ティアちゃんの好奇心によりR15要素が生まれましたのでご注意を。それとここぞとばかりに仕返しをする超ドSティアちゃんにご注意を。
さて、夜中にでもごゆるりと。
──Hamartia Scarlet──
戦争から早2年、日常が徐々に戻りつつあった。お姉様の仕事も段々と落ち着いてきて、昔みたいにお姉様に武器の練習を手伝ってもらえる時間も増えた。戦争で傷付いてたらしい紅魔館の修復作業も終わり、ようやく本当の意味での平穏な日々を送れそうだ。
そういうわけで、私は約束していたウロの家に来た。
「ねー、ティア。この家? あの白い竜が居る家って」
何故か、お姉ちゃんと一緒に。
落ち着いてきたとは言え、誰にも心配させないようにウロの家に行こうと思ってた。だけど、食事以外はお姉ちゃんがずっと傍に居て、行く暇が無かった。ようやく隙を見つけたと思って用意された魔法を使うと、行った先にお姉ちゃんが居た。多分、隠れて付いてきたんだと思う。
「⋯⋯なんで知ってるかは聞かない。だから、お姉ちゃんも私に何か聞かないで。聞いても何も教えないけど」
「あれ、ご機嫌ななめだね。そんなに付いてきてほしくなかったの? それとも、私の事が嫌いだったとか?」
「ち、違うよ! お姉ちゃんの事は好きだけど、知られてほしくない事があるだけだから!」
「いや、それもどうかと⋯⋯。ま、年頃だもんね。いいよ、聞かない」
お姉ちゃんが目と鼻の先にまで近付いてくる。その目はまるで心を見透かしてるように見えて、目を見てると逸らしたくなる。お姉ちゃんなのに、見透かされるのは怖い気持ちがある。
「でも、いつか教えてよ。お姉ちゃんだから、
「⋯⋯うん、分かった。もっと大きくなったら、教えてあげるね!」
「何故に上から⋯⋯。いや、元からこういう性格か」
そういうわけで、何も教えないという条件でお姉ちゃんを連れ、ウロの家の扉をノックする。
「ウーローさんっ! 居ますかー?」
「何用だ? ⋯⋯げっ」
家から出てきたのはウロではなく、赤い瞳と髪を持つ女の子。私達よりも一回り小さく、ついでに胸もお姉ちゃん並。瞳は鋭く、髪はお姉様と似たウェーブのかかった短髪。服は白黒の⋯⋯多分、メイド服と呼ばれるもの。でも、妖精メイド達みたいな長いスカートじゃなくて、短いスカートを履いてる。
それに、物凄く赤い顔で固まってる。髪の色も合わさって文字通り真っ赤だ。理由は分からないけど、見てると加虐心を煽られる。こんな感情を知らない人に抱いたのは初めてだけど、とにかく物凄く虐めたい。めちゃくちゃにしてやりたい。
「どうしたー。客かー? ⋯⋯ああ。なるほど。久しぶり、ティア。それにフランも」
「久しぶり。前はちゃんと自己紹介してなかったよね。フランドール・スカーレット。いつもティアがお世話になってるようだから、ありがとうね」
「いえいえ、こちらこそ助かってますので」
「そうなの? それは良かった。で、こっちの赤いの誰? なんか薄々感づいたけど」
お姉ちゃんは赤い娘を指差しながら、ウロにそう聞いた。お姉ちゃんは知ってるみたいだけど、私はこんな可愛い娘を見た事が無い。いや、赤いに関係する人なら知ってる気がするけど。ウロだって人にも竜にもなれるし、私の加虐心も説明つくような人が1人居るけど。
「怒竜イラ。2年前の赤い竜よ。帰る事ができないから、監視ついでにメイドとして雇ってるの。この服もわたしが作ってあげたんだけど、結構似合ってると思わない?」
「あ、うん。やっぱり、あの竜なんだ。尻尾や翼とか、竜っぽいの無いんだね。意外」
「自分の意思で出し入れできるよ。⋯⋯ティア? お触り禁止だからね?」
ウロが横で何か言ってるけど、どうしても気になったのでイラに近付いていく。イラは凄く恥ずかしそうに顔を赤らめ、手で覆っている。お姉様を1度は殺された恨みがあるけど、お姉様が殺さないと決めたからには従うしかない。でも、あの時の仕返しはしたい。だから、加虐心を煽られるんだ。もっともっと辱めて、お姉様を傷付けた事を後悔させたい。
イラは私が1歩近付く度に後退していく。それでも諦めずに近付いていき、最終的に部屋の中に入って、壁へと追い詰めた。
「イラ⋯⋯なんだね。凄く可愛いよ? その服自分で選んだの? ねぇ、顔をよく見せてよ。それが前に言ってた屈辱的な姿なの? とっても可愛いのに残念。私より小さくて可愛いよ。すっごく可愛い。だからさ、手を離してよ。もっと顔をよく見せて?」
