東方罪妹録   作:百合好きなmerrick

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題名通りのようで人によってはそうでもないかもしれない、そんな話。
ちなみに前半は説明、後半は多少の戦闘回です。

あ、☆マークには押絵の意味です。今回押絵があるのでご注意ください!()


第2章「幸福な悪魔達の日常」
8話「残虐な末妹」☆


 ──Hamartia Scarlet──

 

 お父様が死に、私が自由に館を移動できるようになってから1年が経つ。私は56歳になった。1年も居れば館も慣れたもので、今では知らない場所はないほど館を知り尽くしている。けれど、図書館の本は未だに全て読みきれていない。最初は本の多さにビックリしていたけど、もはや多すぎて探すのが面倒、という気持ちが今は大きい。それでも楽しい本が多いから、飽きはしないのだけど。

 

 お姉ちゃん達と一緒に居ることが多い私だけど、たまには1人で本を読んだりする。今日も夕方早くから1人で図書館の本を漁り、強くなるための方法や知識を深めるためにも色々な本を読んでいた時のことだった。

 

「罪⋯⋯『七つの死に至る罪』?」

 

 偶然目に入ったその本を手に取り、ペラペラとページをめくる。そこには私の名前の意味でもある『罪』について書かれていた。自分の名前に興味はない。だけど、お姉様は私の名前を気にしてくれている。もっと名前の意味を知れば、その気にしてくれている理由も分かるかもしれない。そう思い、注意深く読んでみようと最初のページから読み進める。

 

「『七つの大罪や七つの罪源と呼ばれるものは、人間を罪に導く可能性があると見做されてきた欲望や感情のことを指すものである。起源は4世紀のエジプトの修道士エヴァグリオス・ポンティコスの⋯⋯』。うぅ、長い⋯⋯」

 

 まだ薄い方だと思う本なのに、文が細かくびっしりと書かれている。名前の意味を知るために読み始めたものだけど、あまり長いのは好きじゃない。そう思って、要点だけを掴めて早く読めるように流し読みを始める。

 

「『罪と悪魔の関係を記した著作』⋯⋯これだ。『七つの大罪は特定の悪魔との関連付けられている。本来は無関係なものだが、通俗的な魔導書においてはそれが引用され』⋯⋯うーん?」

 

 要は勝手に人間が関連付けただけで、別に罪と悪魔は関係ないということかな。私の場合も、親殺しという禁忌を犯したから、お父様が勝手に名付けたってお姉様が言ってたし。まあ、もうティアという名前が気に入ったから今更名前を変えるつもりはないけど。お母様から名前を聞いていて、それを私に教えてくれたお姉様には悪いけどね。

 

「へぇー。今の時代なら、悪魔じゃなくて動物とも関連付けられてるんだ。⋯⋯っていうか、七つの大罪の内容どこ⋯⋯あ、あった。『七つの大罪と呼ばれるものは以下の7つである』」

 

 そうして次のページに進むと、そこには罪の内容が大きく書かれていた。

 

【高ぶって人を見くだす態度の傲慢】

 

【大いに怒る憤怒(ふんど)

 

【羨み妬む嫉妬】

 

【怠けだらける怠惰(たいだ)

 

【欲がとても強い強欲】

 

【無闇やたらに食べる暴食】

 

【色事の欲望の色欲】

 

「はあ、長すぎ⋯⋯。えーっと、『またこれらに反して対応するものとして、美徳なるものがある。傲慢にはへりくだることの謙譲(けんじょう)。憤怒には情け深いことの慈悲。嫉妬には忍び耐えることの忍耐。怠惰には一生懸命励むことの勤勉。強欲には救い恵むことの救恤(きゅうじゅつ)。暴食には適度に慎むことの節制。色欲にはけがれなく清らかなことの純潔』⋯⋯」

 

 読み進めていてようやく気付いたけど、これはあまり面白くなさそう。ただそのままの情報を書いてるだけみたいだし、面白そうな文章はどこにもない。一体誰が書いた本なんだろう。そう思ってその本を裏返し、著者の名前を確認する。やはり知らない名前だった。しかも、この辺りではあまり聞かない変な名前。

