短編及び中編集   作:ADONIS+

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大天災がいない世界 その二

 その日、人類はとある小惑星を観測した。そして驚くべき結果を知る。何と、直径400kmもの小惑星が地球に落下コースをとっていたのだ。では、それだけの物体が地球に落ちたらどうなるか?

 

 まず、小惑星が地表に墜落すると、深さ10kmほどの地殻を粉砕して、その衝撃で1kmほどの岩塊が大気圏を超えて上昇し、その後岩塊が地球の重力に引かれて地球全域に隕石として襲い掛かる。

 

 また地殻の方も周囲の地殻をめくり上げながらも広がる地殻津波が起こり、直径4000kmほどの巨大なクレーターが出来上がり、そのクレーターから岩石蒸気が湧き出る。

 

 岩石蒸気は1500℃以上の高温を発し、大気圏外まで膨れ上がり、地球中に広がる。こうして地球は約一日で岩石蒸気に覆われて火の玉となる。

 

 地球を覆った岩石蒸気は、地球中の海をわずか一ヶ月ほどで蒸発させて、水素と酸素が燃え尽きるまでの数年間、地球を燃やし続ける。その後、温度が低下してくると数千年間ほど雨が振り続けることになる。

 

 さて、そうなったら人類は生き残れるでしょうか? 答えは無理。

 

 だから迎撃しなければならないが、ここで直径400kmもの小惑星を迎撃できる手段が存在しないという問題に直面する。

 

 核ミサイル? 残念ながら核兵器は大気圏内でこそ威力が高いが、宇宙空間では実はそれほど威力はでない。小惑星を撃破どころか軌道をずらすことさえできない。そうなるともっと強力な大量破壊兵器が必要なのだが、困ったことにそれが存在していなかった。

 

 それは、この世界の抑止は核戦力からISに切り替わっていた為、大量破壊兵器開発は停滞していたからだ。

 

 ちなみにISは機動性こそ優れているが、破壊力という点では大したことはできない。ISで軍事的優位に立ってもこの状況では何の意味もないのだ。ぶっちゃけるとISなんかに予算をつぎ込むよりも、その手の大量破壊兵器を開発していれば状況は違ったのだろうが、最早手遅れであった。

 

 それでも悪あがきで主要国が共同で核ミサイルによる迎撃を行ったが、状況を覆すことはかなわず、地球に小惑星が衝突した。

 

 

 

 その大規模な天体ショー(当事者にとってはまさに終末)をハルヒたちは地球から遠く離れた宇宙空間に存在するレッドノアで観賞していた。

 

「オーーホホホッ! ほーら、ほら。ハルヒさんアズライトさん御覧なさい。こんなに綺麗な花火ですよ! ホーホホホッ!」

「あなたはどこの宇宙の帝王よ?」

「ネタに走りすぎ」

 

 世紀のショーでテンションが上がりまくりなシドゥリに、ハルヒとアズライトが突っ込みを入れた。ハルヒはめったにみられないショーがみれるとシドゥリやアズライトを誘っていたが、シドゥリのハイぶりはハルヒの予想以上だった。

 

 今回シドゥリがついでとばかりにレッドノアを動かしていて、ハルヒとアズライトは同乗を許されていた。

 

「しかし、あの世界を利用するだけ利用して用済みになれば見殺しとは、ハルヒさんそちも悪よのう」

 

 シドゥリは皮肉げに言う。

 

「……あの世界を助けても利益にならないし、それにこれで機密保持の手間が省けるわ」

 

 そんなシドゥリにハルヒは冷淡な言葉を吐いた。

 

 IS世界では迎撃不可能な小惑星であるが、監察軍ならあれぐらいどうとでもなる。グラビティブラストを打ち込むなり、相転移砲を打ち込むなり、いくらでも方法はあるのだが、それをしなかったのは、あの世界が滅亡したほうが都合がいいからだ。

 

 ハルヒにとっては無人ISが開発できるだけのデータを手に入れた後は、あの世界からISとそれらの技術がなくなったほうが都合がよかった。だから、ハルヒはISを広める世界を選ぶ際に、IS世界で大天災がおらず、近い将来に滅亡する並行世界を条件に選んだ。その為、この世界の地球が小惑星で滅亡するのは予定通りだった。

 

「どうせ滅亡する世界だもの。ならあたしたちの役にたって滅びればいい」

「怖っ!」

 

 その言葉にシドゥリがドン引きする。とはいえ彼女も為政者だ。わかっていて悪ふざけをしているのだ。

 

 

 

 ISが広まって十年。あの世界は、おおよそ原作と同じような世界となった。ISコアを二万個も自宅に置いていたため、世界中に存在するISの数は桁違いとなっているが、男尊女卑ならぬ女尊男卑の社会になっていることには変わりはなかった。

 

 しかし、原作でも思ったけど、なんでこうまで偏った世界になるんだ? 女性はISを使える→女は偉いになる根拠がわからない。ましてや、この世界に地球に現存するISコアはあたしの私物を盗み出した物に過ぎない。そんな盗品が使えるからと威張るのはどうなのよ?

 

 まあ、いいでしょう。どうせ滅亡した世界ですから最早どうでもいい。そんなことよりも原作よりも多くのISが存在するおかげでコアネットワークの成長も順調でIS無人機の開発に成功した。やっぱ物量はすごいね。これだけのデータを集める為に各国政府やパイロットたちの苦労が忍ばれます(笑)。

 

 この十年で、可変戦闘機ルシファーはテストが完了。現在では量産されてブリタニア帝国軍に正式に配備されています。更に無人ISゴーレムも完成した。これって戦闘能力自体はそれほどないけど小型だからいろいろと使えるので、現在ではレッドノア内部の護衛戦力として配備を進めている。

 

 こうして、あのIS世界は用済みとなりました。この天体ショーの数日後にはハルヒは、IS世界に拡散していた二万個のISコアがすべて壊れたのを確認したのであった。




あとがき

 IS世界はこうして滅亡しました(汗)。ちなみにこのIS世界にはトリッパーはいません。さすがのハルヒもトリッパーのいる世界にはそんなことしません。
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