「だ、だから嫌なのだ! こんな姿を見せるのは! 誰がどう見たって馬鹿にされるではないか! 我は偉大な竜だぞ! それ以上近付くと燃やす! 絶対に燃やすからな!」
涙目になってまで抵抗するイラだけど、それを見てると逆に加虐心が募る。それに私は知ってる。イラが私達姉妹を攻撃できない事を。だから、イラの言葉はハッタリだ。気にせず突き進んで、その涙でめちゃくちゃになった顔を──
「あー、ティア。ステイステイ。気持ちは分からなくないけど、割とガチで危ない気がするからやめて。わたしは責任とか取れないし」
「う、ウロぉ!」
ウロに進路を遮られ、イラも半泣きでウロの後ろに隠れちゃった。後もう少しだったのに残念だな。でも、あの時の強くて手も足も出なかった竜が、こんな情けない姿になるなんて⋯⋯素敵。殺さなくても、相手が生きてたらこんな仕返しができるんだ。
「泣くな泣くな。偉大な竜なんでしょ? なら泣かないの」
「う、あ、ああ⋯⋯」
「いやー、やっぱり知らない人だったかー。竜と人間でこんなに違うわけ無いもんねー」
「竜になると性格豹変する人って結構いる。何故かは知らないけど、大抵は傲慢になるからお察し」
私は察せないけど、おかしくないよね。普通理由なんて分からないよね。⋯⋯まぁ、いっか。竜になってもならなくても、私は変わらない。変われないから。
「で、用事は何? 権能?」
「うん。ちょうだい。⋯⋯お姉ちゃん、見ないでよ? 恥ずかしいから⋯⋯っ」
「おいちょと待て。恥ずかしい事してないわ。なんで顔赤らめてんの? 誤解生んだらわたしフランに殺されそうなんだけど」
「いや、分かってるから気にしないで⋯⋯」
お姉ちゃんは苦笑いと呆れの混ざった複雑な表情をウロに向けている。なんと言うか、よそよそしい感じがする。
「じゃぁ、譲渡するよ。今回はどれ?」
「残り2つ。もう、大丈夫だから」
「そっ。なら⋯⋯はぁ、これ痛いんだよなぁ⋯⋯」
「あ! 今回で最後だから、ちょっと待って。お姉ちゃん、後ろ向いて。⋯⋯いいからっ!」
渋々ながらも「はいはい」とお姉ちゃんがこちらに背を向けたのを見計らい、自分の舌を強く噛む。そして、血を流させ、逃げないようにウロの肩を掴んだ。血による権能の譲渡。それなら、腕じゃなくてもいけるはず。もちろん、ただの好奇心だけど、ウロも食べたい人だから、こういう事するのは嫌いじゃない。
「い⋯⋯ったぁ。うりょ⋯⋯我慢、してにぇ?」
「えっ。ちょっ、嫌な予感しかしないんだけど。なんで口から血が出てんの? もしかして譲渡を⋯⋯! な、治るからってそういうのはぅっ──あ、ひゃぁ⋯⋯っ!?」
無理矢理ウロの口に舌を入れ、強引に引き出した舌に牙を使って傷を付ける。そして、自分の傷付いた舌をウロの舌に絡め、魔力供給をするかの如く血を吸い出す。
これも吸血鬼の吸血扱いになるのか、ウロの顔に苦痛は見られない。むしろ、快楽が勝ってるように見える。うっとりとして、恍惚とした焦点の定まらない表情。病みつきになりそうな顔だな。
「うりょぉ⋯⋯美味しいぃ?」
「ば、かぁっ!」
「うわぉ。ティアも大胆だなー」
「あ、あわわわ⋯⋯! う、ウロ! 何をしておる! 早く離れるのだ!」
イラに引き離され、不完全燃焼に終わる。こんな中途半端に終わらされると、毒にも薬にもならない。それにしても、後ろを向いてもらってたはずのお姉ちゃんの声が聞こえる気がしたんだけど。
「あ⋯⋯うろぉ、譲渡は終わった?」
「⋯⋯こ、今世初のキスがぁ⋯⋯。せめてもっと年上の⋯⋯ティアより5歳か10歳くらい上の姉属性持ちが良かったぁ⋯⋯! っていうか、同意前にやるとかどういう神経してるの!? いや別にティアですし? 無神経な妹には慣れてますし? そもそもこれはただの魔力供給です。そう、ただの魔力供給です。な、何も恥ずかしガガガガ⋯⋯やっぱ無理っ!」
「ウロー? あ、舌治ったー! ウロ、譲渡終わった?」
頭を抱えてうずくまり、自問自答するウロを揺さぶって現実へと引き戻す。しばらくは現実に戻ってこなかったけど、唐突に我に返ると、平静を装ってか真顔になる。耳が真っ赤になってるから、意味無いけど。
「終わった。ちゃんと引き渡せたから、もうしないで。2回目以降は他の人に奪われたくない」
「そっか。でも、嬉しかった? 顔がそう言ってる」