 

「『Natera Uroboros Carlest』⋯⋯ナテラ・ウロボロス・カーレストかな。どこの国の人なんだろう。少なくとも、ここではなさ⋯⋯あ、この近くなんだ」

 

 本の最後のページに住所らしき街の名前が書かれていた。その街の名前は以前、お姉様に聞いたことがある。確か領地を縮小した時にギリギリ残ったスカーレット家領地、最南端の街だったはず。⋯⋯書いてるってことは、この本を読んだ人に来てほしいとか思ってるのかな。もしそうなら、会ってみたいかも。本はつまらないけど、わざわざ書いているなんて会いに来いと言ってるみたいで興味深い人だ。

 

「あ、まだある。『この世界では、それぞれに対応する生物が存在し、強欲な狐、憤怒の竜などがいる。これらに会う際は充分に注意されたし』⋯⋯この世界? どういうことだろう」

 

 やっぱり変な人みたい。とりあえず立って読むのも疲れるし、部屋に持って帰って後でゆっくり読もう。この本以外にも面白そうな本はあるだろうし、ここに来た目的は他にもある。だから、次を探そう。楽して強くなれる本とかあればいいな。

 

「ん⋯⋯『不変なる転竜』? あ、またナテラの本だ」

 

 適当に取った本が同じ著者の本だった。お姉ちゃんとお姉様が喧嘩しているのに出くわすくらいの奇妙な縁だけど、とりあえず読んでみよう。名前からして微妙な本だけど。お姉様に言わせればこれも運命だから。

 

「『この世界にも姿形を変えることのない竜は現れる。その竜は転生を行い続け、次なる世界へと旅立ち、様々な世界で生きる。転生によって生と死を繰り返して生き続けるその竜を、人は転竜と名付けた。そして、その竜は凶悪な力を持ち、ある場所ではその力を不変の権能と呼ぶ。その力は普遍的な不変⋯⋯』──!」

「ティアー。何してるのー?」

 

 突然お姉ちゃんに声をかけられ、ビックリして本を閉じる。そして、お姉ちゃんに向き直り、平静を装った。お姉ちゃんは今起きたばかりかのように綺麗な金髪の髪が乱れていて、服も寝巻き姿だ。

 

「お、お姉ちゃん。⋯⋯本を読んでただけだよ」

「ふーん。どんな本を読んでたの? 見せて?」

「うーん⋯⋯いや。それよりも、お姉ちゃんはどうしたの?」

 

 見せたら何を言われるか分からないし、私がもっと強くなりたいと思っているのをバレたくない。それを知られるのはなんだか恥ずかしいし、絶対魔法の練習が厳しくなる。それだけは嫌だ。お姉ちゃんの魔法練習、私の身体を過大評価し過ぎて、今でも充分に厳しいのに⋯⋯。

 

「あ、反抗期? 私に見せられないような本なのかなー? ま、いいよ。それよりもお姉様が呼んでたよ。なんかね、一番南の街で暴動起きてるから経験を積むためにも一緒に来て、だってさ」

「お姉ちゃんは行かないの?」

「私はお留守番。家にいないと、何かあった時にね。多分、お姉様のことだから、経験云々以外にもティアのことが心配なんだと思うよ。それかただ一緒に居たいだけね。あの人、心配性の寂しがり屋だから」

 

 なにそれ可愛い。暴動が起きたこんな時でも、お姉様は私といないとダメなんだね。ああ、凄く食欲をそそるよ。⋯⋯あ、食べたいけど、ここはグッと我慢しないと。今はまだ、その時じゃないと思うし。あと、そう言えば一番南の街って言ってたよね。なら、ちょうどいいや。あの著者に会ってみよう。気に入りそうなら、食べてみようかな。人間だろうし、美味しいと思うから。⋯⋯でも、人間って食べると死んじゃうのかな。

 

「じゃ、ティア。伝えたからね? 早く行った方がいいよ。お姉様を待たせちゃ悪いしね」

「うん。行ってくるね、お姉ちゃん」

「はいよ。行ってらっしゃい。気を付けてね」

 

