短編及び中編集   作:ADONIS+

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監察軍の三賢者

シドゥリ暦2010年

 

 涼宮ハルヒ、アズライト・ジュエル、佐天令子。この三名は監察軍でも極めて珍しい人間の科学者であった。

 

 監察軍やブリタニア帝国では科学者という存在は絶滅寸前に陥っていた。それは技術の発達が人間の能力を超えてしまったからだ。確かに科学には限界はないが、人間の知性には限界があった。

 

 ブリタニアでも黎明期には科学は大いに研究されていた。多くの人間が科学者となりベルカに追いつけ追い越せをモットーに日夜頑張っており、ブリタニアの文明を大きく向上された。この時期は科学者の全盛期ともいえただろう。

 

 しかし、三千世界監察軍が発足して、異世界の知識を収集して科学が恐竜的進化を遂げる過程で多くの科学者が振り落とされていった。

 

 あまりにも発達しすぎた科学は、科学者の能力ではそれを理解するだけで人生の大半を使い果たしてしまう。その為、科学技術における新たなる発見はなくなり、役に立たなくなった。

 

 新しい発見ができない科学者など存在価値はない。変わりに台頭してきたのがスーパーコンピュータなどの人工知性体であった。それらは人間などもろともしない能力で成果を出して、人間である科学者の地位を奪っていった。

 

 皮肉にも彼らブリタニア人科学者たちが必死に発展させた科学によって、ブリタニア人科学者が技術開発から追いやられる羽目になった。

 

 このような状況で科学者としてやっていくには一流程度では問題外で、チートな能力がなければいけなかった。具体的には知識・開発系のチート能力を持つトリッパーしか科学者になれないわけである。

 

 しかし、そこは数多の下位世界からトリッパーが終結している監察軍。かつてはそれなりの数の科学者が存在しており、技術部で活躍していた。

 

 しかし、シドゥリ暦2000年に発生した第一次ベヅァー戦争で監察軍は科学者の大半を失い、現在では彼女たち三人しか科学者は現存していない。そして何時しか彼女たちは監察軍の三賢者と呼ばれるようになった。

 

 そんな彼女たちは、技術部の議題を話し合っていた。

 

 

「やはりメサイアはもう使えないよ。いい加減可変戦闘機の新型を開発しようよ」

「確かにそうだね」

 アズライトのぼやきにハルヒは頷く。

 議題となった可変戦闘機メサイアは、1500年近く前に開発されたブリタニア帝国の機動兵器だった。といっても初期のVF-01Aは、時代相応の物であり、現在からみればそれほどたいしたものではなかったが、なまじ基礎性能が優れていたために技術革新が進んだにも関わらず、改装につぐ改装でこれまでやりくりしていた。

 初期のVF-01Aは管理局戦争時に登場した機体で、小型常温核融合炉を搭載してディストーション・フィールドというバリアを備えるなどそれなりの性能を持っていたが、常温核融合炉の出力が足らず、フィールドと機動性を確保するために紙装甲にするなど涙ぐましい機体だった。

 

 しかし、監察軍が発足して異世界の技術が流入すると、それに合わせてメサイアも改装されていった。

 

『新機動戦記ガンダムW Endless Waltz』の世界からネオ・チタニュウム合金を入手したため、装甲の強度向上と軽量化に成功し、装甲を厚くする事が可能になり、『マクロスF』の世界からはエネルギー転換装甲、ピンポイントバリア、アクティブステルス、チャフ・フレアー・スモークディスチャージャー、スーパーフォールドブースター、EX-ギア(エクスギア)などの技術を入手していた。

 

 更に人工トロニュウムの精製技術が確立したことで、トロニュウムエンジンが採用されて、出力が大幅な向上というよりも使い切れないほどの膨大なエネルギーを確保できた。

 

 これによりエネルギーをバカ食いする装置を制限なく使えるようになり、メサイアの性能は飛躍的に向上した。

 

 ちなみの人工トロニュウムの精製技術は下位世界から入手したわけではなく、知識チートを持っていたトリッパーが開発した物で、監察軍では下位世界から収集した技術の他に、トリッパーが自力で開発した技術も多く存在していた。

 このように現在のVF-01Zになっていったが、未だに新型機は開発されていない。これは仮想敵である時空管理局が崩壊してしまい、これといった外敵が存在しないという軍に力を入れる要因がなかったので、軍縮状態が千年数百年も続いた影響が大きかった。

 

 しかし、昨今の軍拡によって新時代に相応しい新型可変戦闘機を求める声が軍部で大きく、監察軍もこれに併せて新型可変戦闘機開発計画を立ち上げる事になった。

「でも今のVF-01Zでも、十分な性能を持っているからね。これを超えるとなると原型機を何にするかが問題だよ」

 と、令子が突っ込む。

 

 そう、メサイアが改良されて使用されてきたのは、その設計が優れていたからだ。これを上回る機動兵器となると探すのが面倒だ。

「なら、VF-27ルシファー(マクロスF)を使おうと思うわ」

「ルシファーですか。確かにあれなら問題なさそうだけど、アレって確かサイボーグ専用機じゃなかったかしら?」

「そうだね。サイボーグにならないといけないとなると、パイロットが確保できないよ」

 

 ブリタニア帝国では倫理的な理由からサイボーグは禁止されている。

 

