東方罪妹録   作:百合好きなmerrick

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今回は自分でも引くくらいのR15の残虐な描写があります。なので、苦手な人は最後だけ読むか、頑張ってください()


13話「狂気な運命」

 ──Hamartia Scarlet──

 

 いつもと同じ1日。日暮れに起きた時、私はそう思っていた。何も変わらず、いつも通りお姉ちゃん達と一緒に暮らせると思っていた。けど、今日だけは違っていた。昔にも一度だけあったその出来事。それが、今日も起きてしまった。

 

 それは、決して悪いことではない。だけど、良いことでもない。私は嬉しくても、お姉ちゃんは喜ばないと知っている。お姉ちゃんには私と同じように、()を傷付けたくないという気持ちがあるから。だけど、それでも⋯⋯私は──

 

 

 

 

 

 その日、いつもと違うと感じたのは起きてから少しした時のこと。いつも元気なお姉ちゃんが珍しく疲れていて、私を先に食堂へと向かわせた。流石にお姉ちゃんの命令に背こうとも思わず、私は1人でお姉様が待つ食堂へと行った。

 

「⋯⋯良かった」

 

 私が食堂に着いたのを確認してか、何故かお姉様は安堵のため息をつき、そう言った。悲しそうで嬉しそうな複雑な表情。稀に見る顔だけど、どうしてかその顔は印象に残りやすい。だから、いつそういう顔をするかはなんとなく知っている。今回の場合は、私やお姉ちゃんが心配な時の顔だ。

 

「どうしたの?」

「いいえ、何でもないわよ。フランは⋯⋯調子が悪いみたいね。下手に関わって怒らせたくないし、そっとしておきましょうか。さあ、ご飯を食べたら一緒に槍の練習よ?」

「⋯⋯うん、分かった」

 

 明らかに何かを隠している顔。でも、私はあまり気にしないで、ご飯を食べ、練習へと向かう。確かにお姉ちゃんは心配だったけど、お姉様の言うことにも一理あったし、お姉ちゃんを怒らせたくはなかった。だから、お姉様の言う通りに、槍を扱う練習に集中したし、いつも通り本を読んだり、新しく手に入れた力を試したりもした。

 

 そうして時間を潰し、今日も1日が終わるという時。お風呂に入る時はどんな時でもお姉ちゃんやお姉様と一緒だったから、当たり前のようにお姉ちゃんを誘いに地下に行こうとした。お姉ちゃんは疲れていてもお風呂には絶対に一緒に入る。それは人間狩りから帰ってきた時も同じだった。だから、疲れていようとお構い無しにお姉ちゃんの居る地下に()()()()()()()

 

「ティア、待って。フランなんだけど、今日はお風呂に入るのも辛そうなの」

 

 だけど、それはお姉様によって止められた。いつも以上に険しく、真面目で、悲しそうな顔。お姉ちゃんと喧嘩した時にも見せないような顔。⋯⋯それこそ、お父様から私達を守ってくれた時のような⋯⋯そんな難しい顔。

 

「そうなの? なら、会いに行くだけにするね」

「あ、ダメ! ⋯⋯行っちゃダメよ」

「お姉様⋯⋯?」

 

 お姉様をすり抜けて地下に行こうとしたら、手を握られ止められる。私をどうしてもお姉ちゃんのところに行かせたくないらしい。悲しそうな顔をやめないで、力強く言葉を発する。

 

「しばらくはダメよ。長い間抑え続けてきた。でも、抑えるだけでは止めることはできない。いつかは発散させないと⋯⋯爆発してしまう。その爆発に貴女が巻き込まれてほしくはないのよ。⋯⋯それに、もし今止めたとしても、すぐにまた同じことが起きるわ」

 

 そこで、私は思い出し、察した。お姉ちゃんが昔言っていたこと。

 

【狂気に支配されている】

 

 狂気に支配されている時、お姉ちゃんは記憶がなくなる。私が誰かは分かっていても、頑丈だからといって、必要以上に攻撃してくる。いつもみたいに優しくはないお姉ちゃん。それが狂化している時のお姉ちゃんだ。