 お姉ちゃんに手を振って、図書館を後にする。そう言えば、お姉ちゃんが部屋に戻っていくのが見えたけど、また寝ちゃうのかな。帰ったら遊びに行ってみよう。

 

 そうして本を懐にしまい、お姉様の場所へと急いだ。

 

 

 

 

 

 エントランスに着いた時、お姉様が眠たそうにあくびをしていた。しかし、お姉様は私に気付くと慌てて平静を装った。別にそんなことしなくても、お姉様のことを嫌いになんかならないのにどうしてだろう。私みたいに恥ずかしかったのかな。それなら私とお揃いになるから嬉しい。

 

「お待たせ。お姉様」

「私も今来たところだから大丈夫よ。さて、行きましょうか。フランから話は聞いているわよね?」

「うん。街で暴動が起きたと聞いたよ。お姉様、寄りたい場所があるから、終わったら行ってもいい?」

 

 そう言うと、お姉様は少し驚いた顔を見せて呆気に取られ、しばらくの間沈黙が生まれる。気まずい空気が流れた後、お姉様が我に返って口を開いた。

 

「いいけど⋯⋯何処に寄りたいの? 私に教えてくれる?」

「うーん⋯⋯気が向いたらね」

「む。意地悪な娘ねー。もしかして反抗期かしら?」

 

 何故か頬を引っ張られながら、お姉ちゃんにも言われた言葉をお姉様にも言われた。教えない、言わないことが反抗期になるのかな。反抗期という言葉自体、私にはよく分からないから別にどうでもいっか。反抗期でも触ってくれたり、絡んでくるみたいだし。

 

「まあ、いいわ。詮索してほしくないのよね。私にだってそういう時もあるわ。行くのはいいけど、あまり私から離れないでよ。心配になるから」

「うん! お姉様、お姉ちゃんみたいに優しいね。好き」

「あら、ありがとう。私も好きよ。さて、あまりゆっくりもできないから急ぐわよ。そこまで大きな暴動じゃないけどね」

「うん、分かった!」

 

 お姉様に連れられ、私は初めて紅魔館ではない場所へと向かう。初めての体験に心躍らせ、希望に胸を膨らませながら。

 

 

 

 

 

 最南端の街は、紅魔館では見ないような面白い形の建物や話で聞いていただけのお店でいっぱいだった。街の人達はよく言う血気盛んな状態で、近付くのもなんだか怖い。だから、遠目で見ているだけにしていたけど、お姉様に連れられてより大きな騒ぎが起きている場所へと向かった。

 

 そこには、統治者兼見張りとして街に居た眷属と戦う兵士達が居た。初めて見た生きている人間は、みんな恐い顔をしていて、剣を持っていて、『神様のため』と神を敬っていた。その光景は私には珍しいけど、どうやらお姉様はそうでもないらしい。

 

「武装した兵士が7人、魔法使いらしき者が10人⋯⋯余所者みたいね。大方、悪魔に支配されている街で暴れて私達を誘き出したとか、奪還するために眷属を襲っているとか⋯⋯。何れにしても、眷属を全員失うのは後々面倒なことになるわ。ティア、魔法使いは私が相手するから、貴女は兵士をお願い。後、できる限り殺さずに──」

「うん! 止めればいいんだね! 裂奪『リジル』!」

 

 紅い剣を創り出して右手で構え、左手で魔法を展開するためにルーン文字を空に描いていく。生きた人間と戦う(遊ぶ)のは初めてだから、凄く楽しみだな。生きた人間に遠慮なく魔法を試せるなんて、こんなに嬉しいことはない。

 

「行くよ。不可避(ハガル)理解(アンスール)人間(マン)理解(アンスール)移動(ラド)勝利(ティール)遅延(イス)理解(アンスール)!」

 

 

 

 

【挿絵表示】

 

 

 

 

「え、人間相手に魔法使い過ぎてない? できる限り殺さないようにしてよ!?」

 

 なんかお姉様が言ってるけど、気にせず人間を食べ⋯⋯止めよう。私特製のルーン魔法も試すチャンスだしね。私の名前を元にしたルーン魔法は母音と子音の組み合わせ、もしくは文字単体で効果を発揮する対人間戦闘用の魔法。最初に用意した魔法から詠唱なし、タイムラグなしで自由に選び取って効果を発揮する。

