東方罪妹録   作:百合好きなmerrick

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今回から3章に入ります。ついでに言うとほのぼのがしばらく消えて、戦闘回ばっかりになります。ご了承ください( *・ ω・)*_ _))ぺこり

閑話のようなというか、完全な閑話の紹介回。この話は三人称視点となります。主人公組が出ないのでご注意を。


第3章「運命変わる数奇な戦い」
20話「美徳な騎士」


 

【西にある島、その島の王様に仕える7人の騎士】

 

 それは、昔誰かが話した事。そして、西欧に住む人間達の最高戦力である。それぞれが『七元徳』の名を冠し、その名に相応しい行動を取り、皆が王に忠誠を誓っている。七元徳とは即ち、謙譲、慈悲、忍耐、救恤、純潔、節制、勤勉の七つの事。七つの大罪に対応する『七つの美徳』の事である。彼らは人間でありながら、例外的に魔法を使用する事を認められる等、様々な特権を持つ主に世襲制貴族で構成された者達である。

 

「吸血鬼様に報告だ! もうこの街は終わりだ!」

 

 スカーレット家の領土、最北端の街。現在、その吸血鬼の領土は人間達に襲われていた。領土の奪還という、大義名分を得た人間達が。

 

 吸血鬼姉妹の長女が予知した時から、ちょうど10年後。長女が75歳の時。いよいよ、運命の分岐点がやって来た。長女は妹を守るために備え、警戒し、これより先を見据えて行動する。故に、その出来事についても感知していなかったわけじゃない。悪く言えば、そう。彼女は妹のために最北端の街を捨てた。人間が殺される事は無いが、眷属達はその限りではない。悟られないように眷属達にはあえて何も伝えず、人間達の好きにさせた。

 

 何故助けなかったのか。その理由は敵にあった。敵が、その七元徳の騎士達だったのだ。西の島に住む王はスカーレット家を含む吸血鬼達を脅威とし、万全の体制で攻め込む事を決めた。妹を想う長女はもしもの時の事を考え、1人で攻める事をせず、根城で構える事を選んだのだった。

 

「吸血鬼様に栄光あれ! 人間達に死を! ──ぐぁっ!」

 

 支配下に置く街を侵略された眷属達も黙っていたわけではない。しかし、相手が悪かった。眷属は抵抗する間もなく、その者にナイフで首を掻っ切られて膝から崩れ落ちた。

 

「邪魔です。道を開けなさい」

 

 謙譲の騎士。メイドのような格好をした王に仕える名も無き女性。その役職こそが名前だと話す。本来の職業も王に仕えるメイドであり、その白銀の髪と美しくも強かな姿から、人間達の間では人気が有るとか無いとか。彼女の戦う姿を見た者は、あまりの手際の良さにか、彼女が何をしたのか分からなかったと話す。

 

「人間なんぞにやられ──っ!?」

「⋯⋯街の制圧、そろそろ完了しそうですね」

 

 敵を目前にしても落ち着いた様子で対応する白髪赤目のアルビノの少女騎士。名前をグレイシア。先代が失踪した結果、15歳という若さで特攻隊のリーダーを継いだ慈悲の騎士。まるで氷のように表情を変えず、得意の剣と自身の『敵を凍らせる力』を使い、人間離れした力を見せる。相手に苦痛を与えずに殺す事を慈悲と考え、実行しているらしい。

 

「グレイシアさん、後は俺が引き継ぎます。貴女は次の戦闘に向けて、ゆっくり休んでいてください!」

 

 慈悲の騎士を気にかける赤髪の男性。忍耐の騎士。名前をジョンソン・ネヴィル。美徳の騎士の中では、慈悲の騎士に次いで若い騎士であり、他人を気遣う優しさと、敵に屈しない強靭な意思を持つ。さらにはその名に相応しい能力を持っているためか、その若さで忍耐の騎士という称号を受け取った。

 

「⋯⋯大丈夫です。まだ動けますから」

「そ、そうですか⋯⋯」

「若いのは良いですなぁ。しかし、無理は禁物ですぞ。お二人とも」

 

 白い髭が似合う白髪の老騎士。救恤の騎士。名前をウィル・ドラモンド。美徳の騎士一の老騎士であり、年齢は50を超えるという。しかし、騎士であり武術家でもありながら、後方支援に徹するという不思議な男性である。

 

「ここでの戦闘は間もなく終わる。次に備えて、ヨーコ様の元へ戻りなさい。万全を期しましょうぞ」

「いいえ、戻る必要はありません。そろそろ呼ばれるかと思いまして、来ましたよ。さぁ、私の奇跡で傷も心も癒しましょう」

 

 金色の長髪を持つスタイルの良い女性。純潔の騎士。名前をヨーコ・スペンサー。美徳の騎士で唯一回復の奇跡を扱える者である。東の国とのハーフらしいが、その容姿は欧米に相応しいものとなっている。見た目は20代後半の、所謂(いわゆる)大人の女性だが、本当の年齢は誰も知らない。純粋な優しさと妖艶(ようえん)なその容姿は、意図せずとも街の人間達を惑わすらしい。

 

「ヨーコ! こんな場所に居たのか。オレのワイバーンも治してやってくれ!」

 

 飛竜(ワイバーン)に乗ってやって来たのは、金髪の短髪と赤い目を持つ30代前後のガタイの良い男性。節制の騎士。召喚魔法でワイバーンを召喚し、自由自在に操る事ができるらしい。それ故に、竜騎士だけで構成された竜騎兵(ドラグーン)のリーダーも務める。いつも特攻隊以上に特攻するが、仲間思いで危険になる前に適度に行動を慎む事も多い。

 

「慌てない慌てない。さぁ、ワイバーンちゃん。今傷を癒しますからね。⋯⋯そこの貴女も、一緒に治してあげます。それにしても、最近頑張り過ぎですよ。幾ら仇敵が近いとはいえ、それまでに死んでしまっては意味がありませんから」

「⋯⋯いえ、私は大丈夫です。もうすぐ、もうすぐでお母さんの仇を討てるんですから。それまでは、絶対に倒れるわけにはいきません」

 

 最後の美徳の騎士、勤勉の騎士。その称号通り、勤勉の騎士だけは唯一貴族ではなく、努力だけでのし上がれる美徳の騎士だ。故に、貧困層や農民等、貴族では無い者でも例外的に美徳の騎士になる事ができる、唯一の騎士である。そして、彼女もまた、血の滲むような努力でこの称号を得るまで上り詰めた。紫色の長髪を持つ20代の女性騎士。10年をかけて属性魔法を覚え、剣術を磨き、憎悪と復讐したい一心で彼女は今ここに立っていた。美徳とは言えないその心を持ちながらも騎士になれたのは、その勤勉さがあったからに他ならない。今にも爆発しそうなその闇を抱えながら、彼女はただ、復讐だけを望んでいた。

 

 そして、その街での戦闘が終わった後。彼女はただ1人、10年前に母親を殺した吸血鬼の居る館の方角を見つめていた────




オリジナル要素出し過ぎて、もはやこの話だけただのオリジナルだなぁ(

なんか申し訳ないので、今日はもう一つ投稿しておきます○┓
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