「また、ですか?」
「ああ、困ったことだ」
私のうんざりした言葉にシリウスが同意した。私の転生したドラゴンボールの地球に魔導師バビディが来たという知らせを受けた。どうしてこうも問題がおこるのか?
「魔人ブウか」
そういえば時期的にそろそろだったが、本編とはだいぶ違ってきているのに、魔人ブウがらみのイベントが起こるとはね。
「魔人ブウはともかく魔導師バビディは拙いね」
今の私には魔人ブウなど大した敵ではないが、バビディの悪の心を持つ者を手下にするという能力は厄介だ。
「今回は、ブロリーをつれていくのは止めた方がいいだろう」
「……そうね」
ブロリーはサイヤ人だ。それも私のように地球人としての前世があったりしないので性格は凶悪だ。私もいろいろと矯正しようとしたが、多少マシにできただけにすぎない。監察軍にしても利用価値があるので敵対していないだけで、邪魔だと感じたら敵対しかねない。
そんなブロリーなだけに、バビディの能力を考慮するとかえって邪魔だ。かといって監察軍に私達に近いだけの力を持つ者はいないし、下手に連れていっても足手まといになりかねない。それだけ私とブロリーが次元違いに強すぎる。
「仕方ないわね。私が単独で片づけるしかないか」
魔人ブウは、本気を出せば負ける相手ではない。手頃な運動といきますか。
エイジ774
人造人間の恐怖から人々が解放されて四年が過ぎていた。地球は平和になったが、それは表向きに過ぎず、人々は新たなる脅威を迎えていた。
天下一武道会。ドラゴンボールで登場する武道大会で、原作通りなら界王神達が出場していた。ご都合主義とでもいうべきか、原作通りに天下一武道会でバビディの配下をあぶり出してバビディを始末しておいた方がいいでしょう。そうすれば、いざというときにブロリーを安心して送り込めるわけだし。魔人ブウとタイマンはっても勝てるのだが、念のために保険を用意しておくべきだ。
私が他のサイヤ人と違う点は、ともすれば臆病ともとられかねないほどの慎重さだ。念のために用意をする。手札を用意するというのを当たり前に行う。それこそが登場キャラが一度は死ぬというのが当たり前となっている『ドラゴンボール』において、私が未だに順調に活動できている理由だ。
魔人ブウとの戦いを楽しみたいという思いはあるが、保険は用意しておくべきた。だからブウと戦うときはブロリーを保険として用意しておきたいと思っているし、更にいざというときの為に支援用の巡航艦も用意する。その為にもバビディは邪魔だし、ここで上手くやればアレが手に入るかもしれない。
そんなわけで参加した天下一武道会で、ビーデルと一緒にいた悟飯にばったり会った。
「えっ、ミズナさん何故ここに?」
「私はビーデルに呼ばれただけだよ」
驚く悟飯に単調に答える。
「ビーデルさんにですか?」
「ええ、ビーデルとは個人的に付き合いがあってね。ビーデルさんちょっと良いかな?」
言外に二人だけで話があると伝える。
「そうね。悟飯くんちょっと悪いけど話をしてくるから」
「それで、どうするの?」
場所を移して話す。
「とりあえず魔人ブウを不完全な状態で復活させて即座に始末することにするわ。その方が手っ取り早い」
「……大丈夫なの?」
「魔人ブウ程度なら簡単に始末できるわ」
「そ、それはすごいわね。そこまで強くなっているのね」
ビーデルの顔が引きつっている。
「そういうわけだからあまり心配しなくて良いよ。それじゃあね」
私はビーデルに必要な事を伝えて会場を後にした。
彼女はドラゴンボールのビーデルに憑依したトリッパーだ。彼女としては私のターンだぜ、とかやりたかったのだろうが、ここは『ドラゴンボール』の世界。地球人の身で、そう簡単に無双などできるわけがないのだ。
現にヤムチャ、クリリン、天津飯などの地球人の武道家が修行を重ねていったが結局脇役に終わってしまっている。サイヤ人やその他の敵キャラが次元違いに強すぎたのだ。こんな世界で地球人になっても物語では活躍できるわけがないだろう。
そうした意味では彼女は現実を理解しているようで無茶なことをせずに原作の様に町のヒーローという立場に収まっていた。
その後の天下一武道会で悟飯が試合中にバビディの部下に襲撃されて、原作通り魔人ブウの復活を阻止する為に動いた。
