東方罪妹録   作:百合好きなmerrick

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今回は微量な戦闘回があります。ちなみにR15関連は無いです(

誰と誰かは⋯⋯まぁ、下見えてるかな(
では、どぞ


23話「色欲な悪魔」

 ──Hamartia Scarlet──

 

 お姉ちゃんに言われて顔を洗った後、すぐにお姉様の元へと行こうとした。だけど、行かなかった。理由は、ただ嫌な予感がしたから。

 

「やっと、2人きりになれたんですから」

「うわぁーっ。誰かヘルプー」

「ん──」

 

 嫌な予感がしてお姉ちゃんの場所に戻ったら、何故かじっと立ったままのお姉ちゃんと、それに近付くメイドちゃんが居た。明らかに普通の雰囲気じゃなかったし、お姉ちゃんが助けを求めてた。

 

「お姉ちゃんから、離れろっ!」

「え? わっ!?」

 

 だから、部屋に入ってその光景を見た私は、メイドちゃんを蹴り飛ばし、物理的に距離を開けた。

 

「あ、動ける。ありがと、ティア」

「うん、いいよ。⋯⋯お姉ちゃんに何の用?」

 

 爪を露わにして、メイドちゃんを警戒する。メイドちゃんは何事も無かったかのようにゆっくりと起き上がると、真っ直ぐとこっちを見た。

 

「秘密ですよー。特にティア様⋯⋯じゃなかった。もういいよね? ⋯⋯ティアちゃんに話したら殺されちゃうよ」

「なら殺すね。痛くする? 酷くする? どっちか選んで良いよ」

「どっちも嫌ね。逆にどっちか選んでもいいよ? その後にゆっくり、私はフラン様を好きにするから」

「お断り。私以外にお姉ちゃんは奪わせない! 裂奪『リジル』、加えて太陽(シゲル)。手加減はしないから。加速(ウル)勝利(ティール)!」

 

 愛剣を召喚し、そこに太陽(シゲル)の炎を加えてお姉ちゃんの『レーヴァテイン』のように剣に火を灯す。さらには身体能力の強化魔法も使って、ただ真っ直ぐメイドちゃんに剣を向けた。

 

「やっぱ怖いねー、ティアちゃんは。ま、少し気絶してもらうよ。大丈夫、死にはしないから。さ、お楽しみの時間よ。苦痛に泣き叫べ!」

 

 メイドちゃんは隙間が無いように球状に数多の魔力弾を展開し、無差別に撒き散らす。そこから感じる魔力は強力で、一切の加減を持たない。1つでも当たれば、そこから連鎖するように何発も当たるかもしれない。だけど、避けれそうな隙間は無いし、たとえあったとしても避けたら後ろに居るお姉ちゃんに当たる。

 

「あ、これ私の安全とか考えられてないや。ティア、お願い」

「うん──はぁっ!」

 

 だから、私は守るようにしてお姉ちゃんの前に立つ。そして、思いっ切り剣を振って、魔力弾をかき消しながら進んだ。魔力弾の速度よりも剣を振る方が早いから、適当に振りながら進んでも当たる事は無い。

 

 数秒足らずで間合いに入った瞬間、そのままメイドちゃんの首を斬るつもりで、剣を横に薙ぎ払った。

 

「うわぉ。凄い凄い。はい、お終い」

「えっ⋯⋯あ、れ?」

 

 そう言って、メイドちゃんは指を鳴らした。

 

 確かに斬ったはずだった。だけど、その剣はメイドちゃんの首に当たる事無く、残り数cmのところで静止した。何かに当たって止まったわけじゃない。ただ、私が動きを止めたから、剣も止まっただけ。どうしてか、私は動く事ができない。指1本も動かせない。

 

「あ、メイドちゃん、まさか⋯⋯」

「はい、そうですっ。先ほどフラン様にしたみたいに、ティアちゃんの動きも止めちゃいました! あ、動こうと思っても動けませんよ? これでも一流の悪魔。ネタはバラせませんが、今の貴方達みたいにそれほど魔力に差が無い方相手に、破る事はできませんっ」

「くっ、このっ⋯⋯! うぅ⋯⋯!」

 

 幾ら動こうとしても動く気配は無い。いや、むしろ動こうとすればするほど、動けなくなってる気がする。多分、錯覚なんだろうけど。

 

