最近オリジナルやらレミフラやらに手を出し始めちゃったrickです⋯⋯。
それでもこの作品は今年の間に終わらせるつもりですので、気長にお待ちいただけると嬉しいです。
では、お暇な時にでも続きをどうぞ
──Hamartia Scarlet──
お姉様と一緒に戦いたい。そんな希望を真剣なお姉様に言えるはずもなく、お姉ちゃんとコアと一緒に紅魔館の南側へとやって来た。本当の方角は微妙にズレてるから、どう見て南側なのか分からないけど、とにかく南側らしい。多分、門を北と例えてるんだと思う。それで、門の反対側にあるから南になった。
まぁ、そんなのはどうでもいっか。過ぎた事を言っても何も変わらない。今ある事に、今できる事だけに集中しよう。それがお姉様やお姉ちゃんのためになるんだから。でも⋯⋯そのついでに、ちょっとだけ楽しもうかな。
「お姉ちゃん! 見て見て! またやったよー!」
「うん、上手! でも、気を付けてよ? まだまだいっぱい居るんだから」
「うん、分かった! リジル⋯⋯さぁ、みんな。遊ぼー!」
「私はフラン様と遊びたいですねー」
お姉ちゃんと一緒に、自由気ままに人間を狩っていた。コアはいつもの調子で、お姉ちゃんの周りをうろちょろしてる。戦わないならどこか別の場所で戦ってほしい。私とお姉ちゃんの仲を邪魔するみたいで嫌だから。
鬱憤を晴らすために、お姉様の戦う姿を想像しながら槍を投げ、お姉ちゃんを見ながら剣を振るう。見様見真似だから上手くできてる気はしない。だけど、それでもお姉ちゃん達のように強くなれた気はするから楽しい。
「そこまでだ! 吸血鬼! いや⋯⋯北欧の吸血姫という呼び名らしいな。⋯⋯あの時の金髪の吸血鬼も居るのか」
「んー? だぁれ? ⋯⋯あっ! 昨日の竜さん!」
「私無視られてますねー。妖精ですし仕方ないですけどー」
目の前に現れたのは昨日出会った竜に乗った節制の人こと金髪の騎士だった。昨日は何故か竜も死んじゃったけど、今日こそは捕まえたい。もし乗り手を殺せば竜も死んじゃうなら、その時は諦めてウロを食べる事にする。やっぱり、食べ物は
「⋯⋯ティア、コア。下がって」
「え、ですがフラン様」
「いいから。⋯⋯結構前に会った竜使いか。そういや、昨日も見たかな。妹に手を出してたみたいだけど、死にたいの? なら今ここで殺してあげるよ。前みたいに食べ物に気を使う必要無いしね」
珍しくお姉ちゃんが怒ってる気がする。私を腕で制して下がらせたから、顔は見えなかったけど。でも、周りの空気が溢れ出る魔力で歪んで見えるし、明らかに怒ってるんだろうな。
「ふんっ、減らず口を⋯⋯。今回はオレだけではない! 今回は最強の助っ人が付いてるからな! 見よ! 我らが騎士の1人、奇跡を使うヨーコだ!」
「はい、ご紹介にあずかりましたヨーコで〜す。そっちの娘は昨日ぶりですね〜」
「⋯⋯おや、敵が増えましたね。どうしましょうかー」
目の前に現れた金髪の女性は、お姉ちゃん達とは似て非なる凶悪な空気を醸し出してる。とても危険で、やな気配。お姉ちゃん達のためにも──早く殺して、消さないと。
「あらら。殺気が溢れ出てますよ〜?」
「リジル、ルーン。敵だから穿ち斬る。それ当たり前だよ?」
剣と槍を作り出して特攻しようと翼を広げたと同時に、お姉ちゃんに手で抑えられた。せっかく攻めようとしたところで邪魔されたから、ちょっとだけムカつく。お姉ちゃんの事は好きだから、それで嫌いになんかならないけど。
「ティア、あまり前出ちゃダメだからね? 私が守るってお姉様と約束したんだから」
「イヤー。私も戦えるもん! お姉ちゃんこそ、後ろに居て良いよ?」
「へー、なっまいき。ま、別にいっか。守りながら戦うとか難しいんだよねー」
そんな事を言いながらも、私を止めないお姉ちゃんが好き。お姉ちゃんはいつもの身の丈程の燃える剣を作り、両手で構えた。相手は2人と1匹でこっちは2人。数では負けてるけど、私とお姉ちゃんに敵う敵なんていない。