 

「吸血鬼が来たぞ!」

「構えろ! 決して油断はするな!」

「私と遊ぼ?」

 

 手始めに移動(ラド)で瞬間移動して、人間達の背後を取る。すかさず勝利(ティール)遅延(イス)を使って自身の近接戦闘能力を上げながら、一番近くの人間に遅延の効果を付ける。

 

「じゃあ⋯⋯バイバイ」

 

 動きの止まった人間に剣を振りかざし、武器を持つ手に向かって振り下ろす。と、どうしてなのかな。いとも容易く腕が切れてしまった。お姉ちゃんやお姉様よりも、ましてや私よりもかなり脆い。こんな身体で今まで生きてきたなんて、とても凄い。もしも私がこの身体なら、お姉ちゃんが狂気に染まった時に死んでいたと思う。

 

「うわぁぁぁぁ! お、俺の手がぁぁぁぁ!」

「⋯⋯うるさいなぁ。黙って」

「あっ──」

 

 片腕をなくした人間の首に思いっ切り噛み付いて、遠慮なく喰い殺す。味は人間というだけあって、普通に美味しい。

 

 近くで大声を出されると凄く腹が立つ。腕が無くなった時の痛みは私も分かるけど、人間に情なんて必要ない。私は吸血鬼という捕食者で、人間は食べ物となんら変わりないのだから。

 

「次だね?」

「く、来るなァ!」

「遅いよ? もっと急ご?」

 

 最も近い人間を狙い、次は不可避(ハガル)理解(アンスール)を使って攻撃を確実に当てていく。

 

「や、やめ──」

「あれ⋯⋯? 死んじゃった」

 

 攻撃が確実すぎて、首を切っちゃった。恐い顔のまま人間の頭は転げ落ち、身体はその場で崩れ落ちる。それを見ていた他の人間達は、恐怖や怒りに顔を変えていた。

 

「よくもジョンをっ! お前だけは絶対に⋯⋯っ!」

「⋯⋯まあ、いっか。後5人は生かしてあげる。お姉様の命令だからね」

 

 過ぎたことを後悔しても時間は戻らない。お姉ちゃんに昔そう言われた。あれ、お姉様だったかな。まあ、要は過ぎたことよりも次のことに集中しないといけない。絶対殺す系のルーン2つは使ったし、後残っているのは人間(マン)1つと理解(アンスール)2つ。理解(アンスール)に関しては単体だと戦闘に使えないし、2つとも強化として使おう。そう思って、全てのルーン魔法を()()()()()

 

「あ、あいつ⋯⋯魔法を食いやがった!?」

「うん、悪い? 食べないと、効果が長続きしないの。張り切って他のは全部使っちゃったしね」

 

 私の能力は『力を吸収する』という力。でも、それだけじゃない。普通に吸収するよりも食べた方が効果時間も効力も強くなる。だいたい倍くらいになるらしい。喰った魔法は人間の動きを理解するもの。ただそれだけのルーン魔法だけど、今の相手にはちょうどいい。

 

「⋯⋯おーけー。だいたい分かった。じゃあ、終わろっか」

 

 人間が取るであろう動きの全てを理解した。よし、武器を壊して奪って無力化しよう。

 

「死ねェ!」

「ジョンの仇!」

 

 恨みを持った人間達が一斉に私に襲いかかる。私からしたらとてつもなく遅い太刀筋を見切り、まず1人目の剣を強くリジルを振って切り壊した。次に背後に居た人間を払うように蹴り飛ばし、その勢いのままもう1人の頭に蹴りを当てる。そうして、1人は武器を壊して無力化し、残り2人も気絶させて無力化した。

 

「なっ⋯⋯!? か、構え──」

 

 ただの数秒のうちに3人が無力化された様を見て固まっている2人の元へと地面を蹴って距離を詰める。慌てて剣を振りかざしたのを見て、その人間の足を引っ掛けてバランスを崩す。もう1人の方はただ唖然としていたから、とりあえずもう1人が体勢を立て直しているうちに顎を殴って気絶させた。