「ウロが嬉しいわけあるか! 吸血鬼め、馴れ馴れし過ぎるぞ!」
「いや、悪くない、とだけ。にしてもさぁ⋯⋯」
チラリとお姉ちゃんの方を見たかと思うと、再び私に目線を向ける。
「姉の前で堂々とするね。わたし、後で殺されないか心配だ。破壊しない? 大丈夫?」
「大丈夫。お姉ちゃんは優しいから。それに、私はみんな好きだからいいの。食べ物みたいに、好きな人がいっぱい居てもいいよね」
「うーん、食べ物扱いは人によって傷付くからやめようね。ウロ、大丈夫だよ、問題無い。流石にティアの友達を殺さないよ。それに、誰よりもティアに好かれてる自信あるしね。勝者の余裕だよ」
ウロには「へー」と適当に流されてた言葉だけど、私からすれば、とても嬉しい言葉。お姉ちゃんの言った言葉はつまり、両思いと言っても過言では無いと思う。長年思い続けてたお姉ちゃん達と『食べ合う』というのも、近い未来に叶いそうな気がする。いや、叶えよう。いつか、絶対に⋯⋯お姉ちゃん達を食べよう。まだまだ恥ずかしい気持ちはいっぱいだけど。
「あ、ウロ。まだあるの。権能をもっと上手に扱いたいから、今度私に手取り足取り教えて。ついでに、前になった竜にもなってみたいから、手伝って」
「それってつまりわたしにもっと怪我しろと言ってるのでは? これ名推理じゃない?」
「ウロを傷付けたら、ただでは済まんぞ? あ、いや。住む場所が無くなって困るからな」
イラの言葉に適当に受け答えする、嬉しい気持ち半分、面白い気持ち半分といった感じのウロ。それでも気付かずに慌てて言い訳するイラ。見てて和やかな風景だな。でも、戦争の後だとそれを壊してみたいという気持ちが強いけど。
「力は喰らうだけでも奪えるから、私を好きにしていいよ?」
「女の子がそんな事言っちゃいけません。⋯⋯はぁ。吸血でも何でもいいから、あなたから奪って。その代わり、東の国のある場所に行くのに協力してもらうけど」
「へぇー。なるほど。交換条件で⋯⋯。ウロー、私も手伝っ──」
「ダメ。お姉ちゃんはダメなの」
元はお姉ちゃんに強くなろうとしてるのをバレるのが恥ずかしかったから止めてたけど、今は違う。バレたら怒られるような事だってするつもりだし、何よりも私が傷付きそうな事をすれば止められる。それがお姉ちゃんからお姉様に伝われば『確実に』変わってしまう。それは嫌だ。お姉ちゃんだろうと、私の目的を阻まれたくない。
「わたしは別に良いと思うけど。減るもんじゃない」
「絶対ダメ。⋯⋯お願いだから、今回だけは⋯⋯」
「⋯⋯いつになく真剣だね。分かった。今回は諦めるよ」
私が必死にお願いすると、お姉ちゃんは食い下がってくれた。そう、それでいいの。
お姉様が死んだ時、私は無力だった。だから、決めた。誰にも負けない強さを手に入れ、全てを支配できるようになる事。そして、永遠に続く命を、
「でも、名前くらい聞いてもいいよね? その東の国の何処かの」
「⋯⋯いいよ。もう知ってなくちゃいけない頃合だろうし。名前は『幻想郷』。忘れられたモノ達が集う、結界に隔離された箱庭。忘れられるか否定されるか⋯⋯もしくは、それ以外の何かによって入れる穏やかな世界。わたしはそこを経由するだけのつもりだけど、もしかしたら、あなた達はずっとそこに暮らす事になるかもしれない世界だよ」
初めて聞くその名前。だけど私は、その名前に凄く親近感や好感が湧いた。そうだ。そうしよう。その箱庭の世界を、私の理想郷に作り変えよう。その時初めて、私は大きくて偉大な夢を持った────
年頃なティアちゃん(現67歳児)。
なお、完全に間違った道に進み始めて何かに目覚めてしまった模様。
それはそうと、PV見ていると押絵の部分だけ他と比べて多めなので、どうせならと新年初めのイラストは罪妹録に変更します。Twitterのアレはもう少し待ってください何でもします(なんでもするとは言ってない)
なので、この回も押絵が追加されるかもしれませんのでご注意を。なお、描くのはオリキャラであるウロの恍惚とした表情です()
2019/02/18 押絵が追加されました。
オリキャラ生存or死亡ルート(詳しくは50話で)
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生存ルート
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死亡ルート