 

「⋯⋯そっか。またなんだ」

「知ってるのね? なら、分かってるわよね? だから、行っちゃ──!? ど、どうして⋯⋯」

「何か見えた? お姉様の能力、未来が見えて、操れるんだよね。今までそれでお姉ちゃんを止めてくれていたの? だから、能力を使ってなかったのかな。⋯⋯お姉様、ありがとう」

 

 無理矢理お姉様の手を解く。力づくっていうわけじゃなくて、私の腕を1回壊して、再生しただけ。ウロから貰った権能は微力だけど、再生力に関しては吸血鬼の元のものもあって、異常なほど高い。さらには自分の身体なら、自由に破壊可能だから使い勝手が良い。

 

「私、お姉ちゃんのことが好き。毎日会いたい。毎日幸せでいてほしい。だから、今止めたい。⋯⋯わがままだよね、私って。でも、ごめんなさい。それくらい、大好きだから。⋯⋯あ、もちろんお姉様のこともね!」

「ティア⋯⋯お願い、行っちゃ⋯⋯」

「あ、もう1つ私のわがままね! 遅延(ソーン)遅延(ニエド)遅延(イス)。お姉様には必要以上に傷付いてほしくないから」

「ちょっ、何を⋯⋯!?」

 

 3種の遅延系ルーン魔法でお姉様を拘束する。この3つは遅延のルーン三人衆とも呼ばれ、3つ合わせればお姉様でもそう簡単に抜けはしない。なんせ、動きが鈍くなって、麻痺して、凍ってしまうから。自分に試したら本当に動きずらくて10分くらいその場で倒れてたし、間違いはない。

 

「そろそろ口も動かせないかな? じゃぁ、行ってきますっ! どうしても、お姉ちゃんを止めたいの」

 

 そう言い残して、その場を後にする。地下で蠢く、危なくて安心できるお姉ちゃんの魔力を辿り、地下へと向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 地下の扉を開け、中を覗く。いつか見たお姉ちゃんの姿がそこにはあった。苦しそうに床に敷いてあるカーペットを握り、声を殺して唸っている。辺りでは食べ物なのか自分なのか、とにかく真っ赤な血が水玉を作っていた。私が部屋に入ってもお姉ちゃんは気付いてないようで、ただただ苦しそうにしていた。

 

「⋯⋯お姉ちゃん?」

「てぃ、ティア⋯⋯? わあぁ、ティアァ⋯⋯!」

 

 まるで辛そうな子どもが安心した時のような震えた声。全身に絡みつくような、そんな背筋が凍りそうな感じがその声からはする。嫌な予感を感じるも、私はお姉ちゃんへと近付いて行った。

 

「お姉ちゃん⋯⋯大丈夫?」

「ティア、ありがとうネ。私の元へ来てくれテ。オネエサマは、いっつモ来てくれナイ。⋯⋯だから、ティア。アナタだけは、離さナイ!」

 

 その宣言と同時にお姉ちゃんは紅い剣を召喚する。レーヴァテイン、炎の剣だ。その剣からは妬ましいほどの大きな魔力と、何か魅力的な力を感じる。悪魔らしい、狂ったような力。今のお姉ちゃんからはそれを感じ取ることができる。

 

 それにしても、言動が一致していないのは気のせいかな。「離さない」と言ってるのに、剣を出してるんだけど。やっぱり、物理的に止めるしかないのかな⋯⋯。それなら、仕方ない。お姉様が今止めても無意味なことを言ってたけど、本当はどうなのか。それは私自身の目で見ることにする。

 

「分かった。お姉ちゃん、遊ぼっか。裂奪『血肉奪い斬る剣(リジル)』⋯⋯剣術だとお姉ちゃんには敵わないけど、私⋯⋯頑張るね!」

 

 剣を真っ直ぐと、大好きなお姉ちゃんに向けてそう言い放つ。今のお姉ちゃんには何を言っても無駄らしいけど、私はこれもお姉ちゃんの1つの側面だと思っている。だから、嫌いはしない。でも、やっぱり私は⋯⋯優しいお姉ちゃんの方が大好きだ。