 

 そして、体制を立て直した人間の喉元に剣の切っ先を向ける。相手の方が剣を振ろうとしたのは早かったけど、それを見て先に剣を振れないほど私は遅くない。お姉様の訓練がしっかりと力を付けているみたいだ。

 

「おーしーまいっ! さあ、武器を下ろして、降参して? 変な動きを見せたら食べちゃうぞー?」

「ぐっ⋯⋯くぅぅ⋯⋯!」

 

 恐怖に引きつった顔を見せ、悔しそうに武器を下ろした。久しぶりに少し動いたからお腹が空いちゃった。⋯⋯さっき殺した人間でも食べよう。死んじゃったし、どうせ誰も困らない。

 

「え⋯⋯ま、待て! な、何をするつもりだ!?」

「え? お腹空いたの。あ、生きている人間は食べるつもりないから安心して! 死んじゃった人間だけにするから」

「や、やめてくれ! せめて、家族の元に⋯⋯!」

「家族の元に死体を送るの? 変なの。でも、ごめんね。お腹空いたから⋯⋯」

 

 騒ぐ人間達なんてお構い無しに、先ほど全部を喰い損ねた人間の首にかじり付き、血を吸い取る。周りがうるさいけど、そんなこと気にならないほど喉が潤い、疲れも徐々に取れていく。1人だけだとお腹は膨れない。そう思って2人目のところへ行こうとした時だった。

 

「ティア! ストップ!」

「あ、お姉様! 終わったんだね!」

 

 お姉様が飛んできて、目の前に降り立った。お姉様が戦っていた方を見ると、魔法使い達は全員倒れている。数が多かったのに本当に少ししか時間をかけないで倒せるなんて、流石お姉様だ。

 

「ええ。それよりティア、ここで食べないで。私の言いつけを守ってあまり殺さなかったのは嬉しいけど、食べるのはダメよ? 1人はもう手遅れだったみたいだけど⋯⋯」

「えぇー! お腹空いたー!」

「帰ったら幾らでも食べていいから、今は我慢して。お姉ちゃんの言うこと分かった?」

 

 あ、お姉様が初めて自分のことを姉と言ってくれた。それに幾らでもご飯を食べていいって。それが嬉しくて、思わず「うん」と首を縦に振ってしまった。横に振るつもりだったのに⋯⋯。

 

「よしよし。偉いわね。じゃあ、後は私に任せて行きたい場所に行ってもいいわよ。日が明ける前にこの街の入り口で合流しましょう」

「もういいの? 分かった。行ってくるね!」

「ええ、行ってらっしゃい。⋯⋯ああ、ティア」

 

 行こうとしたところをお姉様に引き止められ、その場で立ち止まって後ろを向く。その時のお姉様の顔は一瞬だけ迷った表情が見えたけど、嬉しそうで、優しい⋯⋯そんな気持ちのいい笑顔だった。

 

「頑張ったわ、お疲れ様。やっぱり⋯⋯貴女も成長したのね。私は嬉しいわ」

「うん! 私も嬉しい! 次は一緒に戦おうね!」

 

 そう言い残して、私はその場を後にする。気になる人間の元へと向かうために────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 これは後でお姉様に聞いた話だけど、この時、人間達に色々な呼び名で呼ばれたらしい。お姉様もスカーレットデビルとかお姉様自身を表す名前があるからと言って、私も何か名乗ればと言われた。人間に呼ばれた名前は様々で、『大罪の悪魔』や『強欲な暴食悪魔』など悪魔という言葉が付く呼び名が多かった。

 

 でも、唯一悪魔と付かず、私のことを褒め称えているような呼び名があった。お姉様曰く、私が使っている魔法がルーン魔法だと知って名付けられた名前らしい。それを聞いて、なんだか嬉しく思い、私はそれを名乗るようにした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『北欧の吸血姫(きゅうけつき)』と。




ちなみに呼び名の理由。
北欧はもちろんルーン魔法から。吸血姫は姉に注意されているのを見た人が箱入り娘感を感じ、親しみを込めて吸血姫と呼んだらしいです。

それと服は適当過ぎたので気にしないでください()
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