「さぁて。どう調理しようかな。ティアちゃんもフラン様に似て可愛いから、傷付けたくないな。それにフラン様に嫌われたくないし⋯⋯」

「メイドちゃん、ティアに手を出したら⋯⋯」

「悪いようにはしないですよ。ただ──」

 

 妖艶な雰囲気を出しながら、止まってる剣を避けてメイドちゃんが近付いてくる。そして、撫でるようにして私の頬に触れた。

 

「──気持ち良い事してあげるだけだから、ね? 気を楽にして良いよ? 余興として遊んであげる」

「はぁー⋯⋯ウザい。いい加減に、しろっ!」

「え? ⋯⋯あ、あれぇ?」

「さぁ、これで貴女も動けない。大人しく私の拘束を解いて、降伏しよ?」

 

 油断して手を触れたのがメイドちゃんの運の尽き。私を止めている力を奪い、逆にメイドちゃんの動きを止めた。何故か能力を受けてる状態での強奪が無理で、手が触れてる状態でしか奪えなかったから、近付いてくれて嬉しい。だから、お詫びに⋯⋯生かしてあげよう。『死』以外での苦痛を与えよう。お姉ちゃんを私から奪おうとした罪だ。

 

「はははー、降伏したら絶対死ぬじゃないそれー。⋯⋯それに、貴女もまだ動けないよね?」

「ん⋯⋯安心して。動けない事も無い」

「なっ⋯⋯!」

 

 循環性を使い、使われた力の効果をゼロに戻して無力化する。流石に権能の力は効くみたいで、自由に手足を動かせるようになった。剣も問題無く振れるし、これでようやく首を落とせる。あ、ダメだ。生かす事に決めたから、四肢だけにしよう。

 

「さぁ、逝こっか。はぁっ!」

「す、ストップ! ⋯⋯よし」

 

 腕を落とそうと剣を振り上げた瞬間、再び動きを止められた。だが、当たり前のように循環性の権能を使って『無かった事』にする。再び動けるようになった私は、チラリとメイドちゃんの方を見た。

 

「⋯⋯不毛だよ。潔く死なない? あ、違う。切り落とされない?」

「うん、それって同じだねー? っていうか、私の能力使ってるっぽいのに、原理とか分かってないみたいね。子どもで良かった」

「⋯⋯やっぱりウザいから、死ねっ!」

「お断り!」

 

 首を切り落とそうとしても何かの力で止められる。私もただ念じただけで使える力みたいだし、簡単には殺せない。殺そうとしても力で止められる。なら、一層の事、循環性を使って本当の意味で能力を強奪するのも良いかもしれない。というか、実際そうした方が良い気がしてきた。お姉様が呼んでるから、ずっとここでメイドちゃんと戦うわけにもいかないし。

 

「あー⋯⋯ティア、もうやめて良いよ」

「え? ⋯⋯でも、この娘、お姉ちゃんを取ろうとした」

「そもそも私は誰の物でも無いからね? ま、ティアなら別に良いけどさ。とにかく、メイドちゃんを離してあげて。本当に不毛な戦いだし、何より終わらせないとお姉様を待たせちゃうから」

「⋯⋯分かった」

 

 私が奪った能力を『無かった事』にした瞬間、拘束が解かれたメイドちゃんは、糸が切れた人形のようにその場で膝をついた。そこへ何も言わずにお姉ちゃんが近付き、メイドちゃんの胸に手を触れた。

 

「私の質問に正直に答えてね。嘘ついたり、変な事しようとしたら迷わず貴女の心臓を破壊する。もう目は握ってあるから、後は本当に私のさじ加減だよ」

「⋯⋯フラン様、積極的ですねぇ。私、そういうところも好きですよ?」

「あぁ、はいはい」

 

 凄く殺意が湧く発言にも、お姉ちゃんは適当にあしらって質問を続ける。私なら、絶対に首の1つくらいは落としてた。やっぱり、お姉ちゃんは優しい悪魔だ。

 

「で、もしかしなくても、女淫魔(サキュバス)だよね。サキュバスって物理的攻撃が効かないのも存在するらしいし。それに、大罪に関係ある悪魔で今の私達と同格って言ったら、名のある悪魔以外になるよね? それだと色欲代表のサキュバスくらいしか知らないから。ついでに言うと、私の事好きみたいな話ばっかりしてるし」