 

「アハハハ! しっかり受けテネ!?」

「くぅっ──!」

 

 お姉ちゃんがレーヴァテインを大きく振りかぶって来るも、それをリジルで受け止める。だけど、力の差が大きいのか受け切ったはずなのに手が痺れた。感覚が一瞬だけ無くなる。

 

「う、うん! 頑張るっ!」

 

 それでも、狂化したお姉ちゃんでも、傷付けたくはないから精一杯に無事を装う。

 

「ワタシを、楽しマせテ!」

「あぅっ⋯⋯っ!」

 

 それを見て大丈夫と受け取ったお姉ちゃんが二度三度と剣を振るも、大雑把だから受けることはできる。でも、受ける度に手が痛み、お姉ちゃんとの本当の力の差に妬みと憧れを隠し切れない。

 

 それからも剣は火花を散らして激突する。騙し討ちと言わんばかりにルーン魔法を混じえて攻撃するも、ルーン魔法は全て見抜かれて使う前に破壊される。それでもめげずにルーン魔法を使い続け、お姉ちゃんの隙を伺い続けた。

 

「あ、はあ、はぁ⋯⋯!」

 

 が、そんな隙を一切見せず、圧倒的な力の差で、ただただ私が追い込まれいく。だけど、始終私の方が劣勢でも、その剣を身体に受けることはなかった。全て受けるか躱すかを繰り返していた。もちろんそれを良しとするお姉ちゃんではなかった。

 

「あハッ! 飽きたから次ね! キュッとして⋯⋯ドカーン!」

「え──わっ!?」

 

 その刹那、私の剣が破裂し、砕け散る。その破片が身体に刺さり、傷が痛む。

 

 でも、何故かお姉ちゃんは自分の剣も消してしまった。私は必死なのに、お姉ちゃんは本当に遊んでいるだけなんだ、と改めて実感する。力の差が開きすぎていることを体感する。姉と妹、たった5歳の違いでもお姉ちゃんは私より何倍も強いと理解する。

 

「ティア、スキッ!」

「え? あ、え?」

 

 突如として押し倒され、いよいよ理解が追いつかない。さっきから言動も一致しないし、行動も理解を超える勢いだから本当に今更なんだけど。それでも押し倒し、抱きしめての拘束をするのはいつものお姉ちゃんと同じだから、その時は本当に狂化しているのか不審に思った。

 

「じャ、気持ちいイことしてアげル!」

 

 ──次の瞬間、腕を引きちぎられるまでは。

 

「あ、あァァァァァ──!! あ、はぁ⋯⋯っはぁ⋯⋯!」

 

 痛みに全身が支配される。前に狂化した時は破壊されたから一瞬だったけど、拗じるようにして引きちぎられた今回の痛みはその比じゃない。脳に直接、痛みという信号が絶えず送られてくる。もがこうとしても、馬乗りになったお姉ちゃんが邪魔して動けない。ただひたすら、私は手を抑えて痛みに震えることしかできなかった。

 

「痛イ? ううん、気持ちイイよネ!」

「いや⋯⋯イヤイヤイヤ! お姉ちゃん⋯⋯助けて⋯⋯!」

「大丈夫⋯⋯。痛みも少しシタら、快楽に変ワるカラ!」

「や、ヤメ⋯⋯アァッ! あ⋯⋯っ」

 

 爪で掻き回すように傷口を抉られ、痛みで頭がおかしくなりそうになる。

 

 でも、その僅かに残った理性を、消えないようにお姉ちゃんは留めてくれた。お姉ちゃんが視線の端で、私の腕を美味しそうに噛み付いていた。嬉しそうに傷を抉りながら、そこから溢れる血を舐めているのを見て、なんだか私も嬉しくなる。多分、知らずにそうしているんだけど、私はそれを見て理性を保つことができていた。

 

「あ、ハハ⋯⋯! ハハハハハ!」

 

