニア帝国軍のドクトリン変更に繋がる事になった。

 

 また、ロストロギアのように宇宙そのものを滅ぼしかねない代物が現存していることもあり、先手を打って対処しないとブリタニアが滅ぼされかねないという危機感と、わざわざ敵を降伏占領させる意味がないということも大きかった。要は先手必勝、やられる前にやれというわけである。

 

 言うまでもないが、ブリタニア帝国は宇宙開発が進んでいるので領土と資源が豊富にあり、市場も一国で十分なので異世界の市場などいらず、奴隷などの労働力に至ってはロボットがあるから尚更いらない。こうなると戦争して征服しても得られる利益など二束三文にもならない。

 

 通常、戦争する際には領土、資源、市場などを求める物であるが、何もいらないとなると占領する価値もなくなる。更に地球のように人道主義はないのでブリタニアの国防と国益の為なら異世界人がどれだけ死のうが知った事ではないので、恐ろしい事に無差別攻撃は当たり前だったりする。

 

 そんなブリタニア帝国軍だけに、通常ならば他国が戦争になった際に敵国がゲリラ戦などの不正規戦を仕掛けた際にどう対処するかと対応に苦慮する場合でも、そもそも問答無用で殲滅するからゲリラ戦自体発生しないのだ(勿論、ゲリラ、便衣兵、レジスタンスなどに対する対応も含めての殲滅であった)。

 

 こう書くとまるでブリタニア軍がゼントラーディみたいな文明の破壊者みたいに見えるが、上記の通りブリタニア帝国によっては利益を求めて戦争したりしないので、相手国が問題を起こさない限り問題にならないのだ。ようするに触らぬ神に祟りなしと関わらなければ問題ないが、下手に喧嘩を売るととんでもない事になるのがブリタニア帝国なのだ。

 

 こうなるとブリタニア帝国では歩兵の価値が低くなるのは当然で、機動隊ですらロボット兵器に乗っているというのに、軍の歩兵はお寒い装備で基地の警備と災害救助が主な仕事だったりする。つまりどう贔屓目に見ても戦いの花形ではなく日陰者で、そういう背景からこの時代にいたるまで歩兵の装備がチャチだった。

 

 そんな歩兵に愛の手をというわけではないが、監察軍ではこれまで冷遇されていた歩兵の装備見直しを開始した。といっても、監察軍にとってはただの実績作りにすぎず、別に歩兵に同情したわけではないのは言うまでもないだろう。

 

 

 

 それはともかく、監察軍の技術者たちが歩兵用の装備として候補に選んだのがISとCR-ユニットだった。これらはいずれもただの人間を驚異的な力を発揮させる人間大のパワードスーツのような代物だ。

 

 そもそも、歩兵と言うのはどうしても人間のスペックがもろに出る為に、鳥よりも早く空を飛ぶ、チーター以上のスピードで走る、ゴリラ以上の力を発揮する、などという人間の限界を超えることはできない。それならば機械で歩兵の力を引き上げて超人にしてしまえばいいという発想である。

 

 勿論、ISやCR-ユニットにしても欠点があるが、それは監察軍の技術で改良すればいいのだ。まず、ISの女性しか乗れないという点は涼宮ハルヒが独自開発したISのデータを流用すれば問題なく解決できる(ハルヒ製のISを男性が使えないのは欠陥ではなく、男性が乗れないように意図的にリミッターがかけられていただけであったから、それをオミットすれば問題なかった)。

 

 次にCR-ユニットは使用適性を持つ者はごく少数で、かつユニット使用のためには頭部に脳波を増幅させるための機械を埋め込まないといけない。これは【機動戦艦ナデシコ】のように人体に打ち込んだ専用ナノマシンで補助脳を形成することで、適性の壁を緩和しつつ(余程才能がない限り誰でも使用できる)、この補助脳で脳波を増幅させればよかった。

 

 こうして開発したTA-ユニット(タクティカル・アーマー・ユニット)はようするにISとCR-ユニットの良いとこ取りをして更に改良発展させた歩兵用装備だ。このTA-ユニットは通常は待機形態であるが、必要時に瞬時に展開されるという代物となっていた。

 

 このTA-ユニットは性能は凄まじく、これを装備した歩兵は高ランクの魔導師ですら圧倒出来た。というのも随意領域(テリトリー)とシールドバリアーによってバインドどころか砲撃魔法すら通用せず、おまけに超音速で格闘戦ができるという驚異的な機動性と運動性を誇っていたからだ(魔導師の場合、高速移動魔法を使用しても音速は超えられないし、ましてや超音速の格闘戦など論外であった)。

 

 それだけではなく、人を選ばず、場所を選ばず、時を選ばずといういい兵器の条件を揃えた代物であった為に重宝されることになり、この装備の登場にブリタニア帝国の歩兵が大喜びした。

 

 しかし、待機形態になる機能がある事から、もし流出した場合はテロなどに利用される恐れがあり、その危険性はそこいらの銃器とは比較にならず、他の通常兵器よりも厳しく管理されるのであった。




解説

■ロストロギア
『魔法少女リリカルなのは』の世界で登場する次元世界でかつて存在した文明が残した遺産。ジュエルシードや闇の書のように世界そのもの滅ぼしかねない危険な代物も存在している。

■IS
『IS 〈インフィニット・ストラトス〉』で登場する飛行パワードスーツ。本来ならば宇宙空用作業機械だったが、軍事転用されて各国の主力となっている。

■CR-ユニット
『デート・ア・ライブ』で現代の魔術師(ウィザード)が扱う装備。戦術顕現装置搭載ユニット(コンバット・リアライザユニット)の略。顕現装置を戦術的に運用するための装備の総称。

■涼宮ハルヒ
『トリッパー列伝 涼宮ハルヒ』に登場したトリッパー。『短編及び中編集 大天災がいない世界』ではオリジナルのISを開発して地球各国にばら撒いている。



あとがき

 ブリタニア帝国軍のドクトリンが恐ろしい事になっていますが、『ブリタニア帝国記 If編 ゲート・オブ・ブリタニア』でも、こうした事情もあってブリタニア帝国は過激な行動をしています。まあ、異世界人の命などどうでもいい上に征服略奪する価値すらないと容赦なくなりますよね(汗)。
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