シドゥリ暦2300年
美食とは、おいしい物ばかりを食べること、また贅沢(ぜいたく)な食べ物であるが、ブリタニア帝国では更なる追及が行われていた。
それは美食の食材となる動植物を、グルメ細胞を地殻に埋め込むなどの特殊なテラフォーミングを終えた惑星で繁殖させて独自の生態系を確立させる事で、『エデンの檻』のライカ島のように動植物のDNAを収集して製造工場にて動植物を作り上げるというものであった。
これらの計画は監察軍が主導しており、本部と二つの支部、つまり『魔法少女リリカルなのは』のブリタニア帝国、『新世紀エヴァンゲリオン』のアトランティス帝国、『∀ガンダム』の大日本帝国の三ヵ国で進められていた。
まあ、ブリタニア帝国はともかく、アトランティス帝国と大日本帝国は本格的な宇宙開発をしていなかったので正確には領土内ではなく将来的に領土となるだろう惑星でこの事業計画を推進している状態だったが、三ヵ国で随時遂行されていたのだった。
この計画は『トリコ』の世界に転生したトリッパーがそのグルメ食材に興味を持ち、監察軍がIGO(国際グルメ機構)がやっているビオトープ兼超巨大養殖場兼実験場を惑星規模で実現する事を提案した事が切っ掛けとなっていた。
そのトリッパーは個人的に偽ダイオラマ魔法球(監察軍がネギま世界のダイオラマ魔法球を科学技術で再現したアイテム)をビオトープ兼超巨大養殖場兼実験場にしようとしたが、単独で実現するにはあまりの困難であった事から彼女は監察軍を巻き込むことにしたのだ。
まあ、彼女はこの計画に便乗して自分の保有する偽ダイオラマ魔法球をビオトープ兼超巨大養殖場兼実験場にすることに成功して、グルメ食材の確保に成功していたが、それは余談であろう。
監察軍がこの計画に乗ったのはやはり下位世界の技術収集に陰りが見えていたからだ。かつては様々な下位世界から知識や技術を収集してそれの解析応用によってブリタニア帝国に多大な成果を還元していたが、この時期になると得る物がほどんどなくなっていた。
それだけブリタニア帝国が発展しすぎたといえるのだろうが、組織としてはまともな成果がないのは好ましくないので、監察軍は最近では文化的な調査活動を重視していたのだったが、今回の下位世界でも屈指の飽食を誇るトリコ世界の食文化に目を付けた。それは彼らにしても久々の大きな成果になると判断されたのだ。
こうして件のトリッパーがもたらしたトリコ世界の情報(動植物の飼育、捕獲、調理などのノウハウ)と、捕獲した動植物のDNAサンプルによって計画が開始されて、ブリタニア帝国では惑星ウィーンがビオトープ兼超巨大養殖場兼実験場となり、後にアトランティスと日本にも同様の惑星を用意することになった。
これらの惑星ではトリコ世界のグルメ食材を中心として生態系が形勢されているが、それだけでは生態系のバランスが悪いためにその穴埋めには当たり障りのない動植物を養殖している。
勿論、トリコ世界の動植物でもトロルコングのようなグルメ食材として使い物にならないのに捕獲レベルが高い動物は養殖されていない。あくまでグルメ食材の確保が目的なのだから食材にならない猛獣など不要なのだ。
こうして誕生した美食の惑星ウィーン産のグルメ食材は、ブリタニア帝国貴族の間で大流行することになり、貴族社会の食文化に多大な影響を与えていくようになる。
また、これらのグルメ食材は高級食品として後に三ヵ国に広く流通することになるが、こうしたグルメ食材が高値で流通するようになると、惑星ウィーンでは密猟者が徘徊するようになり、ブリタニア帝国はその取り締まりに苦労することになるのであった。
解説
■ウィーン
元ネタはオーストリアの首都。ドイツ語圏の中では美食の街と知られ、特にザッハートルテに代表する様なスイーツのレベルの高さは世界屈指とも言える。