 私はあまりの嬉しさに笑いが止まらなくなった。お姉ちゃんが私を美味しそうに食べてくれたから。それは正しく相思相愛であるということ。お姉ちゃんが私のことを、心の底から愛し(食べ)てくれたということ。私はそれが知れて、とてつもなく嬉しくなった。幸せになることができた。

 

「どウ? ティアも気持ちイイでしョ?」

「ううん、嬉しいの! お姉ちゃんが私のことを愛し(食べ)てくれたから!」

「⋯⋯? そっカ、良かっタ!」

「そういうことだから⋯⋯いいよね?」

 

 だから、今度こそ⋯⋯私もお姉ちゃんを愛そ(食べよ)う。

 

「え──ッアァァァ!!」

 

 そう思って、精一杯力を振り絞り、お姉ちゃんの首筋に噛み付いた。そして、喰いちぎり、肉を飲み込む。血が喉を潤し、肉は舌を潤す。思っていた通り、お姉ちゃんの肉は美味しい。柔らかくて、人間よりも旨みがあって、尚且つお姉ちゃんの力も伝わってきた。要は、栄養だけでなく魔力も妖力も筋力も、能力でさえもお姉ちゃんから貰うことができた。

 

 そこで初めて気付いた。私は、お姉ちゃん達の能力を取れないわけではない。心から祈れば力を吸収できるし、食べることによっても貰うことができる。いつもは好きすぎて無意識に能力を控えていただけで、実際は誰からも奪うことができると気付くことができた。それでも、いつも通りなら自然と奪うことはないだろうけど。

 

「てぃ、ティアァァァァ⋯⋯!」

「お姉ちゃん、ごめんね。これが私の愛情表現なの。だから、受け入れて。私のことが愛してくれるなら、私をいっぱい食べて。私もお姉ちゃんのことをいっぱい食べるから」

「え? 愛情、表現⋯⋯?」

 

 お姉ちゃんはまるで知らない言葉を聞いた時のように頭を傾ける。ううん、実際に知らないのかもしれない。今のお姉ちゃんはいつものお姉ちゃんじゃないから、記憶を共有していない可能性は充分に有り得る。だから、恐らくは本当に愛情表現というものを知らないのかもしれない。

 

「そう、愛情表現! 私がお姉ちゃんのことを好きだって示す表現! だからね、愛し(食べ)合おう?」

「食べ、愛し⋯⋯ワタシはティアヲ⋯⋯食べれば、愛し合えル?」

「うん! いつものお姉ちゃんも好きだけど、()()お姉ちゃんも好きだから!」

 

 それを言うと、狂化したお姉ちゃんが珍しく顔を真っ赤にして嬉しそうに微笑んだ。そして、狂気に染まった瞳を爛々と輝かせ、私の首に噛み付いてくれた。肉を貪られ、痛みはお姉ちゃんの言う通り快感へと変わる。血の温もりが首から伝わってくる。そして、首から顔を離し、再びお姉ちゃんは私の肉を飲み込んでくれた。

 

「──ティア! フランドール!」

 

 と、その時、その終わったタイミングを見計らったかのようにお姉様がやって来た。手にはグングニルを持ち、顔は怒りと心配に満ちている。

 

「それ以上はやめなさい。いつものフランが戻れなくなるわよ?」

「──え?」

「邪魔を、しないデっ!」

 

 お姉ちゃんはお姉様の姿を見ると急に飛び上がり、剣を持ってお姉様へと襲いかかる。

 

「⋯⋯ごめんなさい、フランドール」

 

 が、いとも容易く受け流され、お姉ちゃんは剣を弾き飛ばされる。そして、槍の棒の部分で頭を強打され、お姉ちゃんは膝から崩れ落ちる。

 

「あ、はぁ⋯⋯っ。オネエサマ⋯⋯」

「本当に、ごめんなさい。私じゃアナタを救うことはできない。抑えることしかできないの。今は、これで許して」

「⋯⋯えェ?」

 

 お姉様はそう言って、倒れそうになるお姉ちゃんを優しく抱きとめる。お姉ちゃんはその対応が予想外だったのか、驚いた顔をしていた。

 

「だから、今は眠ってちょうだい。そして、フランは起きなさい。みんな心配してるから」

「オネエ、サマぁ⋯⋯」

 