結果として、悟飯と界王神とキビトは返り討ちになった。三人はダーブラに負けてしまったのだ。よく考えるとダーブラは完全体セルに匹敵する強さだ。この世界の悟飯は人造人間17号にも勝てない強さでしかなく、これではダーブラに勝てないのは当然だろう。原作と違って悟空やベジータもいなかったからね。まあ、私としてはバビディの場所が分かればそれで良かったのでこの際問題はない。
そして私の目の前にはバビディの宇宙船があった。界王神は、下手に衝撃を与えて不完全な状態であっても魔人ブウが復活するのを恐れていたが、私はそんなものを恐れてはいないから超サイヤ人2になり、派手に気功波を打ち込んだ。
粉砕される宇宙船。そこから出てきた人影。
「くそっ、何だ!」
ダーブラが悪態を付いてその場から現れた。邪魔だ。
「きさ……」
ダーブラが何か言いかけたが問答無用で瞬殺する。弱いな。確か完全体セルに匹敵する強さらしいが大したことがない。私の一割にも満たない戦闘力だ。拳で殴るだけで、ダーブラの頭部が粉砕された。次。
「ギャッ!!」
続いてバビディを殺した。これでよし。他の奴らは私の気功波に巻き込まれて死んでいるようだ。
そして、この場に強い気が集まっているのを感じた。煙が集まり人の形を取っていく。隙だらけだがあえて何もせずに見逃す。魔人ブウ(無邪気)が復活した。へえ、まだ十分なエネルギーを得ていないはずなのに一応復活しているね。でも私の相手ではない。
「はっ!!」
右手をブウに向けて気でブウを消した。
これは原作でベジットがやったことだ。いくらブウが不死身に近くでも細胞一つ残らず消し飛ばせば復活できない。下手に細胞を残すわけにはいかなかったので、ワザと一箇所に集まるのを待っていたのだ。他愛ない。もう少し遊ぶべきだったかな?
その後、界王神の死体から耳飾りの〝ポタラ″を剥ぎ取った。これは魔人ブウ退治の報酬として頂いておくよ。えっ、火事場泥棒じゃないかって? いいんです。どうせ界王神は死んでいますから、持ち主不在の道具にすぎません。それに監察軍へのお土産になる。
ポタラは『ドラゴンボール』の合体アイテムだ。これを解析できればかなりの利益が見込める。原作のベジットを見てもすごい効果です。まあ、私達トリッパーにはいまいち効果がないのですが。
トリッパーの魂に干渉することは、下位世界のあらゆる力や技術を持ってしても不可能だからフュージョンやポタラによる合体は不可能なのだ。あれって一人の体に二人の魂が同居したり融合するような形になるからどうしてもできないんだよね。
下位世界に存在するあらゆる存在は、トリッパーの魂に干渉できないという法則がある。トリッパー達の肉体はあくまで下位世界の物だが、その魂は上位世界の物なのだ。その為トリッパーは魂食いなどからは身を守れるという利点があるが、その所為で私達は一旦死んでしまうと下位世界のあらゆる能力や技術を用いても復活することはできない。なにしろドラゴンボールでも不可能なのでトリッパーは死んだらお終いである。
例外として死神が死亡したトリッパーを再び下位世界に転生憑依させる事ができるが、その実例はそれほど多くない。別に死んだら死んだで上位世界の輪廻転生に戻り、上位世界の生物として転生するだけです。
あ、そういえば悟飯が死んだね。うっかりしていたよ。どうしよう。う~ん、ある程度の情報を伝えれば良いかな。悟飯と謎の二人は、これまた謎の一党に殺された。私はその後でその謎の一党を皆殺しにした。というシナリオです。
えっ、謎じゃないだろって? いえ、私が界王神や魔導師バビディの事を知っているのは不自然だから謎にしないといけないんだよ。まずはビーデルと口裏合わせをしておくか。その後で、チチさんに言えばいい。はあ、何か面倒だね。ビーデルに小言を言われそうだし。これなら悟飯が死ぬ前に助けてやるべきだったかな?
しかし、悟飯が死んだので、原作外伝により近くなった。悟空とベジータが死んで、悟天が生まれていない。そして今回は悟飯が死んで、未来においてパンとブラは誕生しないでしょう。となると生き残ったサイヤ人は混血のトランクスと私達だけになる。本当に原作外伝に近くなったね。ま、いいか。
解説
■ビーデル
ミズナと同じ『ドラゴンボール』の並行世界の地球にトリップした憑依型トリッパー。トリップした場所は人造人間が猛威をふるっており死亡フラグ満載だったので、監察軍に接触すると人造人間の抹殺を依頼する。その後、ターレスや魔人ブウと魔導師バビディなど脅威を監察軍に依頼して排除してもらっている。
超戦士伝説オリジナルの戦闘力情報
ダーブラ:戦闘力800億
魔人ブウ(無邪気):戦闘力1兆
ミズナ(超サイヤ人2):戦闘力3兆