「では、私は回復という名の後方支援担当ですので。戦いは任せましたよ〜。最悪の場合、奥の手も用意してますから〜」
「おう! 覚悟しろよ、吸血姉妹!」
竜は勢いづいて滑空し、まるで1本の矢のように猪突猛進で突進する。
「あ、その呼び名は好みかも。お前は嫌いだけどな!」
対するお姉ちゃんはカウンターを狙ってか、その場から動こうとはしない。それどころか、まるで守るようにして私の目の前に浮かんでいた。
「お姉ちゃん! 私も──! ⋯⋯お姉ちゃん?」
「ど、どうしたんですか?」
お姉ちゃんは私の声にも反応しない程集中して、剣を真っ直ぐと構えて微動だにしない。それどころか目を瞑って、まるで剣の達人のようだ。剣に関しては半人前と自称してるのに。
「ふははは! 諦めたか! 死ねぇ!」
「──ここっ!」
お姉ちゃんは剣を振り下ろした。まだ竜に剣が届くはずの無い距離で。
「本当に諦めたらしいな! それともばっ⋯⋯なぁっ!?」
だけど、その剣は竜に届いていたらしい。竜の頭は真っ二つに割れ、まるで焼かれたように僅かに黒い煙が出ている。一瞬だけ見えたのが間違いないなら、お姉ちゃんの剣が伸びたみたいだ。
「⋯⋯目を瞑って集中した方が魔力って鮮明に見えるんだよね。私だけかもしれないけど。さ、落ちよっか」
お姉ちゃんが竜に微笑みかけた。羽ばたく事をやめた竜は、真っ逆さまに落ちていく。乗っていた節制の人も驚いた顔で一緒に落ちていった。
が、それも僅か数秒だけの事だった。
「も〜。世話が焼けますね〜」
節制の人は空中で金髪の女性に受け止められる。今回は前回みたく意識を失ってないみたいで、お姉ちゃんの方を睨み付けていた。コアもそれに気付いたのか、凄い形相で睨んでいる。⋯⋯それは多分、私も同じかな。
「あーあ。今なら楽に死ねたのに」
「⋯⋯ふははは! これで終わった思うな! 吸血鬼め! 今回ばかりは前回のようにはいかん!」
無様にも抱かれながら私達と同じ高さまで戻ってきた。今回も前回みたいに落ちていったくせに、何を言ってるんだろう。放っておいたらお姉ちゃんの事を悪く言うだろうし、一刻も早く消したい。
「あらら。もう出しますか? 確かに、並のワイバーン程度では瞬殺されちゃいますけど〜」
「最早考える余地は無い。ワイバーンで勝てないなら、より強力な竜を出すしかない! 国のため、人間のため。オレ達はこいつらを倒す必要がある! ヨーコ、お前の奇跡を貸してくれ! 新たなる竜を、より最強の竜を召喚して敵を倒すために!」
「了解です〜」
節制の人は懐から魔力の篭った魔導書を取り出した。ペラペラとページを捲り、あるページを見て捲るのをやめる。魔力が魔導書に集中し、金髪の女性の何かの力も加わって強大な魔力の渦へと変容していく。
「──まさかっ! フラン様! 今のあの本は危険です! 早急に奪うか、殺すかしないと──」
「もう遅い! 竜よ! 我が声に導かれ、その姿を現すのだ!」
「私の奇跡も全て使いますね〜。──魔力変化⋯⋯妖力変容」
突如として、空が黒い雲で覆われた。魔導書に金髪の女性が何らかの力を加えると、闇としか表現できない黒いモノで覆われる。そして、少し離れた位置に大きな雷が落ち、目の前が眩い光で満たされた。
「こ、これが奇跡を使って召喚した、今召喚し得る最強の⋯⋯」
「あ、あぁ⋯⋯! 竜です! フラン様、ヤバいですよ!」
「これが本当の⋯⋯竜?」
光が消えた先に見えたのは、大きな赤い竜だった。よく絵本で見る四つ足で、身体以上に大きな翼と長い尻尾を持つ大きな竜。赤い瞳は目が合った者を圧倒する程強く鋭い。竜から感じる魔力や妖力は、私達の比じゃない。その大きさは紅魔館よりは小さくても、私達よりは遥かに大きい。多分、全長70mくらい。翼も合わせればもっと大きいかも。