 そして、お姉ちゃんは静かに眠りにつく。先ほどまでとは全く違う、安らかな笑顔で。

 

 お姉様はそのお姉ちゃんをお姫様抱っこして抱え上げ、次に私の方へと目を向ける。

 

「⋯⋯ティア? 私の言いたいことは分かるわね?」

「うっ、はい⋯⋯。ごめんなさい⋯⋯」

「⋯⋯はあ。全く、本当にどうしようもない妹だわ」

 

 お姉ちゃんを抱えたまま、お姉様がこちらへと近付いてくる。怒られると分かっていても、傷が痛んで動けない。血が足りないから動こうとも思えない。徐々に近付く足音に、私は殴られることも覚悟して目を瞑る。

 

「もう、本当に⋯⋯聞き分けのない悪い娘。これ以上怪我するようなことがあれば、次は許さないんだから」

 

 が、頭に優しく手が触れたのを感じた。──そう、お姉様は私のことを撫でてくれたのだ。

 

「⋯⋯怒らないの? 殴らないの?」

「怒ってるわよ! でも、殴るわけないじゃない。どうしてそういう発想になるのかしら?」

「お姉様、ごめんなさい。ごめんなさい⋯⋯ごめんなさい⋯⋯!」

 

 安心したせいか、どういうわけか涙が溢れ出てくる。辛い思いをしたわけでもないのに、悲しいことがあったわけじゃないのに。それなのに、私はお姉様を見て安心し、泣いてしまった。怒られると思っていたのに許されたことで安堵したのが原因かもしれない。

 

 でも、それよりも⋯⋯今はお姉様を直に感じたい。そう思って、無理に身体を動かし、お姉様へと抱きついた。お姉ちゃんとはまた違った、優しい温もりを感じる。

 

「き、傷は大丈夫なの?」

「ぐすっ⋯⋯うん、大丈夫。すぐに治るから」

 

 痛みを感じながらも、無理矢理再生力へと力を回す。すると、瞬く間に首も腕も再生していき、数秒後には腕が元通りの状態に戻っていた。血だけが服に残るも、怪我をしていたとは思えないほど綺麗な肌に戻っている。

 

「へぇー、早いわね。まあ、詮索はしないわ。何となく分かるから。さあ、とりあえず服だけは着替えきなさい。フランは私に任せていいから」

「⋯⋯うん、分かった。お姉ちゃんをお願いね、お姉様」

 

 それだけ話し終えると、私はその場を後にする。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「意外と早かったわね。もう使いこなしたの?」

 

 次の日。私は用意された魔法を使い、1人でウロの家へと向かった。用事はもちろん、次の権能を譲ってもらうため。永続性の次に貰う権能は昨日決めた。お姉ちゃんの狂気を取り除けるような、狂気から解放できるような権能だ。狂化したお姉ちゃんも好きだけど、やっぱり私は優しいお姉ちゃんの方が好きだ。両想いということも知れたし、これ以上狂化して苦しそうなお姉ちゃんを見たくはない。だから、狂化したお姉ちゃんには悪いけど、狂気を奪い、お姉ちゃんから無くすことに決めた。

 

「うん。⋯⋯循環性が欲しい。循環性は無かったことにする力。それで、お姉ちゃんから狂気を無くしたい」

「あー⋯⋯なるほど。そういうこと⋯⋯」

 

 ウロは小さく呟き、悲しそうな目で何処か遠くの方を見つめている。何か思うことはあるのかな。

 

「いいわよ、手を出しなさい」

「うん⋯⋯」

 

 そうしてウロの血を受け、私は新たな権能を受け取った────




読み飛ばした方向けに。

フランが再び狂化→ティアが止めようとする→ティアはフランと相思相愛だということ、能力が奪えることに気付く→長女によって双方止められ、一応は事態は収束する→後日、ウロから新たな権能を受け取る

次回はもう少しほのぼ⋯⋯の? まぁ、ほとんど戦闘回になりますね。新キャラというか、とりあえずそういう人が出ますので
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