「⋯⋯隠す意味無いですね。はい、そうですよ。私はサキュバスです。何故この翼を持っててバレなかったのか不思議ですよ」

 

 言われてみれば確かにそうだ。初めて見たのはお姉ちゃんと会った時。という事は、お父様が妖精メイドとして雇ったという事だ。お父様も吸血鬼だから、普通なら気付かないはずが無いのに。メイドちゃんが隠蔽系の魔法を使ってた可能性は大いに有り得るけど。

 

「さて、フラン様の顔に免じて、本当の事も話しましょうか。知っての通り、私は妖精じゃないです。私の本名はコア・ラクスリア。色欲の生物であるサキュバスです。気軽にコアかリアとお呼びください。フラン様に限り、アナタ、とかでも⋯⋯」

「調子に乗らない。どうして私の事が好きになった? いや、本当に好きなのか知らないけど」

「もちろん好きですよ! 見ての通りサキュバスな私ですが、小さい時からフラン様にお仕えして、仕草から口調まで、何から何まで本当に可愛くて、成長したら性的な意味で食べようかと──」

「ストップ! ⋯⋯それ以上話したら、死ぬからね? 物理攻撃効かないと言っても」

 

 お姉ちゃんはこちらをチラリと見てそう言った。私もそろそろ感情のコントロールができなくなってきた。これ以上メイドちゃん⋯⋯いや、コアがお姉ちゃんに関する何かを言えば、爆発しそうだ。

 

「あー、なるほど。凄い殺気ですもんね」

「⋯⋯ん? っていうかさ、どうして紅魔館に来たの? 最初は私目的じゃなかったんでしょ?」

「はい、最初は安全な場所を求めてですよ。今の時代、悪魔には生きづらいですから。より強い悪魔の側で隠れ忍ぶ事は、下級、中級悪魔にとっては1番の安全策なので」

「ふーん、大変なんだね。で、私の動きを止めた力って何?」

「⋯⋯私の事を殺さないと約束するなら話しますよ。ついでに、一生お仕えする権利も貰えれば」

 

 メイドちゃんはチラリと私を見て、再びお姉ちゃんの顔を見つめる。私が怒るとでも思ってるのかな。合ってるけど、そこまで疑われるなんて心外だ。

 

「ま、いいよ。その代わり、ティアに手を出さないでよ? 出したら殺すから」

「ええ、もちろんですよ。フラン様には良いんですよね? それならもう、全然」

「私に手を出そうとして、ティアと喧嘩するとこまで見えた。とりあえずティアにさえ手を出さなかったら何でも良いよ」

「分かりました。では、私の能力の秘密を。⋯⋯これです」

「え? ⋯⋯あ、目?」

 

 メイドちゃんはそう言って、お姉ちゃんに自分の目を見せる。さっきまで気付かなかったけど、確かにその赤い瞳から微力ながらも魔力を感じる。という事は『魔眼』と呼ばれる物なのかな。

 

「はい、そうです。視認した相手の行動を止める魅了の魔眼です。便利な物ですよ。目を合わせなくても、私が一方的に見るだけで止まってくれますから。ただ、魔力差が大きいと弾かれますけど」

「あー、だから、()の貴方達云々って言ってたんだ。納得ー」

「ちなみにサキュバスらしい能力もありますが⋯⋯おや?」

 

 突然上から何か大きな音が聞こえ、話を中断して、みんなが上を見上げる。それに、少し揺れた気がする。いつも聞こえるような音じゃなかったし、明らかに普通じゃない。

 

「今、上から音したよね?」

「⋯⋯あ、お姉ちゃん。人間!」

「あー。やばっ、話長過ぎた! メイ⋯⋯コアちゃん、一時休戦!」

「はいはーい。私としてもここは守りたいので、一緒に戦いますよー。終わったら、楽しい事しましょうね?」

「お断り。さ、部屋の中だからルーン使えないし、もしかしたらお姉様の危機かもしれないから、急いで行くよ!」

 

 そう言われてお姉ちゃんに急かされ、私達は地上へと急いだ────




これが終わったら、裏設定のとランク表増やしとこうかなぁ。

あ、ちなみにしばらくは戦闘回です故。ではまた次回お会いしましょう。
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