それを目の前にして、みんなして固まってしまう。動けば死ぬ。そう錯覚する程の圧を感じたのだ。
『我を呼び起こしたのは貴様か? 人間⋯⋯と、お前か』
竜が口を開いた。いや、正確に言えば開いてない。口を開いてないのに、その勇ましい声が直接頭の中に響いてる感じだ。俗に言うテレパシーみたいなものかな。
「はいは〜い。お久しぶりですね〜」
「ヨーコ? この竜を知ってるのか?」
『⋯⋯憐れだな。何も知らずに我を呼んだか。我が名は憤怒の竜、イラ。お前が呼んだのは気分が悪いな。理にかなってるが』
「そんな事言わないでくださいよ〜。ほら、捧げ物もありますし──」
金髪の女性の口元が笑みで歪む。金髪の女性は何の前触れもなく、抱えてた節制の人を竜へと放り投げた。
「──人間も吸血鬼も、関係なく⋯⋯自由に暴れてくださいな」
「よ、ヨーコ!? 何故──っ!!」
節制の人は吸い込まれるようにして竜の口へと入った。入った瞬間に断末魔の叫びが聞こえたと思えば、その声も竜の一噛みで消える。
『不味いな。捧げ物にしては不服』
「ええ、ですから⋯⋯この場にいる全ての者を喰らっても良いですよ? この場にいる全ての生きとし生けるものが貴女への捧げ物ですから。安心してくださいね。この場から離れる事は、私の能力によって封じてますので」
「──っ! ティア、コア。逃げるよ!」
お姉ちゃんの声で我に返り、気付くとお姉ちゃんに腕を掴まれていた。それはコアも同じようで、お姉ちゃんは私達を引っ張り、翼を広げて全速力で逃走する。
「あれはヤバい。本当にヤバい! あるはずの目が⋯⋯目が全く見えないの!」
「目が⋯⋯!? 本当に⋯⋯?」
お姉ちゃんの言葉が本当なのか見ようと振り返る。スクリタの力を通して見た竜は、確かに目らしきモノが見えない。私やお姉ちゃん、コアの目は見えるから、能力に何か不備があるわけじゃない。あの竜の方に何か──
と、その時、竜と目が合った。身体が硬直して動かなくなり、思考も麻痺してきた。
「あ、あぐ⋯⋯っ」
「フラン様! ティアちゃんが! ⋯⋯っ、まさか!」
「何!? どうしたの!?」
咄嗟にコアが私の目を手で覆うと、その硬直も徐々に解け、思考も戻ってきた。
「ぐぁ⋯⋯はぁっ、はぁっ⋯⋯! な、何今の?」
「魔眼です。それも、私より高位の。絶対にあの竜と目を合わせてはいけません。もしティアちゃんが人間だったら、多分、死んでました」
「怖っ! と、とにかく逃げるよ! 幸い、狙いは私達だけじゃないみたいだし」
お姉ちゃんの言う通り、竜は私達を狙おうとはせず、近くに居た人間達を喰らおうと前足を伸ばして踏み潰す。潰された人間は声も上げずに、竜の口へと消えていった。
「でも、どうやら最後にはみんな殺そうとしてるみたいだし⋯⋯まずはお姉様と合流しよう。それからどうするか考えよう。お姉様ならこの異常事態、何かあったと来てくれるはず⋯⋯」
お姉ちゃんの声には確証というよりも願望が込められていた。来るか分からない。だけど、来てほしい。私も同じ気持ちだけど、お姉ちゃんでも敵わない敵に勝つなんて⋯⋯退かせるだけでも良いけど⋯⋯できるのかな。
心配を胸に、私はお姉ちゃんとともにお姉様が居るであろう方角へと向かった────
前回の見直してたら最後だけ雑な感じがする⋯⋯。なので、いずれ直します。
それとは関係無いですが、前回で年越したのに言ってなかったので⋯⋯。
誤字を報告してくださって、ありがとうございます。
最近は無いですが、感想や評価もありがとうございます。
そして、いつも読んでくださって、ありがとうございます( *・ ω・)*_ _))ぺこり
どれも励ましだったり、泣いて喜ぶくらいの喜びを感じてます。これからも罪妹録をよろしくお願いします。では、また次回お会いしましょう。