「別に兵士をサイボーグにしなくても『IS 〈インフィニット・ストラトス〉』の技術を採用すれば問題なくなるわ」

「ISですか?」

 

 ハルヒの提案にアズライトは予想外という顔をしていた。そりゃそうである。ISは飛行パワードスーツであり、機動兵器というイメージではなかったからだ。

「そうか! ISのシールドバリアーがEX-ギア(エクスギア)にあれば、パイロットの能力が向上するというわけね!」

「そうよ。更にハイパーセンサーを入れとくと便利だし」

 

 令子が盲点だったと驚く。確かにエクスギアがシールドバリアーを展開してパイロットを守れば従来の可変戦闘機では不可能な機動も可能になる。

「ルシファー本体にはデータ領域を採用すれば武装を粒子化して自由に持ち替えもできるし、スーパーフォールドブースターを換装装備にできる」

「確かにそれは便利だね」

「ついでにデータ領域を応用して内蔵型マイクロミサイルを粒子化しておこうと思うわ。そうすれば軽量化や被弾時のダメージコントロールになる」

 可変戦闘機はマイクロミサイルを内蔵している。これは火力として重宝されているが、その分重くなる。

 

 しかし、使うときだけ実体化すれば機体の軽量化になるし、被弾してもマイクロミサイルが誘爆する危険がなくなる。それに粒子化しておけば使用後にまた実体化すればいいのだから事前にデータ領域に入れておきさえすればマイクロミサイルを何回でも使える。

 

 勿論、データ領域にも限界はあるから際限なくとはいかないが、それでもこれまでよりは格段に良くなる。スーパーパックなどの重い装備をしてミサイルの搭載量を増やさなくても、十分なミサイルを使用できるようになるだろう。

「確かにそうなると使い勝手はよくなる。あと必殺技が欲しいね」

「じゃあ、折角トロニウムエンジンを使っているから、SRX(スーバーロボット大戦α)のハイパー・トロニウム・バスターキャノンを小型化して使用したらどうかな? データ領域に入れておけばすぐに使えるわ」

「そうだね。最初から無駄な変形機能など省いて純粋に武器として開発したらそれなりの物ができるし」

 

「それと装甲材質をネオ・チタニュウム合金から超合金ニューZα(マジンカイザー)に変更した方がいいよ」

「超合金ニューZαって、スーパーロボット系の技術だね。確かにこれまでリアルロボット系の技術ばかり使っていたからスーパーロボット系の技術を使ってみるのも面白そうだね」

「たしかに超合金ニューZαなら間違いなく強度が上がるだろうから、可変戦闘機だけじゃなくて艦艇とかにも試してみる価値はあるよ」

「こうしてみると、結構意見があるわね。でも機体だけじゃなくてパイロット自体の戦闘能力も向上させたいから『新機動戦記ガンダムW』のゼロシステムを搭載してみようか?」

「ゼロシステムはまずいでしょ(笑)」

 

 ハルヒのぶっとんだ意見に令子が突っ込む。ゼロシステムは確かに強力だがパイロットが暴走してしまう。

 

「『新機動戦記ガンダムW~ティエルの衝動~』の一般兵士が扱えるよう改良が施されたゼロシステム、通称〝ゼロシステムVer.2.5″を改良すればそれなりの物ができるわ」

「確かにそれなら使えるか……」

 

 こうして三人は相談しながらルシファーの機能を決めていった。

「さて、ルシファーは良いとして、次は何があったかしら?」

「確かシドゥリから皇帝専用艦の開発依頼が来ているわ。急ぎじゃないから後回しでもかまわないそうだけどね」

「皇帝専用艦というと、聖王のゆりかご系列のアレですか?」

「そう、それよ。カイザー・シドゥリが退役して久しいからね」

 

 かつては聖王のゆりかごの後継艦として実戦投入されたカイザー・シドゥリも五百年前には解体されていた。まあ、千年近くも現役だったから十分役に立っているけどね。

「それって役に立つの。『魔法少女リリカルなのは』の世界じゃないとフルに使えないじゃない?」

「そうなのだけど、この世界で使えればそれでいいって話だよ」

「ふうん。で、どうしようかな。何か良いアイデアある?」

「それならレッドノア(不思議の海のナディア)なんかどう?」

「確かにあれなら威圧感があるね」

「原作よりも二周りほど大きくすれば要塞砲や要塞級の多重ディストーション・フィールドも装備可能でしょ?」

「じゃ、バベルの光の変わりに次元跳躍砲として要塞級のグラビティブラストを装備させたらいいじゃない?」

「でも何か特別な機能を追加しておいた方が受けがいいし、いっそのことクロスゲート・バラダイム・システム(スーパーロボット大戦α)でも搭載すればどうかな? どうせベヅァー対策には使えないからね」

 

 彼女たちは戦後ベヅァー対策としてクロスゲート・バラダイム・システムを開発したが、結局ベヅァーに通用しない事が判明したため、監察軍を大きく落胆させていた。

 

「それなら有効利用になるわ」

 

 どう考えてもとんでもない化け物戦艦が作られるのだが、三人のやり取りは軽かった。




あとがき

 今回はひたすら兵器開発の裏話でした。後に誕生したレッドノアがIF世界で活躍します(砲艦外交で)。
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